欧州関連

クロアチア空軍との軍拡に火がついたセルビア空軍、大統領にラファール導入を提案

クロアチアのラファール導入がユーゴスラビア崩壊に伴う領土紛争で戦火を交えたセルビア側を触発、セルビア空軍は戦闘機戦力の近代化のためラファール導入を大統領に提案したと報じられている。

参考:Serbian Air Force Recommends Rafale jets, But Government Undecided Between Russian, French Warplanes
参考:Serbia plans to buy Rafale fighters

クロアチアのラファール導入に触発されたセルビアはラファールを導入するのか、それともSu-30SMを導入するのか

今年5月にラファール導入を決めたクロアチアのアンドレイ・プレンコビッチ首相は「我が国に対する如何なる野心も退けることが可能になった」と発言、これに反応したセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領は「自分たちが強くなったかのように連中は思っているが、セルビアにもうすぐ何が到着するのかを知らない、我々は彼らが発表したものよりずっと早く手に入れるだろう」と語り両国間の緊張が高まっていたのだが、セルビアのネボイシャ・テファノヴィッチ国防相は「戦闘機戦力の近代化のため空軍がラファール導入を大統領に提案した」と明かして注目を集めている。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Alexander CookAtlanticTrident21に参加中のラファール

現地のラジオ番組に出演したネボイシャ・テファノヴィッチ国防相は「戦闘機戦力の近代化は戦略的な検討が必要になる高価なプログラムで空軍は大統領にラファール導入を提案したが、まだ完全な評価は終わっていないので最終的に空軍が何を選択するのか見守る必要がある」と語り、ロシアが提案しているSu-30SM導入の可能性も消えてたわけではないことを匂わせた。

フランスとロシアの提案内容に関する情報は一切漏れ伝わっていないため「クロアチアよりも早く手に入れる」という大統領の話が真実かどうかは分からないが、一般的にクロアチアのあとにラファールを発注してもクロアチアより先に引き渡される(2024年と2025年に6機づつクロアチア空軍に引き渡し予定)というのは考えにくく、大統領はSu-30SM導入を想定(2024年よりも前に引き渡しをロシアが約束しているのかは不明)して「クロアチアよりも早く手に入れる」と発言したのかもしれない。

出典:sukhoi

果たしてセルビア空軍はクロアチア空軍と同じラファール導入を支持するのだろうか?それとも大統領の発言を真実にするためSu-30SM導入を支持するのだろうか?

関連記事:海外からの受注が集中する仏製戦闘機、クロアチア空軍も次期戦闘機にラファールを選択

 

アイキャッチ画像の出典:mashleymorgan / CC BY-SA 2.0

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 12月 31日

    未だにバルカン半島は火薬庫というかいつでも戦闘開始になりそうなくらいバチバチしてますね
    個人的にはセルビア側がSu-30導入して性能の違いについて報告あると嬉しいですが

    10
      • 無無
      • 2021年 12月 31日

      個人的にはフランスが争う双方にラファールを売りつけて悪辣商売人ぶりを発揮して欲しい
      とにかく今年はフランスの黒い輝きが目立つ一年

      10
    • もり
    • 2021年 12月 31日

    売れる売れる第4世代機
    まだまだ需要はあるね

    2
      • F-774
      • 2021年 12月 31日

      こいつもF-16と一緒で、見た目が先進的というか洗練されてて古臭く見えないってのもあると思う

      1
    • 全てF-35B
    • 2021年 12月 31日

    ラファールって、ミラージュシリーズを彷彿とさせるようになってきたね。

    2
    • ミリオタの猫
    • 2021年 12月 31日

    セルビアさんよ…既にMiG-29を保有しているんだから、ここは無理せずSu-30SMを導入しろって言いたくなるわ(苦笑)。
    尤も、セルビアとしてはラファールに色気を見せる事でロシア側から何らかの好条件を引き出そうとしているもかも知れないけどね。

    4
    • 山中あそぶ
    • 2022年 1月 01日

    ラファールやSu-30/35辺りまではシンやミッキーが乗り回したりマッコイ爺さんが横流しのミサイルを積んでも違和感が少ないが、F-35になると世界が違ってしまい、パイロットの職人芸はコンピュータに、非正規のパーツはALISやODINシステムに拒絶され、人間味が入り込む余地が無さそう。

    もうしばらくの間、戦闘機が人間の乗り物だった時代にギリギリ踏み留まってる4.5世代機に活躍していて欲しい。その先にあるのは5世代機や無人機の「冷たいんだ。血が通っていない」的な世界になってしまいそうだから。

    5
    • 2022年 1月 01日

    セルビアってロシアに政治的にも、民族、宗教的にも近い系統の国なのに、散々西側に痛めつけられたのにラファール購入というという選択肢があるのかね?
    ロシア系からフランス系への装備体系の変更で、見た目以上に金がかかると思うけどな。

    3
    • パルチ山
    • 2022年 1月 03日

    Su-30SMも新品か中古かSM2かとがっググったけどよくわかんないね
    2020年の調達計画で海外サイトにはこんな感じね掲載されていましたが、

    「ロシア製のMi-17ヘリコプター3機、Mi-35ヘリコプター4機、PASARSシステムに搭載される(フランスの)ミストラル対戦車ミサイル18セット、リトルミロシュ車両5台、ハマー66台、BOV装甲車両10台を入手できます。」

    とロシア以外にもフランスやスペインからも武器購入しているようで・・・

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