欧州関連

ベラルーシの核兵器配備、ポーランドがNATOに核兵器の国内配備を要請

ポーランドのモラヴィエツキ首相は30日「ロシアがベラルーシに戦術核兵器を配備するつもりなので、我々はNATOに核兵器共有協定への参加を要請する。プーチン大統領が試みる脅威のエスカレーションを黙って見過ごすつもりはない」と述べた。

参考:Nie zgodziliśmy się na przyjęcie konkluzji ws. relokacji
参考:“Не хочемо сидіти склавши руки”: Польща згодна розмістити у себе ядерну зброю, — прем’єр

ポーランド国内に戦術核兵器を配備することで「崩れた(力の)バランス」を修正したいのだろう

ポーランドのモラヴィエツキ首相はEU会議終了後の記者会見で「ロシアがベラルーシに戦術核兵器を配備するつもりなので、我々はNATOに核兵器共有協定への参加を要請する。プーチン大統領が試みる脅威のエスカレーションを黙って見過ごすつもりはない」と発言したため注目を集めている。

出典:国家核安全保障局 B61/Mod12に関するファクトシート

モラヴィエツキ首相が言及した「ニュークリア・シェアリング」とは米国とNATO加盟国のドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、トルコが締結している核兵器共有協定のことで、米国が「戦術核兵器=B61」を提供して協定締結国は「B61を運搬可能な航空戦力」を保有する仕組みで、提供されたB61の管理は米軍が行い、これを使用するには米国の同意が必要なため共有した核兵器を協定締結国が独自の判断で使用できる訳では無い。

ベラルーシに配備される戦術核兵器も管理権はロシアにあり、ルカシェンコ大統領も最近「攻撃を受けた際に核兵器を使用するアルゴリズムを開発するよう国家保安委員会に指示した」と明かしたが、これはロシアが配備した戦術核兵器を「ベラルーシ独自の裁量で使用する」という意味ではなく、核兵器の運用経験がないベラルーシにとって「どのような状況に直面すれば核兵器の使用に踏み切るのか」を政府内部で明確にすると口にしただけで、依然として核兵器の使用にはロシアの同意が必要だ。

出典:Serwis Rzeczypospolitej Polskiej

少々話が脱線したが、モラヴィエツキ首相は「(ポーランドがニュークリア・シェアリングに参加できるかどうかの)最終的な決定は米国とNATOに依存するものの、この件でポーランドは迅速に行動する」と付け加えており、モラヴィエツキ首相はポーランド国内に戦術核兵器を配備することで「崩れた(力の)バランス」を修正したいのだろう。

因みにポーランドはB61/Mod12が統合されるF-16C/DとF-35Aを保有するため、核兵器の運搬能力については特に問題はない。

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※アイキャッチ画像の出典:Courtesy Photo by Santos Torres

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コメント

    • 2023年 7月 01日

    ニュークリアシェアリングの議論を提案していた安倍元首相は暗殺されてしまい、政治的にはこの議論は停滞してしまったかのように見える。必要性や可否は議論の結果、明らかになるだろうけど、日本の議論をしないというスタンスはいただけないので、早めにやったほうがよいと思ってる。
    装備品輸出も慌ててやってるけど政府や企業の体制が出来る頃には需要が過ぎ去ってそうだし。

    28
      • むー
      • 2023年 7月 01日

      政治の中心はさておきここでの議論なら、核を持つかどうかじゃなくて、核を持つことが決まったと仮定して、そのときどんな核が欲しいかを考えた方が実があるんじゃないかな。

      たぶん「核あるよー」程度の核じゃ莫大なデメリットばかりでメリットはまったくないという結論が出るだろうけど。
      習金プーが無事なら中朝露の地方都市をちょっと焼いても痛くもなんともないだろうからね。むしろ「日本が負けたらこれがロスに飛ぶぞ」の方がまだ効果が見込めそう。

      中露を止められる核戦力って核大国の戦力だけど、これはあからさまに戦争用、恫喝用になっちゃうから今の日本では持ちにくい。運搬も発射もできない地球破壊爆弾みたいなものならまだ言い訳が立つかも。地球上のどこで起爆しても地球表面から生命を一掃しちゃうくらいのやつ。他の国が持っても「バカなの?」で終わるところが「日本ならやる」と誰もが信じるだろうし。

      11
    • 58式素人
    • 2023年 7月 01日

    自然な反応なのでしょう。
    ポーランドの隣国はロシアと同じくらいヤバイ国みたいですね。
    核で恫喝すれば良いと思っているようだし。

    13
    • tofu
    • 2023年 7月 01日

    ウクライナを支配下に置き、NATOの影響力の拡大を防ぐやでー→(多分)未来永劫ウクライナはロシアと敵対するし、中立だった国もNATO入り
    核兵器をベラルーシに置いて西側牽制するやでー→核兵器の配備先が増える方向に

    こんな無能な指導者おる???

    22
      • 朴秀
      • 2023年 7月 01日

      戦争を始めたのが裏目に出た指導者は腐るほどいるだろ

      2
        • tofu
        • 2023年 7月 01日

        その中に優秀とされる指導者
        もっと言えばその施策が良かったとされてる指導者は?

        1
    • ネコ歩き
    • 2023年 7月 01日

    今の時点で
    >「どのような状況に直面すれば核兵器の使用に踏み切るのか」を政府内部で明確にすると口にした
    てのが、えっという感想です。
    ベラルーシの戦略的思惑からロシアに戦術核配備を要請した可能性を考えてましたが、やはりロシア側からの要請にベラルーシが応えたという構図が正解な証左でしょうか。

    ベラルーシはロシアのウクライナ侵攻を支持していますが、侵攻作戦参加及びベラルーシ領からの作戦発動を拒否していると見られます。
    自国への侵攻を伴わない状況で、ロシアに対し同意無い国内配備戦術核使用を拒否できるんでしょうか。

    2
    • 折口
    • 2023年 7月 01日

    これ実は89年のポーランド民主化の頃から提起されてる問題らしいんですが、今の今まで解決を見ていない程度には根深い問題なんですよね。ポーランドからすればロシアは核大国であり、プーチン政権以降の核の先制使用ドクトリンでその懸念は増大しました。さらにクリミア・ドンバス危機以降は(本来は専守防衛的な戦略の一部だった)核の先制使用ドクトリンを攻勢(侵略)の材料に用いて現に隣国を荒らし回っている訳です。それだけでもポーランドがNATOの盟主アメリカに拡大抑止を求める理由には十分すぎる訳ですが、ここに来てロシアの同盟国ベラルーシにロシアの核が配備されるという手前、米国は今までのように東欧諸国の不安や懸念を無視するのは難しくなっているはずです。

    他方、ロシアから見ると(カリーニングラード州の領有問題などで対立する)ポーランドに核シェアであっても核兵器が持ち込まれるのは看過できないでしょう。それこそ、自分がウクライナに対してやったように核使用をチラつかせながら通常戦争を優位に持ち込んだり、東欧全体にやってきたように核を盾に外交交渉を優位に運ぶ(欧米などの域外勢力の介入を排除する)方法をそっくりお返しされかねない訳です。もちろん常識や前例から言って、米国との安保条約による拡大抑止でも核シェアリングでもそんな恫喝的な核兵器の使い方はワシントンが許さない訳ですが、そういう事は都合よく分からなくなるのがロシア人だというのをアメリカ人は理解しており、それがこの問題が先延ばしになる所以だった訳ですが、果たしてどうなるのか…。個人的には、ポーランド人が核恫喝でカリーニングラード州を占領してしまったとしてもなおポーランドを支持したいですが、その後の多国間秩序に残す禍根を考えると安易な解決は必ずしも近道ではないんでしょうね。

    8
    • ホテルラウンジ
    • 2023年 7月 02日

    核兵器の管理に関しては、特定の国にだけ保有を認める事で安定化を図る事がこれまでできていましたが、
    そろそろエントロピー増大の法則が効きだしてると思います。
    つまり、核兵器といえども、拡散する未来は避ける事が出来ない未来であり、確実に今後はそこら中の国やテロリストが
    保有し得る状況に最終的には行きつくという前提に認識を変えるべきと思います。
    今までは、そういう未来を想像はしても、「でも我々が努力して拡散を防ぐ事により、少なくとも拡散のペースは遅らせる事が出来るのでこれからも核無き世界を目指して取り組みを頑張っていきましょう」で「考える事」を切り上げて終わってきましたが、そこでそれ以上の事を考える事を止める事をやめましょうという事です。
    経済方面の話ですが、ドラッガーはこの「エントロピー増大の法則という逃れられない運命」に対して唯一対応できるのがイノベーションと言っています。
    私はこれはこの人の言う事を参考にすべきと思います。
    つまり、核兵器は拡散するものとして、拡散してしまった世界でどう世界を存続させていくか?について国際間の争い事に対する調整の仕組み的に、そして、技術的にイノベーションを起こす取り組みをするべきと思います。
    つまり、今一番いけないのは、拡散が加速しだした時点では拡散した世界でどう平和的に世界を維持するのかの準備が出来ておらず、本当に核兵器の投げ合いで多くの命が失われる事と思います。
    これのヤバさは、もう核兵器を手にした時点で人類にとっては地球は小さすぎる存在になっているからですね。破壊力が地球環境に影響を与えるレベルになっていますので、核兵器という兵器を投げ合う事で経験的にこの兵器は使ってはいけないという人類全体のコンセンサスを得る時には人類が殆ど居なくなってる事態になるからです。
    今現在、核ミサイルを打ち落とす為のミサイルは開発されていますが、他にも重度の被曝しても生存性を上げる医療技術の開発や、地中に隠された核兵器の発見技術の開発、放射性が強いエリアを低コストで素早く浄化する技術などと並んで、核兵器が使われた場合の除染作業の国際的枠組み及び訓練などを取り組んでいき、
    少しでも「仮に核戦争や大規模で組織的な核テロが起こって多大な被害が出るとしても、色々な対応イノベーションが充実してきたから人類、地球が滅亡する事は無いわ」と思えるレベルに進化していくべきと思います。

    2
      • 58式素人
      • 2023年 7月 02日

      ある意味、当然というべき対応かな、と思います。
      話が少しずれますが、地球温暖化への対応も同じと思います。
      話を戻して、素人は、将来的には
      核変換による放射性物質の処分にも期待をしています。

    • 下僕
    • 2023年 7月 02日

    ワルシャワ−モスクワ間は1100キロくらいしかないのでF-35+B61というのは足が長すぎでは。ポーランドがベアルーシ軍の核に対抗すると主張するには射程400キロくらいの核ミサイルを西側で新しく作らないといけないんじゃないですかね?

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