欧州関連

仏独の次期戦車開発・生産に関するワークシェア、公平な50対50で合意

フランスのルコルニュ国防相とドイツのピストリウス国防相は昨年7月「次期主力戦車(MGCS)開発は新たな段階に入った」という認識を示し、22日に「MGCSの開発及び生産におけるワークシェアを同等にすることで合意した」と発表した。

参考:France, Germany divvy up workload for next-generation tank

KMWとNexterの主導権争いに終止符、仏独がMGCSの50対50のワークシェアで合意

ドイツとフランスはレオパルト2とルクレールを更新するため次期主力戦車=Main Ground Combat System(MGCS)の共同開発を進めている最中で、2025年までに技術検証用車輌を製造し、プロトタイプ製造、各種テストを経て2035年頃に量産車輌の引き渡しを予定しており、本プログラムにかかる最終的な研究開発コストは約15億ユーロ(約1,850億円)を予定している。

この取り組みについてフランスのルコルニュ国防相とドイツのピストリウス国防相は2023年7月「新たな段階に入った」という認識を示し、22日に両国防相は「MGCSの開発及び生産におけるワークシェアを同等にすることで合意した」と発表した。

当初構想ではフランス企業がFCAS開発を主導、ドイツ企業がMGCS開発を主導するという話だったが、スペインがFCASに加わったためワークシェアの比率が「33対33対33」に変更され、この公平な分配比がFCASの主導権争いに発展。

出典:AIRBUS

フランスはFCASのコア技術=機体設計やエンジン開発は「ラファールで培った技術がベースなのでフランスが主導すべき」と考えており、ドイツやスペインの意見を尊重しても仕様に関する最終決定権は「基盤技術を提供するフランスにある」と自負していたものの、ワークシェアの分配比が公平になったためドイツは機体やエンジンの仕様に関する最終決定権も「33対33対33」にすべき=3ヶ国で決定すべきだと主張、さらに機体の設計作業にも関与させて欲しい言い始めたため対立が泥沼化。

紆余曲折を経て合意(詳細は不明)が成立しFCASは開発に向けて動きだしたものの、両国防相は「MGCSを構成する8つの主要プログラム(プラットホーム、新兵器、主砲、通信技術、戦闘管理システムなど)の分担比率を50対50にすることで合意した」「KNDS(KMW社とNexter社の合弁会社)がMGCSで中心的な役割を果たす」と述べており、米Defense Newsは「4月下旬に締結される正式な合意によってKMWとNexterの主導権争いは終止符を打つだろう」と報じている。

出典:Rheinmetall 130mm砲を搭載するKF51

因みにEurosatory 2022で公開されたEMBTはMGCSのコンセプトモデルに過ぎず、両国防相は「0ベースで新しい戦車を開発する」「ドローンや指向性エネルギー兵器でプラットホームを強化する」「これらの戦車向け技術は現在テスト中」「MGCSはネットワーク、電子戦、ドローン統合、防御力、自衛手段において既存の戦車システムを遥かに越えたものになる」と述べ、主砲にはKNDSが開発中の140mm砲とRheinmetallの130mm砲が検討しているらしい。

MGCSは第6世代戦闘機と同じように有人車輌、無人車輌、無人機、ネットワーク、電子戦、搭載兵器類で構成されるファミリーシステムで、これらの要素を既存の戦車システムに追加するだけでは到達できない領域を目指すのだろう。

関連記事:仏独、140mm砲と130mm砲を搭載した次期主力戦車を並行開発か
関連記事:仏Nexter、次期主力戦車のコンセプトモデル「EMBT」の映像を公開
関連記事:独仏の主力戦車開発プログラム、Rheinmetallの裏切りとK2の登場で危機感
関連記事:レオパルト2は誰のもの? KMWとRheinmetallが法廷で争う問題に発展

 

※アイキャッチ画像の出典:Nexter

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コメント

    • Whiskey Dick
    • 2024年 3月 24日

    >主砲にはKNDSが開発中の140mm砲とRheinmetallの130mm砲が検討しているらしい。

    「戦車同士の一騎打ち」がウクライナであまり発生していないので、主砲の大口径化によるメリットは薄い。
    現在の西側戦車の重量は60tを超えており、道路の耐久性を考慮すれば70tが限界と言われている。画期的な軽量化手法が無ければ、今より大口径の主砲を採用すると簡単に70tに達してしまう(防御をAPS頼りにして装甲厚を減らすとかするのだろうか)。
    砲弾が大口径になれば携行できる砲弾数も減少してしまう。歩兵の火力支援を考えれば1発当たりの威力は低くても砲弾数を多くすべきだ。これについても誘導砲弾を用いることで砲弾数が減っても命中率で補うつもりなのか。

    11
      • あばばばば
      • 2024年 3月 24日

      その論法で行くとMBTよりも、M10ブッカーや16式機動戦闘車、チェンタウロに代表されるCVで十分という事になるな
      (その手の車両はウクライナでMBTの様に扱われてボコボコにされたのは、ご存じだろうが)

      4
        • Whiskey Dick
        • 2024年 3月 25日

        ウクライナ侵攻で戦車に対する脅威及び運用方法が変わったということで、戦車自体が不要と言っている訳ではありません。
        戦車同士の戦闘の減少と重量の限界、ドローンの脅威が増す中、主砲以外の強化にリソースを充てた方が良いということです。例えば主砲口径と装甲厚は今のままとして、電装系の強化、データリンク戦闘能力の付与、ドローン対策装備を施すといった感じです。若しくはシリーズハイブリッド動力を採用して燃費と低観測性の向上を図るというのも考えられます。

        4
      • 半分の軍事費の国から
      • 2024年 3月 24日

      次の規格では、ロシアのT-14アルマータのように、無人砲塔が普通になるのでは?T-14アルマータでは、試作で152mm砲2A83も造られており、装甲貫徹1120mm@2km 角度0度(2005)、125mm2A82で装甲貫徹1000mm@2km 角度0度(2005)なので、対抗上130mm砲か140mm砲でやるしかないと思いますよ、スローペースで開発しているのも、T-14アルマータがT-90Ⅿ、3台分以上するほど高額なので全然出て来ないからで‥そして、ロシア側の資料が2005年と古いので、新しい徹甲弾が既に合ってもおかしく無いですしね。例、M829A3(2003)、M829A4(2015)

      4
        •  
        • 2024年 3月 26日

        ロシアはウクライナ戦争から「ドローン対策には車長の五感の活用が重要」という戦訓を得ていますし、T-14というか無人砲塔は戦後設計をやり直しかなと思います
        アルマータプラットフォームは活用されるだろうとしても、現状T-90Mが性能とコストのバランスで飛び抜けて優れていますし、コストを抑えつつアルマータである利点を生かして新しい脅威に対応して……となるとまた揉めそうな気がします
        ドローン対策で単純に初期に出回っていたような砲塔の横に対空機関砲をくっつけたような戦車を作るのは簡単ですが、それだとコスト増に加えてウクライナで有効性が証明され続けている戦車の防御力が活かせなくなりますからね、難しいです

        2
          • 半分の軍事費の国から
          • 2024年 3月 27日

          これからは、無人車両でチーム単位で運用しなければならないと思いますよ、軽量無人戦車(15トン位)は偵察とドローン迎撃で、中量無人戦車(32トン位)が盾役で、重量無人戦車(50トン位)、無人自走(迫撃)砲車両、電子戦車(有人)と有人装甲車(パワードスーツ有人)、無人ドローンキャリア、無人迎撃ミサイルキャリア、無人補給車、でチームを作り、レーダー車両とカメラ車両で360°探知出来るようにして(個別にも付ける)、人間の索敵能力を超えて、電子戦車が司令塔になって情報共有しながら脅威に対処するのが、基本になるのでは?と妄想中ですよ。

          1
    • T.T
    • 2024年 3月 24日

    ウクライナ戦争の戦訓も取り入れてどんな回答を出してくれるのか期待したい所だが・・・
    独仏なので、結局喧嘩別れするに1票

    41
      • hoge
      • 2024年 3月 24日

      そもそもこれからLeopard2 A8の大増産が始まるので、既存のA8はどうするのだという話になって新規開発どころではないと思われ。

      1
        • 戦略眼
        • 2024年 3月 24日

        Leopard2の砲塔でも140mm砲は載るから、大丈夫。

    • 牛丼チーズ
    • 2024年 3月 24日

    ドイツは戦車が得意でフランスは戦闘機が得意なのだからそれぞれの長所を活かしてほしいなぁ
    今度こそグダグダにならないことを期待

    6
    • 58式素人
    • 2024年 3月 24日

    レオ2A4の車台に関する争いは終わったのかな。
    ラインメタルの新パンター戦車はレオ2A4に新砲塔を乗せると言っていたし。
    と言うことは、新パンターはやはり60tなのだなと想像します。
    KNDSの新戦車はどのくらいの重さを目指すのでしょう。
    ウクライナの戦場では、軽い方が良いでしょうが、軽い車台だと、
    140mm/130mm砲の反力には足らないかもしれなし。

    2
      • 戦略眼
      • 2024年 3月 24日

      KF51にしとけば、リスク無く新型か手に入るのですが。

      1
      • あばばばば
      • 2024年 3月 24日

      ハンガリーのパンターなら、車体がバッファロー(ビュッフェル?)装甲回収車をベースにする事が去年の年末くらいに報道されていたよ。(シャーシ設計ははレオパルト2)
      砲身は130mmへの換装の余地を残しつつ、120mmL55にする方針だそうで

      1
    • ブルーピーコック
    • 2024年 3月 24日

    次は搭乗員の数(装填手の有無)とかの仕様で揉めるんだろか

    1
    • ヒュー
    • 2024年 3月 24日

    主砲で戦車同士が打ち合う場面がないので120mmのAPFSDSは廃止して90mmか105mmか155mm砲に
    前面装甲はHEATに耐えられる程度に削減し軽量化
    ドローンガードを付けるので低車高化は意味ないのでやめる

    自走砲かIFVを改造するだけでいい気がしてきた

    1
    • Natto
    • 2024年 3月 24日

    格好が良いのはパンターⅡなんだよな。
    MGCSはなんか形にまとまりが無い。

    1
      • 名前を入力してください
      • 2024年 3月 24日

      MGCSはあまり機械的な美しさや合理性的なものを何故か感じられませんね

      1
    • モック
    • 2024年 3月 24日

    MBTって将来的にはどうなるんだろう。
    一つの方向性が軽量かつ機動力優先の10式みたいなもんだと思うが、一方でデカくてゴツい歩兵の盾みたいなもんもニーズはあるのだろうね。
    盾に特化した無人の機動盾みたいな兵器に進化してかないもんだろうか。

    3
    • 58式素人
    • 2024年 3月 24日

    ウクライナでの戦車の使い方を見ていると。
    ある意味”歩兵戦車” みたいな使い方ですね。
    敵歩兵の制圧と間接射撃による火力支援が主のようですね。
    ATGMやFPVドローンにやられるのはアレですが。
    ひょっとすると、次代の戦車はMBTと歩兵戦車に二分するのでしょうか。
    米軍はM10ブッカーを採用していますし(ただし、口径が小さいような)。
    M1A1、レオパルト2、チャレンジャー2の評判を見ていると。
    間接射撃に一番向いているのはチャレンジャー2のようですね。
    120mmL55ライフル砲は射撃精度が良いようです。
    歩兵戦車には大口径ライフル砲を装備するのかな。

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