欧州関連

英海軍、無人化技術を取り入れた次世代の艦艇や兵器のコンセプトフリートを公開

今月14日からロンドンで開催される防衛装備品の展示会「DSEI 2021」で国防省は海軍の将来ビジョンや無人化技術導入への道筋を説明すると発表、海軍も発表に先立ちUKNEST所属の若手技術者がまとめたコンセプトフリートを公開して大きな注目を集めている。

参考:Royal Navy outlines future vision

英海軍は作戦上の優位性を取り戻すため無人化技術を取り入れた「将来自立型艦隊プログラム」を開発する予定

今回公開されたコンセプトフリートの中で特に目を引くのはバイオ燃料と風力発電の組み合わせで作動する次世代空母で双胴方式の船体下部に風力発電ユニットを搭載、ここで発電した電力で海水から水素を抽出して動力源に利用するという何ともエコな推進方式だが、その他にも推進ロケットによる超高速航行、状況に応じて船体のレーダー反射断面積を小さく見せるための半潜水モード、衛星も打ち上げ可能なミサイルチューブ、レールガン、レーザー兵器、ホログラム投影装置などが搭載されており、まるで空想科学に登場するようなロマン溢れる仕上がりだ。

出典:Royal Navy

このようなコンセプトフリートは国防省と産業界が防衛工学について相互利益を追求するフォーラム「UK Naval Engineering Science & Technology(UKNEST)」所属の若手技術者による提案で、第二海軍卿を務めるニック・ハイン副提督(中将)は「将来のシナリオで従来のような質と量の競争が出来なくなれば作戦上の優位性を取り戻すために今までと異なるアプローチが必要で、この提案に携わった若い技術者達は想像力を駆使した先鋭的なアイデアを提示しており、このような提案内容は英海軍の考え方を反映している」と述べている。

英国海軍はこのようなアイデアを元に「将来自立型艦隊プログラム/Future Autonomous Fleet programme」を開発する予定で、今月14日からロンドンで開催される防衛装備品の展示会「DSEI 2021」で国防省は海軍の将来ビジョンや無人化技術導入への道筋を説明するらしい。

出典:Royal Navy

出典:Royal Navy

因みに海軍は次世代空母の他にも自律的に作動する無人攻撃艇や交換可能なミッションモジュールを複数搭載することができる無人水上艦、成層圏に配備され命令があればミサイルや無人機を発射して目標を破壊する浮遊型無人機、艦隊への補給を自律的に行う水中輸送無人ユニットのコンセプト案も公開しておりどれもロマン溢れるものばかりだ。

出典:Royal Navy

これらのアイデアを全て実用化できるのかは未知数だが「大きな可能性を秘めたグランドデザインを提示することで産業界に指針を示し技術革新を促す」という側面から見ると有益で、英国がDSEI 2021で発表するという海軍の将来ビジョンや無人化技術導入、今後開発を行うと言っている「将来自立型艦隊プログラム」の内容に世界中の防衛関係者が注目していることだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    まさに夢が広がりんぐの世界w

    27
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    イギリスが韓国の空・海ドローン対応空母建造に手を貸したのはこのコンセプトの一部実証実験を兼ねたものだからなのかね

    6
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      冒険をやるならば他人の金でという資本主義的な論理でしょうかw
      にして風力空母って、軍事にまでエコロジー持ち込まれても何なんだという違和感満載だけど、長い目で見れば省エネだの社会的理解だのに有用なのかもね

      14
        • 匿名
        • 2021年 9月 13日

        日本の戦艦「金剛」もそうだったし、英国面は昔から自国でまだ採用してない
        先進設計の実証実験を他国向け艦でやる癖がある
        上手くいけば、その時点で本家を差し置いて世界最強だったりするけどね

        10
        • 匿名
        • 2021年 9月 13日

        航空機におけるラムエアタービンみたいな立ち位置かも>風力発電

        風力発電だけで十分な電力(推進力)を得られるとは思いにくく、イギリスは船の動力系や電気系で何度もやらかした経験があるから平時は補助ぐらいで、主目的はメイン動力や電気系にトラブルが発生したときのバックアップとしてとか

          • 匿名
          • 2021年 9月 13日

          風力発電は船体下部、つまり双胴の中にあって艦と並行な風しか当たらない訳だから、作戦時≒動力航行時に発電しても発電量>空気抵抗増でエネルギー収支はマイナスにしかならんでしょ。
          多分帆走・停泊中にジワジワネチネチ水素を溜め込むつもりじゃないかな?

          無人艦隊なら「一定の海域でひたすら警戒・待機」みたいな運用になる可能性が高く、その間燃料を消費しないどころか少しずつでも溜め込めるなら待機継続可能期間は「理論上は」無限になる(実際にはメンテやら何やらで数ヶ月程度?)。
          コンセプト図を見る限り、(downwindとなってはいるけど)帆は風を受けるだけの横帆ではなくて揚力を発生させるカイトだから風とほぼ垂直に風より速く航走して「一定範囲に留まりつつ効率よく蓄電(蓄水?)」できるだろうし。
          空母というより「哨戒・防衛用洋上風力発電機」と考えた方がいいかもね。

          4
            • 匿名
            • 2021年 9月 13日

            ごめん。
            発電量<空気抵抗増 ね。

            1
        • 匿名
        • 2021年 9月 13日

        地球の住環境の維持のためと見れば究極の安全保障とも言えるよね

        2
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    ゲームやアニメのメカデザインかと思うようなのばっかりだな

    25
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      何処のゲームの宇宙艦隊かと思った。

      6
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    ぼくのかんがえたさいきょうのかんたい感が満載だけど
    英国だとワンチャンありそうで胸の高鳴りがとまらない

    27
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      紅茶が足りている時のイギリスはド級戦艦やら空母のアングルド・デッキやスキージャンプ台みたいな先進的なことを実現するからね

      7
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    パンジャンドラムみたいな英国面の具現化兵器がまた見られるのか
    米国が最近ロマンのないプランを発表しているから期待

    5
    • HY
    • 2021年 9月 13日

    スコットランド独立運動でそれどころじゃなくなるんじゃない?

    3
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    おいおいエイプリルフールには気が早いぜ

    2
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    こうやって兵器の無人化技術が進歩すればする程なんだか「ホライゾンゼロドーン」みたいな世界観になりそうで正直恐ろしい感がするね・・・何だか複雑だよ。

      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      人が血を流す事を忘れたら核兵器みたいな一発アウトな兵器を使うことに抵抗が無くなりそうな気がする

      6
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    これみたいなロマンに満ちたコンセプトは、どの国が掲げるかで大きく意味が異なる。

    6
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    紅茶の芳醇な香りがしますね、英国はこういう所があるから強い

    4
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    ベンチャー企業とかじゃなくて海軍発表のコンセプトってところが面白い
    ワクワクしますね!

    6
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    兵器がエコである必要があるのだろうか

    1
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      ない訳がない。エコ、というか高効率だけどね。
      航続距離が延びるだけでも大きいし、無人艦隊なら稼働期間まで長くなる。
      正面に近い兵器だから運用コストよりもパフォーマンス優先なのは確かだが、同じ性能を保てるならコストだって低い方が良いよ。

      7
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      兵器の一生のうちの大半が平時であり無駄飯食らいの軍隊においてはエコなのは重要だと思うぞ
      戦時にそのシステムのせいで敵側より性能が落ちるようなことがあれば大問題だけどね…

      2
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      使用燃料が減れば、その予算を別に回せるじゃろ?
      使用資材が減れば、その分多くの量が作れるじゃろ?

      まあ時と場合によっては燃えるし散らばるんですがね

      4
      • 匿名
      • 2021年 9月 14日

      エコ→エンジンとか燃料タンクが小さい→軽くなってスペースに余裕ができる→装備とか装甲をもっと積んだり逆に性能そのまま小さくできる、っていう兵站面だけじゃなく単体性能が上がるって話にもなるよ

      1
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    自動化、無人化で何時も思うが、保守は要らないのか?
    戦闘機や戦車の様に1日程度でメンテナンスが受けられるのとは違い、艦艇の様に1ヶ月以上拠点を離れる物は維持出来るのか?

    2
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      艦載3Dプリンタで生分解性マテリアルのパーツ作ってメンテナンス、みたいな事書いてあるっぽいから、消耗・破損する様なパーツはポンポン捨てて自己修復、とかするんじゃない?
      当然ながら基幹部分は全部冗長化しといて、自己修復が追いつかず何かしらで安全マージン下回ったら帰還or救援要請。

      基本的にはそこらの工場で走り回ってる自走式ロボットの延長上の運用で何とかなりそうだけど。
      もちろん技術レベルも難易度も規模も桁違いだけど、絶対不可能とは思わないかな(十中八九運用初期に盛大に何かしらやらかすだろう、とも思うけど)。

      2
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    「半潜水モード」と言えば

    「旭日の艦隊」の「日本武尊(ヤマトタケル)」ですか?

    5
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      宇宙空母ブルーノア

      3
      • イーグルクロウ
      • 2021年 9月 14日

      名前忘れた!

    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    基礎工業力を建て直してからの話
    コンセプトを現実化する金も技術もないんだから妄想でしかない

    3
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    何年か前に防衛装備庁が無人機プラットフォームっての発表してたけどそれと似た感じかな、やっぱり同じ島国根性の国は発想が似るのか…

    1
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    ターミネーターはまだか?

    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    流石に風力発電はねーわw

      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      自分は、地球温暖化で流れ出している棚氷のテーブル型氷山を利用した超大型洋上空母案が無いのが不満だ

      6
        • 匿名
        • 2021年 9月 13日

        一番上の空母型が新生ハボクックということでいいだろ

        2
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      それも極めれば原子力潜水艦のように食料・弾薬・人員が尽きるまで寄港せず作戦行動をとれるようになる画期的なものになるかもしれない

        • 匿名
        • 2021年 9月 13日

        人員が尽きるまで…笑

        1
      • 匿名
      • 2021年 9月 13日

      空母機動部隊を想定すると非現実的だけど、
      特定海域に常駐する「無人防空航走基地」なら
      物理的には十分実現可能だと思うよ。
      技術的に数十年以内に英国に可能か、は別にして。

        • 匿名
        • 2021年 9月 13日

        それなら小型原子炉の方が安定高出力

    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    外観はマクロ○のアームド1だな

    3
    • 匿名
    • 2021年 9月 13日

    アーマードコア・フォーアンサーの各種アームズフォートにしか見えないw
    これは紅茶飲みまくった英国ですわ。楽しみでしかない。
    多少風呂敷を広げるのも時には良いよね。

    3
    • L
    • 2021年 9月 14日

    グラボ見てーな見た目してんね

    • 匿名
    • 2021年 9月 14日

    イギリスがこの手のネタをぶち上げても、本気でしないことが結構あるから読めないんだよな。

      • 匿名
      • 2021年 9月 14日

      >海軍も発表に先立ちUKNEST所属の若手技術者がまとめたコンセプトフリートを公開
      海軍の将来ビジョンを「若手技術者がまとめた」ものだから単にインパクトを狙ったかも。
      提案した若手技術者たちが主導的立場になるころ実現するかもの長期ビジョンではなかろか。

    • 匿名
    • 2021年 9月 14日

    UFOというかクラゲのようなものは何でしょう?
    字が小さくて読めない(読めても英語だから理解できない)

      • 匿名
      • 2021年 9月 14日

      UFOかクラゲ、ってのがどれのことか微妙に分からんが、
      上の丸い奴はセンサーバルーン、となってるから未来版観測気球、
      下のトゲトゲした奴なら艦のモード別の断面図。
      どっちの事でもなかったらスマン。

      1
      • 匿名
      • 2021年 9月 14日

      バルーン状の物体のことなら、解説によると上部成層圏に滞空するヘリウムガス気球。
      垂直降下で加速・滑空する攻撃飛翔体 FAST STRIKE VEHICLE を図によると8機搭載する。ちなみに高高度の気球から落下加速・高速滑空する飛翔体はJAXAが超音速飛翔体の海外実験で実績がある。
      FAST STRIKE VEHICLE は水平飛行に移行すると索敵・照準用のドローンを複数射出し、なんと目標から離れた位置で推進機による水中航行に移行するらしい。目標に接近した時点で空中か水上に再浮揚し2基のレールガンで目標を攻撃するんだとか。
      主翼は推進状態で変形するモーフィング翼ぽいが、さすがに英国面か中間の水中航行は想い及ばなかった。

      1
    • 匿名
    • 2021年 9月 14日

    日本とかのSF小説とか漫画では昔から色々あったし、
    それに刺激を受けたりしてゲームとかでも結構似たようなのは出たりしてる

    提案もとは若手ってあるし、おそらくその辺からかもしれない

    F-35なんかも出来てみれば、架空作品とかエースコンバットとかの実現に近いし
    (エースコンバット7ではF-35は性能大幅ナーフされてたりするw)

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