英国軍は深刻な国防予算不足に直面しているため、各軍が予算削減を進めている。
参考:British Army wants Royal Navy flagship super carrier ‘leased to USA’
予算不足を補うためクイーン・エリザベス級空母を米海軍にリース?
英国は冷戦終結時、GDP比4.0%前後の国防予算を支出していたが、その2.0%台まで支出が減り、2014年からは遂に2.0%を下回るまで縮小してしまったが、トランプ大統領の要請によりNATOが加盟国に対し、GDP比2.0%の国防費を支出するよう訴えた結果、GDP比2.15%(2019年)と国防予算への支出が増えた。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Nathan T. Beard
しかし、F-35Bの導入やクイーン・エリザベス級空母の建造、弾道ミサイルを搭載したヴァンガード級原子力潜水艦の更新用としてドレッドノート級原子力潜水艦や第6世代戦闘機「テンペスト」の開発など、支出すべきプロジェクトが多く、人員削減による予算節約を行わざるを得ない。
その結果、空軍や海軍では航空機のパイロット不足に悩まされているが、今後は無人機を積極的に導入して問題を解消していくと見られる。
問題は、約8万人の兵力を持つ陸軍だ。

出典:Simon Q / CC BY 2.0 チャレンジャー2
陸軍は海軍や空軍の装備更新に押され、配分される予算が少なく、主力戦車「チャレンジャー2」を227輌から148輌まで減らすなど努力を重ねてはいるが、このままでは人員削減が避けられず、メイ前首相は当時、陸軍の常備兵力約8万人の維持を約束していたが、現在の予算では常備兵力を6万人規模まで削減する必要があると陸軍は警告している。
国防大臣は予算不足を解消するため、海軍の空母クイーン・エリザベスか空母プリンス・オブ・ウェールズのどちらかを米海軍にリースし、国防予算を節約する必要があると言い出した。
米国人は空母を愛しており、クイーン・エリザベス級空母(約1,200人)は、米海軍の空母(約5,000人)に比べ、遥かに少ない人員で運用することが可能なので、この提案を受け入れるだろうと見られるが、海軍はこの案を否定している。

出典:U.S. Navy photo courtesy of Lockheed Martin by Dane Wiedmann
日本とほぼ同水準の国防予算しかないのに、戦略ミサイル原子力潜水艦や空母を運用し、第6世代戦闘機の開発や軍を海外派兵させれば、自ずと予算が足りなくなるのは目に見ており、冷戦時代のようにGDP比4.0%前後の国防予算支出を容認するか、金のかかる原潜や空母などの調達を見直し、整理することで予算内に収めるかを決断する必要がありそうだ。
特にクイーン・エリザベス級空母は建造当初から、2隻建造しても1隻はインドに売却するか予備役状態で保管するか検討※されていただけに、米海軍へのリース話が出てきても驚きはない。
※補足:結局、英海軍は2隻とも現役艦として運用することを決定した。
これは管理人の私見だが、日本がクイーン・エリザベス級空母をレンタルし、スキージャンプ台を備えた空母の参考にするのも無くはないと思っている。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo courtesy of the Royal Navy by LPhot Kyle Heller
レンタルって……。
有事に即応性がない装備なんて、実質的に売却と同じような話ですね。
必要になったら違約金でも払って返してもらうんでしょうか?
有事に自動参戦して優先的に駆けつけてくれるように約束取り付けるとか?
それだとアメリカくらいしかレンタル先はないでしょうね。
何れにせよ平時限定の策というか、ちょっと荒唐無稽のような気がしますね。
あくまで攻撃的な、派遣派兵用途を前提とした話なんでしょうか。
第一次大戦の時に戦艦を接収しまくったお国ですから
第二次世界大戦の戦勝国として、最新型の空母を敗戦国の日本にリースはまだハードルが高いのではないでしょうか。日本も軍備や安保に対する現状の意識では、リースとはいえ完全な空母を運用するのは政治的に難しいでしょう。
ただ中国の動き次第では将来的に日本とイギリスがもっと深く強く結び付く可能性は高いですし、その時は軍事面での交流も盛んになるでしょうね。
我国も要員がいない。
>これは管理人の私見だが、日本がクイーン・エリザベス級空母をレンタルし、スキージャンプ台を備えた空母の参考にするのも無くはないと思っている。
通常動力艦ですし、機関もタービンまでは同じものですし。
惜しいなぁ、「こんごう」はまだまだ現役ですから名前が……(既に脳内でレンドリースが既成事実化している)
財務省「無理!」
戦闘機なら実際にイスラエルがリースしてアグレッサーで飛ばしてたけど
他国の空母は運用するための手間が段違いだと思うがどうなんだろ
いらないです (´・ω・`)
海自は外征編成じゃありませんし
イギリスの核戦力はSLBMのみなので、戦略原潜の調達数を減らすか、調達・更新時期を延ばして調整するしかないですね。
戦略原潜を手放せば核戦略の見直しという大掛かりな作業になるのでやれないしやらないでしょう。
もともとクロスデッキを視野に入れている中で、レンタルはその延長とも言えますが一体運用はNATO以上の米英一体化とも取られるので仮想敵国から米英をどう捉えるか、という視点が重要になりそうです。
ロマンは感じたいけど、わが国の防衛にはいずも型+αで十分だと思う。
密な国とかならテストヘッド的なレンタルは有りかな?
兵力の補間としててのレンタルはイメージが湧かない
アメリカはスウェ-デンから スターリングエンジンを搭載したゴトランド潜水艦(スウェーデン海軍 1999年に就役したネームシップ)を2004年から2年間レンタルしててますね。 理由はAIPシステムの研究、AIP潜水艦との共同作戦の研究(アメリカは原潜だけ)
どちらかというと、米国の深刻な空母不足を補う意味ではメリットとしてはありそうですね。
トルーマンがようやく復帰できそうですが、フォードはようやく問題を克服できそうという状態で、ケネディは進水したばかり。
日本はと言うと、F-35のAとBを大量購入して、これからF-3の開発に取り組もうって時であるわけですから、さすがにクィーンエリザベス級空母をリースしてる余裕はないでしょうね。
(なにより、いずもを回想して空母にするわけですから)
乗務員、戦闘機の訓練期間を考えたら無いのでは?
この期間が長いから、レンタル期間が長期じゃないと割に合わないと思います。
また、空母は単艦で行動する訳では無い、艦隊としても訓練も必要、それを考えたら、(通常の任務として空母を、しかもアメリカが持っていないスキージャンプ式空母をレンタルするのは)全く無いのでは? って思います。
この話を読んでいて思い出した話があります。
米海軍は、1979年のイラン革命時の対応でペルシャ湾へ艦隊を派遣した際に補給艦が不足した為、1981年に英国からネス級給糧艦2隻をリースした所好評だったので、1982年にリースしていた2隻にもう1隻を加えた3隻のネス級を購入して「シリウス」「スピカ」「サターン」と命名し、2005~09年まで運用していた過去があります。
ですので、今回のリース話もその事を踏まえた発言だったのかも知れません。
今の海上自衛隊に1,200人+後方支援要員を準備しろと言うのは無理があり過ぎます。
それこそイギリスやフランスの二の舞になって優先する装備が疎かになりかねません。
今の情勢、今後の情勢を考えれば、予算と人がいればぜひ、でしょうけれど。
その予算と人が足りませんし、もう数年はそちらの拡大を優先せざるを得ないかも。
増強著しい中国海軍に、いろいろ揺れてるアメリカの方針を考えると、英空母、惜しいなぁ。