中国国防省は10日、インドと軍事的対立が発生しているラダック地域のパンゴンツォ湖(パンゴン湖)周辺に配備された戦力の段階的な撤収が始まると発表して注目を集めている。
参考:China, India start synchronized disengagement of frontline troops: Defense Spokesperson
参考:PLA, Indian troops begin process of disengagement but will be a long haul
ひとまず昨年から続いていたインドと中国の軍事的対立は緩和される方向で水位か
インドと中国は互いに領有権を主張するインド北部ラダック地域(チベット自治区ルトク県)を巡って昨年から軍事的対立がエスカレートしており、現在この地域には両国が数万人規模の兵力を配備して睨み合いが続けられているのだが、中国国防省はインドと軍事的対立が発生しているラダック地域のパンゴンツォ湖(パンゴン湖)周辺に配備された戦力の段階的な撤収が始まると発表して注目を集めている。
この段階的な撤収についてインド側はまだ正式な発表を行っていないが、現地メディアの報道によるとインド国防省関係者も同地域に配備された戦車や装甲戦闘車輌などを撤収させる準備を進めていると話しているらしいのでパンゴンツォ湖(パンゴン湖)周辺に配備された両軍の段階的な撤収は事実である可能性が高く、ひとまず昨年から続いていた高いレベルでの軍事的対立は緩和される方向に進むようだ。
一般的に言えば両国による武力衝突の可能性が遠ざかるため歓迎すべき流れといえるが、クアッドと呼ばれる米日豪印4ヶ国による中国包囲網強化を進めたい米国や日本にとっては逆風と言える。
要するにインドが米国の掲げるインド太平洋戦略に急接近したのも、頑なに拒んでいた米日印3ヶ国による軍事演習「マラバール(Malabar)2020」にオーストラリア招待を認めたのも全て中国との軍事的対立がエスカレートしたが要因なので、これが緩和されると再びインドが中国側を無闇に刺激しない方向に転換するのは確実だ。
補足:マラバールと呼ばれる軍事演習は1992年に米国とインドの2ヶ国間演習として始まりインドの核実験強行を理由に1998年に中止されたが、2001年9月に発生した「米国同時多発テロ事件」をキッカケに再び再開され2007年から同演習に日本が参加、2015年に正式なマラバール参加国メンバーとして承認された。2020年のマラバールにオーストラリアが参加したのは飽くまで「招待」という形なので今年のマラバールにオーストラリアを参加させるには再びインドの了承が必要になる。
勿論、中国との軍事的対立が緩和されても米国の掲げるインド太平洋戦略への関与をインドが停止することは無いと思うが、クアッドと呼ばれる枠組みの強化と映るような行為(米日豪印4ヶ国による首脳会談や今年実際されるマラバール2021へのオーストラリア招待など)についてインドは渋ってくるだろう。
逆に中国にしてみれば領土問題でインド側に譲歩する気はなくても米国の掲げるインド太平洋戦略にインドが接近しすぎるのは得策ではないので、今回の撤収で対立の水位を再調整してクアッドの発展・強化にブレーキをかけることを狙っているのかもしれない。
どちらしてもインドはバイデン政権が制裁を予告しているS-400導入を予定通り進める=ロシアとの繋がりを切る気はサラサラないので、インドをクアッドの枠組みに取り込むためにはロシア弱体化をひとまず棚上げするなど戦略の転換が必要なのかもしれないが、そうなると「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づいて実施したトルコ制裁を解除する必要があるので中々難しい決断になるだろう。
関連記事:米国がインド制裁に言及、英国が参加を示唆したクアッドは崩壊の危機
※アイキャッチ画像の出典:public domain カナードを装備したインド空軍の戦闘機 Su-30MKI
米国やEUの環境政策次第では最悪オーストラリアもレッドチームに行っちゃいそう
石炭が敵視されるようになったら、あの国は商売上がったりだろ
いま最も機敏に中国に対処しているはモリソン政権だと思うが、
菅政権は豪政府と歩調を取れるのか、一抹の危うさを感じる。
中国は機を見るに敏。インドと日米豪の分断を計っているのだろう。
セカンドフロアまだ失脚しないのか?まあ問題はあいつだけではないが……
もう歳だし時間の問題かと
出来るだけ速やかに天使が降臨されることを望んでいます、石破と同じくらいの悪相の持ち主。
腹黒さが顔から滲み出てる。
あいつが何か言うだけで自民党の支持率が下がるし、最近の不祥事も大抵2F派。自民党にとってのガン細胞。
鉄鉱石や畜産物もあるよ。
一番の問題は、ロシアはヨーロッパに侵攻した実績があるが、中国には海洋侵攻の実績が無い事だな。
モンゴル侵攻の実績はあるが、ロシアが抑えられると思っているのだろう。
>中国には海洋侵攻の実績が無い事だな
米軍撤退直後にベトナムに海戦をしかけ、上陸して西沙諸島実効支配した実績持ちなんですがそれは。
南シナ海で起きたことが、まさに中国による海洋侵攻じゃないですか。
中国にとってインド方面は緊急性が低い
国家としてのテーマである台湾との統一こそ優先すべき、創立百年記念の共産党の判断にたち戻ったのでしょうから、
これから台湾をめぐって日米とのせめぎあいは厳しくなりますね
米国もインドを制裁するのではなく、むしろ接近してS-400の情報を手に入れるような動きを見せたほうが
良いかと思います。
もちろんインドがS-400の情報を流すとは思えませんが、ロシアに警戒させたほうが得策と思えます。
世の中には金で転ぶ人間はいくらでもいるから、米国も諜報活動でロシア軍情報は仕入れてますよ
この件の本質はやはりインドへの政治的揺さぶりですね、ロシアと距離をおいて米国側につけって誘ってるんだろうけど、
インドもしたたかだから簡単には乗らないね
中国も流石に頭を使ったか。
こういう変わり身の早さは中国ならではですね。
日本も多少なら見習っても良いのでは?
確かに変わらなきゃいけないところはいっぱいありますよね
やはりここの所の印の動きは水面下でこの交渉が進んでたんだろうな
クワッドと呼ばれる枠組みの強化と映るような行為(米日豪印4ヶ国による首脳会談や今年実際されるマラバール2021へのオーストラリア招待など)についてインドは渋ってくるだろう。
逆に中国にしてみれば領土問題でインド側に譲歩する気はなくても米国の掲げるインド太平洋戦略にインドが接近しすぎるのは得策ではないので、今回の撤収で対立の水位を再調整してクワッドの発展・強化にブレーキをかけることを狙っているのかもしれない。
インドとしては、クワッドへの接近により中国の(見せかけだけかも知れないが)撤収という果実を得たのだから、大いに満足でしょう。
これからもインドは、日米豪と中露の間をウロウロしながら、両者からしたたかに実利を手に入れようとするでしょう。
とても信頼出来る同盟相手とは言えないが、中国のインド洋進出が止まらない限り、クワッドに助けを求めざるを得ない。
そこを利用して、日米豪も上手くインドを取り込んでゆけば良いのです。
中国のインド洋進出でクワッドに助けを求めざるを得ないなんて上から目線で言っているけど、じゃインドがクワッドに助けを求めてきた時にクワッドの一員である日本に何ができるのよ?
海上自衛隊がインドに護衛艦隊を常時展開してインド海軍を助けるのか?そうじゃなくて米国に助けを求めるんだろ?
インドの立場から見ればあなたの意見は米国の威を借りただけで傲慢さだけが目立つよ。
段階的に撤収だから実態は部隊転換と人員や設備の補充が目的。実際に湖近隣の戦力規模が減ろうが中印国境沿いの戦力数は横ばいか増加。
中国の世界覇権戦略の道筋は、先ず台湾を併合し日本を屈服させて、東アジアおよび東南アジアを完全支配下に置く。それからインド洋進出を図るからインドとの直接対決は先延ばしにしたい。
インドはインドで英国領時代の記憶があるから、あまり欧米と関わりたくない。中国相手に最低限独立を維持できるようにするために核武装をしている。
日本がクアッドの実現にどれだけ積極的に動けるかでアジアの将来が確定する。受け身でいては高確率で失敗する。
かと言って、日本の立場は難しい。
米中の間で上手く立ち回る才覚はなし。
何方に肩入れしても、何処で裏切られるかわからない。
独立した自衛力も無い。
どうしたものか。
F-3が日本独自で完成できれば、少し状況が変わるかも。
言いたことはわかるけど、日本が単独でインドの安全保障に何か関与したり寄与できるような手段を持ち合わせていない以上、日本が独自に何かを働きかけるようなことは何もないよ。
正規空母でも持ってたら違ったかもね。
日本は既に行動を起こしてます。
既にマラバール演習(中国を仮想敵とした海軍による実戦的訓練)の正式メンバーとして活動しています。
実際に自衛隊がインド洋でどれだけの軍事力を行使できるかは分からないが、インド洋の安全保障に積極的に関与する、という姿勢を示す(ショーザフラッグ)ことが大事なのです。
イギリス、フランス、ドイツ海軍が極東に軍艦を派遣して来るのも、全く同じ文脈です。
インド洋の安全保障に積極的に関与するという姿勢を示す(ショーザフラッグ)ことが大事って言うけど実際に実力行使も厭わない米軍がいてこそ意味があるだから、日本がドヤ顔で言うようものではないと思うけど?
インド人が坂を駆け下りて襲撃ってのはなかなかすごい映像だった。両方とも拡大する気はないけど全力でこん棒で殴り合うとかなかなか見れるものじゃない。
インドはクアッドもそれほど本気じゃないのかも。圧力を加えると言っても領土をかすめ取るくらいで終わるなら中国もコラテラルダメージとして許容しそうだし、台湾進攻を阻止しうる圧力にはならないだろう。やはり単純に台湾の軍事力を上げて中国の生産設備を刈り取れるようにしなきゃ中国は止まらないだろう。
そもそもここでの紛争は、中国がこの地域の開発を進め、進軍しやすいインフラを整えたのに対抗しインドがラダック地域の開発を始めたところ中国が殴りかかってきた、というものですから、既に開発を進めていた中国が有利な状況で、インドがインフラ開発するのを容認しない限りイーブンにはなりません。
從ってこの段階的な撤収は停戦以上の意味はなく、現在交渉上で有利になったのはインドですが、それはクワッドありきであり、インフラ開発が完了しイーブンになるまでインドは手を緩めないでしょう。
インドが豪州の参加を渋ってるのは
豪州によるインド人留学生への差別問題からでしょ
これは対中云々というより、印豪の2国関係の問題なので、インド自体の対中政策とはまた別の問題として捉えた方がいい
とはいえ、対中とは別に、アメリカ西側諸国による覇権の拒否と、アメリカの衰退を望んでいる立場という意味では
インドは中露と利害関係を一致させているので
彼らが望んでいるのは米中の共倒れであって
そもそもインドが全面的に中国封じ込めに参加してくる可能性は全く無いという事は心しておかないとね
インドは西欧諸国による植民地支配の被害国という意味で中国と経験を共有しており
また、有色人種による唯一の先進国であった日本をこの200年にわたって白人の西欧諸国がどのように扱ってきたかをつぶさに目撃してきた国でもあるわけで
現在の多くの日本人がイメージしてるような、アメリカによる中国の一方的封じ込めが成功してしまった場合、その次の標的がどこになるのかもちゃんと判ってるのだから
インドにしてみれば、宿敵ではあっても長年の付き合いのある、今後も付き合いのある、敵ではあっても共存は可能な中国より
友好的に見えて実は文明的な共存が不可能なアメリカ西欧文明に飲み込まれていく拒否反応の方が強いのである
共存可能か? 無理じゃね? 中国がチベット押さえる限り。インドとしては今ぶつからなくてもいい。って位の話だと思うし。十年後ならほどよく国力下がってるだろうし。先にアメリカに中国殴らせて弱った所をロシアみたく領土掠めとる算段だと思うな。
多様と混沌の世界観を根底とするヒンドゥーの思想と、無理矢理な画一化と統一を押し進める中国共産党の融和は無いよ
中国が民主化を達成すれば話は別だが、そのときは日本も身の振り方を考え直すときなんで、やっぱりアメリカさんは入れないか(笑)
中国は軍隊引いても国境周辺の開発はやめないだろ
これでインドがクアッド参加しなくてもそのうちまた押してくるだろうさ
ちょっとずつにじりにじりと蚕食するのが中国のやり方なわけで
インドがそんな手に引っかかるとは思えないんだけど
そこら辺に気を使っての外交ってのがアメリカが出来ないのが困りもの
ま~たインドの都合とか考えずに引っ掻き回すんだろうなぁ…
ビッグディールのために小さな懸案は取り除いたんだろう
ナチスとのポーランド分割を控えたソ連がノモンハンで妥協したように