欧州関連

無人機でクリミアを攻撃したウクライナ軍、輸送中の巡航ミサイルを破壊か

ウクライナ国防省は20日「クリミアのセバストポリに運び込もうとしていた巡航ミサイル「カリブル」をジャンコイで破壊した」と発表、この攻撃は無人機によるものでロシア側は商店や民家を破壊しただけと主張している。

参考:Головне управління розвідки Міністерства оборони України

攻撃成功の判定は今後登場するかもしれない衛星写真や現場の画像流出までお預けだ

クリミア北部のジャンコイはクリミア大橋経由の鉄道車輌がセバストポリ方面に向かうための中継地で、現地住民は「20日夜に繰り返し大きな爆発や銃声が何度もあった」と報告していたが、ウクライナ国防省情報総局は「巡航ミサイル「カリブル」を輸送中の鉄道車輌をジャンコイで破壊した」と発表した。

現地住民がTelegramにアップした動画には爆発音や銃声だけでなく「ブーンという音も低音」も記録しているため、この攻撃には無人機が使用された可能性が高く、情報総局の主張が真実なら「黒海で発射する巡航ミサイルをセバストポリに運び込もうとしたの無人機で阻止した」という意味で非常に興味深い。

この攻撃は複数の無人機で行われ、ロシア側は「敵が破壊したのはカリブルを輸送する鉄道車輌ではなく商店や民家だ」と主張しているが、馬鹿正直に「カリブルを輸送する鉄道車輌がやられた」と認めるはずがないので、攻撃成功の判定は今後登場するかもしれない衛星写真や現場の画像流出までお預けだ。

因みにウクライナ軍が使用した無人機は過去何度も使用した「民需向け無人機の改造機」を用いた可能性が高く、どれだけ性能の良い防空システムやレーダーで空の守りを固めても「低空を飛行して(有人機よりも)小型の無人機を完全に阻止するのは困難」という実例であり、無人機は目標を絶対に破壊できるという確実性は乏しいものの「低コストで敵に脅威を与える」という点で、従来の攻撃手段にはない選択肢を与えてくれるのだろう。

この手の無人機が戦局を覆す原動力になったり、必中を期待されるようなシーンで活躍することはないと思われるが、ウクライナ侵攻で欧米は「終わりの見えない本物の戦争は起こり得る」と再認識、安価で量を揃えられる上「再生産も容易」な兵器に注目が集まっており、敵に脅威を与える手段の多重化(長期間に及ぶ戦争は局面や戦場が変わると有効な兵器の種類も変わる=侵攻初期に活躍したジャベリン、ドニエプル川が存在する戦場環境で活躍したHIMARS、伝統的な塹壕の奪い合いで活躍する榴弾砲や自走砲など)にも拍車がかかるはずだ。

追記:フランスが提供したクロタルNGがロシア軍の巡航ミサイルを撃墜するシーン、フランスとイタリアが提供したSAMP/Tと訓練を終えた兵士がウクライナに戻ったという情報もあり、遂にウクライナは弾道ミサイルの迎撃が可能になったかもしれない。

関連記事:EUが歴史的合意を発表、備蓄分から155mm砲弾100万発をウクライナに供給
関連記事:伊首相がキーウを訪問、SAMP/Tを含むウクライナ支援パッケージを発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Telegram経由

EUが歴史的合意を発表、備蓄分から155mm砲弾100万発をウクライナに供給前のページ

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コメント

    • 58式素人
    • 2023年 3月 21日

    将来的には。
    ウクライナは自国製のイージス同等艦をドニプロ河に複数浮かべるのかな。
    米国製は、さすがにもらえないでしょうから。
    これは、移動するBMD基地になり得るし、コスト的にも良いような。
    近い将来、ロシアとイランに対して備える必要があるでしょうから。
    ウクライナには、技術的にも可能と思えます。
    と勝手に妄想します。

    12
    • おわふ
    • 2023年 3月 21日

    少なくとも軽装甲車両を破壊出来る自爆ドローンが欲しいな
    そうすれば、もっと兵站破壊がはかどる。

    7
    • ため息
    • 2023年 3月 21日

    ここにいる方々にお聞きしたいのですが、我が国では国産
    ドローンの開発・生産などは全く考えていないのでしょうか?

    中国がドローン開発の先進国なのは承知ですが、安価でコスパ
    が良いなら、まだまだ技術力は高い我が国で、なんとか今から
    でも純日本ブランドのドローンを作れないのかなと。

    イランでも作れるなら我が国だって、、、と思ってしまいます。

    10
      • nimo
      • 2023年 3月 21日

      物資運搬用や偵察用なら見本市に出てましたよ

      10
      • らっく
      • 2023年 3月 21日

       可能ですが、我々にそれだけの覚悟があるのか?ということです。

      10
      • 2023年 3月 21日

      >> まだまだ技術力は高い我が国で

      産業用の国産ドローンなら中国製の3倍近い価格になってたねなお性能は同等の模様

      9
      • ブルーピーコック
      • 2023年 3月 21日

      産業用ならヤマハなど複数社が作っていますが、軍事用となるとスバルのFFOSなどしか思いつきませんね。
      バイラクタルなどの調査費用やスウォーム戦術の開発費などは計上してはいますが。
      飛行艇型で多用途、航続距離700km超の『HAMADORI6000』は自衛隊も注目しているらしいですが、産業育成がてら採用した上で、メイン機はバイラクタルTB3などを運用した方が良いかなと思います。

      3
      • 匿名さん
      • 2023年 3月 21日

      >まだまだ技術力は高い我が国で

      技術力が高いのではなく、部品が優秀のほうが正確じゃないだろうか。

      >我が国では国産ドローンの開発・生産などは全く考えていないのでしょうか?

      開発する前に、まず、何に使うのかを明確にする必要があるでしょうね。
      ウクライナで活躍しているイランのドローンは、サウジなどの原油タンクを攻撃するために開発されているそうです。

      日本が仮想敵国の中国や北朝鮮相手、もしくは、台湾有事を想定して、何が必要か。
      現時点では、ドローンより対ドローン兵器のほうが優先度が高いと思います。

      8
      • ため息
      • 2023年 3月 22日

      管理人さん、返信していただいた方ありがとうございます。
      いろいろと勉強になります。

    • 2023年 3月 21日

    自衛隊が使う兵器は高価でなくてはならない、という考えが自衛隊にはあります。

    4
    • 匿名
    • 2023年 3月 22日

    前も迎撃動画紹介してたけど、ゴール決まったみたいにはしゃいでるの好きだわw

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