英国は独仏が共同開発を進めている次期主力戦車「Main Ground Combat System(MGCS)」にオブザーバーとして参加するため協議を開始したと報じられている。
参考:British military looks to the ‘Eurotank’ as it weighs its hardware options
英国がMGCSへのオブザーバー参加を要請、ただし同プログラムに正式参加するつもりはない?
ドイツとフランスはレオパルト2(約300輌)とルクレール(約200輌)を更新するため次期主力戦車を共同開発する「Main Ground Combat System(MGCS)」プログラムを進めており2025年までに技術検証用車輌を製造、その結果を受けてプロトタイプ製造へと進み2035年頃に量産された次期主力戦車の引き渡しを予定しており、MGCSプログラムにかかる最終的な研究開発コストは約15億ユーロ(約1,850億円)だと言われている。
この計画に英国はオブザーバーとして参加することを希望しており独仏と協議を開始したと報じられており、ドイツ国防省の報道官は「MGCSは独仏以外の国がプログラムに参加できる仕組みを備えており、オブザーバー資格はMGCSに興味を示している国を正式参加に踏み切らせる役割を果たすだろう」と答えて英国のMGCS正式参加に期待を滲ませたが、英国は今のところMGCSに正式参加する気はない。
オブザーバーとして参加を希望している英国は狙いは「2040年頃に予定されている近接戦闘車輌の更新に必要な情報収集」でMGCSの開発情報にアクセスする権利を確保するため「オブザーバー資格」を独仏に要求しているのだ。さらに英国防省は「複数のグローバルな主力戦車開発プログラムも注視している=MGCSのみに関心があるのではない」と協調することで正式参加に繋がる動きという見方を牽制している。
そもそも英国ではアップグレードにコストがかかる主力戦車「チャレンジャー2(227輌)」の廃止が浮上、ベン・ウォレス国防大臣は廃止について明確に否定したもののアップグレードや削減については否定していない=つまり英陸軍の主力戦車や戦闘装甲車両の将来は流動的で不確かな状況に置かれているという意味だ。
さらに独仏が共同開発を進めている次期主力戦車「Main Ground Combat System(MGCS)」と第6世代戦闘機「Future Combat Air System(FCAS)」とは密接な関係があり、MGCSの開発はドイツ企業が主導権をFCASはフランス企業が主導権を握ることで合意済み(開発作業自体は両国で分担)なので、ドイツ国防省が語ったように「独仏以外の国がプログラムに参加できる仕組み」を備えていたとしても対等の権利や立場で参加は不可能=つまり一定の開発コストを負担しても独自の要件を反映させるのは難しく自国産業への利益誘導も限定されたものになる可能性が高い。
特にEUから離脱した英国の場合、EU加盟国が主導する防衛プログラムに参加すると不利な扱いを受ける可能性を秘めているので独仏の計画に「正式参加国」という立場で性急に飛び込むほど愚かな選択はしないだろう。
補足:英国と欧州主要国は防衛協力に関してEUから英国が離脱後も変更がないことを約束しているが、EUの防衛協力体制において英国は正式に加盟国外の協力国に分類されている。
どちらにしても独仏は正式参加する気がない英国にオブザーバー資格を与えるのか不明だが、少なくとも今回の件で英国は主力戦車の未来について「絶望」していないことが伺えるため、不確かな状況に置かれている主力戦車「チャレンジャー2」にとっては好ましい兆候だと言える。
関連記事:独仏の次期主力戦車「MGCS」、2億ユーロの予算分配を受け開発が本格化
※アイキャッチ画像の出典:Alan Wilson / CC BY-SA 2.0 チャレンジャー2
単なる情報収集で終わるかも
島国と大陸との陸戦温度差は埋められない
2040年頃に予定されている近接戦闘車輌の更新に必要な情報収集?
英国は戦車開発からは撤退したはずだけど、戦車の役割を担える兵器は作りたいってことか。16式みたいなもん?
最近、戦車不要論みたいな風潮あるけど、当の廃止した米海兵隊は陸軍での戦車の必要性を認識してるんだよなぁ。
UAVやドローンの低コスト攻撃が登場して、まぁわからんでもないけど、SAMやエネルギー兵器、APSの進化も著しいしこれらは一過性の懸念だろう。
日本もAPS載せる方向で解消するつもりみたいなので、空が狭くなったり、近接防護手段が普及すれば、
戦車を保有してない陸軍はその時かなり苦労するだろうな。
ドローンが広まっても攻勢をかけるとなれば機動力が必要。機動力には防御力も含まれるから、戦車またはそれに類する装備はどうしても欲しい。
すっぱり戦車を切るのはやはり不安だから一応情報収集しとくってところか
廃止するしないは別としてお勉強はしておこうということでしょう。
イギリスは情報収集ドイツ・フランスはメンバーにイギリスがいるという実績を得られる
winwinだから普通に通りそうな感じがするな
でもどっちも上辺だけってのがバレバレである…
英国も今後の陸上戦闘がどうなるか分からないので、他国の情報収集をした上で、今後の国防戦略や戦術ドクトリン・装備調達計画の参考にしようと言う考えでしょうな
只、独仏がどう思うか…下手をすると「ウチのMGCSに参加しないなら出て行け、オブザーバーと言う名の『007』を身内に入れるつもりは無い」って言われて、英国涙目と言う結末もありそう
イギリス本土防衛に戦車って必要なん
日本には戦車不要論あるが、イギリスでもあるのかな?
今後も湾岸やイラク戦争みたいに外征するなら、補給を考えて
米独仏いずれかの戦車と共通化するしかないと思うが
イギリスは普通に海外派兵あるし、NATOの連合緊急対応軍団に戦車含む実力部隊を2個師団提供しています。(連合緊急対応軍団はライン軍団の後継?)
上記除けば純粋に本土防衛に必要かと言われると、、、まぁ必要なんじゃない。ゼロでは歩兵の血で鉄分を購うことになる。
コスト効果比で戦車を保有しなければならない必要があるのかと問われると、微妙ってことかと思います。がまぁ床屋談義の範疇ですね
古来からある騎兵を受け継いだ戦車はuavが発達しようが完全に無くなることは無いだろう
>「複数のグローバルな主力戦車開発プログラムも注視している=MGCSのみに関心があるのではない」
英国にとって次世代戦車候補となり得る開発プログラム、他にあったかな?
確かアメリカが軽戦車作るんじゃなかったっかな
絵に描いたような物だけどK3と言う・・・
本来は日英こそ戦車開発では協働できると思うんだけどなぁ。
なんで英って重戦車志向なんだろう? 確かに広い丘陵が国土の多くを占めるので、運用環境は良いし、欧州平原もその点は変わらないんだけど。。。
今もって欧州で重戦車相手に運動戦やる気なんだろうか?
WW2で装甲の薄い巡航戦車がものすごーーーーーーーーーく苦労したからでは…
センチュリオン以降、戦車には重装甲と重武装、拡張性が何よりも大事という考え方なんだと思われ。
オブザーバーとして参加ね。
実際どうなんだろうね。
正式に参加したら、必ず買わされるのかな。
オブザーバーとはいえ参加するなら何らかの技術は提供できなくちゃ話にならないと思うの
チャレンジャー2をアップグレードも出来ずに使い続けてる英が、戦車関連の技術で独仏より先に行ってるとこってあるのかな?
「オブザーバー」だから口出し出来ない立場。
技術も出す資格がないと解釈すべきでは。
お金は出せる。
資金目当てみたいな側面がありそうですね。
チャレンジャー2にはトイレが標準装備ですよ、世界的にもレアですよ、その技術じゃない?
後はイスラエルのメルカバ(センチュリオン魔改造らしい)とロシアのT-14アルマータ位しかトイレ付いてないデス、実はトイレはデコイで無人化技術かもしれませんが。
チャレンジャー2って、トイレが付いてるんですか。
初めて知りました。
ありがとうございます
もちろん洋式なんでしょうね。
どうなってるのかな?
和式なら想像出来るんですが。
各シートの座面がそのままトイレのフタになっていて座面をめくると中が簡易トイレになってました。
シートのクッション性はよくありません。
使用後はビニール袋を縛って外に出すそうです。外に出せない時は車内で保管。
食事を温める簡易オーブンなども装備してありましたよ。
せっかくコメントをくださっている方がいらっしゃるので、そういった発言は控えていただけると助かります。
英国民自身ですらまさかと言ってたEU離脱を本当に実現しちゃう国なんだから、戦車存続もきわめて流動的なんだと見とかないとね。
なにも決定していないからこそ、こういう中途半端な動きをせざるを得ない
オブザーバーとして独仏の開発状況を知ることで、これからの英国の決定に何らかの判断材料を得るのだろう
130mmのテストベッドがチャレンジャーだったのも関係しているのかな…
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