ウクライナメディアは「ゼレンスキー大統領が記者会見でバフムートから撤退しないと発言した」と報じているが正確には「我々は出来るだけ戦うつもりだ」と述べており、この発言はエストニア国防省の定例記者会見が大きく関係している。
参考:Ukraine preparing for possible Russian offensive, we need more weapons, in particular long-range weapons
参考:Grosberg: mingil hetkel taanduvad ukrainlased ilmselt Bahmutist
時間を稼ぐためバフムートで戦う兵士が存在する以上「将来的に撤退を考えている」などと正直に答えるはずがない
ウクライナメディアは3日「EU首脳と会談したゼレンスキー大統領が記者会見でバフムートから撤退しないと発言した」と報じているが、正確には「我々は出来るだけ戦うつもりだ。バフムートは我々の要塞であり、ここを守るため亡くなった人々を英雄だと考えている。長距離攻撃兵器の提供が早まれば我々はバフムートを維持するだけでなく、2014年から占領状態にあるドンバス地域の解放作戦を開始するだろう(大統領府公式のテキスト)」と述べている。
この発言は記者の質問に答える形で行われ、エストニア国防省の定例記者会見が大きく関係している。
エストニア国防軍諜報部門のマーゴ・グロスバーグ大佐は「ウクライナ軍がバフムートを維持できたことで後方に新たな防衛ラインを構築し、スラビャンスクやクラマトルスクなどの拠点を守るチャンスを得た。この地域は高地にあるので明らかにウクライナ人に有利であり、数日~数週間以内にバフムートからの撤退が始まる可能性がある。これは新たな防衛ラインの構築具合に左右されるものの永遠にバフムートを保持するため人員や物資を浪費するのは合理的ではない」と定例記者会見で言及。
さらに「バフムートをロシアに奪われても劇的な戦略的変化をもたらすことはないが、心理的、道徳的、情報的な作戦面でロシアの勝利となる」と付け加えており、これがゼレンスキー大統領の会見中に行われたバフムート撤退に関する質問の背景で、時間を稼ぐためバフムートで戦う兵士が存在する以上「将来的に撤退を考えている」などと正直に答えれば士気に関わるため「我々は出来るだけ戦うつもりだ。長距離攻撃兵器の提供が早まればバフムートを維持出来る」と曖昧に答えたのだろう。
いつバフムートからの撤退を決断するのかは謎(新たな防衛ラインの構築具合に加え政治的な力学も加味されるため)だが、バフムート撤退はシヴェルシク方面にも影響を及ぼすためリシチャンシク陥落以来の大きな戦線整理に繋がる可能性がある。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
ちょっと前に出てた露発信の撤退の情報は当たりだったようですね。
しかし当初の損害比率が10:1で理想的なキルゾーン発表されていていたものが、撤退になるとは。
戦争研究所と英国防省はバフムートは落ちない(確信)と言っていたのは何だったんでしょうか。
次の防衛線が何処か分かりませんが、次こそは理想的なキルゾーンであれば良いですね。
割に合わない塹壕戦から機動戦への転換を試みるらしいから
キルゾーンみたいな事はもう言わないんじゃないかな
装甲車両と長距離攻撃兵器の拡充を待って仕掛けるんやろうけど。。。上手くいく事を願うのみ
>戦争研究所と英国防省はバフムートは落ちない(確信)と
>言っていたのは何だったんでしょうか。
ロシアくらいしか実行できない囚人部隊の編成、兵士をおとりにしてのウクライナ陣地の特定、犠牲を顧みない朝鮮戦争時の中国義勇軍のような前世紀で終わったと思われた歩兵突撃戦術のごり押しで見込みが狂ったのでしょうね。
想定外ってやつです。
定期的に見ていますが、ISWが「バフムートは落ちない」などという断定的な言い方をしたのを私は見たことがありません。
直ぐに包囲されるような兆候はない、ロシアが漸進的に利益を上げた可能性がある等の慎重な言い回しが多く、言い方の問題、受け取り方の問題はあるかと思われますが、ほぼ正確に状況を伝えていたのではないでしょうか。現にまだ昨年来のロシア側の猛攻にかかわらず陥落していないのですから。
印象操作はやめた方がよろしいですよ。
ISWは当局発表を重視して情報収集し分析する媒体ですからね。
それ故にプロパガンダが現実とかけ離れているほどISWの分析もそれに引っ張られます。
エイブラムス撃破のような明らかなプロパガンダなら精査出来ますけどね。
まあそれと同じくらい10:1も非現実的だったんでしょう。
本当にISWのレポートを読んだことある?
ISWが戦況分析に利用しているオープンソースの殆どはロシア系ブロガーやTelegramだぞ。
ちゃんとレポートの中で引用した情報の出典を出してるし、それを「当局発表を重視して情報収集し分析する媒体」って言うのはISWのレポートを読んでなくて勝手に思いこんでいるだけでは?
そもそもウクライナ当局の戦況発表は「攻撃があった」「砲撃があった」「撃退した」ってだけのシンプルなやつしか発表してないのにどうやって分析するんだ。
レポート以外もちゃんと読みましょう、ちゃんと書いてありますから。
ロシア系のソースとしてブロガーがよく出ますがあれも素人が適当に書いているわけではなく軍人のブログです。
ずっと10:1と言われていたのではなく、初めは7:1位、次に聞いた時は8:1、そして動員後に正面からの突撃が言われ出した頃に10:1と言われるようになって、ヘルソンから1軍の精鋭兵士がバフムトに回されてきたくらいかそこらで、戦術が正面からの突撃onlyでなく、迂回して攻撃して来るようになってから10:1と言わなくなった気がします。
10:1を嘘と言いつのる人が多くなった気がするのですが、なんか雑に捉えているような ?
その方たちは心情的に進路派で、よほと悔しかったのでしょうか ?
ただ、ウクライナ上層部は最近まで10:1を言ったような気もするのでウクライナ上層部は立場的に10:1を信じたいのかもしれません。
個人的にはロシアに押されている以上、現在のレートが10:1ではないとは思いますが、どうなっているのか想像もできません。
CNNの報道ではウクライナ兵がまるでゾンビ映画のようだと言っていたので、現場は悪夢のような状況なのは想像できます。
なるほど。数字の推移が具体的ですし、キルレートの最大瞬間風速という考察ですね。露軍が無理を押して宇軍の防衛をこじ開けようとした時に限定的に観測したという事なら、多少なりとも信憑性がありますね。(もちろん、多少は盛っている可能性もありますが)状況は常に流動する事を忘れず、視点を硬化させずに戦況を見守りたいですね。
この記事内では実際にウクライナ軍の撤退が始まったというような事は書いてないと思うのですが、何か新情報があったのですか?
大統領が自国軍の個別の作戦や都市の放棄について
迂闊に発言できないかと。
他国の軍人が余計な発言を と思っているのでは?
匿名非公式で記者に背景説明ならともかく
定例記者会見で言うことではないと思います。。
エストニア軍の大佐が自己顕示欲でした発言、
というのは言い過ぎでしょうか?
せベルドネツクのときはロシア側に予備戦力がなかったが、今回はある、というのがウクライナを拘束してますね。
クレミンナどころではないのでは?
反撃で広大な面積の奪還こそすれど基本的に物量面でイニシアチブ握るロシア相手にしながらどこまでの支援を引き出せるかの政治力と供給体制稼働までの時間を血で贖っているのが本質ですから、遅滞戦闘での失地そのものより人間本位な部分が根底にあるそのプロセスでの流血や損失が必要なものであったのか将兵や国民に納得させる難しさは察する部分ではありますね。
バハム-トが陥落しても、ウクライナ軍全体は全く崩壊しないでしょう。
それでもバハムートにゼレンスキーが拘るのは、大半は政治的理由ですね。
ゼレンスキーは、明確な撤退命令を出せば政治生命が危うくなります。
「我々は勇敢にもバハムートで抵抗し、敵に甚大なダメージを与えたが、
敵の物量の前には如何ともしがたく、やむなく撤退した」という政治的
メッセージが彼の保身の為に必要なのでしょう。
ロシアはバハムートを戦略的要衝として拘っていますが、包囲速度をあえて
緩めて、ウクライナ軍をすり潰す作戦に移行している可能性があります。
ロシアはバハムート周辺の有利なポジションをほとんど取っていますから、
死地に戦力を注ぎ込むウクライナを、クロスファイアですり潰すだけです。
どうして撤退命令を出すと、ゼレンスキーの政治生命が危なくなるんでしたっけ?
役者出身で基盤に乏しい出来星大統領である上に汚職官僚摘発で後ろから刺される理由もある。財閥は戦勝後に西側の復興資金注入によって締め出される不安があるので、戦況不利との認識が一般にも浸透すれば、プーチンと取引に誘惑を覚えても不思議はない。
よくよく考えれば、戦時体制の中、ゼレンスキーの判断に責任が問われる
可能性は低いですね。「政治生命が危うくなる」は言葉が過ぎました。
> 包囲速度をあえて緩めて
直近、砲撃が1/4になり、一進一退で前進が滞り、ワグナーの囚人部隊のような正面突撃させる兵がいなくなったらしいけど、大攻勢の為の準備をしていると言うこと ?
それは恐ろしいですね、せめてレオ軍団来てからにしてほしいですね。
ワグネル囚人兵の正確な残数がどうなっているのかは把握できませんが、
今年に入ってからの戦況を「一進一退」というのは無理があるでしょう。
バハムート周辺で言えば、有利なポジションをロシアがおさえており、
ウクライナの出方を見ながら戦術の選択ができる状況です。
ロシアの大攻勢は私はないと思っています。全戦線での圧力をじわじわ
強めていっているのではないでしょうか。
今年に入ってからの前進スピードが、直近では止まっているとの情報を見ました。
> 包囲速度をあえて緩めて
それが上記にリンクしたので上のコメントのように書きました。
本当に直近の話なので瞬間的に風が止んだのか、少し続くのか分からないです。
上のコメントみたいにロシアがワザとそうしているなら、何か不吉な前兆なのかもしれないと思った次第です。
戦場なので常に状況は変化するので、膠着する瞬間があって、それが直近の姿とも捉えられるのですが、解釈が難しいのでヒントになるのかもと思いました。
思うのですが。
105mm戦車砲を渡すならば、それ用のキャニスター弾、それと、
M40無反動砲を追加で渡して、それ用のM581フレシェット弾、
の双方を大量に渡すと良いのでは。
あと、81mm迫砲のVT信管を付けた砲弾をこれも大量に渡しては。
81mm迫砲弾は東側の82mm迫砲でも発射可能です。
ロシアの人海戦術を止めるにはこれらが必要では。
記事を読んでいて、いつも思うのですが、ウクライナの最前線の歩兵
(多分、郷土防衛隊)に面制圧の火器が不足しているような気がします。
単純にブチャのような虐殺がまた起きる可能性があるのだから自国領と自国領民を捨て置くなんて言えるわけがないというだけのこと
軍事的な合理性だけの話ではない
各種長距離ミサイルを持ってるロシアに対し、長距離兵器で「優位に立てる」と考えるのはあまりに安直
いずれにしろ場所が特定できないと爆撃できないのは同じだしな
逆に言えば場所が特定できればロシアだってミサイルを撃ってくる
そもそもインフラ爆撃に使った、撃墜された無駄ミサイル1000発を前線で使ってたらもうバフムート陥落してただろ
MLRSは車両が少ないのか弾薬を生産してないのか全然使えてないし
唯一輸出用で、弾薬も車両(T-72のリメイク)大量生産していたモンキーモデルのTOS-1で爆撃しているが
なにせ足が遅く、弾薬の補給に時間がかかる
そもそも対ゲリラ作戦用で、爆撃機やミサイルを持たない後進国が、ゲリラ・テロリスト基地までチンタラ走っていって、一度の爆撃で基地を破壊して終了という事件解決の1日作戦用であり
正規軍同士の国家間戦争で使う事を想定していない
だから連射力がウリなのにこれもたまーにしか撃てず、結局メインは旧時代の迫撃砲や野戦砲
「バフムートから撤退しないと発言した」ことは、なんか欺瞞ぽい感じがする。まだ、東部方面に主力を派遣して防衛中とみせかけ、その実、主力を、ベラルーシからキーウの街道方面に移動しているのでは? ロシアだって、真っ正直に、東部方面に侵攻するよりも、キーウを再侵攻してきそうなきがするんですよね。それに備えて、ウ軍も、主力部隊を、北部に移動しているのでは?