インド太平洋関連

豪海軍、アップグレードを行うコリンズ級潜水艦にトマホーク統合を検討

オーストラリア海軍はアップグレードが予定されているコリンズ級潜水艦に「巡航ミサイルの統合が可能かどうかを検討中している」と明かした。

参考:Australia To Upgrade Collins Submarines With Tomahawk Missiles

調達が終了している魚雷発射管対応タイプの再生産に米レイセオンが応じるかが最大の問題

オーストラリア海軍は通常動力型のアタック級潜水艦導入を中止、米英の支援を受けて原潜を導入すると発表したものの戦力化まで時間が掛かると予想(早くても2030年初頭?)されており、コリンズ級潜水艦をアップグレード(Life of Type Extension/LOTE)することで原潜導入までのギャップを埋める予定だ。

出典:Royal Australian Navy

LOTEプログラムによる改修範囲はディーゼルエンジンを含む推進システム全体の交換、冷却能力のアップグレード、非貫通式潜望鏡への変更などが予定されており、新たに巡航ミサイル「トマホーク」の統合が可能かどうかも検討しているらしい。

コリンズ級潜水艦は米原潜と同じ戦闘システム「AN/BYG-1」を採用、船体サイズも通常動力型潜水艦の中では比較的大型なのでトマホークの統合や運用は可能だと見られているが、垂直発射管を備えていないため米原潜が使用するVLS対応のトマホークは使用できず、調達が終了している魚雷発射管対応タイプの再生産に米レイセオンが応じるかが最大の問題だ。

出典:public domain 基地でコリンズ級に搭載されている戦闘システム「AN/BYG-1」のトレーニングを行うオーストラリア海軍将兵

因みにコリンズ級潜水艦6隻のアップグレードには60億豪ドル/約5,400億円の費用が必要で、通常動力型潜水艦を新規に調達するのとさほど変わらないが、オーストラリア海軍の潜水艦にとって米国製の戦闘システムと魚雷の使用が絶対なため「新規に調達した通常動力型潜水艦の改造コスト」を考えるとコリンズ級潜水艦をアップグレードした方が早いのだろう。

関連記事:オーストラリアの原潜導入手続きがスタート、米英豪が原子炉技術の情報交換協定に署名
関連記事:オーストラリア、8,900億円以上を投資してAUKUSの原潜基地を新設

 

アイキャッチ画像の出典:Public domain

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コメント

    • 戦略眼
    • 2022年 5月 18日

    自衛隊な潜水艦は、どうしているのだろう。
    潜水艦に巡航ミサイルは、不要だと思うが。

    2
      • おおきい
      • 2022年 5月 18日

      自衛隊には無いけど、俺がトマホーク持ってるからご安心を(ボロンッ

      12
        • tarota
        • 2022年 5月 18日

        その蟷螂の斧しまえよ

        24
          • 戦略眼
          • 2022年 5月 19日

          その斧でトマホークを切り結ぶわけですね。
          ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

          1
      • 四凶
      • 2022年 5月 19日

       UGM-84LハープーンBlock IIとかGPS積んでいるから陸上攻撃には使える、これはボーイング公式HPにもオーストラリア海軍のハープーンの項目にも書いてある事実。ただ、射程と弾頭威力は限られる。

      4
    • トブルク
    • 2022年 5月 18日

    コリンズ級って、日本で言ったらおやしお級と同世代ですよね。それをたいげい級の新規建造費よりも金かけて改修するって、大丈夫ですかね。
    国内問題もあるのでしょうが、中国に対してどこまで本気で防衛力を整備するつもりなのか、ちょっと心配です。

    35
    • shkk
    • 2022年 5月 18日

    公共事業兼ねてるにしても新造したほうが造船所の技術力向上につながる気がするけどな

    6
      • けい2020
      • 2022年 5月 18日

      造船所の技術力が低すぎて、新造が非現実的なのでこの流れだけど
      こんな大規模改造ですら厳しいかと

      新造は30年ぐらい掛けて基礎技術力から上げていけば、ワンチャンあるぐらい

      15
        • shkk
        • 2022年 5月 18日

        なるほど
        コリンズ級つくったんだからできるんじゃね?って思ったけどコリンズ級作ったのもう20年以上前やんけ

        そら「カヌーを作る能力すら無い」とか言われるわけだ(この発言時点でも13年経過だから今ならさらに無理そう)

        4
    • ラルフ
    • 2022年 5月 18日

    今までのグダグダ具合からしてこのアップグレードも頓挫する気がしてならないんだが…もういっその事こと退役するおやしお型売った方がトマホーク無くても潜水艦戦力としてまだ使えそう

    14
    • 匿名希望
    • 2022年 5月 18日

    オーストラリア海軍は懲りんズ級だな

    33
    • STIH
    • 2022年 5月 18日

    久しぶりのオーストラリア潜水艦ネタ。まだコリンズ級なんとかしようとするんですね。原潜ができるまでまだ10年単位でかかることを考えればしゃあないんでしょうけど。
    確か韓国の潜水艦ってVLSついてましたよね。トマホークは打てないですが、中途半端に何かするんじゃなくて諦めて韓国から買っといたほうがよっぽど役に立つ気がしますが。

    3
      • G
      • 2022年 5月 18日

      オーストラリアは攻防共に海戦を想定していると思われますので、数発の対地短距離弾道ミサイルを積んだ潜水艦はデッドウェイトを抱え航続距離や機動性、維持費などマイナス面こそあれ海戦でのプラス面を見出すことは難しいかと

      10
        • STIH
        • 2022年 5月 18日

        そっか韓国の潜水艦のVLSに入っているのは弾道ミサイルか。確かに海戦なら役に立たないですね。教えていただきありがとうございます。
        そうすると改造にしろ新規調達にしろ、魚雷発射管用のトマホークの再生産という細い可能性にすがらないといけないわけですか。それ以外の改造も含めていばらの道ですね。

        8
    • ナニガシ
    • 2022年 5月 18日

    この魔改造が成功したら、原潜いらねー、とならない?
    作業が遅れに遅れて、原潜より後に完了とかありそう。
    大規模過ぎる。

    6
    • や、やめろー
    • 2022年 5月 18日

    日本も潜水艦に垂直発射装置つけるって話題がこのブログで出てたが、どうなるんだろうね?個人的にはめっちゃ欲しい。

    15
    • さめ
    • 2022年 5月 18日

    中古のおやしお型をそのままオーストラリアは譲渡を受けて原潜就役までのギャップを埋めてみては、という案をとあるオーストラリア人が言ってたな
    まあ日本で言うところの次期戦闘機はYF-23をベースに、と同じレベルの少数意見なんだろうけど、日豪間のインターオペラビリティを向上させるという観点でも最低限の性能保証という観点でも一考には値すると思うんだけどな
    設計レベルの問題があると噂されるコリンズ級を改修するよりも、コストの面では安くつくし運用面もなんとかならんこともないだろう
    精々10年程度のギャップ期間を埋めるのに莫大なコストをかける必要性は薄いように感じるんだが

    7
      • ふかひれ
      • 2022年 5月 18日

      通路や居住区を日本人のサイズに合わせてるから、オーストラリア人には小さすぎて運用できない、とかありそう。

      10
    • 匿名
    • 2022年 5月 18日

    現在の海上自衛隊の潜水艦(おやしお型、そうりゅう型、たいげい型)は全て533mm魚雷発射管を装備しているので、魚雷発射管型トマホーク巡航ミサイルを発射することはできるはずです。戦闘システムのソフトウエアを改修する必要はあるでしょうが、比較的軽微な改修で済むはず。イギリスのアスチュート級原艦は533mm魚雷発射管発射型トマホークを運用しているので、海自の潜水艦でも運用できるはず。あとは法律的な制約をクリアできればよい。

    最近、日本で「反撃能力」を保有しようという政治的な動きがあるので、反撃能力法案が成立したら、海自の潜水艦でもトマホークミサイルを運用する事を願っています。

    ウクライナの惨状を見れば、「反撃能力」の保有が抑止力としていかに大切なものか、理解できるはずです。

    9
      • G
      • 2022年 5月 18日

      >調達が終了している魚雷発射管対応タイプの再生産に米レイセオンが応じるかが最大の問題

      日本は国産トマホーク(ライセンス生産か独自仕様かは不明)を検討している最中だったと思いますが、もしライセンス生産をすることができるようになればオーストラリアへの輸出も可能になり、うまくいけば対応潜水艦の中古輸出をセットでできるようになる可能性があるかもしれませんね

      8
      • 無無
      • 2022年 5月 19日

      過去例からみて、アメリカが兵器の再生産をやる場合、輸出用としてのみならばその必要経費全額を輸入国に求めてくるから、とてつもなく高いミサイルになると思う
      たぶんお流れる話

      7
    • 名無し
    • 2022年 5月 18日

    十分な建造技術が持てないと、結局コストが非常に高くつく実例を示し続けてるな
    国内の建造産業を育てたい意思はあるようだけど、色々欲張りすぎて駄目なことになってる気がする
    今回の改修も、欲張りすぎたらろくなことにならないのでは

    13
      • 匿名
      • 2022年 5月 19日

      結局豪州にとって懲りんズ級潜水艦という役割・定め・体現なのでしょう。さらに四半世紀くらいこんななのでは

      3
    • AAA
    • 2022年 5月 18日

    日本も最近「潜水艦から巡航ミサイル撃とうぜ」みたいな計画が持ち上がってるから
    先行事例として注目したいね
    日本は新造艦から導入らしいけど既存艦の改修で撃てるようになるならなお良いしな

    2
      • ナニガシ
      • 2022年 5月 18日

      改造にかかる費用が、新造と同じくらいなら、新造した方が良いかも。
      潜水艦を輪切りにするような大改造は、不安だし。
      フランスのニコイチ原潜、強度足りるのかな?

      8
    • A29
    • 2022年 5月 18日

    さっさとコリンズ級は退役させフランスから何隻か購入しとけば許してくれるよ
    原潜配備までの乗員練度維持と費用節約可能。トマホークは艦のコンソールで訓練しとけ

    3
    • DEEPBLUE
    • 2022年 5月 19日

    オーストラリア現地でそんな改修成功するなら、そもそもコリンズ級がもっと早くアップデート出来て悪評払拭できてたのでは・・・?
    国産に拘って頓挫かアメリカで全部改修かだと思います

    7
    • makumaku
    • 2022年 5月 19日

    18日、21日の豪州総選挙の結果次第かもしれませんね。連立与党と”中国寄り”といわれる労働党が接戦のようです。労働党が勝利すれば、豪州の潜水艦プログラムに影響があるかもしれません。
    リンク

    5
    • 四凶
    • 2022年 5月 19日

     正直な所はこだわり強すぎて損してる気はするな。
     
     既存艦アップデートと言う事は、改造している艦は戦力外になると言う事。アップデート期間はどれ位で済むのか見えて来ない。新造なら古い物と入れ替えで済むのに。

     推進部分含めポンプジェットまで検討しているのか、エンジンと発電機は何処の物を使うのかバッテリーはどうするのか。

    1
    • おっさん
    • 2022年 5月 19日

    なんの目的で日本の潜水艦を導入しようとしてたのか。覚えてるオージー居るかな?
    なんか金はかかるわ時間はかかるわ全然違う流れになってるって意識あるのかな?
    情勢が変わったとか目的が変わったとかもあるんだろうけど、傍から見てると何をしたかったんだ?としか…。
    コリンズ弄りたくなくて早急に新艦欲しかったから日本に声かけたんだったよね?

    4
    • 狂信者
    • 2022年 5月 19日

    ソロモン諸島問題があるのにこんなことで浪費してる場合じゃなかろうに

    • ネコ歩き
    • 2022年 5月 20日

    英海軍はVLSを装備しないアスチュート級及びトラファルガー級攻撃型原潜で魚雷発射管発射可能なトマホークBlock IVを運用中です。
    つまり魚雷発射管発射型トマホークは英海軍向けに生産されています。
    現行生産設備キャパの範囲内で英豪合わせた調達ペースが調整可能ならですが、コリンズ級へのトマホーク導入は難しくないと思われます。
    恐らくですがAUKUSの枠組みで英政府も前向きに検討するんじゃないでしょうか。

    2
    • STIH
    • 2022年 5月 22日

    ちょっと遅れましたが、オーストラリアで政権交代があったようです。原潜の扱いについての情報は見かけてませんが、どうなるか見ものです。

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