英メディアは20日、10億ポンド(約1,310億円)もの費用をかけて建造した駆逐艦「ドーントレス(D33)」は2016年から活動を停止して4年間同じ場所に係留され続けていると報じている。
参考:Royal Navy’s £1bn warship stuck in dock for four years due to ‘issues’
世界中の海で活動が可能で保守性に優れているため稼働率が高いと言っていたはずが・・・
英海軍が2000年代に建造した45型(D級)駆逐艦の最大の特徴は維持コスト削減や水中騒音低減に有利な「電気推進方式」を採用したところにあるのだが、ロールス・ロイス製のガスタービンエンジンに取り付けられた中間冷却器の欠陥が原因で発電量が予定よりも少なく艦全体が頻繁に停電を起こすという致命的な欠点に直面している。
この問題の原因はノースロップ・グラマンが設計した中間冷却器が極端な高温の気候条件に対応していなかったため、中東や東南アジア地域で同艦を運用すると発電能力が壊滅的に減少してしまう。
英海軍は問題を解決するために船体を切断して新たにディーゼル発電機を追加することにしたのだが、1隻の改造工事には1億6,000万ポンド(約210億円)の費用と2年もの工事期間が必要になるため1度に6隻全てを修繕することは不可能なので、まずは45型駆逐艦2番艦の「ドーントレス」が2019年にドッグ入りして工事を受け2021年に海へ戻ってくる予定なのだが、実際には乗組員不足の問題でドック入りする3年前からポーツマス海軍基地の港に係留されたままで運用されていないと英メディアが報じている。
要するに同艦の建造には10億ポンド(約1,310億円)もの予算が投じられている、港で5年も無駄に時間を浪費するのは予算の無駄遣いだと言いたいのだろうが、これは駆逐艦「ドーントレス(D33)」に限った話ではない。
45型駆逐艦1番艦「デアリング」は改造工事を受けるため2017年からポーツマス海軍基地の港に係留されたままドックが空くのを3年近く待っており、3番艦「ダイヤモンド」は昨年15日間だけ海で活動した以外は港に係留されたままで、改造工事を受けるのが当分先になる4番艦「ドラゴン」6番艦「ダンカン」は問題を抱えたまま任務に参加中、改造工事が完了して停電の恐怖から解放されたのは5番艦「ディフェンダー」のみだ。
英海軍は弾道ミサイルを搭載したヴァンガード級原潜の維持やドレッドノート級原潜とクイーン・エリザベス級空母の建造に予算を奪われているため、他の水上艦艇を調達する余裕がなく米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦に相当する45型駆逐艦は6隻のみ(本来は12隻建造予定だったが建造費が高騰したため調達が6隻打ち切られた)で、後は1990年代に建造されやや旧式化した23型フリゲートが13隻しかないため、虎の子といえる45型駆逐艦の半分が港で無意味に時間を過ごしているのは流石に問題があるとしか言いようがない。
計画当初、45型駆逐艦は世界中の海で活動が可能で保守性に優れているため稼働率が高く、6隻中5隻が常に任務に就けると英海軍は言っていたのに・・・
※アイキャッチ画像の出典:Brian Burnell / CC BY-SA 3.0
なにか、英国の高速鉄道変遷の動画に見る「変な方向に改造する英国の伝統」のようだ
イギリスの軍事費は4.5兆円
一方日本はNATO基準では既に6兆円を大きく超え7兆円近い軍事費を支出していると思われるのでたかが4.5兆円程度で7万トン級の空母2隻に原潜まで維持しようとしたらそりゃそうなる
日本ですらDDHの空母化や強襲揚陸艦・中型空母の追加はあくまでさらなる軍事費増を前提に進めようとしている
そのほとんど半分ぐらいしか予算がないイギリス軍の戦力整備はあまりにも無謀
>ドーントレス
名前だけは強そう。
かつての海軍王国がこの体たらく。
ネット辞典の「英国面・兵器編」に新たな実例が掲載される。
英国の政治家たちには統治能力がない=エリザベス女王 sputniknews
それ、政治だけでなく、行政も、軍も、、、技術者も、、
海自も他国の事笑っていられる状況じゃないけどな
というかこの国完璧でやべぇよみたいな国家マジで存在しない件について
アメリカもぐっだぐっだだし、どうしてこうなった
やっぱり、冷戦期が各国の軍隊の最盛期だったんやなって・・・
アドーアやユーロファイターの件から思っていたがイギリスってマジで信用できないな
酷い状態だなぁ
欧州海軍はNATOとして連携するのが前提ってのはわかるんだが、流石にバランスが悪過ぎるだろ
これでクイーンエリザベス級を2隻運用するとか、ホントに大丈夫なのか?
どっかに1隻売り払う事になりそう
クイーンエリザベスを何で守るんでしょう。この数しかなくて。
プリンスオブウェールズは売却案がありましたが海軍の抵抗でボツ。フランスだって1隻でやりくりしているのに… もっと言えばド・ゴールの後がまに売り込むぐらいの商魂が欲しいですね(エリザベス級を元に改設計するつもりだったって? そんな水子の事は忘れました!)
>後は1900年代に建造されやや旧式化した23型フリゲート
1990年代、かな?
1900年代だと戦艦三笠あたりと同期に。
間違った表記ではないよね(^_^;)
10年単位ではなく100年単位なら、確かに。
最近の英国海軍艦艇の上部構造物は、格好悪く思えてしまう。
Qエリザベスもそうだけど、ステルス性能を重視しているのか強そうに見えない。
イギリスって日本より軍事予算だいぶ余裕がある筈なのに何でこんなことになってんだろ?
上の方で別の方も言ってますが、根本的な予算はそうでもないのに核戦力に足をとられてカツカツなんですよ
>ノースロップ・グラマンが設計した中間冷却器が極端な高温の気候条件に対応していなかった
これも気になる。
他国兵器に使われてる米国製部品って割とあちこちで
クリティカルな問題起こしてる気がするんだけど。
「他国用だから手を抜いてる」くらいならいいけど、
悪意で他国兵器の足引っ張ってる様にさえ思えてくる。
WR-21(発電機用)ですね 45型(D級)駆逐艦では2基搭載
定格出力 25.2 MW、重量:45t、寸法:長さ:8m、高さ:5m、幅:2.64m
全体設計がノースロップ・グラマンで、
アライド・シグナル(現ハネウエル)が中間冷却器と復熱器を設計
これは低出力時の効率アップを狙った、アメリカ海軍、フランス海軍、イギリス海軍にまたがったプロジェクトで単に最初に採用したのがイギリスってだけでは?
WR-21の外観、断面図
リンク
同程度の出力なら、GEのLM-2500がある 寸法もほぼ同じ 中間冷却器は非搭載
上位機種のLM-6000は寸法が同じで倍出力
3,000rpmでの発電機への接続の為のターボシャフト用タービンも搭載してるのがLMS-1000、中間冷却器も搭載してて、10MW
基本的にイギリス付近で使用する前提だった以上あり得る問題。
対応装備にするには金がいるし、ドーントレスの計画当時に中東に長期展開する予定がなければ一概にノースロップが悪いとは言い難い
>計画当初から「45型駆逐艦は『世界中の海で』活動が可能で〜」と英海軍は言っていた
んですよ。
米・英・仏の共同開発
2-4 中間冷却復熱式ガスタービン
(WR-21エンジン開発の経緯)日本語
リンク
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ただ、他国の欠点や問題点には言及するものの〜自衛隊の問題店には触れない事を残念に思います…こちらに書き込みされる方々は、他国を扱き下ろして気持ちよくなってますが…我が国の防衛も色々問題が生じております事に危機感を感じます。
例えば戦闘ヘリの後継計画はロングボウアパッチ13機(1機事故損失)で打ち切られており、偵察ポッド開発に失敗した為に実質的には偵察機能は消滅してる状態です。
他国は我が国の防衛を整えるのを待ってはくれませんので…愛国心は大切ですが、時には自国批判も注意喚起に繋がるので、見て見ぬふりが一番国防を低下させる行為です。
劣化版◯谷ブログみたいなサイトになったら反論意見で埋め尽くされるだけ。
自衛隊や防衛関係批判記事を見たければ◯谷ブログを見たら良いと思う。
誰でも知ってる話題まで扱ってたら時間が足らない。
自分でやろう
「他国を扱き下ろして気持ちよくなっている」と 扱き下ろして 気持ちよくなっている?
決めつけ批判は良くないなぁ。こうやって揚げ足取られちゃうよ?
自衛隊の問題も取り扱ってるので過去の記事見てきて、どうぞ。
45型駆逐艦の話題になぜ自衛隊が絡むのか?
オッペケくん芸風変えようとしてるの?
携帯型を含め各種対空ミサイルがこれだけ充実してきてる。
そんな今の日本の環境や情勢で、果たして戦闘ヘリが本当に必要なのかどうかとか色々あるわな。
F-35のセンサーで偵察ポッドはいらんという結論だったんじゃ?
東芝が担当し契約解除されたF-15用の偵察ポットの事かな?
見た目キモいよね(小声)
こら!匿ちゃん!かっこ悪い軍艦を「キモい」って言っちゃ失礼でしょ!!
ドイツと言いNATO国って危機感無さ過ぎだな
こんなんで良くウクライナとかにちょっかい出してプーチン怒らせるな
ドイツはメルケルが見境無しに軍縮したから、もっと悲惨な事になっているしなぁ。
>船体を切断して新たにディーゼル発電機を追加する
同出力をディーゼル機関で実現するなら、容積は6倍は必要
補助って言ってるので、小さなディーゼルエンジン?
WR-21 45型(D級)駆逐艦では2基搭載
定格出力 25.2 MW、重量:45t、寸法:長さ:8m、高さ:5m、幅:2.64m
素直にGEのLM-2500(あるいはLM-6000)ガスタービン・エンジンに換装すれば良いのでは?
寸法はほぼ同じよ (たぶん、低~中間出力時の効率は悪いでしょうけど)
WR-21の中間冷却器は空冷的なものだから、周囲温度が高温(40度以上?)ではダメってことかな?
乱暴に言えば、ターボのインタクーラーみたいなもの(温度を下げて圧縮効率を上げる)だけど、信頼性アップの為に燃焼温度を下げてる船舶用タービンでも、低圧圧縮機 —> ※ 中間冷却器 —> 高圧圧縮比 ※の部分では250℃~400℃はあると思うけど・・・
エンジンは発電専用でエンジン走行出来ない日産ノートやセレナのeパワーモデルが何らかの理由でエンジンの発電が足りずしょっちゅう走行不能になっていたら話にならない。
野心的なシステムは実際に様々な現場で使用してみないと欠陥が判らないという事か。
海自がなみ型建造してる時代にあさひ型も目じゃない先進艦を建造したのは流石英国
並ぶ者はズムウォルトのみ、と言う華々しい技術力を見せつけた
だが新しい物好きも行き過ぎると危険ですな
ファーストムーバーには権利と責任がつきもの。
行動には結果が伴う。
イギリスが頑張ってくれたおかげでもあるが高くついたな
ファーストムーバーには人柱な側面もあるから、そちらの側面が強く出た場合は、少し遅れた1.5列目な者に美味しい所を持って行かれることも。
丸いところに(゚ω゚)を描いてみる
どうです、とてもフレンドリーですね
そういうの大好き
改装費用も含めて1520億。イージス艦と変わらないのに性能と信頼性は及ばない。確かに海自の船より電子システムも兵装も10年以上は先を行っている様な気がするけどこれじゃあね。それと、海自は計画だけは立派だが、費用対効果とかいう負け犬にしかならない論理で開発をしないから、自国産の装備の性能はどんどん他国から引き離されていくね。
「試験艦・実験艦」の類の重要性・必要性への理解に役立ちそうな経緯と結果ですねクォレハ…
そうなんですよね。
+とっても疑問。
(各種の資料を読む限りは)新しいタイプなので、WR-21単体? としては周囲環境として、
高温、高湿度(水分が多いと初段の低圧・圧縮機で温度を上げる時も負荷が多くなる)、塩分を含んだ空気と幅広い環境でのテストを言っていたのに・・・・
なので、周囲温度の問題って、中間冷却器の問題では無く、最も初段での吸入空気の温度の問題? とも思う。 だけど、冬場と夏場では数%程度の低下だからなあ
上の方では中間冷却について指摘あるけど、どっちにしても外気温20℃と40℃でどんだけ違うんだ、って話ですよね。
中間冷却にしろ吸入空気にしろ、たかだか20℃の差なんて体積比でせいぜい5〜7%とかそんなん。これがそのまま出力差になってなおかつ両方反映したとしても合わせて15%以下。
外気温関係なくその程度のマージンは確保しとけ、って数字ですよね。
どっちかといえばCICとかの冷却系の設計や設定が悪くて外気が高温になると目標温度を達成できなくなって無駄に全力稼働して電気喰い尽くしてる、とかの方がまだ説得力があるかな。
先進的だろうがなんだろうが戦力化できない船は石の狸だ
おっさん発見。