ロシアでは珍しい(表にでるという意味で)軍需産業の不正事件や、開発中の攻撃機ヘリKa-52Mのニュースをまとめてどうぞ
プーチン大統領の怒りを買うのは確実、ロシアのミサイル製造拠点で大規模な詐欺事件が発覚
軍需産業における不正事件は珍しくないのだが、あまり情報が表に出てこないロシアで国を代表する国営軍需企業が大規模な詐欺を行っていたと報じられている。
参考:Russian hypersonic missiles manufacturer under investigation for fraud
この事件の主役は極超音速兵器や航空機搭載用のミサイル等を積極的に開発している「戦術ミサイル会社(JSC Tactical Missiles Corporation)」で極超音速で飛翔する空対空ミサイル「R-37M」を製造しており、現在はSu-57のウェポンベイに収納出来るようR-37Mの小型化を開発していることで有名だ。
さらにロシア版のAMRAAMと呼ばれる「R-77」を製造しているのも同社でロシア製戦闘機が使用する大半のミサイル製造に関わっているロシアにとって重要な会社なのだが、16年間に渡りソフトウェアの使用料詐欺でロシア政府から約72億円を受け取っていたことが発覚して大問題になっているらしい。
戦術ミサイル会社は2004年、アナログな手法で製造工程を管理していたシステムを一新するためコンピュター管理システム「SAP CIS」を導入することをロシア政府に提案して了承され、同ソフトウェアのライセンス費用とテクニカルサポート費用を合わせて年間3,000万ルーブル(約4,500万円)を戦術ミサイル会社に支払っていた。
このソフトウェアは確かに16年前同社の工場に導入されたのだが、ソフトウェアの実装責任者は工場の製造工程に合わせる複雑な初期設定を行うことなく放置、新しいソフトウェアを使用しているフリをしながら実際には実績のある旧式の手書き指示で製造工程を管理していた事実がロシア連邦保安庁の調査で発覚したのが、会社の経営陣はソフトウェアの実装責任者から問題のソフトウェアは適切に作動していると報告を受けていたため16年間に渡り使用されていないソフトウェアの使用料をロシア政府から受け取り続けていたというオチだ。
戦術ミサイル会社が16年間の間に受け取ったソフトウェア使用料の合計は約72億円にもなり、ロシア国内で大きなスキャンダルになると報じられている。
ロシアでは5月末、シベリアの火力発電所から大量の軽油が川に流出して大規模な環境破壊を引き起こした。ロシア政府は慌てて周辺地域に非常事態宣言を発令するなど対策に乗り出したが、政府は関係機関からの報告ではなくSNSを通じて事故を知ったためプーチン大統領が「私たちは非常事態をSNS経由で知らなければならないのか」と激怒しており、今回の詐欺事件もプーチン大統領の耳に入れば確実に大きな怒りを招くことになるだろう。
射程100kmの巡航ミサイルを搭載するロシアの新型攻撃ヘリKa-52M
ロシアは攻撃ヘリKa-52のアップグレードバージョン「Ka-52M」を開発中で、試作機によるテストを2022年までに完了させるとタス通信が報じているのだが、このKa-52Mには射程距離100kmの新型巡航ミサイル「item305」が搭載されるらしい。
参考:Russia’s upgraded Ka-52 gunship with long-range cruise missile to complete trials in 2022
この「item305」はシリアに持ち込まれ実戦テストを受けており、地上配備型の防空システムや無人航空機(UAV)の登場で各国が開発に取り組んでいる近距離対空防御システム(自走式の複合対空車両のこと)を敵の射程圏外から攻撃して破壊するのに有効だと言われている。
戦場に登場するのは数年先の話しだが、防空システム「パトリオット」や機動短距離防空システム(M-SHORAD)の天敵になりそうな予感がする。
補足:機動短距離防空システム(M-SHORAD)はレーザーシステムベースの近距離対空防御システムの実用化に時間がかかるため繋として開発されている近距離対空防御システムだ。これは装輪装甲車ストライカーに短距離地対空ミサイル「スティンガー」+対戦車攻撃用の「ロングボウ・ヘルファイア」とアパッチに搭載していた30mmチェーンガン+7.62mm機銃を搭載したもので米陸軍が採用を予定している。
関連記事:イスラエルのUAVを撃墜か? ロシア、戦車T-14に続きレーザー兵器まで実戦投入
※アイキャッチ画像の出典:Mil.ru / CC BY 4.0 Ka-52
ヘリで100km先を捕捉できるのか?
AH-64E等も同様ですが、そもそもヘリに長距離ミサイルを装備する意味が何処まで有るのか
このクラスの射程だと、UVAで捜索・照準・中間誘導するのが前提でしょうし、地上の車両から発射しても大差無いような
有人ヘリコプターが空中にあって見通し線が確保できる分、UVA群の中枢として機能を確保するのが地上よりも有利かもしれませんが
着弾誘導は地上誘導員がやれば、ヘリが捕捉出来ていなくてもよくね
巡航ミサイルなら動かない施設とかを狙うわけだし、諸元の入力は事前に済ませているだろうし
ここで問題になるのは 電力とFCSのサイズとペイロード あたりかな?
正直現実味を感じないんだよな
Su-25では無くヘリ・・・揚陸艦に載せて運用したいとかかな?
もしくは攻撃機が運用できない国向けに売りたいとかかな?
まず、このような前代未聞な兵器についてどのような戦術理論が立てられたのか、そちらの方が気になります。
まぁ巡航ミサイルにしては射程が短いし、迅速に射点につけると言う点は良いかもしれないけど…ニッチだよね
金があるなら普通にタウルスかストームシャドウ買ってヒコーキから撃つわ
戦闘ヘリによる短距離巡航ミサイル発射って今まで聞いた事が無かったから何とも言えない。
地対空ミサイルの発展により本来の地上攻撃任務が行い難くなっているから色々試行錯誤しているのかな?
射程を基準にミサイルを分類する便方の意味が無くなるかも
やがてヘリコプターが戦略弾道弾を搭載して悪いって理由あるのか?
テクノロジーが戦略すら変える可能性もあるよ
そんな危険な兵器や銃器積んだヘリ。いずれ、ヘリ見たら撃ち落とせとなる。