インド太平洋関連

台湾が12機導入したP-3C、整備問題で3年後に1機しか飛べなくなる

聯合報は1日、米国が台湾に対する技術移転を拒否し続けているため「空軍の運用する12機のP-3Cは3年後に1機しか飛べなくなる」と指摘している。

参考:美拒技轉維修 3年後P-3C僅1架能升空

3年後に空を飛べるP-3C=搭載された機器が完全に作動する戦闘任務対応機は1機になるだろう

台湾は旧式の対潜哨戒機「S-2T」を更新するため米国にP-3C売却を要請、2001年にブッシュ政権が売却を承認したものの引き渡しが始まったのは12年後の2013年で、要求した12機全てが揃い部隊編成が完了したは今から5年前の2017年だが、聯合報は「米国がP-3Cの整備に必要な技術移転を拒否し続けているため空軍は整備が必要なものを米国に送る必要があり、この過程で発生するリードタイムが非常に長いため空軍のP-3Cは5機しか運用できない」と指摘した。

出典:U.S Navy photo by Personnel Specialist 1st Class Anthony Petry

さらに米海軍のP-8A移行が完了して米国でもP-3Cの整備需要やサプライヤーが減少傾向にあり、台湾空軍が導入したP-3Cに搭載される各種アビオニクス(火器管制システムや対潜システムなど)が台湾バージョンという特殊な事情も重なって「米国で受ける整備にはもっと時間が必要になり、3年後に空を飛べるP-3C=搭載された機器が完全に作動する戦闘任務対応機は1機になるだろう」と予想している。

日本人からすれば「地理的に近く海自のP-3C整備を請け負っている川崎が手助けすれば・・・」と頭に浮かぶが、日本には台湾のP-3Cを整備する権限がなく、台湾空軍から保守契約を受注しているロッキード・マーティンの依頼でもない限り何もできないだろう。

出典:Toshi Aoki/CC BY-SA 3.0

米国が台湾に整備分野の技術移転さえ容認すればP-3Cの稼働率が改善するのだが、台湾バージョンの各種アビオニクスの中を知られたくない=中国に漏らされたくない何かが含まれている可能性があり、直ぐに改善が見込めないというのが現実だ。

因みに米国のペロシ下院議長の訪問に備えて台湾は全将兵の休暇をキャンセル、全軍に対して警戒レベルを引き上げるよう要求しており、英メディアなどは「台湾海峡は一触即発の状態だ」と報じている。

関連記事:対潜哨戒機「P-8A」へ更新が進む米海軍、遂に現役部隊から「P-3C オライオン」姿を消す

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain

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コメント

    • 無無
    • 2022年 8月 02日

    与えたP3を飛べなくしておいても、ではP8は最新鋭の機密ですから台湾には売れませんと来るわけだろうし。なんだろうね、この首尾一貫の無さは
    ウクライナもそうだけど、台湾は東西のグレーゾーン扱いから抜けられない?

    7
      • ブルーピーコック
      • 2022年 8月 02日

      10年前の電子情報部隊の将官逮捕を始め、最近でも国防省のナンバー3である張哲平逮捕事件などが起きているため、あまり台湾に情報や技術を渡したくないアメリカ側の気持ちは理解できます。

      ただ中国に情報を流してたアメリカ海軍の少佐(台湾出身)が逮捕されたり、石破茂の中国軍人に自衛隊の機密以外はすべて見せるよう指示した自慢話(2018年の総裁選での記者会見)があるので、中国の長い手が色々な国の上層部まで伸びてるのは明らかな訳で、台湾だけの問題ではないのは確かなんですがね。

      39
        • 戦略眼
        • 2022年 8月 02日

        というわけで、P-1も出せないと。

        7
      • samo
      • 2022年 8月 02日

      台湾軍のOB将校が中国に大勢移住して、悠々自適な生活をしているのは有名な話です。
      伊藤俊幸元海将曰く、特に海軍将校に多いとのことで、
      はっきり言って、台湾軍の機密保護能力には信頼性は無い、といっていいでしょう。

      なぜ台湾軍がそんなことになっているのかというと、
      台湾軍の母体は国民革命軍にあり、とその忠誠先にはあるのは、親中とされる国民党と明記しているからです。

      対中政策を鮮明とする民進党とは、台湾国防部は親中派が多く、歴史的に対立することもままあるとのことです。
      特に国防部高齢層にその傾向が顕著で、高齢層、つまりは指揮官が多く、機密にアクセスできる人間ということで、
      米国も日本も、レベルの高い情報を台湾に提供し辛いという、構造的欠陥が台湾軍にある

      13
    • 名無し
    • 2022年 8月 02日

    そのうち、台湾空軍の「駐屯地」が那覇にできて、うっすら塗り潰す前の日の丸が見える中華民国ラウンデルのP-3Cが。。。
    操縦士は、日本語がお上手なおじいちゃんですね。きっと。

    2
      • あばばばば
      • 2022年 8月 02日

      正直日本は台湾と係争地(尖閣諸島)を持っているし、なぜか揉めてない八重山列島があるので、中華民国軍が沖縄に来ると別の防衛上の危機が来ます。
      日本にとって、台湾島付近は交通の要衝でありますが、台湾を軍事支援するのは、両刃の剣が自分に向いているのと同義でもあるのです

      24
      • ブルーピーコック
      • 2022年 8月 02日

      外泊証明書にサインお願いしまーす(なお、日本国内では法的拘束力は無い模様)

      1
    • 通りすがりのななし犬
    • 2022年 8月 02日

    前のエントリーで「台湾関係の情報がないのは問題だ」とおっしゃってた方がいらっしゃいましたが、管理人さんが早速反応されたのでしょうか? たまたま偶然かな? ナンシー・ペロシ議長が訪台するそうで中国が激しく反応してますね。

    このペロシさんは、「日本政府への慰安婦に対する謝罪要求決議案」を全会一致で下院で可決した時の議長さんではなかったでしょうか?(2007年7月末頃)

    ところで。P-1を台湾に輸出しようなんて話は、出るわけないですね。すみません。

    4
      • 通りすがり
      • 2022年 8月 02日

      趣味でやってるとこなのに取り上げる話題にすら文句が出るのか、、、

      他にも軍事関連の話題を扱ってるとこがあるんだから、取り上げる話題ぐらい自由に管理人に選ばせてやれよ。

      60
      • 匿名希望
      • 2022年 8月 02日

      搭載機器をP-3の台湾が使っているやつに落としても整備問題は出るからね。
      フレームを整備関連で問題のないC-130のやつに搭載しても搭載機器の問題は出る。
      根本的に技術移転しない限り無理だな
      あるいは、哨戒業務をどこかのPMCに委託するか

      1
    • 匿名
    • 2022年 8月 02日

    近頃躍進が目立つ韓国防衛産業界は、こういう「必要としている国に売ると技術情報が危ない」問題についてはどう考えて対処している・いくんだろう…。(現地生産めっちゃ多いけど…。

    3
      • 幽霊
      • 2022年 8月 02日

      逆に現地生産なので漏洩の危険が少ないのでは?
      ライセンス生産を行う都合上相手国が指定した各種電子機器を使うので。

      6
      • けい2020
      • 2022年 8月 02日

      ほら、韓国は国防科学研究所(ADD)から、自由に機密が自由に持ち出されてなんて事もあったし、
      しかも政権が変わると、その辺すらガバガバになるから諦めてるんじゃないですかね

      だからこそ、現地生産・技術移転するデメリットが無いとも言えるかも

      11
      • ブルーピーコック
      • 2022年 8月 02日

      見られたくない部分や、特にパクられたくない電子機器の部分はブラックボックス化するか、アメリカ製兵器によく見られるように自国内で製造した物を輸出して組み込むようにすれば良いわけでして。ブラックボックス化したところで、それでも開けられてしまうリスクはありますが。ブラックボックスを開けた上にバレて製造元の国から調査団を送り込まれた国も居ますし。

      言い方に語弊があるかもしれませんが、売れ筋の韓国の輸出兵器は『ニーズに合っている』から売れているのであり、最新技術を使ったハイエンドモデルではないので、技術的ハードル自体は低くなっています。
      また各部の国産化(K-2のパワーパック、k-9のサスペンション)も進めた上で、地理的に韓国から遠い国への販売がメインなので、自分たちの商売や安全保障に関係ないから売っても平気だと思っているのかもしれません

      16
      • 戦略眼
      • 2022年 8月 02日

      最近、自分達がしてきたことを、される番になっていることに気がついたようです。
      トルコのアルタイ戦車がK2の市場を荒らしているとか、ポーランドもサンプルだけ買って後は好き勝手に生産されて輸出市場を奪われるとか、言っているようです。

      11
      • samo
      • 2022年 8月 03日

      現地に機密情報保護を行う工場を建てる
      ブラックボックス内の整備はそこの工場でしかできない

    • tmdj
    • 2022年 8月 02日

    中国海軍の遼寧と山東が台湾周辺に向かい、米海軍のロナルド・レーガンも台湾周辺に向かったとの情報あり。
    第4次台湾海峡危機になるかもしれないけど、当の台湾はサンドイッチのハム状態ですな。

    6
    • ナイトアウル
    • 2022年 8月 02日

     仮に日飛がメンテナンスできる様になったとしても本邦はいつまでPー3C使うつもり何だろうか。現在の保有数なんて直近5年程のペースで退役するなら10数年で消えるぐらいの数でしかない。
     その時点で台湾の為にメンテのインフラ残すかの話が出てくると思うんだが。

     導入始まって10年も経たないのにもう次世代哨戒機考える必要がありそうな台湾も災難だよな。哨戒機に関してはノウハウとかかなりのものだから自国開発は無理そう。

    2
      • トーリスガーリン
      • 2022年 8月 02日

      10数年あるなら受け入れ態勢の立ち上げは問題ないと思う
      整備の話は国家間の取引だからちゃんとまともな利益が出るように契約するなら日飛も受けるんじゃない?
      年が経つほどクッソ高くなるだろうけど…

      微妙な状況に置かれているだけあって死なない程度に釜茹でされ続けているようなもんですからね
      軍上層部がどう思っているかはともかく、現場の兵士や下士官はたまったもんじゃないと思う

      2
    • 名無しさん
    • 2022年 8月 02日

    もうアメリカが台湾の哨戒をしろよと

    • 折口
    • 2022年 8月 02日

    対潜哨戒機の任務は対潜哨戒機だけじゃないので無駄とも言えないと思いますが、対潜哨戒に関して言えば「自軍の演習で使える囮潜水艦」が無いとそもそも訓練ができないんですよね。疑似目標をネットワーク上でだけ出現させる訓練はありますが、やはり現物を使う訓練から得られる教訓は計り知れないです。海自の対潜哨戒能力が高いと言われているのは自前の潜水艦が演習に顔を出せるからだといいますが、その理屈から言うと潜水艦隊の稼働状態がギリギリ&老朽潜揃いの中華民国海軍は、多分最初からそこまで高い対潜哨戒能力を期待していないんじゃないかという気がします。まぁ潜水艦を現在鋭意国産化している訳で、対潜哨戒機問題も「将来の能力獲得」に向けた布石としての現代が重要であるという点ではそうですし、ここで部隊編成や機材調達につまづくのも本当に良くないと思いますが…

    8
    • ひろぽん
    • 2022年 8月 02日

    厚木の日本飛行機は米海軍のP-3Cの整備を受託していますが、台湾にFMSで供与された機体なら米軍経由で整備発注できないんですかね?

    1
      • samo
      • 2022年 8月 03日

      できると思うけれど、今の日本にそんな度胸があるわけがない
      ウクライナへの武器提供よりも、さらにハードルが高い

    • とおりすがり
    • 2022年 8月 02日

    日本は助けてあげられないのか?
    P-1だったか国産の哨戒機がなかったっけ。

      • ナイトアウル
      • 2022年 8月 03日

       将来性考えたらPー8じゃないかね。古参ミリオタなら誰もが知っている事情通さんの話だとPー8が見付けられる潜水艦をPー1が見付けれれないらしいし。
       火のない所に煙は立たないだろうし可能性はあると思う。それこそ表に出る情報でもないだろうしソフトかハードで対応は出来ると思うが、導入機数で負けて捜索能力まで負けてるとなると正直Pー1以外買えとしか。まぁ単機でのレーダー性能だけは間違いなく最上位なんでそこに価値見出せるかかね。昨今の事情ならネットワーク経由で敵を探知するのが普通だろうし微妙だけど。

      •      
      • 2022年 8月 03日

      P-1は日本独自の戦術に合わせた対潜哨戒機だし、日本の国内事情もあるけど買うならP-8の方が良いと思うね。
      P-1が能力不足で探知できないetc…ソース不明の素人軍オタ連中の与太話云々は知らねぇけどw
      というかそんな能力不足な機体だったら実戦配備なんてしないだろ?

      1
    • パラベラム
    • 2022年 8月 04日

    高いレベルでもスパイまみれは日本も同じ。
    台湾がこの深刻な問題にどう対処するかは日本も注目です。

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