5月の総選挙で政権交代が実現したオーストラリアではダットン前国防相が原潜導入計画の一部を暴露、大問題に発展している。
参考:Dutton’s secret plan to fast-track nuclear submarines
原潜導入までのギャップがオーストラリアの安全保障に深刻なリスクをもたらすかもしれない
モリソン前首相は総選挙敗北の責任をとって自由党の党首を辞任、後任には前政権で国防相を務めたダットン氏が就任しているのだが豪Australian紙に寄稿した記事の中で「2030年までに米国からバージニア級原潜を2隻取得、さらに国内で8隻の原潜を建造する計画が進められていた」と暴露したため大問題に発展している。
前政権は米英豪で構成された軍事同盟「AUKUS」を通じて原潜を導入すると発表、3ヶ国は18ヶ月間をかけて豪原潜導入に関する手続きやスケジュールを決定しようと協議を進めている最中だが、新しく政権を担当する労働党は原潜導入計画の維持を表明しているものの導入過程については自由党とは異なる立場だ。
つまり前政権はアタック級潜水艦の導入を中止、アップグレードを施したコリンズ級潜水艦でギャップをカバーしながら原潜導入を急ぐという方針を打ち出していたが、米国からバージニア級原潜を輸入するというのは現実的ではないと散々言及されてきた部分(本ブログでも何度か紹介している)で、原潜を国内で建造するためは原子力産業(技術者)を一から育成しなければならず、仮に原子炉を米国や英国から輸入しても核廃棄物は国内で処理しなければならない。
このような現実問題を考慮してアルバニージー首相が率いる労働党は「原潜導入には時間がかかるのでギャップを埋める通常動力型潜水艦がもっと必要だ」と主張しており、マールズ新国防相も「2038年までに国内で原潜を建造できるという前政権の計画は楽観的すぎる。このギャップを埋める方法を検討しなければならない」と述べてことを受け、ダットン氏は前政権時代に自身が関わっていた原潜導入計画の一部を暴露、現地メディアは「現政権にモリソン政権が進めていた計画を引き継ぐよう促すのが目的だ」と報じている。
ダットン氏は「モリソン政権が存続していればバージニア級原潜の導入が7月~8月に発表されていたかもしれない。私は労働党がこの計画から手を引くのではないかと心配している」と明かしているが、この暴露についてAUKUSの協議に関わっている関係者は「年内発表を予定していた計画を台無しにした」と述べており、政界や国防当局者からも「AUKUSのパートナーシップに悪影響を及ぼすだけでなく、コリンズ級潜水艦のギャップを埋めるプロジェクトも影響を受けるかもしれない」と主張。
別の関係者は「新聞の報道でオーストラリアの原潜調達から自分達が外れるのを知るのは英国人にとって面白くないだろう」と指摘しており、ダットン氏の暴露は完全に裏目に出た格好だ。
ダットン氏が明かした計画が本物なのかどうかは不明だが、どちらにしてもコリンズ級潜水艦→新しい通常動力型潜水艦→原潜という見方が支配的になっているオーストラリアで、コリンズ級潜水艦→原潜を主張する自由党の存在は新しい通常動力型潜水艦の調達で揉める要素(導入議論がまとまらず調達に遅れがでるという意味)となり、原潜導入までのギャップがオーストラリアの安全保障に深刻なリスクをもたらすかもしれない。
関連記事:オーストラリアの原潜導入手続きがスタート、米英豪が原子炉技術の情報交換協定に署名
関連記事:豪海軍、アップグレードを行うコリンズ級潜水艦にトマホーク統合を検討
※アイキャッチ画像の出典:public domain
何がしたいんだろうね。
潜水艦だけに、地に足が着かない浮いた話だな。
原潜導入に時間かかるのは正論だけど、アタック級の運用開始が30年代って言われてたのを考えれば、豪では通常動力型の導入にも時間かかるよな。
今から通常動力型潜水艦の入札を初めても30年代に運用開始できるのかと疑問しかない。
豪の求める水中排水量4000トン級の退役潜水艦がないから新規建造しか手がないけど、ドックも技術者もろくにない豪が国内建造にこだわりすぎるのが一番の問題だろう。
>ドックも技術者もろくにない豪が国内建造にこだわりすぎる
労働者・組合の政治的な影響力が強すぎるんだろうねあの国…それで純粋に効率と必要性を満たした国防計画が立てられない。まぁ労働者の権利がものすっごく弱い国もそれはそれでどうかと思うけど。ともあれ、豪州潜水艦取得計画ってのは別に「オラ中国原潜をラ国しる!」みたいな〇大丈夫か??というような話でもなく全地球的に言えばそんな大した話では無いし、米英とまぁ仲違いしない程度にお好きにどうぞ、てな印象。
人材集めようにも鉱石掘ってたほうが造船技師より遥かに儲かるとか言う歪な環境だし無理だろなぁ
>何がしたいんだろうね。
何もする気がないんじゃないですか。
あの人たち、潜水艦は、政争の具としてしか見てない気がする。
紛争地帯から地勢的に隔絶されすぎていて、潜水艦で防衛とか、カネがかかるファンタジーの域なんですよ。たぶん。
少なくとも防衛関係者とそれ以外の人とでの間に、中国の第二列島線への進出宣言の受けとらえ方に大きな差は間違いなくあるでしょうね
原子力潜水艦浮上せず、か
どう転んでもうまい話はない
やはり総選挙で方針に揺らぎが出始めましたか。
当初から原潜導入自体総選挙で信任されなきゃ進められないんじゃないかと思ってましたが、それ自体は争点にならなかったのは意外。しかしもとより無理のある計画だと思ってましたから、新政権がそこにメスを入れるのは、当然じゃないでしょうか。
それにイギリスが怒るっていっても、じゃあ追加で原潜作る余裕あんのかよって思いますが。
つなぎの通常潜は日本からドンガラ買ってアメ製で艤装します
とかに回帰したら大笑い
それはあり得ないでしょ、日本の通常潜は能力不足とすでにダメ出しされている。
とはいえ今のオーストラリア海軍が原潜を導入できたとしてもかなり先になり、しかも習熟訓練にかなりの期間を要し実践投入できるようになるまではさらに時間ることは間違いないので、その期間短縮を目的に大型潜水艦の訓練用としての中古導入は否定しきれないのでは
それに今年結ばれた日豪円滑化協定によりオーストラリア軍は日本に来やすくなったので、通常型でも日本で燃料や食料などの補給も受けて活動範囲を広げやすくなりましたし、何も目的がないのでしたらこの協定が結ばれなかったかと
経緯的にそうりゆう型が能力不足だから採用されなかったわけではない。
日本側に豪州国内産業振興への貢献度の高いオフセット提案も無い随意契約的プロジェクトだったため、新政権が白紙化の上で利を得ようと国際競争入札にした。日本政府はその対応への省庁間調整に手間取り完全に出遅れて商機を逃した、てのが実情だったと思います。
新造艦ですから、米製装備のインテグレーションに必要な情報さえ取得できれば、能力的な部分は豪側要求に最適化した設計変更でどうにでもなります。その作業自体は日米豪共同で行う計画でしたから問題は無かったでしょう。
豪政府から新たな要請が無い限り、今後豪州の潜水艦取得計画に日本が係わることは有り得ないとは思います。
通常潜を導入する意味は原潜導入までの空白を補填するため。
ならば早急に導入準備をしなければ意味がない。ここで先の入札で示された要求を繰り返すことは現実的ではないと考える。どこの通常潜メーカーもそんな現物を持ち合わせてないのだから。
まあ問題は振り回されて袖にされた形の日本がどう応じるか、豪がそれでもと腹を決めるか。
普通に有りものからチョイスするんだろうけどね。生産キャパに余裕があるとこでないと遅れるだけだし。
日本回帰は半分冗談半分はもしかすればあるかもしれない、くらいのものです。
結局、豪とすれば日本相手の最初の案の時点と大して環境に変化がないのですよね。早く新艦を導入しなきゃならないっていう。
ペーパープランしかない潜水艦と比較して能力不足とか、言われたくないよねー
まさかのアタック級復活…はないよなぁ流石に
流石にないと思うけど…
仏に違約金を支払って解消すると報道されてます。というか、違約金でかたがつき、労働党政権が余計なことをしないよう退路を絶ったから原潜導入計画を公表した気がします
納入予定があのままならありえないんじゃないでしょうか。
想像の域ですがね、アタック級の設計に関し米仏間の交渉がうまくいってなかったのでは。
モリソン首相は設計計画提出期限厳守を警告したわけですが、その時点でAUKUS創設協議が進行していたわけで、米側は仏への技術流出を懸念し協力しないと決定済だったてことなのかなと。
そうならば米製戦闘システムの資料が仏側に渡ることは無いわけで、アタック級復活は物理的にあり得ない。
豪政府が5億5500万ユーロ(約780億円)の和解金を支払うことで合意したと報じられましたし、政権交代に関係なくアタック級開発は永遠に無に帰した事実なんでしょう。
いっそのこと、コリンズ級の機関部を入れ替えたらと思う。
コリンズ級の幅は7.8mと比較的細身です。
過去の原潜で似た大きさのものを探すと、スケート級になります。
幅7.6m、原子炉はS3WまたはS4Wで、原子力ギヤードタービン、
出力は6,600shp。コリンズ級の推進電動機が7,050hpなので近いです。
潜水艦を後ろ半分ぶった斬って、原潜のそれと交換が良いと思います。
推進機関は米国製で決まりでしょうが、耐圧殻は日本で製造しても良いかな。
耐圧殻を製造して米国へ輸出し、推進機関を仕込んで豪州へ送り、
現地でコリンズ級をぶった斬ったら、と妄想します。
構想と決断があれば、その構想を実現するための手段が色々考えられるんだろうけど、決断がないから、手段が何も選べない感じかなと。
決断無いのは、カネが大層掛かる割に、「大洋の向こうのヨソの家の火事」の案件だから。決断するモチベーション自体が湧かない。
この問題の様子を見ていると、
最終的な形はどうあれ、時間稼ぎは必要だし、
そのためにコリンズ級の改装は不可避に思えます。
言われるモチベーションはその辺りから湧きそうですね。
色んな意味で故障や事故が起きる前にということかと。
生意気小僧が「全部ぼくちんが作るんだ」とほざいています
書かれた原子炉は古くて処分されている筈で、最新原子炉は提供してもらえるかサイズも分らない。図面とか残っているから作れるだろうって話は、素材とかで別物になるだろうしそんなに単純でもないだろう。当時物そのまま再現するなら原子炉の寿命が短くて現実的でもないだろう。
船殻に関してはコリンズがHY100相当の素材で日本のメインがそれよりやや性能が高いNS80、水圧受ける艦に異なる素材を使用すると言うのは溶接部分へのダメージ考えれば現実的ではないと思う。
オージーの潜水艦調達計画は行き当たりばったりって感じ
ロイヤル・ウィングマンの開発は羨ましい位順調なのにね
これはまた…しばらくもめそうな気配ですね。
原潜であれ何であれ、本格的な水中戦力を手に入れるまでのギャップが大変な事になりそうですが。
これ、尻に火が付くまではこのグダグダが続くんですかねえ…。
時間的余裕を無くしてから、慌てて通常潜の中古で繋ぐ事になりそうな気もします。
まぁその方が現実的だろうけどな。
いきなり原潜を作っても運用する要員がいないし教育期間も必要で、ヴァージニア級を取得(購入とは言ってない)して練習艦としてアメリカ兵とレンタルして平時は訓練、有事はアメリカ軍として共同運用になるんじゃないの?
豪シンクタンクなどは、コリンズ級から原潜への橋渡し役として”おやしお級”を推しており、コスト面はさておき、導入それ自体の合理性はありそうなので、チャイナの新型空母が西太平洋を遊弋するころには、米国や日本の尻にも火が点いて、具体的な話に発展するのでは…と静観していましたが、今回の暴露話はやはり出来過ぎのようにも聞こえます。
FYI:Second-hand Japanese boats could rapidly expand Australia’s submarine
force (ASPI; 23.12.2021)
リンク
一番手っ取り早く既存艦以外に触れて経験を積める方法ではあると思う。
日本も年に1パイ廃艦にする事だし。
お試しで、と簡単に言えるかどうかはわからないけど興味深い案ではある。
少なくとも新造のゴタゴタからはすこし距離を置けるのでは無かろうか。
しかし堂々と原潜導入を進められる豪は羨ましいな…
我が国は現代戦で役に立たないポンコツ通常潜しかないというのに
いや、此の状況だと豪州は同盟相手国の米英を裏切った形になるので、原潜どころかコリンズ級の代替となる通常動力潜水艦すら手に入れられなくなる公算が有りますよ。
それに、日本の通常動力潜水艦は間違ってもポンコツとは言い難い点もお忘れなく(まあ、もう二度と豪州に輸出する気は無いでしょうが)。
日本の潜水艦って世界的に見て静粛性以外の何が強いんでしょうか。公表されてませんが潜航深度などでしょうか
日本の潜水艦の潜航深度は世界的に見て高い方でしょう。
これはある程度の根拠がありまして、海自の現用潜水艦に使われている高張力鋼の品質(具体的には水圧に対する降伏強度又は耐力等)が世界的に見ても高いからです(日本の潜水艦に使われている高張力鋼はNS80とNS110で、NS80でも諸外国の物とほぼ同等以上、NS110だと米国のHY130と並んで世界トップクラス)。
後、見逃されがちですが、潜水艦用の魚雷を国産出来ているのも長所です(意外と自国で潜水艦用魚雷を開発する国は少なく、潜水艦は国産でも魚雷は海外製と言う国がマジである。因みにその国はオランダとスペイン)。
只、日本の潜水艦の場合は使用条件の違い(太平洋等の大洋で長期間運用する)から自動化が余り進んでおらず、乗員がその分多いと言った欠点があるのも事実です。
最大潜航深度については公表されてないので分からないとしか言えません。
高張力鋼の優越性をどう使うかによるからです。
つまり、同じ計画最大潜航深度なら鋼材を薄くできる(艦体を軽量化できる)利点があるので、まずは計画時の要求性能ありきなわけです。
いやーごうりゅうが流れて本当良かったというかこんなに何度もやらかす国に潜水艦売れる国なんてあるのかる
真に恐るべきは優秀な敵よりも無能な味方か
しかし、あーだもねーこーでもねーやってる内に韓国が原潜完成させて、やっぱ韓国から買いますとかにならんよな?
オーストラリア海軍は幸運である。
有人艦を前提とした通常動力潜水艦と原子力潜水艦の選択の決定が遅れて未定になったからである。
今後は、AI(人工知能)の信頼性や性能が高まれば無人潜水艦という選択肢が出て来る。また、アメリカ軍と協調が計られ役割分担も選択肢に入り、早急に原潜調達する必要性も低くなるだろう。
AI(人工知能)の信頼性や性能が高まれば無人潜水艦は乗員居住空間や生命維持の設備が不要になり動かない場合は酸素消費量もゼロにでき通常動力であっても長期間の潜航が可能となる。また、無人潜水艦は潜航限界深度等の性能も限界まで発揮可能になり実質的性能において有人潜水艦の性能を大きく超える事になる。
有人潜水艦と無人潜水艦との組み合わせも考えられる。
尚、私はオーストラリアの海底聴音網について知らないが、まず海底聴音網の充実が第一で、次期潜水艦の選定は、あせらず選択すれば良いだろう。
うーん無人潜水艦が実用化・部隊配備される前に有事が発生したら・・・と考えると「つなぎ」は必要だと思いますけどね、計画の二転三転振り見てるともう少し焦った方が良いのでは・・・
たしかに、新規に開発して建艦するとすれば10年以上かかるので早めの対処が必要でしょうね。また、「つなぎ」に有人の通常動力潜水艦を二隻程度年内発注すべきかもしれませんね。
尚、中国の軍事力がアメリカを超えるのは2030年代半ばと私は予想しています。しかし、軍事力がアメリカを少し上回ったからといって海戦の経験の少ない中国がすぐに海を隔てて遠く離れたオーストラリアに本格的に攻めるとは考えにくいですね。ただ、2040年前後に台湾攻略をする可能性があり、アメリカが中国に対して海上輸送の封鎖をするためにオーストラリアにインド洋地域の分担を求める可能性はあります。(インドが協力してくれるか否かは予測困難なので期待せずに対策を立てねばなりません。)
ただ、その場合も、民間船を停止させるのに潜水艦で魚雷攻撃するのは不適切で、水上艦艇で警告・停止させるべきです。海上封鎖に潜水艦の必要性は低いのです。
まあ、それでも、一応、有事は早ければ2035年に起きるとして対処すべきでしょう。仮に日本に有人の通常動力潜水艦を発注しても最短で4年程度はかかるので、日本か韓国に、1年以内に2隻程度の有人の通常動力潜水艦発注した方が良いでしょうね。ウクライナ危機で世界的に防衛力増強の機運が高まるので早めに調達しないと大幅に遅れる危険がありますから。
戦力の空白期間という仮想敵国や同盟国など国際的にどう思われるか、自国にどうアプローチされるか、連続性を保っていない軍が戦力を復活させるのにどれほど苦労するか等といった大きなリスクを無視するなら、オーストラリアに限らずどの国でも何年でも将来を期待して前政権のドイツ軍並みに軍縮して将来性にかけることはできますよ
それを幸運と呼ぶか利敵(売国)行為と呼ぶかは人によると思いますし、個人的には今のウクライナ情勢や中国の動きを見ると戦力の空白化が幸運とは思えませんが
軍事力は潜水艦だけではないでしょう。
他国とは海を隔て広大な国土と長大な海岸線のあるオーストラリアでは、防空能力が最優先で、海軍力も台湾有事の際にアメリカからインド洋や南太平洋での海上封鎖に協力を求められるとしても、民間船を停止させるのに必要なのは潜水艦でなく水上艦です。
つまり、オーストラリアにとって潜水艦が必要となる本格的な有事が予想されるのは15年以上先で、オーストラリアにとって潜水艦戦力の充実には15年の余裕があるので、焦って早めに調達して20年後に陳腐化するようでは逆効果なのです。
>連続性を保っていない軍が戦力を復活させるのにどれほど苦労するか
それは運用する者がいなくて人的承継が途絶える事が大きな要因でしょう。
しかし、オーストラリア海軍にはコリンズ級の潜水艦があり、性能や信頼性に問題があっても潜水艦乗組員やメンテナンスや修理をする職人や技術者は存在し、新型潜水艦でも通常動力なら導入は比較的容易に習熟可能でしょう。また、無人潜水艦を導入する場合は、導入前からコンピューター・シミューレーターでオペレーターの操作訓練可能です。
また、アメリカや英国の原子力潜水艦の入港を受け入れ、メンテナンスや修理をするドックをオーストラリア国内に新設すれば、将来の原子力潜水艦保有でのメンテナンスや修理でのとまどいも少なくできるでしょう。
米国から2030年まで新造のバージニア級を余裕を持って輸入するには米軍当初予定の34隻の後に作って貰うしかないと思う。ただ現状ではコロナのせいなのか造船所のキャパのせいか通常サイクルで起工してない。
ブロックⅤが10隻作る可能性があるみたいなので米海軍納入を優先するなら今の時点で、すぐにでもアーカンソー起工させて2年ぐらいの建造期間で回していかないと30年代までの納入なんて無理だろう。
S9G原子炉の寿命は長くなっているので米国向けを連続建造する必要もない気はするし、間にオーストラリア向けを挟んでも問題ないと思うがどんなスケジュールで行くんだろうか。
原潜を含む原子力船舶って高圧蒸気配管が一定の比率を占めるので、取り扱いとしてはディーゼルやガスタービンよりむしろ蒸気タービン船に近いそうです。また船ではありませんが、原子力発電所では一般に火力発電所より蒸気圧力が高いので取り扱いには特に専用のノウハウが必要だと言われています(原発の冷却水配管は特殊鋼製の蒸気配管がすり減るくらいの圧力と流速)。原子力以外で蒸気タービン駆動の船舶って軍艦ではもう殆ど無くて、海上自衛隊が原潜保有する場合でもそこらのノウハウ再取得が時間的障壁になるという意見もあり、豪州海軍としても(国産開発するにせよバージニア級を売ってもらえたにせよ)SSNではなくSSのツナギは必要だと思うんですよね…。SSの建造能力がない米英と組んでSS購入契約を結んでた仏をキックしてしまった今となっては時すでに遅しですが。
いい面を見れば、コリンズ級は武器システムは米国のロサンゼルス級の準拠品らしいので、仮に米国の造船所問題が解決してバージニア級を融通してもらえさえすれば武器システム周辺の移行はスムーズというメリットはありそうです。豪州軍は兵器体系や武器システムは米国準拠で統一しているので、そういう意味で英海軍の独自システムが中心のアステュートが不利に働いたというのはあるかもしれませんね。
まぁ何というか、日本ができなかったF22の供与を(製造ラインが閉じてから)米国に要求するような国ですからね、オーストラリア…
上のほうにあるように、オーストラリアは原潜を焦らずに無人潜水艦に傾倒したほうがいいよ
慌てたところですぐに導入は不可能、どっちに向いても角がたつんだから、とりあえず別の解を見いだすのが合理的
先では意外とそれが正解になったりする
原潜がどうの無人潜水艦がどうの以前にまず「豪州に必要な潜水艦とは何か」というのをキッチリ詰めるべきだと思う、
そこがハッキリしてないからこう二転三転するんでは・・・
いやいや、ハッキリはしてますよ。
米豪同盟の中で豪州海軍潜水艦部隊は南シナ海の哨戒を担当してきました。
その関係で南シナ海及びインド洋で活動できる作戦能力が求められているんです。その他の任務はその能力の範囲内です。
現在は追加として中国沿岸部を攻撃可能とする巡航ミサイルの運用能力を求められています。
原潜が望ましいのはそういうわけです。
それをハッキリしてる、とは言わないと思うよ。
「これこれの性能が必要だから原潜が望まれる」では「原潜が間に合わないので繋ぎで通常型を導入する」となった時にどこをどれだけ妥協するのかが全く定まらない。
私は第十軍団さんの「豪州に必要な潜水艦とは何か」に答えただけですよ。
それが原潜であろうと通常潜であろうと運用目的にかなえば良い。両者はトレードオフの関係にある、というだけです。
>米豪同盟の中で豪州海軍潜水艦部隊は南シナ海の哨戒を担当してきました。
南シナ海でアメリカが実施している「航行の自由作戦」は馬鹿みたいで効果が疑問だという事を抜きにして、オーストラリアの潜水艦が参加するとしても通常動力潜水艦で十分でしょう。
重要なのは台湾有事の際に中国を海上封鎖する能力ですが、もし仮にマラッカ海峡で中国に原油を運ぶタンカーを停船させる任務をオーストラリア海軍が担当するなら必要なのは水上艦であって潜水艦ではありません。
>中国沿岸部を攻撃可能とする巡航ミサイルの運用能力
今後、無人潜水艦の信頼性が有人潜水艦並みに向上すれば、そういう任務は無人潜水艦の方が向いているでしょう。対潜水艦能力の高い敵国に巡航ミサイルを発射すれば敵に位置が知られてしまい潜水艦が攻撃され撃沈される可能性が高いので、有人潜水艦だとためらう可能性があるからです。
おそらく、処罰を怖れて報告してないだけで、そういうケースは第二次世界大戦でも相当あったと私は推測しています。もちろん勇敢にアメリカ空母を攻撃し魚雷を命中させて随伴の駆逐艦が潜水艦攻撃より空母乗員救助に専念して助かった日本の潜水艦もありますが、そういう成功事例は本国に報告されても見逃し事例は報告されない場合が大半だったと思います。
豪潜水艦部隊の南シナ海担当は現実にある米豪間の取り決めです。
ご意見は米豪政府にお願いします。
敵地等への攻撃兵器としてUUVを有人潜水艦に換えるというご意見は将来的にあり得る話ではあります。
しかし、有人潜水艦の新規開発を取り止めUUV開発に切り替えようとしている国はまだ無いのが現状です。ためらう云々は軍人としての資質の問題だと思います。
なんでブレるのかと察するに、これは原潜計画そのものがオーストラリアにとって予算的にも技術的にも過大であることが根本だろうと。
戦略的には原潜という選択が最適解なのは解るんだが、誰もが常に最善策を選べるほど恵まれてるわけではない。人工2500万の国が英仏に匹敵する規模の原潜艦隊を目指しているという厳しい話ですよ
そして、果たして原潜の保有で中国の脅威という拡大する問題は解決するのか、誰も保障はできない。軍の論理もかならず政治経済外交とリンクしてる以上、これからもブレは続くよ
カタパルト付き大型空母を保有していれば護衛に高速随伴できる攻撃型原潜が必要で低速の通常動力潜水艦では代替できない。しかし、オーストラリアはカタパルト付き大型空母を保有していない。つまり、オーストラリアにとって攻撃型原潜保有は絶対必要ではない。
尚、カタパルト付き大型空母が敵の潜水艦に狙われやすい理由は以下のとおりである。
(1)カタパルト付き大型空母艦載ジェット機には垂直着陸機能が無く着艦体制に入ってから魚雷に気付いて急に針路変更すれば事故が起きる。
(2)敵にとって脅威で狙われやすい。
(3)魚雷の標的としても大きいので狙われやすい。
オーストラリアと英国とアメリカの軍事同盟であるAUKUSでオーストラリアに原子力潜水艦保有が期待される理由として、米英の空母の護衛・伴走する攻撃型原潜がオーストラリア周辺海域で故障したりした場合に代わりになる原潜がオーストラリアに待機していて欲しいというのが隠れた理由として存在すると思われる。
しかし、英国の空母の艦載ジェット機は垂直着陸機能のあるF-35Bのため攻撃型原潜が伴走する必要性はカタパルト付き大型空母より低い。
当面は、米英の空母艦隊随伴の攻撃型原潜のオーストラリア周辺海域の予備は米英がオーストラリアに配備し、オーストラリアは原潜保有を急ぐより米英の原潜のメンテナンス・修理機能の保有を目指すべきである。
すみません、カタパルト付き大型空母が敵の潜水艦に狙われやすい理由を補足で追加します。
(4)小型艦に比べ小回りが利かず旋回半径が大きいため魚雷を避けにくく被雷しやすい。