ドンバスを巡る戦いはセベロドネツクを除く地域でロシア軍の前進が停滞しており、ウクライナ軍は新たな防衛ラインを構築して状況を落ち着かせることに成功したのかもしれない。
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ここ押し切ればロシア軍はドンバス解放の半分を達成することができ、ここ守り通せばウクライナ軍はドンバス解放の阻止に成功することになる
ドンバス地域の戦いはウクライナ軍が押されているもののロシア軍の前進も停滞しており、セベロドネツクやリシチャンシクを包囲する試みは今のところ成功していない。
セベロドネツク市の殆どはロシア軍に制圧(約70%)され、ここを守っていたウクライナ軍部隊もリシチャンシクに後退したと言われているが市内での戦闘は続いており、いつロシア軍がセベロドネツク全体を完全に制圧できるか見通せていない。
さらにリシチャンシクはドネツ川の対岸に位置してセベロドネツクよりも高台にあるため正面から攻めるのは難しく、ポパスナ方面からセベロドネツクやリシチャンシクを包囲して補給路を遮断する計画もセベロドネツク~バフムートを結ぶ幹線道路「T1302」の手前で辛うじて阻止されており、ロシア軍はKa-52を投入して空から攻撃を試みているもののウクライナ軍の防衛ラインは維持されている。
T1302の起点であるバフムートに向かうロシア軍もウクライナ軍の防衛ラインに捕まり目立った前進がなく、この状況を維持できれば仮にセベロドネツクを失っても防衛側に有利なリシチャンシクで抵抗を続けられるためルハーンシク州制圧の阻止、西側からの装備提供、ハルキウやヘルソンでの反撃を行う時間を稼ぐことが出来るだろう。
ただロシア軍の前進はウクライナ人の命を代償に阻止しており、ゼレンスキー大統領は「毎日約100人もの兵士が殺され450人~500人もの兵士が負傷している」と発言、リシチャンシクで取材したジャーナリストのニール・ハウアー氏は「ドンバスの前線でみたウクライナ兵士の勇気と意思の強さには驚かされたが彼らは死に向かいつつある。何百、何千という人々がロシアの暴力によって粉砕され死んでいる。まだ多くのウクライナ人が闘志を保持しているが彼らは疲れ果てて劣勢に追い込まれている」と述べているのが何よりも興味深い。
Ukrainian troops are fighting for every inch of land in Donbas. They are giving everything trying to repel a foreign invader set on destroying them as a people. The courage and sheer force of will of the men (and women) I saw on the frontlines amazed me. pic.twitter.com/0ztPJbw4wp
— Neil Hauer (@NeilPHauer) June 1, 2022
Ukraine can win this war. For the sake of Europe and the world, Ukraine must win this war. It must be given – its people must be given – the heavy weapons, financial support, and aid in rebuilding they need to repel this genocidal war of aggression. pic.twitter.com/2Nej3AKnta
— Neil Hauer (@NeilPHauer) June 1, 2022
セベロドネツクでの抵抗をどこまで維持できるのかは謎だが、ロシア軍はドネツ川を渡河する作戦は尽く挫折しているためリシチャンシクを正面から攻め落とすのは難しく、Toshkivkaの防衛ラインを突破できるか、ポパスナ方面からT1302に到達できるか、T1302の起点であるバフムートに向けて前進できるかが今後の焦点になるはずだ。
ここ押し切ればロシア軍はドンバス解放の半分を達成することができ、ここ守り通せばウクライナ軍はドンバス解放の阻止に成功することになる。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
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補給線を維持できているとは•••。補給線の制圧は時間の問題と思っていましたが、防衛線を構築できたとは。そしていよいよロシアが詰まったとなれば、粘り勝ちが見えてきますね。
潤沢に輸送できる状況でもないと思いますが、突出部尖端のウクライナ軍4個旅団強の戦闘力はまだ続いていますね。アメリカの支援リストにMi-17が載っていましたが、今回各所で見られた超低空空輸でもやってるんでしょうか?
それにしても今回はほんと阻止点の左右の原野をロシア軍が直ちに迂回前進という展開にはなりませんね。道路に拘束される感じは相変わらずですし、阻止されると数日停まりますし。丹念な砲撃無しでいきなり装甲浸透を図ってもジャベリンの雨なのか、攻撃部隊に後続が無いのか…
あれ?なんかキエフの時に見たような後継だな。2度あることは3度あると言いますし。
遂にロシア軍が限界か。
早くウクライナ軍に重装備を送りたい。
なお市街地におびき寄せられて徹底的に磨り潰されてる模様
相手の目標もその変更も絶対に無いって判り切ってるのに
罠に嵌めないってのはどう考えてもあり得ないんだよな
ウクライナ軍に肝心の弾薬が全く足りないから
受け身に行くしかないってのが事実っぽい
正面から市街戦をやっても消耗戦にしかならないし攻める側の損害が大きくなります。だからロシア軍は包囲を意図していたわけで、まずイジュームから南進する包囲を狙い、それが頓挫したのでポパスナから北進して小さく包囲する方針に切り替え、それも早々に停滞し、しかたなく包囲せずに強引に攻めてる状態ですね。
ウクライナ軍の退却しながらの防御態勢づくりが巧みなのでしょうが、ロシア軍の士気や統制に乱れがあるという報道が増えてきて、それもあるのだろうと思えます。いまはまだ持っていますが、このまま続けばどこかで瓦解するということもあるのかもしれません。ウクライナ軍も消耗していますが、こちらは動員によって予備兵力はあるので適時交代できてるといいなと思います。
セベロドネツク攻撃にしても、ドネツ川を渡河してリシチャンシクから手を着けた方が賢そうなんですが、ドネツ北岸からの渡河攻撃は阻止されたまま、南東のToshkivka、そこ近辺のドネツ西岸沿いのウスチニフカからの攻撃も進展せずで、結局正面攻撃ですね。
セベロドネツクを制圧しても対岸の地勢上発展性に乏しいですし、ロシア側の担当部隊は制圧後どこかに転進することになったはずで、ここ数日の持久も意味はあったように見えます。
セベロドネツク制圧の意味ってなんだろうと思いますよね。コストに見合うと思えない。リシチャンシク方面やポパスナ方面を主軸にしたい気はやまやまだったけれど進めないので、何らかの成果を得るために仕方なくということではないでしょうか。
ドンバスも何とか膠着状態に持っていけたのかな。
ここからウクライナはどんな手を打つのか。
増援の錬成待ちなのは確かでしょうが、真正面から押し返すのかハルキウ方面から補給路を断ちに行くのか、南部での反撃はどう絡むのか…
ロシアがオールインした攻勢を凌げたのなら、ここからはウクライナが主導権を握るのでしょう。
個人的にはウクライナ軍が南方沿岸部を解放した上で、有志国で黒海封鎖を解除出来ないものかと夢想します。夢物語ですが…世界の食糧危機に、そのくらい団結は出来ないものか。
ただし衛星写真で確認したところイジューム西部にある橋がロシア軍によって修復が完了してることが確認されたため、ロシアとしてはスラビャンスク攻略のためにわざわざセベロドネツクが必要なくなったのではないかって言われてますね
イジューム西部にロシア軍が集結してるとの情報も
ポパスナが落ちてロシア軍がT1302に到達したと見た時は流石にセベロドネツクとリシチャンスクはダメかと思ったが、ジリジリと削られてるとはいえここに来てなんとか持ち堪えてるとは。
キーウが東西から挟撃された時も悲観的意見ばっかだったけど撤退まで追い込んだし、現実が厳しいのは分かるがどうしても希望的観測をしてしまう。
ISWの『ロシアの攻勢は明らかに前線部隊と補給網へ無理を強いており持続不可』という分析はここでも正しかったということですな
今はリマン方面がかなり不味いことになってる
橋が乗用車1台しか通れないぐらい小さいやつしかなくてウクライナ軍が上手く撤退できずにロシア軍が追い詰めてきてる状態
ロシアが攻勢点を変えてきたっていう方がたぶん妥当だと思う
ポパスナやセベロドネツクでロシア軍が一時後退していったところに、ロシア軍側からの砲撃があったという報告が相次いでいるそう。
もしかして督戦隊・・?
203高地…
ポパスナからの第一次攻勢はウクライナの抵抗で一旦止められたので今は戦力の再編中かな
セベロドネツクとリマン周辺が落ち着いたら再度ここから攻勢を仕掛けるだろうから、そこでどこまで耐えて譲り渡さないかが焦点になると思う
そこで成果なく止めることができたならルハンシク防衛が見えてくるけどどうなるかな…
とはいえT1302のすぐそばまでロシア軍が迫っており
UAVと野砲なりでT1302がいつ制圧されるかわかったものでないのでは
ロシアが攻めたT1302沿いはかなり防御有利の地形なようです
複雑に入り組んだ岩塩抗があるとのこと
毎日100人の戦死者ですか。
全戦線の合計なのだろうけれども、重い数字ですね。
戦死者の数を減らすにはどうすれば良いのだろうか。
歩兵の盾が必要でしょうか。
RHA換算で1000mmくらいの複合装甲を歩兵の前に出せれば良いけど、
西側にはそれに相当するものはM1A2の正面装甲くらいしか思いつかない。
T72だけでなく、装甲板も渡した方が良いのだろうか。あるいは重APC。
ERAでは不足でしょう。爆発が前提では、歩兵の盾にはなれないと思う。
該当するAPCはイスラエルのアチザリッドくらいしかないけれど。
軍事ブログ系ですと、正規二個旅団の各一部と郷土防衛二個旅団などが増援されて、既存の二個旅団と共に突出部外周に展開、ですか。ロシアもかなり雑多な部隊を多数増強しつつあるようですが、仕切り直しには持ち込みましたか。
ロシアが本気でバフムート外縁まで押す気なら、攻撃初期の兵力に加えて更に二個旅団相当は要るでしょうし、現在地からの火制でウクライナ軍の消耗を図ってもそれも一局ですが、ロシア側も政略的・継戦能力的に無限に時間が使えるわけでは無さそうなのが。