新明和工業は25日「自律型無人探査機(AUV)の自動投入と回収に対応した無人飛行艇の研究開発に関する契約を締結した」と発表、FlightGlobalも「新明和が自律型無人潜水機の海洋配備に対応した無人飛行艇を開発する」と報じている。
参考:新明和工業
参考:Shinmaywa to develop unmanned amphibian to deploy autonomous subs
広大なEEZを機動的かつ効率的に観測・調査するため、AUVの自動投入・回収に対応した無人飛行艇の実現に向けた研究開発
新明和工業はプレスリリースの中で「内閣府主導で創設された経済安全保障重要技術育成プログラム=K Programに参画することが正式決定した」「国の研究開発構想(無人機技術を用いた効率的かつ機動的な自律型無人探査機による海洋観測・調査システムの構築)に基づき、本プログラムの研究推進法人である国立研究開発法人科学技術振興機構が公募した研究提案に対して、国立研究開発法人海洋研究開発機構が研究代表機関となり、いであ株式会社、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所と当社が研究分担者として共同で応募し正式契約に至った」と発表。

出典:海上自衛隊
この課題は「海底調査能力をもつ自律型無人探査機(AUV)」「AUVの自動投入と自動回収が行えるシステム」「この2つのシステムを搭載して自動で離着水が可能な無人飛行艇」「これらのサブシステムを統合的に監視し、任務継続の可否等を自動的に判断できるミッションコントロールシステム」の研究開発で構成され、新明和工業は「自動投入・揚収に対応するAUVを調査海域まで運搬・投入・揚収する輸送システムの一環として無人飛行艇の開発を担当する」「US-2の設計・製造で培った技術に加え、自社研究開発による無人機の設計・製造や試験飛行で培ったノウハウを活用することで本輸送システムの実現を目指す」と述べている。
要するに「広大なEEZを機動的かつ効率的に観測・調査するため、AUVの自動投入・回収に対応した無人飛行艇の実現に向けた研究開発を行う」という意味で、FlightGlobalも「新明和が自律型無人潜水機の海洋配備に対応した無人飛行艇を開発する」と報じているが、プレスリリース以上のことは書かれていない。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 1st Class Blake Midnight/Released 米海軍のMK-18 MOD 2 Kingfish
因みに日本のスペース・エンターテインメント・ラボラトリーは昨年6月のパリ航空ショーで「飛行艇型無人航空機の次世代コンセプト」を披露、ハマドリシリーズで培った飛行艇型無人航空機のノウハウを活かして「主翼中央に最大300kgのペロイードを携行しながら約1,000kmを飛ぶことができる機体を開発する」と報じられていたことがある。
関連記事:まもなくパリ航空ショーが開幕、日本企業も次世代飛行艇型UAVを発表
※アイキャッチ画像の出典:新明和工業
素晴らしい計画だとは思うけど
防衛省がノータッチってのが相変わらずと言うか何と言うか
US-2より開発に成功できれば海外に売れる可能性は高そうですね
ペイロード300kgねえ 機体が小さくなると耐波浪性が悪化するが大丈夫か?
VTOLやフルトン回収を利用した空中からの回収の方が筋がいいのでは
ペイロード300kgはスペース・エンターテインメント・ラボラトリーの数字ですね。
新明和のHPのJST公募「経済安全保障重要技術育成プログラム/無人機技術を用いた効率的かつ機動的な自律型無人探査機(AUV)による海洋観測・調査システムの構築」における研究開発課題「海空無人機による海洋観測・監視・調査システムの構築」には一切数字は含まれていません。これから具体的な数字が決まっていくのでしょう。
「無人機技術を用いた効率的かつ機動的な自律型無人探査機(AUV)による海洋観測・調査システムの構築」に関する研究開発構想(プロジェクト型)
令和4年10月 内閣府 文部科学省
によりますと、「<自律型無人探査機(AUV)の無人・省人による運搬・投入・回収技術>技術の満たすべき要件」は以下の通りです。
・出航地から AUV 展開地点までの航続距離:片道 200 海里
・出航地出発から当該海域での AUV 投入完了までの所要時間:4時間
・AUV 揚収開始から出航地帰着までの所要時間:4時間
・AUV や AUV 自動投入・揚収装置など必要な機器を搭載できるようペイロード最低 800kg を確保(今後の研究開発の進捗に応じ、揚収装置の重さも将来的には追加。)
加えて、「海底火山噴火等の立ち入りが制限される場合など、有人船舶であれば展開を見合わせるような状況でも、自律制御を基本とし、航行、離着水、AUV 自動投入・揚収その他の必要な操作ができる通信機能等を有する」としています。
ちなみに、AUVへの要求は以下の通りです。
・最大潜水深度:2,000m 程度(沿岸と東シナ海をカバー)
・潜航時間:24 時間
・潜航速度等:3 ノット
・空中重量:800 ㎏以下
〔深深度化 AUV の要件〕
・最大潜水深度:6,000m 以深
(以下割愛)
上記は
>研究開発開始から10年後に行う実証システムの最終的な外洋での実証試験
を行うとしています。
有用と確認されれば、得られた知見を基に防衛装備としてのUUVを別途開発した上での自衛隊装備化もあり得るでしょう。
>>研究開発開始から10年後に行う実証システムの最終的な外洋での実証試験
10年後に実戦配備ならまだしも、実証試験ってもう少し早くならなんのかい。
このスピード感が、ねぇ...
軍事転用が可能かもの経済安全保障や学術研究がメインの開発事業なんで、防衛省の将来海洋安全保障構想にハマらないと・・・なんですよね。
求められている総合的自律運用性は高いと思われますし、確立済/目前の技術流用で完成というわけにはいかないでしょう。相応に時間を要する開発事業だろうと思えるんですが。
別に波が高い時こそ求められる救難飛行艇とかじゃないんだから天候選んで運用すればいいだけでは。
蛇足ですが、飛行艇は船に比べ原理的に波に弱くならざるを得ません
US-2が3mの波でも着水できるとよく言われますが、もし仮に3mの波で船がボコボコ遭難するようだと冬場の日本はエネルギーも食料も入ってこなくなり大変なことになります
下のリンクはUS-2より小さなマグロ漁船でも6m〜10mの波に耐えられるというお話です
リンク
離着水なんて大技が船で航走あるいは単に波に船首立てて耐えるだけよりハードル高いのは当たり前でしょう。
船は何が海面から逃れられませんから荒天のピークを乗り切らなければ遭難してしまうのに対してUS-2は一応はタイミングを待つ余地はありますし(もちろん待ち過ぎていれば機を逸する事になりますが)、そもそもUS-2自体が「選択肢の一つ」でしかありません。
「観測用無人飛空挺」と「救難飛空挺」もそうですが条件の異なる物をを同じ尺度で評価しない方がいいですよ。適切な評価が出来なくなります。
「何がどうなっても」消し損ねた…
言葉足らずで誤解を招いてしまったようですが、上のレスは「波が高い時こそ求められる救難飛行艇」の部分について述べたものです
「波が高い時こそ求められる」のに船より波に弱いのでは救難機としては筋が悪いということです
蛇足ついでにもう一つ、かつてのPS-1も波待ちによるロスが付いて回り、P-3Cに差を付けられる一因となりました
こちらも筋が悪い例です
いや話何にも変わりませんよ。
何で飛空挺の離着水と船の遭難という「全然別の事」を「波高」というただ一つの尺度で結びつけて筋が悪いと言っちゃってる訳ですから。
「波が高い」で台風みたいな広域に渡って長時間の荒天を想像してるのかもしれませんが、わざわざ大型の台風に突っ込んで遭難する物好きよりもっと局所的で急激な天候悪化で不幸にして遭難する人間の方が圧倒的に多いでしょう。そうした場合US-2が1時間掛けて現場に着く頃(場所にもよるけど多くの場合海保の船が駆けつけるよりは圧倒的に早いでしょう)には前線やら低気圧やらは通り過ぎて海面はそれなりに落ち着いている事も少なくないでしょう。
日常的に天気予報を風向風速波の高さまで見てる自分としては近くに低気圧とかがあって少し波が残ってる、という状況で「波高3mで着水できる」というのはものすごく妥当で現実的で実用的な仕様だと思います。
また「何で」消し損ねた…
外洋では波高3m以上がしばしばあります
特に冬場の日本周辺で非常に広い範囲で恒常的と言っていいくらいそうなっていて、1時間で都合良く波が収まることは余程タイミングが合わない限りありません
それでも大量遭難が発生することもなく海外から船でエネルギーや食料が日本に届いています
外洋を長期航海する船が3mの波で遭難していては商売にならないということです
そのような船が遭難したとき「波が高い時こそ求められる」救難機の着水限界が3m止まりという逆転した関係になっている訳です
最後にまた蛇足ですが、レスを見直しておられるようですが「飛空艇」にはお気づきにならない?
波が高い時こそ求められるのが飛行艇で、波が低くなるまで待つのが飛空艇と使い分けてるのかなと?
飛空艇が何のかは本人に聞かないと分からないけど
流石にフルトンみたいな廃れた方法を出すあたり目くそ鼻くそでは?重量のある物をフックするなら、それだけの強度を持つ接合部とワイヤーが必要だし回収ウインチもパワーがいる。何だかんだで回収する側とされる側双方に特殊装備含めて負担がかかるのがね。
VTOLはどんな物を想定して居るかだが空中停止しているだけでも燃料食うし、それなら回収する短い間だけ着水すれば良いとか言うなら短距離着水出来る水上機でも良くねって気もする。
無人飛行艇はロマンが過ぎるぜ
離島とかに定期的に物資運搬機が来る未来とか胸熱だな
新明和工業はかねてから航空機事業から撤退の噂もありますし有人飛行艇から撤退して無人機開発にリソースを集中する流れもありえそうですね
「US-2開発物語」読んでて思ったが、まだ高性能を要求されるのは開発技術者もチャレンジしようと思うでしょうけど、無慈悲なコストカットの要求にはよく心が折れなかったなあと感心しました。
新明和に限らず、日本の防衛産業は、「企業の善意」でしか成り立っていないですからねえ。
米国なら「そんな儲からない事業からは撤退しろ」と株主に要求されるレベル。
まあそうやって米国の防衛企業は次々と消えていったのですが。
日本全体がそんな感じですね。
30年もデフレが続いた要因でもあります。
企業も儲からなくても、雇用を守るという使命感的なものもあり義務感から続ける。
労働者も給料が安くても辞めない。ギリギリまで頑張って、追い詰められて病むから自殺率が高い。
だから会社はなかなか潰れないし、失業率は低いのですが、国全体では労働生産性が上がらず。
非効率な状態が続くから、経済が成長しない。
良いのか悪いのか良く分かりません。
ミリレポさんとこの記事
F-15EX戦闘機の生産がピンチ!主要部品メーカーが工場閉鎖
>ボーイング社は同社が生産するF-15およびF/A-18両戦闘機に使用する重要部品の生産をGKNエアロスペースに委託しており、特に「スーパープラスチック」と「飛行制御面」の2つは両機を生産する上で必要不可欠な部品になる。ボーイング社は2001年以来、20年以上に渡って同社一社にこれらの部品を依存している。しかし、GKNは2024年末までにミズーリ州ヘーゼルウッドにある工場を閉鎖する予定
F-18は追加生産無くなって、F-15EXは国内で少ししか売れず、イスラエルに売れるかと思ったら、あの始末で雲行きが怪しく、工場を畳むんだとか。既受注分のストック部品は作るみたいだけどラインが無くなるんじゃ、わーくにのF-2とかと同じ憂き目でしょうなあ。
飛沫がかかるほどの水面ぎりぎりを飛行できて
攻撃手段は対処しにくい短魚雷
妄想が広がるな。
対船舶ミサイルは飛行高度が低いほど水平線以下に留まれるのは勿論の事、海面との乱反射によってレーダーによる探知が困難になります。現在、最低飛行高度のトップはノルウェー開発のNSM(飛行高度僅か1m!)ですが、この無人飛行艇なら飛行高度数十cmも夢ではない、最高の神風ドローンを実現できる。
数十cmの高さだと外洋で運用するとちょっとした波があるだけでも海面に叩きつけられそうだけど大丈夫なんだろうか?
うまく行くと良いですね。需要は大有りと思えます。
素人は勝手に思うのですが、大型のWIGの計画は無いのでしょうか。
手始めにしても、ペイロード300kgは少ないような。
一時期、ボーイングが構想していた”ペリカン” のように
数百トンのペイロードのものも欲しくなると思います。
An-225並みにに250tくらいを一度に運べると、
島嶼防衛に大いに活用出来そうな気がするのですが。
オホーツク核要塞への潜入・攻略用として
数で勝る中国潜水艦の牽制用として
有人潜水艦と連携してうまくいけば、原潜を持たない日本ではいろいろ使い道が広がりそう。
展開速度が足枷になりかねない無人潜水艇を
航空機の速度で展開できて、
しかも無人潜水艇は移動のためのバッテリー消耗しないわけで
ありそうでなかったチート戦術ができちゃうな
国内の国外手下勢力の妨害工作をを考慮して、防衛省は名前出してないだけな気配もするな
さらにメリットあった
長距離展開能力=大型化が必要だったけど、飛行艇で展開できるなら中型程度で十分になるな
こちらは軍事というよりかは海上保安庁や国交省のマターに関わってくる機材なんですかね。海保は自前でUSVだったか浮遊ブイを作って実際に未知の岩礁だか大陸棚を発見してましたよね。あの成功に基づいて本格的にやるという事なんでしょうね。海洋調査もDXの時代ですね。
誰も知らないだろうけど、山下いくと著「ダークウィスパー」に登場する迦陵頻・碧と同じ機体構成
なかなか楽しみですわ
漫画の方はもう続編出ない気がするけど……
分離・合体ってロボット物では王道だけど現実には難しい技術
外洋の波の上で航空機と潜水艦双方が海上艦としてそれを行う
無人機での離着水だって難しいだろうに…出来そうと想定されてんだ
合体/分離の前後で違う機能や性能を発揮するのは難しくても、
単に大型機(または高速機)で小型機(または低速機)を運搬して放出、回収する運用なら古今東西山ほど事例があるかと。
まあ確かに海面という空中よりも海中よりも乱数の多い環境で回収をするのはなかなかハードルが高そうではありますが。
研究開発構想に
>今後の研究開発の進捗に応じ、揚収装置の重さも将来的には追加。
とありますので、環境による揚収の困難さは認識してるんだと思います。計画する揚収システムではうまくいかない場合、装置が大掛かりになる可能性があるということでしょう。
空中甲標的母艇とでも申すか・・・
空潜一体の新戦術ですな
監視ならシーガーディアン沢山飛ばせば良くね?
国産したいなら、それっぽいの作って10年後に配備なら分かるけど。
また500億とかして、配備も何年もかかるだろうし止めときゃ良いのに。
新明和ならば着水は垂直着水、離水は滑走方式を目指してほしいかな
AUVは投入はフック外すだけでよいと思うけど、自動揚収はAUV発見~掴むまでハードル高いと思う
揚収は機材のある船舶で行うのでもよいのでは?
一般的な?AUV、REMUS6000で直径66cm、全長4m、重量240kgとある
本件のAUVは運搬UAVと有線接続の計画です。
AUV喪失の可能性もある海底火山の調査映像・データ等を確実に取得するには有線が必須かと。通信ケーブルを軽量高強度ケーブルの中に仕込むようにすれば揚収作業の難度は低減できるかもしれません。
そもそもは、PS-1が短期間で退役しP-3Cが導入されたのと同じ理由で、防衛装備としての運用に制限があって適さないシステムなのではと思います。