欧州関連

ルーマニアのヨハニス大統領、空軍近代化の一貫としてF-35A導入を約束

ルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領は3日、現在進めている空軍近代化の一貫として第5世代戦闘機「F-35A」を導入すると約束した。

参考:Romania still committed to get F-35s, but after 2030

ルーマニアの国防予算は高い伸び率を維持しているのでF-35A調達資金は確保できる可能性が高い

ルーマニア空軍の戦闘機戦力は西側製の精密誘導兵器やイスラエル製の空対空ミサイルが統合されたMiG-21RB/RC×30機とポルトガル空軍から調達した中古F-16AM×17機で構成されており、老朽化したMiG-21RB/RCの更新と戦闘機戦力の拡張のためノルウェー空軍から退役したF-16AMを32機取得してアップグレードを行う計画を最近発表したばかりだが、空軍基地を視察に訪れたクラウス・ヨハニス大統領はF-35Aを導入する発言して注目を集めている。

出典:Cristian Ghe / CC BY 2.0 ルーマニア空軍のMiG-21

ヨハニス大統領は「空軍のF-16は全ての任務を効率的にこなすことが出来るがルーマニア空軍の近代化はここで立ち止まる訳ではなくF-35Aも購入する予定だ」と明かし、ルーマニアはNATOの公約に従って今後も国防予算に最低でもGDPの2%を割り当て軍事力を向上させていくと付け加えた。

現地メディアは「F-16が少なくとも7年~10年は飛行できるのでF-35Aの導入は2030年代になる」と報じているので導入計画が本格化するのは早くても2025年以降の話になると思われるが、問題はルーマニアの国防予算でF-35Aを導入できるのかだ。

出典:VictorCozmei / CC BY-SA 4.0

ルーマニア政府は2016年以降GDP比2%を上回る国防予算を割り当てており、昨年末に議会が承認した2022年度の国防予算額は約60億ドル/約6,900億円で2021年と比較して11%増(過去6年間の平均伸び率は8%)、2016年の国防予算と比較して55%も増加している。

この資金をルーマニア軍はパトリオット、HIMARS、中古F-16AMの取得やIAR-99のアップグレードに費やしており、国防予算が今後も継続して高い伸び率を維持すると「2025年の国防予算に占める装備調達予算は32.3億ドル/約3,720億円へ増加する」と予測されているため10~20機のF-35A調達なら資金的問題をクリアできる可能性が高い。

勿論、今後もロシアの脅威と国防予算の高い伸び率が維持されたらの話だが、、、

関連記事:ルーマニアがノルウェーから中古F-16取得を発表、1機あたりの導入コストは約18億円

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Gaspar Cortez

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

豪海軍のハンター級フリゲートは海に浮かんだとたん時代遅れになる前のページ

なぜボーイングのX-32はロッキード・マーティンのX-35に負けたのか?次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ゼレンスキー大統領がバフムートから撤退しないと発言した背景

    ウクライナメディアは「ゼレンスキー大統領が記者会見でバフムートから撤退…

  2. 欧州関連

    ウクライナ、中国への軍事技術流出が懸念されていたモトール・シーチの国有化に動く

    中国企業によるモトール・シーチ買収で航空機用エンジンの技術流出が懸念さ…

  3. 欧州関連

    仏海軍の強襲揚陸艦が日本に向けて出港、しかし日米仏合同演習の詳細は未定

    フランス海軍は今月18日、ミストラル級強襲揚陸艦「トネール」とラファイ…

  4. 欧州関連

    フィンランドのNATO加盟が確定、加盟国30ヶ国の批准手続きが完了

    トルコ議会がフィンランドNATO加盟を30日に承認、加盟国30ヶ国によ…

  5. 欧州関連

    ロシア軍が使用するイラン製無人機、迎撃コストは攻撃コストを上回る

    ロシア軍が使用するイラン製無人機の迎撃コストは攻撃コストよりも高価で、…

  6. 欧州関連

    フランスの戦略的自立に不可欠な武器輸出、2024年の受注額は約3兆円

    フランスのルコルニュ国防相は「2024年の武器輸出額は2022年の27…

コメント

    • 無無
    • 2022年 2月 05日

    隣接するロシアやトルコの立ち振舞いに対する反作用としてルーマニアはNATO、アメリカへの接近と
    ポーランドもそうだけど、反アメリカ勢力のおかげでアメリカが潤うという結果もまた然り

    10
    • 折紙
    • 2022年 2月 05日

    >勿論、今後もロシアの脅威と国防予算の高い伸び率が維持されたらの話だが、、、

    やっぱり前者は維持してほしくないなぁ。

    14
    • せい
    • 2022年 2月 05日

    ウクライナ侵攻のせいで今後、東欧諸国の軍事力はとんでもなく上がりそう。
    大国が緩衝地帯と考えてても、そこに住む人達は戦場になんかなりたくないもんね。

    35
    • ブルーピーコック
    • 2022年 2月 05日

    導入国が増えればコストが安くなるとは言え、やはり30機〜40機は辛いか。さらにクリミアが目と鼻の先にあるから、海防も強化しなきゃならなそうなのがなあ。

    12
    • dasadasa
    • 2022年 2月 05日

    なんだか、爪の垢を煎じてドイツに飲ませたい

    4
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP