欧州関連

ウクライナ軍、黒海を航行するロシア海軍の巡視艇をTB2で2隻破壊

ウクライナ軍のザルジュニー総司令官は2日、バイラクタルTB2が蛇島周辺でロシア海軍のラプター級巡視艇を2隻破壊したと発表した。

参考:ВСУ уничтожили два российских катера возле Змеиного

完全武装のロシア海軍歩兵を20人運べるラプター級巡視艇が西オデーサに近い蛇島周辺海域で破壊される

アゼルバイジャン軍はナゴルノ・カラバフ紛争の際にTB2の攻撃シーンを連日公開したが、ウクライナ軍はTB2の運用頻度を特定させないため「公開する情報の範囲を慎重に選んでいる(ポーランドのディフェンスメディア)」と言われており、侵攻開始から約2ヶ月間で確認(公開された映像による確認)された装備破壊の数は57に過ぎない。

しかしウクライナ軍のザルジュニー総司令官は2日、バイラクタルTB2が蛇島周辺でロシア海軍のラプター級巡視艇を2隻破壊したと発表して注目を集めている。

注目される理由は海上を移動する目標に対してTB2が初戦果を上げたという点と、揚陸艦の補助戦力としても活用されるラプター級巡視艇が西オデーサに近い蛇島周辺海域を彷徨いていた点で、哨戒や救難任務に使用されるラプター級巡視艇は完全武装のロシア海軍歩兵(海兵隊隊員)を20人運べるため揚陸艦に搭載されて上陸戦力の輸送にも従事しており、特にモルドバに対する軍事侵攻が懸念されているため中々興味深い動きだ。

まぁザルジュニー総司令官は「TB2は機能し続けている」とコメントしているので、ロシア領内の攻撃に参加したと思われるTB2の撃墜報告が相次いでいるため健在ぶりをアピールする意味合いが強いと思われるが、トルコにとってはTB2が海上を移動する目標にも有効だと実戦で証明されたので喜んでいるに違いない。

因みにウクライナ軍は蛇島(ロシア軍が占拠中)に配備された車載型の地対空ミサイル「ストレラ-10」や指揮所を破壊したと発表しているので、これもTB2によって破壊された可能性がある。

追記:トルコはAkinciやKızılelmaでも運用可能な巡航ミサイル「ÇAKIR(射程150km+/重量275kg)」を発表、 恐らくTB2には重すぎて搭載できないと思われる。

追記:西オデーサ地域と州都オデーサ方面を繋ぐ国内唯一の連絡橋が再び攻撃を受けたと報じられており、先月26日と27日に合わせると3回目の攻撃だ。

関連記事:英メディア、ロシアはモルドバを手に入れるため準備していると警告
関連記事:用兵の巧みさが際立つウクライナ軍、バイラクタルTB2が活躍できる訳

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defence of Ukraine / CC BY 4.0

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

アルメニアで数千人規模の抗議集会、ナゴルノ・カラバフを敵に売り渡すな前のページ

組織の腐敗で武器を失うウクライナ軍、支給されたのはマキシム機関銃次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    英海軍、極超音速ミサイル実用化までのギャップを埋めるハープーン更新計画を中止

    英海軍は2023年に寿命が尽きるハープーンを更新する暫定的な対地/対艦…

  2. 欧州関連

    ルハーンシク州で着実に利益を上げるロシア軍、後退を続けるウクライナ軍

    最も戦力を集中させているルハーンシク州では着実にロシア軍が利益を拡大さ…

  3. 欧州関連

    クアッドにも影響を及ぼす米国のインド制裁、トルコが注目する理由とは?

    トルコはロシア製防空システム「S-400」導入を放棄しないインドに対し…

  4. 欧州関連

    ロシア軍がウクライナの原子力発電所を攻撃、敷地内で火災が発生

    ロシア軍が国内最大のザポリージャ原子力発電所(原子炉6基)付近でウクラ…

  5. 欧州関連

    安全保障が最優先、国防予算を2.0%以上に設定するNATO加盟国が増加

    ロシアの脅威を実感したポーランドではGDP比に占める国防予算の割合を3…

コメント

    • zerotester
    • 2022年 5月 02日

    Raptor級は23トンの小さい巡視艇なので、陸上の戦いには何の影響もないと思えます。それなのに攻撃するということは制海権を取ろうとしているのでしょうか。小麦など輸出するにはオデッサの封鎖が痛いですし。潜水艦をなんとかしたいですね。

    9
      • ミリオタの猫(時代遅れの「アンツィオ…いや、ロシア軍は強い!」主義者)
      • 2022年 5月 02日

      今回撃沈されたラプター級(ロシア語では「ラプトル」の発音の方がより正確で、艦種も哨戒艇が正解らしい)ですが、実は陸戦と無関係と言う訳ではありません。
      管理人さんも指摘していますが、現在ロシア軍が計画していると言うモルドバへの軍事侵攻においてオデッサ方面への上陸作戦が選択肢として挙げられており、その最中に海軍歩兵を輸送出来る上陸用舟艇としても運用可能なラプター級がオデッサ近くの海域をうろついていた点が重要だと思います。
      つまりウクライナ軍はロシア軍によるオデッサ方面への上陸作戦を抑止する目的でTB2を投入し、ネプチューンの様な大型対艦ミサイルを使うまでもない小型艇を攻撃した訳で、ロシア軍が握っている黒海の制海権が完全では無いと言う事をアピール出来た点でも有意義だったと思われます。

      31
        • zerotester
        • 2022年 5月 02日

        せいぜい軽歩兵を20人ですからね。数隻しか持ってないようですし上陸作戦に使うには非力に思います。
        でも嫌がらせ的にうろうろしているなら目障りではあるので、撃沈して近寄りにくくするのは意味あるかもしれないですね。

        8
          • 浅見真規
          • 2022年 5月 02日

          時速40km未満の低速の揚陸艦なら陸上の防御側は上陸地点に先回りして対処できますが、小型でも高速の強襲艇だと無防備な所への特殊部隊の上陸に使われる危険があります。

          4
            • 浅見真規
            • 2022年 5月 03日

            小型の強襲艇はウクライナの黒海沿岸のような平原地帯の陸上のレーダーサイトでは海岸に接近するまで水平線下に隠れてレーダーに反応しにくい事も事前対応の困難さの原因になります。

            5
      • 浅見真規
      • 2022年 5月 02日

      mssn65(@jpg2t785)さん1月30日tweet参照。
      リンク
      >ロシア、バルチック艦隊のラプター級哨戒艇がなんと陸路で黒海に向かっているらしい。

      >小隊規模の揚陸にも使える多目的強襲艇です。

      ウクライナ侵攻直前にロシアがわざわざ陸路で輸送したので非軍事の海上保安目的でなく軍事・侵攻目的の小回りの利く多目的強襲艇として送り込んだという事でしょう。特殊部隊を送り込むのに使われたら陸上の戦闘に大きな影響が出ます。

      8
    • や、やぬろー
    • 2022年 5月 02日

    >バイラクタルTB2が蛇島周辺でロシア海軍のラプター級巡視艇を2隻破壊したと発表して注目を集めている。

    敵の上陸作戦に対して有効なら、陸自の地対艦ミサイル連隊に配備しても良さそう。
    やっぱり試験用に欲しい。

    20
      • minerva
      • 2022年 5月 02日

      ただTB2は対艦ミサイルの支援に使うにはかなり非効率なのよね
      対艦ミサイルの索敵に有効なのは合成開口レーダー搭載機だがTB2にはそれがなく、かわりに米のグローバルホークが情報提供している
      黒海艦隊の捜索の際もレーダー搭載機なら1機で済むところを複数のTB2を出さざるを得ず、撃墜も出た

      11
    • ななし
    • 2022年 5月 02日

    またもバイラクタルの株が上がりまくり。
    こりゃ艦載型&強襲揚陸艦も需要あるな。

    日本は韓国がこちらに切り替えてきたら脅威やわ。
    台湾は近海なら中国相手でも使えそう。
    タイの空母もこれ運用すりゃ一線級やない?

    18
      • 四凶
      • 2022年 5月 02日

       そんなん適切に使ったからの戦果であって、こう言う結果だけ見てあらゆる場面で有効に使えるとか肯定的に考えるのはやめた方が良いよ。

       場所はオデーサからでも通信距離圏内。ラプター級巡視艇はまともな対空レーダーとか装備している訳でも無いし、固定武装だって機銃がせいぜい。

       Flightradar24とか見てれば分るけど今の時点でさえRQ-4Bブロック40が黒海下辺りぐるぐる回っているんだからレーダーでクリミア半島から西側の海域監視してるんじゃ無いかと思う。恐らく位置情報提供したのは米軍だろう。

       位置情報提供して貰って護衛も無く反撃もされないカモだと思ったからウクライナが攻撃したってのが大筋の流れだから環境整えての成果。中国が台湾を攻める時なら油断も無く艦船や航空機の護衛は付けるだろうし、その場合攻撃すれば逆にカモにされる可能性の方が高い。

      16
        • 通りすがり
        • 2022年 5月 02日

        基本的にRQ-4のどのブロックも海上監視用のレーダーモードはない。

        何でもかんでも米軍がーに結びつけるのは違うんじゃないの?

        実戦はウォーゲームと違うんだから。

        17
          • hiroさん
          • 2022年 5月 03日

          海上哨戒バージョンのMQ-4Cもあるからね。
          米軍がトルコの基地に配備しているかは分からないけど。

          3
        • や、やめろー
        • 2022年 5月 02日

        このロシアのウクライナ侵攻で他にもバイラクタルTB2使われて、ある程度戦果を出してるから株は爆上がりすると思う。

        4
    • 2022年 5月 02日

    ズミイヌイ島(蛇島)は「くたばれロシア海軍」で一躍有名になったところ。ルーマニアすれすれのところで、すぐ近くの上空には米軍のグローバルホークがぐるぐる回っているから、まず間違いなく米軍から情報受け取って攻撃しただろうなあ

    22
      • shkk
      • 2022年 5月 02日

      米軍の情報収集能力怖いよな
      やはり正しい情報こそが大事

      もちろんその情報を正しく使えるウクライナと安価に実行できるTB2もすごいんだけどね

      26
    • 名無し
    • 2022年 5月 02日

    バルチック艦隊所属のラプター級が陸路を通じて黒海に運ばれる様子を映した動画があったからその内の二隻かな

    5
      • りんりん
      • 2022年 5月 02日

      黒海で運用されるラプター級の動画もありますね。

      リンク

    • だいぶ溜まってんじゃん
    • 2022年 5月 02日

    ウクライナは大型艦を自沈させて警備艇のみ、
    ロシアは旗艦を失い数隻の大型艦・潜水艦を除けば警備艇のみ

    地中海という特殊な環境と双方の海軍の現状故に、これだけ大規模な戦争でも双方海上での活動がここまで小規模というのもなかなか興味深いな状況よね

    沿岸に寄って艦砲射撃する分にもいかんし、ロシア海軍は今後の戦争にはあまり貢献できないでしょうね

    15
    • 2022年 5月 02日

    無人攻撃機による対艦ミッションキルが今後流行りそうだな

    3
    • 名無しさん
    • 2022年 5月 02日

    先日、ロシアが破壊されたTB2を、同じものを何箇所にも移動して撮影し、多数のTB2を撃沈してるかのように戦果を偽装しているというネタが上がりました。
    また、ウクライナがTB2の能力に疑問を持っており、TB2は売れなくなってしまったという噂も広がっていました。

    その矢先に巡視艇がTB2によって撃沈されたとなると、真実とフェイクニュースが交錯する戦場において、正確な情報を得ることがいかに難しいことかと思わされます。
    管理人さんも話したいネタは山のようにあるかと思われますが、少しでも確度の高いものを取捨選択しないといけないのは難しいことですね。

    12
      • 夢見る匿名さん
      • 2022年 5月 02日

      TB2については、ポジティブな論評が多いイメージでしたがウクライナ側が能力に疑問というのは、どういった点に対してなのでしょう?
      搭載能力とかのスペック面?
      それとも整備性とか運用して分かるような点ですかね?

      9
        • 匿名
        • 2022年 5月 02日

        普通に考えて、戦争が始まって2ヶ月と少しの期間しか経ってないのに売れなくなったってのはおかしな話なんでスルーでいいと思いますよ(笑)

        4
        • 名無しさん
        • 2022年 5月 02日

        損害が多すぎて使いものにならないという”噂”が流布されていたんですよ。
        まあ、損害以上の成果が出てるのは間違いないので、”噂”でしかなかったようですね。

        9
    • tofu
    • 2022年 5月 03日

    そういえば、モスクワ撃沈にTB2が関与した可能性について
    「TB2が関わってたらガンカメラの映像残ってるやろ」
    っていう反論があったけど、奇しくもこれではっきりしたね

    2
      • きっど
      • 2022年 5月 03日

      「TB2がモスクワを直接的に攻撃して、レーダー等に何らかの損害を与えていた」というストーリーでは無さそうですよね
      そもそも例の画像では、警戒レーダー等には外見上分かる様な損傷は有りませんでしたし

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  3. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
  4. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
  5. 日本関連

    国産防衛装備品の海外輸出が実現!フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-…
PAGE TOP