インド太平洋関連

エアロ・インディア、HALが超音速練習機/軽戦闘機「HLFT-42」を発表

インドのヒンドスタン航空機(HAL)は13日、イェラハンカ空軍基地で開幕したエアロ・インディアで超音速練習機/軽戦闘機「HLFT-42」を発表して注目を集めており、テジャスMK.1ベースのLCA-LIFT(Tejas Trainer)と競合する機体だ。

参考:Here’s why HAL’s concept aircraft HLFT-42 has Lord Hanuman on its fin
参考:HLFT-42 to transform training of Indian Air Force pilots: HAL officials
参考:Aero India 2023: HAL unveiled HLFT-42, an advanced supersonic trainer/lightweight fighter

政府主導ではなく民間主導でHLFT-42を開発してインド空軍の需要や海外市場の攻略に乗り出すつもりなのだろう

インドは実用化に成功したテジャスMK.1ベースの練習機「Tejas Trainer」と、これに対地攻撃能力を追加した軽戦闘機「LCA-LIFT=Lead-in Fighter Trainer」を開発しており、後者のLCA-LIFTは海外市場を意識したものでオーストラリア空軍のHawk127後継機、エジプト空軍のK-8E後継機に提案したものの競合(前者はBAE提案のアップグレードを後者は韓国のT-50/FA-50を選択)に敗れており、HALは自社資金で開発した超音速練習機/軽戦闘機「HLFT-42」をエアロ・インディアで披露した。

HLFT-42はテジャスと同じF404で作動し、高度な第4.5世代機や第5世代機に対応したパイロットを養成するためFBWによる飛行制御システム、AESAレーダー、電子妨害装置、IRSTなどを備えているのが特徴で、Hawk132と実戦部隊で運用している戦闘機の橋渡し的な存在になることを狙っており、米空軍がT-7Aと戦闘機の中間に「高度な戦術訓練機」を導入することを検討しているのと同じコンセプトだ。

ただ能力的にはLCA-LIFTと競合関係にあるためHLFT-42の位置づけがどのようなものになるのか不明だが、エアロ・インディアで展示されたモックアップは中距離空対空ミサイル(ASTRA)を10発と短距離空対空ミサイル(ASRAAM)を2発搭載しており、最大離陸重量や内部燃料容量など幾つかの点でHLFT-42はLCA-LIFTを上回っているのが興味深い。

出典:Hindustan Aeronautics Limited

因みにHALは現地メディアの取材に「HLFT-42の開発は2017年に開始され実機の完成は2024年頃になる」と明かしており、開発にかかる費用は基本的に自社費用で賄う予定だが「HAL以外の民間企業が本プログラムに参加してくれること機体している」と付け加えているため、政府主導ではなく民間主導でHLFT-42を開発してインド空軍の需要や海外市場の攻略に乗り出すつもりなのだろう。

関連記事:インドの国産練習機LCA-LIFT、豪空軍のHawk127後継機争いに敗れる
関連記事:エジプトと韓国がT-50/FA-50の現地製造契約を締結、調達規模は約100機
関連記事:米空軍、T-7Aレッドホークとは異なる「高度な訓練機」を最低100機調達する計画を発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Hindustan Aeronautics Limited

米空軍、KC-46やE-7のオペレーターによる無人戦闘機の制御を検討中前のページ

豪州と英国が原潜建造で合意? 英国内でアスチュート級を建造して提供?次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    韓国メディア、カナダ海軍の潜水艦調達は韓国と日本の一騎打ちになると予想

    韓国メディアは15日「カナダ海軍関係者が10月頃に韓国を訪問する予定で…

  2. インド太平洋関連

    シンガポールのF-35A発注が濃厚、国防相がベストタイミングだと言及

    シンガポールのウン・エンヘン国防相は28日「F-35Aを発注するには今…

  3. インド太平洋関連

    インド、エアバスの中型戦術輸送機C-295MWを56機調達する計画を承認

    インド政府は今月8日、空軍が保有する57機の双発輸送機「Avro/アブ…

  4. インド太平洋関連

    韓国、北朝鮮の対艦弾道ミサイル開発を挙げて韓国型A2/AD整備を主張

    韓国メディアは13日、中国が開発した対艦弾道ミサイル(ASBM)と同じ…

  5. インド太平洋関連

    インド軍兵士、棍棒やスタンガンで武装する中国軍兵士200人と衝突

    インド北東部のアルナチャル・プラデシュ州で9日、棍棒やスタンガンで武装…

  6. インド太平洋関連

    大鉈を振るう可能性、豪政府が次期歩兵戦闘車の結果発表を来年に延期

    豪政府は発表が遅れていた次期歩兵戦闘車の最終選定結果について「現在進め…

コメント

    • ユーリ
    • 2023年 2月 14日

    高等練習機は戦闘能力を求めなければ兵装は最低限の数/重量で良くコスパが良い気もしますが軽戦闘爆撃機兼任の機体は売れ続けるんでしょうか。T-7AはFA-50の半分程度の重量なのを見てもずいぶん違うもんだなと

    6
    • hogehoge
    • 2023年 2月 14日

    スゲー面白いのが出てきたな。
    細長くシンプルな胴体というデザインで個人的には現代版にしたMIG21みたいと思った。
    価格次第ではかなり売れそうに思う。

    12
    • 黒丸
    • 2023年 2月 14日

    航空産業がロシアの影響から脱出するための試みの一つなのかな?
    長期的にはインドも軍事産業を他国の影響から隔離したいと考えていると思うんだが

    ただ練習機に中距離対空ミサイル10発は盛り込みすぎかと
    撃ち尽くす前に撃墜されそう・・・

    6
    • ブルーピーコック
    • 2023年 2月 14日

    F-16とジャギュアを合わせたような感じ。運動性が良さそう。

    3
  1. ミサイルの搭載数バグってないか

    12
    • VRTG
    • 2023年 2月 14日

    MTOW 16.5tで燃料3.5tと兵装4.5tを引いたら空虚重量8.5t前後となるんですが。
    テジャスで5.5t、グリペンEで6.8t、F-16Cで8.3tと、どう考えても重すぎる。
    F-16C(B50)(MTOW 19.2t/131kN)に比べて16.5t/80~90kNでは鈍重と言わざるをえないでしょう。
    内部スペースが心配なくらい細く見える機体にこの数値といい、レーダー直径が小さいLIFT機に中AAMを山盛りといい、どこまで本気なんでしょう?

    7
      • ブルーピーコック
      • 2023年 2月 14日

      フェニックスミサイルをガン積みして飛ぶトムキャットの写真や、GBU-32を8つにサイドワインダーを取りつけたホーネットの写真など、この手の宣伝ではよく見ますよ。

      機体の大きさと重量がF-16が近いのにエンジンがF100-PWではなくF404-GEだからパワー不足っぽいのは仰る通りですが、量産型ではテジャスMk2と同じF414や、F-16INことF-21のF-110エンジンを流用してくるかもしれませんね。続報に期待しましょう。

      1
        • kitty
        • 2023年 2月 15日

        画像はイメージです。実際の商品とはデザイン・仕様が一部異なる場合がございます。

        5
    • 黒丸
    • 2023年 2月 15日

    バブルのころのOS市では、他の都市にはできないとか首都TKにも負けないとか、
    というワードで「ユニーク」な公共建造物を売り込むことがよくあったので
    画像やスペックからはそれと同じような、公務員や政治家を刺激する香りを感じてしまいます。

    • 匿名
    • 2023年 2月 15日

    翼形状にすごく時代遅れみを感じます

    4
      • STA
      • 2023年 2月 15日

      なぜ?ステルス機でもないし何も問題ないでしょう。F-16みたいな形だけどF-16もアップグレードを繰り返して今も生産が続いているし。

      6
      • 南極1号
      • 2023年 2月 15日

      高翼にしたらミラージュF1だね・・

      8
    • TA
    • 2023年 2月 15日

    しかし戦闘機ってのはエンジンに翼付けてるだけだなw

    3
    • hikoukiotaku
    • 2023年 2月 15日

    なんて古臭い見た目だ
    日本が必死に次世代機を開発してるのがアホらしくなってくるな
    エリアルールガン無視の寸胴かつ貧弱なエンジンで超音速は厳しそうだが果たして性能は如何程か

    1
      • STA
      • 2023年 2月 15日

      そもそも用途が全く違うものを比べるのはおかしいでしょ。
      これは安価な練習機/軽戦闘攻撃機。高価なステルス戦闘機とは全く違う。

      16
        • hikoukiotaku
        • 2023年 2月 15日

        そりゃあわかってるさ
        ただこいつは明らかに用途を絞り切れていない、ちぐはぐで中途半端に見える飛行機だから「ああ飛行機ってこんなんでいいんだ」って思っただけ
        FA-50は良くできていたと改めて思うわ

        6
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP