豪政府は発表が遅れていた次期歩兵戦闘車の最終選定結果について「現在進めている国防戦略の見直し結果に従う」と発表、要するに「次期歩兵戦闘車の調達優先度や調達規模が変更される可能性がある」という意味だ。
参考:Australia’s IFV decision to follow strategic review
オーストラリアの国防戦略と装備調達は労働政権下で大きく変更される可能性が高い
昨年に豪陸軍は約10ヶ月間に及ぶ最終選考を終えて「来年の第1四半期までに次期歩兵戦闘車の調達機種(LynxKF41とRedback)を発表する」と発表していたが、今年5月の総選挙でモリソン前首相が率いる自由党はアルバニージー現首相が率いる労働党に敗れ政権交代が実現。
アルバニージー首相は2012年に策定された国防戦略が「急速な中国軍の台頭」や「台湾海峡の軍事的対立」をカバーしていないことを問題視、2023年3月までに国防戦略(2023年~2033年)の大幅な見直しを行うよう指示していたが、豪政府は発表が遅れていた次期歩兵戦闘車の最終選定結果についても「国防戦略の見直し結果に従う」と発表、要するに見直し結果に基づいて「次期歩兵戦闘車の調達優先度や調達規模が変更される可能性がある」という意味だ。
AUKUSの枠組み内で進められている原潜取得に関連してコリンズ級潜水艦→原潜というスケジュールで行くのか、コリンズ級潜水艦→暫定的な通常動力型潜水艦→原潜という緩やかなスケジュールで行くのかについても「国防戦略の見直し結果次第」と見られており、オーストラリアの国防戦略と装備調達は労働政権下で大きく変更される可能性が高い。
因みにノルウェーで進められている次期主力戦車の選定結果(レオパルト2A7NOとK2NO)も「まもなく発表される」と言われてきたが、現地メディアは「ウクライナ侵攻の影響を受けて陸軍参謀総長が新たな戦車調達に反対している=戦車より長距離攻撃能力の調達優先度が高くなったという意味」と報じており、このまま行くのか計画を白紙化するのかに注目が集まっているが、ノルウェーのグラム国防相は「次期主力戦車の調達を計画通り進める」と述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:Australian Army / CPL Sagi Biderman
やっぱり、レガシー的な装備調達に逆風が吹いて来ましたなあ(すっとぼけ)
このところ、調子が良かった韓国製兵器は軽戦闘機・戦車・装甲戦闘車・自走砲と現在流行のドローンや多連装ロケットシステム(韓国もこれらの開発はしているけど)とは違ってどちらかと言えばレガシー的な兵器が多く、西欧諸国では戦略の見直し等で作らなくなったところへロシアのウクライナ侵攻で急に需要が拡大した為、それを作っている韓国へ発注が集まると言う状況でしたが、やっぱり揺り戻しがやって来たと言う事でしょうか
さあ、韓国はこの後やってくるかも知れないキャンセルの嵐に対抗出来るのか?
そして、我が日本はこの韓国の動きから教訓を得られるのか?
キャンセルって豪州もノルウェーも正式契約したわけじゃないのに何いってんの?
もし契約を締結したポーランドのことをいってるんだったら、貴方が英国のF-35Bのことで違約金だと騒いでいたとおり、違約金が発生するだけでしょう。
ああ、御免なさい
正確にはキャンセルでは無くて計画中止とするべきでしたね
大変失礼致しました
韓国にはレガシー以外の兵器もあるのでそれらで挑戦するだけでは?
ウクライナ支援で他の西側諸国は提供能力に限界がある中韓国はある程度余裕があるのでその点でも有利に働くでしょうし。
>>コリンズ級潜水艦→暫定的な通常動力型潜水艦→原潜という緩やかなスケジュールで行くのかについて
これから日本は潜水艦に長距離打撃能力を付与したりしてとにかくお金がかかる
少しでも赤字を節約するために日本の潜水艦を是非売り込んで行ってほしい
(防衛産業のエコシステム拡大+豪州との協力深化)
英BAEとでも組むの?
オーストラリアは戦闘システムを米国製のやつを希望していた記憶がある
同じ英語圏同士だし英BAEでも基本的には大丈夫だと思うから全然ありだと個人的に思うよ
ただ潜水艦製造キャパ事情に詳しくないから、日本側が船体を用意出来るかどうかわからないけど
日本はたいげい改あるいは次期潜水艦でVLS付きの省人化した艦を作って欲しい。おやしお型潜水艦をVLS付きに改修して、オーストラリアに譲り、新型を15〜17隻位に増やせれば、かなり海上防衛力を強化出来ると思う。
こういった軍事の世界のトレンド変更による計画の変更や破棄はよくある話。日本の直近事例だとASM3の計画破棄とか、古くはWW1のユトランド沖海戦の結果を受けた伊勢型戦艦の仕様変更とか。
むしろウクライナでの戦いを見て各国がどういった兵器の調達や開発を行うのかが気になる。
いざ戦争の危機となったら取り急ぎ一番必要なものから順に買い揃えるでしょうし、地上戦リスクが少ない国は戦車や装甲車の調達も後回しになりがちなのは仕方ないですよね。
陸自も戦車・火砲定数は400門体制を当面維持する方向らしいです。今増やさないでおいて今後増やせるとでも思ってるのか!と一喝入れたくなりますが、南西諸島有事に大量のMBTはいらない反面ミサイルをこれから山ほど作って配備しなきゃいけないですからね。島嶼防衛用高速滑空弾が事実上のMRBM化するという話もある中で、10式戦車の世代で増産方針は無いというのもまた仕方ないのかもしれないですね。
300輌/300門ですよ
400両のIFVが不要とか200両で良いのではないかといった素人の意見は背景を理解しておらず議論に値しない、オーストラリアの防衛戦略上非常に重要で必要な装備だ!…ということになっているようですね。
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ただ、インフレやエネルギー価格の高騰でどうにもならず優先度の高いもの以外はゴリゴリ削られそう。
米国・英国・韓国の兵器調達を見ていたら納得の日常茶飯事的な方針変更でしかないわいな。
納品が完了するまでは何処に転ぶかさっぱりわからないのが防衛産業界やね。