インド国防省は19日、米国が提唱するクアッド(QUAD)同盟の布石になると言われていた日米印による国際共同演習「マラバール(Malabar)」へのオーストラリア招待を発表した。
参考:Australia will join naval drills involving India, U.S., Japan
参考:In Snub To China, India’s Naval Alliance Now Includes Australia
参考:India invites Australia to join Malabar naval exercises in snub to China
インドがマラバールへのオーストラリア招待を発表、米国が提唱するクアッド同盟の成立や強化に繋がるのかは依然として未知数
本題に入る前に、これまでの経緯を簡単に説明するとマラバール演習とは日米印3ヶ国が持ち回りで毎年開催している海軍主体の共同演習で、オーストラリアは同演習への参加を長年熱望してきたのだが、中国に反発を招くという理由でインド側が同演習への豪州参加を拒否(実施2007年に1度豪州を招待した際に中国側の反発を買ってる)してきた経緯がある。

出典:海上自衛隊 国際共同演習マラバール2019
この状況に変化が促したのが今年5月にカシミール州ラダック地域で発生したインドと中国の軍事的緊張で、これを理由にインド国内でもマラバールへのオーストラリア招待の機運が高まり、米国も提唱する「アジア版NATO」の基盤となるクアッド(日米豪印4ヶ国)同盟成立の第一歩になるとして歓迎していたが、問題はインド政府が多国間の軍事的圧力ではなく「対話による軍事的緊張の解消」を望んでいた点だ。
中国も日米豪印4ヶ国によるマラバール演習成立を警戒していたため、今年10月モスクワで開催された外相会談で「国境未確定地域での軍事的緊張状況は双方にとって利益はない」という認識で両国が一致、迅速に軍を後方下げ軍事的緊張を緩和することを提案するなど当初の強行姿勢を軟化させており、本当にマラバールへのオーストラリア招待が実現するのか微妙な状況、どちらかと言うとオーストラリア招待をインド側が見送る(新型コロナを理由に今年の開催を中止)可能性が高いと予想されていた。

出典:Nick-D / CC BY-SA 4.0 オーストラリア海軍 ホバート級駆逐艦
しかし大方の予想を裏切る形でインド国防省は19日、国際共同演習「マラバール(Malabar)」へのオーストラリア招待を正式に発表したため大きな注目を集めている。
印メディアは今回の決定について「中国側の反発を招くのは確実だ」と報じており、豪メディアもインドの決定を歓迎しながら「オーストラリアは中国を激怒させるマラバール演習に再参加することになる」と大きく報道しているのが興味深い。
ただインド側の狙いはオーストラリアのマラバール参加=クアッド同盟強化ではなく、クアッド同盟成立に繋がるオーストラリアのマラバール参加を容認することで中国から譲歩を引き出すことにあると管理人は見ている。

出典:Public Domain 人民解放軍地上部隊の兵士
実際オーストラリアのマラバール参加は「招待」という形なので2007年のときと同じように1回限りのものになるのか、翌年以降も継続参加になるのかインド国防省は明らかにしておらず、これを政治カード化して中国との交渉に利用するのが目的だろう。
そのため米国が提唱するクアッド同盟の成立や強化、その先にある「アジア版NATO」が実現に向かうのかはインド次第、つまりカシミール州ラダック地域の軍事的緊張が話し合いによって解消するかどうかにかかっている。
果たして中国はインドが投げたボールにどの様な反応を見せるのか、カシミール州ラダック地域の軍事的緊張緩和に向けて新たな譲歩を見せるのかに注目が集まる。
※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊 インド海軍と演習中の護衛艦かが
ようやく、ですね。
インドは今後も、豪のマラバール参加を対中カードとして使うでしょうが、4か国外相会談が定期開催になってますし、4か国の関係がよほど悪くならない限りは招待を取りやめることはできないでしょうね。
インドは中国にもクアッドにも、サラミを切っていくんでしょう。
が、当面中国の対外姿勢に変化はなさそうで(やっぱり現場が周辺国にケンカを売り続けてる)、一歩一歩クアッドの連携が強まっていくのだと思います。
中国政府はクアッド同盟に不快感を示すでしょうが、これはそもそも中国政府か行っている「悪い行為」が招いた結果なのです。中国政府の身から出た錆びなのです。中国政府に同情する必要はありません。悪いのは中国政府なのですから。
もはや中共の存在自体が悪。天滅中共暴政必亡。
中国を包囲しチャイナ!
ワイは好きやで
このネタ何度目かの登場ですな。
>中国から譲歩を引き出すことにあると管理人は見ている。
その見立ては正しいと思うけど、中共は譲歩しないんじゃないの?
一度譲歩すれば政治カードとして有効なのを自ら認めることになるし、
一回限りで終わらずサラミスライス戦術でどんどん譲歩を迫られかねない。
中共がそういう手段をよく使っていて、メンツも重視する国柄だからこそ、
インドには譲歩も政治カード化もさせないと思う。
譲歩しないならインドはクアッド成立に向けてコマを進めるだけじゃ?
日本として一番困るのはインドを切り崩されることだから
中国が大局を見てインドに譲歩するのが一番ヤバい
むしろメンツにこだわって緊張状態でいてもらった方がありがたいよ
キンペーが失脚して中共内部の権力構造が変われば、中共がカシミール出兵をとりやめて、とりあえず一時的に韜光養晦路線に戻る可能性はある。その可能性は低いだろうけど…
日本としたら、短期的には緊張緩和が望ましいかもしれないが、その場合中共による百年マラソン完走の可能性が高まる。個人的には、このままキンペーが失脚せずに自滅路線を走ってくれた方がありがたいかな。
今の中国に譲歩する余裕はない。
国境に戦車がなだれ込むと思う。
チベットやモンゴル、尖閣諸島に八つ当たりするかも。
クアッド同盟が締結されたわけではないものの太平洋~インド洋で連携を組んで対応できるのは大きい
この同盟には対中に関して温度差がある他の国を仲介する日本の立場は重要
いずれもっと踏み込んだ物にできれば中国はいよいよ手出し出来なくなる
自衛隊によるオーストラリア軍の警護も始める様だし、各国思惑があるにせよ、協力して鬼畜中共に対抗する動きは進むでしょう。
自由で開かれたインド太平洋戦略を始めた安倍ちゃんは偉大。
浮かれすぎ
中国による切り崩しにいちばん脆いのもオーストラリアであることをお忘れなく
すでに大きな華人社会を抱えていて、中共による工作活動が今も活発なんだから
つまり、それがこれからの豪州の戦いということですね。
彼らの移民政策は大きく変わってゆくでしょう。
それは白豪主義の復活というアジア人蔑視政策との諸刃の剣でもある、
日本人まで巻き添え差別の恐れがあるのを憂える
彼ら白人にとっては黄色い連中なんて皆ひとくくりさ、この白人というくくりが実に無見識であるようにw
豪Lowy Instituteによる今年6月の世論調査では、「中国は世界に対して責任ある行動を取っているか?」という質問に対し、肯定的な回答は僅かに23%。
一方日本については、同じ質問で82%もの人が信頼感を表明しています。
「黄色い連中なんて皆ひとくくり」にしてしまうほど、オーストラリア人はバカじゃないようです、
その見解はちょっとオーストラリアの現状を理解してないと思います。オーストラリアは今では対中国の急先鋒と言えるほどに先鋭化しています。
あなたはオーストラリア行ったことないでしょ(笑)
もしかしてオーストラリア在住の方ですか?
今は急先鋒でも、いつまで続くかはわかりません。民主国家で資源国ですから。
やはり同盟の弱点国だと思います。
それはむしろ逆で、4ヵ国の中で中国への経済的依存度が一番高い国すら嫌中に翻った、というのが正確です。
私も同意見ですね。
あの欧州でさえ、あの豪州でさえ、ついに中国を敵と公言し出したということですね。
今まではとてもではないですが考えられなかったことです。
だから日本人はお花畑ってなめられるの。
アングロサクソンは口先で信義を語るのみで実利最優先、だからこそ世界の勝者になった
中国融和が利益になると判断すれば、平然と手のひら返して日本とは手を切るよ
お花畑ですか。以下の記事をご覧いただけたらと思います。
あなたの考えから言えば、「中国との交易は30年以上大きな利益があったが、それを上回る損失が予見されたので切った」となります。
広がる「中国警戒論」オーストラリアで何が?支局長が解説
リンク
中国の傲慢が生んだ「嫌中」オーストラリア
リンク
豪州は「政冷経熱」を求めるな!これは「日本だから可能」だったのだ=中国
リンク
それは豪州本人達が改善の余地ある課題&同盟国も念頭に置いて活動しないといけないデメリットではあるが
手を組む事によって連携して中国を抑え込めるというメリットの方が大きいからね
欧州のNATOにしても諸問題は間違いなくあるだろうけどそれでもなんとか成立しているわけだからねえ
全く逆ですね。
脆いどころか、むしろ日本などよりずっと強固でしょう。
「すでに大きな華人社会を抱えていて、中共による工作活動が今も活発」だからこそ、です。
クライブ・ハミルトンによる「サイレント・インベージョン」の衝撃はそれ程大きかったのです。
今オーストラリア人は、中国が豪州を丸ごと乗っ取ろうと企図していることを、はっきりと認識したんですよ。
それは単なるレイシズムに過ぎない、政策とは違う
オーストラリアの利権さえ脅かさないと中国が約束すればいつでも寝返るよ
尖閣なんかオーストラリアの関心にないから
インドは、今このタイミングで秩序を構築しないとジリ貧になると理解していましたか。
かなりしっかりした戦略眼を持っていて安堵の一言です。
中国が考えていることはアメリカにとって代わることであることは誰の目にも明らか。
そんな中、ロシア、イラン、トルコは一体どのような秩序の未来を絵に描いているのでしょうかね。
同じ穴の狢たちは一体なにを考えているのか。
中国は西へ。
トルコはカスピ海を超え東へ。
ロシアは定番の南へ。
イランは北へ。
いつかは四巴の戦いになりそう。
おっ承諾したのか
立ち消えになったかとばっかり思ってた
ここからが勝負だな
豪州軍防護の件といい、ここまで日本が露骨な反中同盟をするのなら中国にも覚悟がある。中国の進める東アジア共存圏を害す日本にもう甘やかす必要はない。日中平和友好条約には覇権の追求をやらないと書いてある。この文言をしっかりと日本に突きつけよう
>中国にも覚悟がある
あなたは誰?(笑)
中国共産党の存在が不当だ。
さっさと大陸を中華民国に返せ共匪ども。
平和憲法を遵守しない日本に変わって、中国が平和憲法を導入するのは如何でしょう?
平和憲法を守れば世界も平和なんでしょ?
中国はそうやって日本にいつも言ってたんですから、今こそ戦争放棄を中国が打ち出して遵守すれば、きっと東アジア共存圏は実現できますよ。
お前さんは誰目線なんだよ
そういう事は日本でなく本国に帰ってからやんな
中国が豪州のマラバール参加を非難するのは、米国に南アジアと南太平洋(※台湾絡み)をリンクさせたくない=日米合作のインド太平洋戦略の土俵に載りたくないから。
中国は南アジアと太平洋は切り離して攻略する方針で、太平洋では、第3列島線まで進出して西太平洋での存在感を高めて、米国の制海権を脅かしつつ、南太平洋の台湾承認国を切り崩して台湾征服の環境づくりをする戦略。南アジアではインドだけが相手なので、ミャンマー、バングラ、スリランカ、ネパール、パキスタンでインドを包囲し、カシミールと東インドを軍事的に圧迫する戦略。もうインドは中国と交渉できるほど余裕がないでしょう。ロシアはアテになりませんし。
それはさておき、外遊中の菅首相がベトナムと防衛装備品の技術移転協定を締結したところです。これでかなり話が(裏で)進むはずですね。(参考: リンク)
アメリカの力が急激に落ちてきて
インドは風見鶏で
オーストラリアは遠くて頼りなく
日本はスパイだらけで力を発揮できない
もう少し強固な同盟になりませんかね
いうても結束する価値観がなぁ。
一方の中国側も軸になる価値がないけど。
国内スパイの本拠地のような場所に長らくいましたが、みな価値観に共感する自発的スパイなのであって、人は経済価値だけでは動かないんだなということを目の当たりにしてました。
今後せかいの人やら国やらを結束させる軸は何になるんでしょうね。
願わくば無理に味方を結束させる必要のないような、脅威のないバラバラっぷりに世界中がなれればいいんですが。
まぁ、難しいだろうな。
平和のための軍事力、なんて言葉が不要になればと、この素晴らしい軍事ブログ見ながらいっつも思ってますw