インド太平洋関連

印中国境衝突、各国がインドの要請に応えて武器の緊急引渡しに応じる

インドは国境地帯での軍事的対立が長期化することに備えて、ロシアや米国などの国に発注済みの武器引き渡しを急ぐよう要請している。

参考:Ladakh standoff: India’s allies pitching in with weapons and ammunition

各国がインドの要請に応えて武器の緊急供給に対応、中国は米国を非難するも本当に文句を言いたいのは・・・

インド軍と中国軍は双方に死傷者を出すほどの衝突を経験したため、両国はラダックのギャルワン渓谷から兵士を後方に下げることで合意したと言われている。

しかし現実には国境地帯への戦力増強は続いており、中国は国境沿いに1万5,000人以上の兵力や空気の薄い高地や山岳地帯での運用に適した15式軽戦車などを送り込み、国境に近いガリ空港には戦闘機Su-30MKKや爆撃機H-6を配備、インドも中国の戦力増強に合わせて戦闘機や兵力を送り込み国産地対空ミサイル「アーカーシャ」までラダック地域に配備したらしい。

さらにインドは国境地帯での軍事的対立が長期化することに備えて、ロシアや米国などの国に発注済みの武器引き渡しを急ぐよう要請している。

出典:Минобороны МО / CC BY 4.0 S-400

ロシアはインドが発注した防空システム「S-400」の引き渡しを出来るだけ加速させることに同意し、インドが導入したロシア製兵器に使用される弾薬やミサイルの緊急納入にも協力すると約束した。

フランスは7月27日までにインドへ空輸されるはずだった戦闘機「ラファール」について、当初予定されていた4機ではなく最大8機を引き渡せるよう努力すると言っており、イスラエルもインドが発注していた地対空ミサイル「MRSAM(※1)」を緊急納入するためイスラエル軍が保有しているものをインドへ引き渡すと報じられている。

出典:franz massard / stock.adobe.com

そして米国はインドが要請した偵察衛星による国境地帯の情報提供や、155mm口径の誘導砲弾「M982 エクスカリバー」の緊急追加発注に応じると言っている。

※1補足:地対空ミサイル「MRSAM」はイスラエルとインドが共同開発した艦対空ミサイル「バラク8」の地上配備型。インドはこれを5個連隊分(40基の発射装置/ミサイル200発)を発注済みで2020年中に引き渡しが始まり2023年までに配備が完了する計画だった。
※2補足:エクスカリバー砲弾は折畳み式の滑空翼とGPSを備えているため通常弾よりも射程距離が長く命中精度が高いのが特徴で、ヘリコプターによる吊り下げ輸送に適した超軽量なM777榴弾砲で使用可能

一方の中国はロシアから武器の緊急調達を行っている様子はないが、米国が南シナ海や台湾海峡に集中する中国軍の戦力分散を狙ってインドに接近していると警戒しているが、米国は援助だけで米軍を派遣する可能性は低いため、例え援助と引き換えにインドを味方につけて中国包囲網を作り上げたとしても効果は薄いと主張している。

恐らく中国にとって米国のインド接近は特にきにならない様子(インドが米国に取り込まれることを拒否しているため)だが、ロシアのインド支援は気になって仕方がないようだ。

出典:T-90_Bhisma.jpg:cell105 / CC BY 3.0 ロシアはインド発注済みのT-90MSを急いで供給するため工場の操業時間を延長する対応をとっている

中国からしてみればロシアは米国という共通の敵に対しては互いに手を結んでいるのに、インドの問題になると中国の事情を無視した行動(インドへの支援)を取るため苦々しく思っており、中国の軍事アナリストは「ロシアとインドの軍事協力は原則と節度に基づいて行わなければならない」と指摘してる。

さらに付け加えるなら、S-400早期引き渡し交渉はロシアの戦勝記念パレードに招待されモスクワを訪れたインド代表団との間で行われたため、同じく戦勝記念パレードに招待された中国代表団の目の前でロシアの「インド優遇」を目撃することになったのだから中国としては心中穏やかではなかったに違いない。

一応、表立ったロシア非難は行っていないが影で相当文句を言っているに違いない。

関連記事:中国は困惑、ロシアがインドに「T-14」を供給して軍事バランスを調整

 

※アイキャッチ画像の出典:Tim Felce / CC BY-SA 2.0

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    せっかくのチャンスなのに、何も売り込めないうちの国が残念

      • 匿名
      • 2020年 6月 29日

      売り物が不足してる・・という現状ではね。
      整備やサポート、交換物品等のサプライヤーの充実は兵器販売に欠かせませんから。
      このどれもが足りないです。

      • 匿名
      • 2020年 6月 29日

      それ、完全に中国にケンカ売る事になるんだけど。
      日本・中国ともそこまで覚悟決めてないしまだそんな流れにまで至ってないのに、自分から口実造れって?
      正気か? 
      いやまあ確かに、韓国みたいな考えなしの国なら後先考えずにやっちゃうんだろうけどさぁ……

        • 匿名
        • 2020年 6月 29日

        発足直後の第二次安倍政権のダイアモンド構想がそのまま実現したのが今のアジア情勢。
        この事態を予測して、中国の崩壊による津波からアジアを守る防波堤となるために、日本は各国とスワップなどの経済協力を纏めまくってきたという先見性も大したもんだと思う。
        アメリカが衰退するのを予想して日本は中国と対立してもアジアの守護神になる決心をしていた。
        中国をTPPから排除するのは当然だが、韓国も最初から排除する方針だった、今になって韓国がどうあがいても紅組に人るように日本は周到に準備していた。

        • 匿名
        • 2020年 6月 29日

        意味不
        中国が日本と敵対していない国ならともかく、尖閣諸島を侵略してる時点でとっくに喧嘩売られてる
        武器を売っても売らなくても何も変わらない

        • 匿名
        • 2020年 6月 29日

        ならインドの要請にこたえたイスラエル、フランス、ロシア(アメリカ)は完全に中国に喧嘩を売った事になるのか?

      • 匿名
      • 2020年 7月 02日

      現政権では売れることになってても、次の政権でひっくり返される危険性を考慮したら、とても日本製の兵器は購入できんでしょう。

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    >一応、表立ったロシア非難は行っていないが影で相当文句を言っているに違いない。

    「国家に真の友人はいない」を地で行く展開

      • 匿名
      • 2020年 6月 29日

      というか中国とロシアって昔から、アメリカに対してのみ敵の敵は味方理論で手を組んでるだけで、それ以外の場合は大抵の事で良好とはとても言えない関係だからなぁ。

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    インドもこの先ずっと非同盟で行けるとは思わないんだけどどうなんだろう。人口もGNPも順調に増えているけど、社会福祉予算も鰻登り。中国相手に1国で踏みとどまれる自信はどこからくるんだろう

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    兵器輸出でロシアがインドを優遇するのは中国がロシア兵器を違法コピーしまくるせいなんだけどなんにも反省してなさそうwww

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    ロシア「強くなって協力して欲しいとは言ったが圧倒する程勢いが欲しいとは言ってない」

    インド周りで中国優勢になって影響力がそがれるのはロシアにとっても面白くないでしょうし

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    ロシアのT-90MS、面構えは凶悪だな、
    面構えだけは。

      • 匿名
      • 2020年 6月 30日

      いかにもロシア面満載ですね。

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    米露にとっては中国に荒らされる可能性が無い数少ない武器市場だから大量に自国の武器を売りたいよね。

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    今回の中国の行動はあらゆる面で裏目にしか出てないような…
    何か壮大で深淵で奥深い偉大な考えがあっての事だろうか。

      • 匿名
      • 2020年 6月 30日

      「そんなことプーさん考えて無いよ」

      • 匿名
      • 2020年 6月 30日

      昔ながらの外交官がいないんでしょ中国に
      だから正しい外国の付き合い方や距離の置き方がわからなくなっているんじゃないかなと思う

    • 匿名
    • 2020年 6月 30日

    これらの中国に不都合な動きをした国に対して、当然中国は経済的な圧迫を加えるだろうけども、例えば経済力が韓国よりも下らしいロシアとかは何故平気でいられるのだろうか? 兵器の先進性がモノを言っているのだろうか。
    日本も韓国に対するフッ化水素のような、これをやられたらもの凄くイタイという中国に対する切り札はないものでしょうか?

    • 匿名
    • 2020年 6月 30日

    >中国が境界線付近に配置された軍部隊に、登山家や格闘家らを配属させていたことが分かった。
    リンク
    中国さん、殴りあいする気満々だったんだ。

      • 匿名
      • 2020年 6月 30日

      殴り合い だから平和的手段ですよアピール

      中国様はいざとなったら
      「10億人死んでも残りの1億が仇をとってくれる(人口11億人時代)」という読みの人種だからなぁ

    •  
    • 2020年 6月 30日

    ロシアにとってどっちが優良顧客かってことだろ。
    一方は勝手にコピーして他国へ売ったりするんだから。

    • 匿名
    • 2020年 7月 01日

    トルコのS-400をインドに早期売却すれば、ロシアもトルコもWin-winなのでは?

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