米空軍の次期高等訓練機「T-K」受注に失敗し、米国上陸を果たせなかった韓国製訓練機だが、今度はスペインとの取引で「欧州上陸」を果たせるのか、韓国で注目を集めている。
北極に住む「エスキモー」に冷蔵庫を買わせるのと同じ?
その取引とは、スペインのエアバス製の輸送機「A400M」4機~6機と、韓国のKT-1訓練機30機、T-50高等訓練機20機、計50機の訓練機とを交換する「スワップ(物々交換)取引」のことだ。
そもそも、この取引を理解するのには、輸送機「A400M」が、どのように開発されたのか知る必要がある。
1990年前後、欧州各国は、米国から導入した輸送機「C-130」等の後継機として、欧州NATO加盟国の要求に特化した輸送機の開発を行うことを決定した。開発には、フランス、イギリス、ドイツ、スペイン、ベルギー、トルコ、イタリア、ポルトガルなどの国が参加したが、開発の遅れや、開発予算の問題からイタリアとポルトガルが計画から離脱した。
開発に参加した国は、A400Mの開発を支えるためにも、正式な発注を行うことを求められ、スペインは27機のA400Mを正式に発注したが、開発の遅れに起因するコスト上昇、高額な運用コストが問題になり、27機の内、13機の導入を中止することにした。
ただし、スペインは27機のA400Mを購入する約束をしているため、スペインが引き取らない13機のA400Mを他国に売却しなければならない。
スペインにとってお荷物となった13機のA400Mの処分先として目をつけたのが韓国だ。
現在、スペイン空軍が使用している初等訓練機のT-35は導入から38年が経過し、高等訓練機のC-101も導入から39年が経過しているため、両機の後継機問題が浮上しているので、A400Mを韓国に引き取ってもらい、その代り、韓国のKT-1訓練機30機、T-50高等訓練機20機を導入しようと思いついた。
韓国としても、C-130とCN-235しか輸送機を保有しておらず、積載量と長距離飛行に不満があったところに、降って湧いたようにA400Mの話が舞い込んできた訳だ。
KT-1訓練機は、韓国空軍が100機、海外へ80機輸出したが、昨年、インドネシアが3機の発注を行った以外に受注はなく、T-50高等訓練機は、米空軍の次期高等訓練機「T-K」受注に失敗し、韓国空軍が追加で20機の発注を行う予定以外、これといった受注がない状態で、両機とも生産ラインの維持のため、スペインとのスワップ取引は非常に重要な受注の機会になる。
更に付け加えれば、アジア、南米、アフリカといった国への輸出実績しかない韓国製の航空機にとって、欧州のスペインが韓国製航空機を導入するというのは、非常に大きな宣伝となると韓国は考えている。
このようにスペイン、韓国の両国にメリットがある取引の交渉は、昨年11月に開始されたと韓国メディアが報じていた。
しかし、ここに来てスペイン側の態度が豹変した。
先月、フランスのパリで行われた「パリ航空ショー」で、スペイン側の態度が変わり、取引の規模縮小、もしくは取引の白紙化の可能性があるという話が伝わってきた。
ことの顛末を簡潔にまとめるとこうだ。
スペインの高等訓練機C-101後継機に対し、イタリアのレオナルドは「ターボプロップ機の価格でジエット訓練機を提供する」とし、最新型の訓練機「M-345」を提案し、韓国のT-50高等訓練機が敗れた米空軍次期高等訓練機「T-K」の勝者であるボーイングも、スペインにBTX訓練機を提案する構えだ。
スペインは、ボーイングのF/A-18を採用しており、後継機にF-35を検討するなど、米国製兵器の採用に前向きな国だけに、F-35の訓練に最適化され、米空軍の採用も決定しているTX訓練機は最強のライバルと言ってもいいだろう。
スペインの初等訓練機T-35に対しては、スイスのピラタスがPC-9を、ブラジルのエンブラエルがEMB-314を提案している。
問題は、韓国のT-50高等訓練機も、KT-1訓練機も生産を開始して以来、一度も改良が行われておらず、最新型のM-345や、開発されたばかりのTX、逐次改良が行われているPC-9やEMB-314に比べて古さが目立ち、特にT-50高等訓練機は純粋な訓練機ではなく、攻撃機としても運用可能なように設計されているため、訓練機としては価格が高いのが致命傷だ。
T-50高等訓練機の価格は2,400万ドル前後で、ボーイングのTX訓練機は1,900万ドル、レオナルドのM-345は価格が不明だが、「ターボプロップ機の価格でジエット訓練機を提供する」と言っているので、T-50高等訓練機よりは安いだろう。
設計も古く、改良も行われておらず、価格も高い、T-50高等訓練機を導入するよりも、最新型のBTX訓練機を導入した方がより良い選択なのは誰の目にも明らかだ。
結局、各社の最新型訓練機の提案を前に、お荷物となった13機のA400Mの処分のためとは言え、欧州ではマイナーな存在の韓国製訓練機導入を躊躇い始めた訳だ。
しかし、A400Mと韓国製訓練機との「スワップ取引」は、元々、スペインの方から韓国に持ちかけた話だけに、この話を壊すだけの言い分が必要になる。
そこでスペインは、このような文句を韓国に突きつけた。
“韓国のKT-1訓練機も、T-50高等訓練機もバックオーダー少なく生産ラインが閉鎖されようとしている。もしスペインが韓国製訓練機を導入した場合、その後の運用・維持に支障はないのか、もしラインが閉じた場合、保守費用が高騰するのではないか心配だ”
韓国メディアは、スペインとの「スワップ取引」を成立させるには、北極に住む先住民族の「エスキモー」に、冷蔵庫を買わせるほどの革新的な戦略が必要だと書いている。
果たして、韓国製訓練機は欧州上陸という肩書を手に入れることが出来るだろうか?
※アイキャッチ画像の出典:KAI / CC BY-SA 2.0 T-50高等訓練機
買ったら買いっぱなし
作ったら作りっぱなし
雨ざらしも当たり前の国
そもそも韓国にA400Mが必要か?あれC-2くらいのペイロードと航続距離があるけど……C-130で足りないものかな
韓国軍が南へ進行する為には必要です
あの国では、それで十分な説得力を持つのかと思いますが
元はグローブマスターがほしかったがラインを閉じてしまったし、韓国としては日本製はありえない
ということで決まった
一応韓国もそれなりの国になったのだから、海外派遣にC-130を何回も給油して運ぶより一気に運ぶ大型機も欲しいのだろう
一方、自国単独では満足に戦闘機開発すら出来ない航空宇宙産業後進国のニホンェ…
その芸風は飽きたから。もうこなくていいよ。
お里も知れてるし。
自慢のT-50も実態は設計開発をロッキードに丸投げだったな。
国産兵器が聞いて呆れるwww
練習機にしちゃ高いって開発当初から言われてたことだからなぁ
攻撃機にも改造できるって先進国じゃそんな事する必要ないし途上国じゃ超音速練習機がいらない
どこに売るんだろ?っていう懸念がそのまま現実化してるだけ
まあでも輸出実績の自慢と引き換えにA400Mってお荷物抱え込んで
予算圧迫されて更に空軍戦力弱体化したら面白いんで契約成立したほうが楽しめるんだが…
スペインは何だが強引に手を引きたい感じですね。
この度日本が韓国をホワイト国から外すことにも関係あるんでしょうか。
核拡散に関与しているだろう国と安全保障上の取引をするのは普通にリスクですからね。
どっちに転んでも面白い所が相変わらずの半島クオリティだな。