米国を含む西側諸国は、F-22の派生型である戦闘爆撃機「FB-22」の復活を待ち望んでいると、オーストラリアメディアが報じている。
※本記事は2019年11月15日に公開した記事の再掲載です。
参考:Tactical long-range strike and the heir to the F-111: Reviving the FB-22?
西側諸国にはF-15EやF-111、トーネードの後継機が必要か?
オーストラリアは過去、最大15トンもの兵器搭載し無給油で4,000km以上飛べるF-111を運用していたが、同機の退役に伴い「長距離攻撃」の手段を失ってしまった。
オーストラリア空軍が装備する「F/A-18E/F」や「F-35A」では、F-111が実行していた全ての任務、特に「長距離攻撃」を完全に代行することは不可能で、オーストラリア国内では失った「長距離攻撃」の手段を取り戻すための議論が活発化している。
オーストラリアがF-111の代役として見込んでいるのは、コリンズ級潜水艦の後継艦として調達するアタック級潜水艦だ。
アタック級潜水艦は、フランスが建造している「シュフラン級原子力潜水艦」の通常動力バージョンで、長距離の哨戒範囲と対地攻撃能力(巡航ミサイルや偵察用ドローンの打ち上げ能力)を備え、オーストラリアの長距離攻撃手段=戦略的な抑止力として機能することが期待されているが、この方法にも問題がある。
潜水艦の移動速度を考えると突発的な脅威に対しては力不足で、仮に事前展開で補ったとしても「攻撃の持続力」は航空機に叶わない。
一般的な潜水艦の弾薬庫容量(魚雷やミサイルなど貯蔵する空間)は20発から30発程度なので、打ち尽くせば弾薬の再装填のため港に戻らなければならず、そのための移動時間を考えると「迅速性」や「再展開力」に欠けるという意味だ。
最近、オーストラリアは米空軍が開発中のステルス爆撃機「B-21 レイダー」について、米国はオーストラリアへの販売を否定しなかった=B-21を売る気があるかもしれないと報じ、オーストラリアはB-21プログラムへ参加すべきだという意見があるが、これは上記のような理由が発端になっている。
そして本題はここからだ。
オーストラリアはF-111の正当な後継機としてF-22の派生型、FB-22プログラム復活の可能性を示唆した。
米空軍の戦術航空戦力は将来的にF-22とF-35に集約され、F-15やF-16などのレガシーな航空機は姿を消すことになり、B-1BやB-2などの戦略爆撃機もB-21に置き換えられ、最終的にB-52HとB-21に集約されることになる。
現在、米空軍にはF-15Eという戦闘爆撃機が存在するが、この機体の後継機計画はなく、F-35とB-21の中間に位置するミドルクラスの攻撃手段を米空軍は失い、同じように欧州でもトーネードが退役し、その穴を埋めるため苦労している。
この状況はオーストラリアがF-111を退役させ「長距離攻撃手段」を失ったのと良く似た状況であり、ここにF-111やF-15E、トーネードタイプの攻撃(戦闘爆撃機)機需要があると指摘。
昨年、米議会は空軍に対し、F-22の製造ラインの再構築及び、近代化を施したF-22の調達に掛かる費用の調査を行うよう命じ、その結果、F-22の生産ラインの復旧、サプライチェーンの再確立、熟練した生産要員の確保及び再訓練、旧式化したF-22の主要システムの再設計などに掛かる費用は70億ドル(約7,580億円)から120億ドル(約1兆3,000億円)が必要で、近代化されたF-22の製造再開までに約5年程度の時間が掛かることが判明。
空軍は近代化されたF-22を197機調達した場合、機体単価は約2億1,600万ドル(約234億円)から約2億6,600万ドル程度(約288億円)と見積もっており、F-22の製造ラインを再構築及び、近代化されたF-22の取得に掛かる総費用は、最大で約644億ドル(約7兆円)が必要なると見積もっている。
このような試算結果に基づき、米国ではF-22の最調達はありえないと結論付けられたが、オーストラリアは米議会に提出された報告書には、同盟国の存在が抜け落ちており、米国とオーストラリア、さらに日本の3ヶ国で、再生産されたF-22を最低でも388機(米国が197機、日本とオーストラリアで191機)調達すれば、再調達にかかるコストを分散できると主張している。
もしF-22の再調達が行われば、その製造ラインやサプライチェーンを活用し、FB-22を開発し製造することも可能で、米空軍のF-15E後継機としてだけでなく、F-111を失ったオーストラリアや、トーネードの穴埋めに苦労している欧州が購入するだろうとF-22の再調達や、FB-22の開発に一定の期待を寄せている。
この話は、あくまでもオーストラリアの立場から見た場合であり、第6世代機の研究や開発、B-21プログラムへの投資、極超音速兵器の開発など将来への投資のため、今後5年間の予算から約300億ドル(約3兆2,000億円)を捻出しなければならない米空軍に、F-22の再調達費用やFB-22開発費用を実行するだけの予算的余力はなく、まず実現することはないだろう。
それでも、ロシアの軍事的脅威の復活、中国軍の膨張による米国との対立、きな臭いままの中東情勢など、世界を取り巻く状況の変化=新たなゲームに積極的に関わり自国の利益を守ろうとしているオーストラリアの姿勢だけは、よく伝わってくる。
※アイキャッチ画像の出典:US Air Force / Airman 1st Class Isaiah Soliz
F-111の後継が欲しいならF-15E+空中給油機で十分なのに、FB-22は航続距離が2倍でペイロードが半分以下なのでステルス性の優位性を考慮しても割に合わないでしょうね。
F-15E : フェリー航続距離 3,840km, 武装 11t
F-111 : フェリー航続距離 5,950km, 武装 11t
FB-22 : 計画航続距離 9,000km, 武装 SDB 130kg x 35個 = 4.6t
むしろアメリカ空軍F-Xの「敵領域に深く侵入し打撃を与える」のコンセプトの方がF-15EやFB-22の後継になりそうな感じですが、航空優勢・航空支配を取るための戦闘機は無人機と中距離AAMと割り切るのでしょうか
このフェリー航続距離と巡航速度の?戦闘向けの航続距離の違いを認識できるのって重要ですよね
(いい加減な資料だと、この辺ごっちゃになってる気がします)
豪海軍が潜水艦に対地火力投射能力を求めていたのなら、対潜水艦戦に特化した「そうりゅう」型は最初からお呼びでなかった、という事になりますが、そこのとこ実際はどうなんでしょうか。
オーストラリアが求めていたのは「そうりゅう」そのものじゃなく、ガワは「そうりゅう」で中身は米国製システムを積んだ新造艦なので必要なら要求出して開発するだけだと思う
言ってることが無茶苦茶って感じる
F-117:4,700㎞ぐらい、核爆弾、ハープーン・対艦ミサイル×4 サンダーボルト(1)系の戦闘爆撃機、現在のならF-15E(イーグル)
F-22:3,500㎞程度、AIM-120・対空ミサイル、そもそもF-22はF-15C/D・制空戦闘機の後継 精密誘導爆弾も搭載できるけど、スティルは棄損する(外部のハンガー)
オーストラリアにピッタリなのは対地、対艦攻撃能力を持っていて、増槽もOKなF-15E。
アメリカにプッシュするなら、F-15EX計画(F制空戦闘機である-15C/Dの再生産であるけど)・・・・
つうか、ラインを閉じて間もない?から、F-15Eを買えば良いだけでは? って思うけど。
そんなに長距離爆撃が必要なのにオーストラリア空軍は何故にF-15Eを導入しなかったんだろう? 増槽もサポートされてる。(6,000km超)
F-111の後継として、F/A-18F・スーパーホーネット(対地、対艦攻撃能力はあるけど、4,000km弱)を導入したんだよね。
もっと言えば、海軍の強襲揚陸艦+F-35Cでそれ(長距離爆撃)をやれば良いのでは?
更に言えば、長距離爆撃を素直に買ったら? アメリカ、EUには無いけど、オーストラリアが大好きな中国とか、ロシアは生産してる。
F-15EXじゃだめなんだろうかステルス性以外の全てでF-22Bに優位な気がするけども
そのステルス性こそが問題ってこと?
FB111の後継機でステルスでしょうか
F35の爆撃機タイプやF15Eの方がオススメでしょうね
開発費考えたらプラス空中給油機の方が安く上がるのでは?
日本の次期戦闘機の要件が少ない数で列島防衛するに足る長大な飛行距離だから、共同開発ワンチャンあるか
無いな
機体だけならその用途は満たすので、現状長距離爆撃機(中距離?)が15Eしかないなら、西側の市場独占出来るかなぁ…… って私もちょっと思いました。
実質Fー2に対地攻撃能力付与するだけですし。
Fー2には無かったですよね? やってやれん事も無いんでしょうけど。
Fー3を攻撃機仕様にしてB1Bランサーの代替出来ないかな? ってちょっとおもいました。大型双発のステルスならアメリカも持ってない機体に仕上がります。
当時の通産省がCFRPをアメリカに輸出禁止にしてしまい
その報復でF-22が日本が購入する事出来なかった
(ヴィズビー級コルベットに使われたため兵器扱いに)
イスラエルやサウジアラビアから購入の打診あったが
なぜうちには売ってくれないんだと日本が文句を言う為
売れず…
その為価格が高騰
レーダー問題は日本に売らない為の口実
今更、10年以上前にお蔵入りになったFB-22案が欲しいって…何を考えているんだ豪州は。
流石は、自国の潜水艦選定で要求性能の違いがあったとは言え、それ自体は優秀なそうりゅう型ベースの日本案を蹴って、原潜を無理矢理通常動力に置き換えた様なフランス案を選んだ国だなとしか思えないです。
>共同開発ワンチャンあるか
豪州に、共同開発するだけの価値ある技術がないと思うので、開発費持って貰いましょうか……
あっそれでも、豪州に機体渡したら中国に漏れちゃうか。
どういう状況下で使いたいのだろう?
機種を増やすと手間なので、F/A-18E、FにCFT
付けたら良いのでは?
オーストラリアの仮想敵ってインドネシアだっけ?
中国と二股かけてるオーストラリアにそんなのスペックの攻撃機必要なのか?
そう言えば、F2後継機の要求仕様って、あと1ヶ月位で出てくるのでしたっけ?
どんな感じになるのですかね。
F-111の後継機がF-15Eで有り、F-15Eがきえる予定なんか現状無いと思いますけどね
ステルス能力が欲しいなら限定的にF-35を使い、後はストライクイーグルの搭載量を生かして攻撃すれば良いわけだし
F-22自体が復活するかもわからんのに開発費かけてF-22の攻撃機バージョンなんか無理無理
米議会が承認するわけ無い
本当に必要なのはエアショーでトーチングが出来る機体ではないだろうか
勝手に日本を入れるなと言いたい(汗
F-22にそんなキャパ無いと思うので
英国連邦のよしみでテンペストの開発にお金出したうえで
攻撃機バージョンの追加をお願いしなさいよ。
アメリカが6世代の戦闘機を売る予定はないって言うのを聞いて「せめて5世代は確保しなきゃいけない」と言うことでラプターの復活に躍起になってるみたいな話を他の記事で読んだ気がする。
オーストラリアと組むと中国に情報が漏れるって今でもよく言われてるようですけど、
実際今もそうなんですかね。最近急に、中国に対して厳しくなってきたような。
そんな急には変わらんかな。
ロッキードマーチンの願望を、オーストラリアのメディアに流した記事にしか思えん…
昨年11月ならば、日本のF-2後継機に対しても工作していたかな?
米国の第4世代機って退役したF-14以外、機動性重視の副作用で空気抵抗が大きく燃費に不利な機体ばかりですからね(武装したF-16は揚抗比3程度らしい)。高速性を重視してた第3世代機の方が航続力の点でも有利だったのかも(エンジンだけ近代化すれば)。
B-21レイダー売ってもらえるように運動したほうが遥かに現実味あるね
ロシアから例のタンデム戦闘爆撃機買いなさいよ、陣営は異なれど直接ぶつかる利害対立は無いし、インドとの関係をみてても、ロシアはチャイナをイライラさせて密かに楽しんでる気配があるから輸出してもらえるよ
この件に限らず最近のオーストラリアの姿勢は良いと思うし
爆撃機を持とうとすらしない平和ボケしたうちにも見習って欲しいところだけど
検討不十分なまま取り敢えず勢いでいってるみたいなとこあんのはどうかと思うな
レイダーで間に合わせるにはどうすればいいかって考えればいい
ブラックバック作戦よろしく給油機で距離伸ばすのは非現実的でも逆はまだやりようあるだろう