ウクライナ戦況

ウクライナ軍、ラトビア製ドローンがロシア軍妨害下でも作動することを確認

ラトビアのUAV開発・製造企業「Atlas」は今月2日、ウクライナ軍が電子妨害、GPSスプーフィング、干渉下でもAtlasPROは正常に作動することを確認したと発表した。

参考:AtlasPro has a true jamming protection

耐性の高いAtlasPROはウクライナ軍の戦場認識力を強化してくれるだろう

ウクライナ軍の活動を資金面でサポートするNGO「Come Back Alive」は2014年以降、約1,000台のサーマルスコープ、250以上の無人航空機、1,500台以上の砲兵向け射撃ソフト「Armor」がインストールされたタブレットを軍に提供、ロシア軍による侵攻が開始されるとクラウドファンディングを通じて3,000万ドルの資金を調達、その資金の一部でラトビアのAtlas社から300機以上のドローン「AtlasPRO」を購入した。

Come Back Aliveが購入したAtlasPROをロシア軍との戦いに最適化させるためウクライナ軍はAtlas社は協力して作業を行い、電子妨害、GPSスプーフィング、干渉下でもAtlasPROが正常に作動することを確認=GPS信号が受信できない環境下でもAtlasPROは飛行を続けることが出来るらしい。

さらにAtlasPROは搭載されたMESH機能のおかげでオペレーター1人が複数のドローンを操作する事ができ、例えば制御通信が失われるほど離れた地点をAtlasPROが偵察する場合、2機目のAtlasPROを同時に制御して通信を中継したり、複数のAtlasPROを使用してより広範囲の偵察を同時に行えるため商用ドローンよりも柔軟性の高い運用が可能だが、妨害対策は常にシーソーゲームなのでロシア側が対策を講じてくると再び対策が必要になる。

ただ戦場で多用されるDJI製のドローンは目視で発見できれば対ドローン装備で無力化が可能なため、耐性の高いAtlasPROはウクライナ軍の戦場認識力を強化してくれるだろう。

因みに台湾企業や市民団体が国産の武装ドローン「Revolver 860」や6,000万ドル相当のAR-15をウクライナに提供しているらしい。

追記:ラトビアでTB2をウクライナに送るための資金集めが開始され、たった2日間で30万ユーロ=4,000万円以上が集まり注目が集まっている。

 

※アイキャッチ画像の出典:Atlas

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コメント

    • たまねぎ
    • 2022年 8月 18日

    表には出てこないだろうけど、ドローン以外にも開発中の新兵器とか装備弾薬その他諸々”試供品”が相当数提供されてるだろうね。
    軍需企業にとってはタダで実証試験できるし、通常の開発プロセスじゃ絶対出来ない生身の兵士相手のデータ、加えて現場のウクライナ軍からフィードバックすら得られる。上手く行けばコンバットプルーフすらゲット出来る。

    23
      • G
      • 2022年 8月 18日

      とはいえ鹵獲されて東側(中国も含む)に技術漏洩・コピーされる可能性のある戦場での使用であり、またウクライナ兵への訓練時間なども限定的なので、性能的にはたとえ鹵獲されても困らない程度のものを選別しているでしょうね

      10
    • 白髪鬼
    • 2022年 8月 18日

    ロシアの嫌われっぷりがハンパ無い。
    まぁバルト三国は、ソ連以前からロシアの横暴に振り回され続けてきたから恨み骨髄なのは解る。日頃の行いは大事ですね。勿論、どこかの自称被害者集り国家は無視ですが。

    6
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