フィリピンはドゥテルテ政権の下で潜水艦2隻の調達に動いておりフランス、ドイツ、韓国、インド、ロシアなどから潜水艦部隊創設を含めた協力の申し出があったと言われていたが、フィリピン海軍の関係者が極秘裏に韓国の大宇造船海洋を訪問したと現地メディアが報じている。

参考：필리핀軍 고위 관계자 극비리 대우조선 방문…잠수함 수출길 열리

フィリピン海軍の関係者に209型潜水艦（209/1400）を提案した韓国に勝算はあるのか？

韓国メディアによると大宇造船海洋側はフィリピン海軍の関係者に潜水艦部隊創設に必要な訓練や潜水艦導入に必要な資金調達プランなどが含まれた209型潜水艦（209/1400）のトータルパッケージを提案したと報じられており、209/1400はインドネシアに輸出したものと同じ潜水艦で韓国がドイツから導入した209/1200をベースに独自改良を加えたモデルだ。

フィリピン海軍の関係者は大宇造船海洋を訪問後に韓国海軍の潜水艦司令部も訪問しており、両国の関係者はフィリピン海軍の潜水艦部隊創設に関する協力について議論を交わしたらしい。

韓国海軍の関係者は「フィリピンは朝鮮戦争時に韓国を助けてくれた同盟国で潜水艦導入事業を通じてフィリピンの好意に報いることが出来ることに期待している、韓国海軍は30年間潜水艦を運用してきたノウハウを備えているのでフィリピンの潜水艦部隊創設を手助けすることができるだろう」と語っている。

因みにフィリピン海軍のバコルド中将率いる海軍代表団がパリでフランス側と協議を行い「フィリピン海軍が潜水艦部隊を創設するのに必要な支援を取り付けた」と今年3月に報じられており、フィリピン海軍はフランスが提案しているAIP機関搭載のスコルペヌ型潜水艦に関心を示しているという報道やドゥテルテ大統領はフランスではなくロシアからの潜水艦導入を希望しているとも噂されているので、韓国から潜水艦を導入することが決定されている訳ではない。

出典：Indian Navy / GODL-India インド海軍が導入したスコルペヌ型潜水艦

ただフィリピン海軍の潜水艦導入は現地建造や技術移転を要求する一般的な潜水艦取引と異なり、完成品の潜水艦を輸入することを希望しているので定期的なメンテナンスや継続したサポート環境を考慮すると地理的に最も近い韓国から潜水艦を調達した方が都合が良いのでフィリピン海軍が韓国製潜水艦を選択しても不思議ではないが、逆にフィリピン海軍がAIP機関搭載の潜水艦にこだわるなら韓国製潜水艦は最も選択肢から遠い存在となる。

まぁAIP機関搭載が導入する潜水艦の必須条件ならフィリピン海軍の関係者が韓国をわざわざ訪問する必要性がないので、恐らくフィリピン海軍が最も重視しているのは潜水艦部隊創設に関する協力と導入資金に関する融資条件なのだろう。

果たして噂されているフランス、ドイツ、韓国、インド、ロシアの中で最も色好い条件をフィリピン海軍に提示するのはどの国になるのだろうか？

関連記事：フランス製潜水艦導入が濃厚？フィリピン海軍の潜水艦部隊創設に仏海軍が協力

韓国と米国は互いの衛星航法システム（KPSとGPS）相互運用強化で合意

米議会が可決した2020年度の国防権限法案には米空軍に対してGPSだけでなく欧州（EU）が構築した全地球航法衛星システム「ガリレオ（Galileo）」や、日本が構築した準天頂衛星システム「みちびき（QZSS）」など複数の衛星測位信号が受信できる端末を開発するよう要求していたのだが、米国の国務省と商務省は韓国との首脳会談の合意結果に基づき韓国が開発を進める衛星航法システム「KPS」の開発支援とKPSとGPS間の相互運用性を強化することで韓国側と合意したと発表した。

出典：public domain　GPS衛星「BlockⅢ」

さらに両国は米国が主導する有人月面着陸計画「アルテミス」に韓国が正式参加することで合意したと同じ日に発表している。

アルテミス計画への韓国参加はさておきKPSとGPS間の相互運用性を強化は2020年度の国防権限法案に盛り込まれた議会の要求を実現するための布石である可能性が高く、韓国が2035年までに構築するKPSの信号を極東に展開する米軍が活用できるようにしたいのだろう。

因みに米国は日本に対してGPSとQZSS間の相互運用を正式に申し入れたことはないので、恐らく日本国内での反発（野党やQZSS信号の米軍利用に反対する一部の勢力）を考慮して正式に申し入れを躊躇しているのかもしれない。

関連記事：GPSの補完的役割を想定？ 米軍、日本の準天頂衛星システム｢みちびき｣利用を検討か

これだけ引っ掻き回したあとでKF-21の共同開発に復帰すれば中々のどんでん返し

インドネシアはフランスから最大36機のラファール導入に関する話し合いを進めているのだが、どうやら導入資金の確保に失敗して契約締結が遅れるだろうと報じられている。

英国のジェーンズが入手したインドネシア政府承認済みの国家プロジェクトリストにラファール導入プログラムが含まれていないことを確認したと報じており、このリストに掲載されていないということは政府からの資金供給が保証されていない＝つまりラファール導入は資金の確保に失敗しため2021年度中にフランスと契約を締結するのは不可能という意味だ。

出典：韓国型戦闘機KF-Xプロトタイプ完成式典のLIVE配信スクリーンショット

これは単純に資金が足りなかっただけなのか、インドネシア政府内でラファール導入に関する承認が得られなかったのかは不明だが、韓国が開発を進めているKF-21のプロトタイプ完成式典に出席したインドネシアのスビアント国防相は韓国とのKF-21共同開発に前向きな姿勢を見せたとも報じられているので、これだけ引っ掻き回したあとでKF-21の共同開発に復帰すれば中々のどんでん返しと記憶されるだろう。

果たしてインドネシアの戦闘機導入計画は何処に漂着するのだろうか？

関連記事：契約成立が間近？ フランス、インドネシアとのラファール購入交渉は順調

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※アイキャッチ画像の出典：Photo LA(Phot) Caroline Davies/MOD