米英独の3ヶ国が提供を約束した計22輌の多連装ロケットシステムがウクライナに到着、さらにバイデン政権は予告していた17番目のウクライナ支援パッケージ(5.5億ドル)を発表した。
参考:В Украину прибыли дополнительные HIMARS от США – Резников
参考:Немецкие дальнобойные РСЗО MARS II уже в Украине – Резников
参考:Biden to send Ukraine ammo for HIMARS as Kyiv, Congress push for more
17番目のパッケージは16番目のパッケージと比べて「弾薬供給」に重点を置いているのかもしれない
ウクライナのレズニコフ国防相は「米国からHIMARSとドイツからMLRSがウクライナに到着した」と明かし、米英独の3ヶ国が提供を約束した計22輌(HIMARS×16輌+MLRS×6輌)の多連装ロケットシステムが全てウクライナ軍に引き渡された格好だが、バイデン政権は予告していた17番目のウクライナ支援パッケージ(5.5億ドル)を発表した。

出典:U.S. Marine Corps photo by Pfc. Sarah Pysher
今回パッケージについて国防総省のジョン・カービー報道官は「HIMARS向け弾薬と155mm砲弾×75,000発が含まれている」と明かしているので追加のHIMARSやM777は含まれていない可能性が高く、17番目のパッケージは16番目のパッケージ(4輌のHIMARSを含んで2.7億ドル)と比べて「弾薬供給」に重点を置いているのかもしれない。
因みに合成開口レーダーのデータに基づき「ロシア軍が破壊されたアントノフスキー橋や鉄道橋に沿って舟橋を建設した」と予想する声が多かったが、実際にはクリミア大橋の防衛にも使用されているピラミッド型のレーダーリフレクターであることが視覚的に確認され、西側諸国のアナリストは「HIMARSが使用するGMLRS弾(GPS+INS誘導のロケット弾)の攻撃回避に対して役に立たないレーダーリフレクターをなぜ設置したのか?」と首を傾げている。
Russia has set up a pontoon bridge next to the railway bridge in Kherson.
46.675185, 32.797150 pic.twitter.com/oEJLAIGdFT
— Benjamin Pittet (@COUPSURE) July 29, 2022
レーダーリフレクターは「ハープーン」や「ネプチューン」といったレーダー誘導方式のミサイル攻撃回避に役立つ可能性があるが、アントノフスキー橋や鉄道橋はHIMARSの射程圏内なので「レーダーリフレクターを設置しても無駄ではないか?」という意味だ。
西側諸国がウクライナに提供したハープーンは対地攻撃モードのない旧バージョンだと言われており、まだ在庫にあると予想されているウクライナ軍のネプチューンも対艦モードしかないため「陸上攻撃」に転用される可能性は低く、仮に使用されても与えられるダメージ量は限定的だと推測されている。
“🇷🇺Nash response to capitalist #America“. Pyramid-shaped radar reflectors that are ready to crush #HIMARS rockets “in no time”. To be used with🚦that shows red only to confuse the missiles and stop them from fully destroying the #Antonivskyii bridge. #RussiaIsATerroristState pic.twitter.com/ScWm6mNRBV
— KyivPost (@KyivPost) August 1, 2022
最終的に西側諸国のアナリストは「可能性は低くても全ての対抗措置を講じてアントノフスキー橋や鉄道橋を守る=ヘルソン州のドニエプル川北岸地域を諦める気はない」というロシア側の意思表示ではないかと予想しているが、ウクライナ政府も「アントノフスキー橋への攻撃量は意図的に調整したものだ」と言及しているので「橋を完全に破壊するつもりはない=ヘルソン奪還後を考えて脚部分の破壊は避けたい」と考えている節があり、アントノフスキー橋の運命(橋脚部分の完全破壊)は今だ不明だ。
関連記事:155日を迎えたウクライナでの戦い、HIMARS用弾薬の供給問題が浮上
関連記事:ロシア軍はアントノフスキー橋の復旧を急ぐ、ウクライナ軍はHIMARSによる攻撃を継続
※アイキャッチ画像の出典:Public Domain
>「HIMARSが使用するGMLRS弾(GPS+INS誘導のロケット弾)の攻撃回避に対して役に立たないレーダーリフレクターをなぜ設置したのか?」と首を傾げている。
ロシア軍が、対抗装備が無い、対抗戦術すらない、検討したことも無い
ってマジで思ってます
だって、あのロシア軍ですよ
そのうち橋に余った庇とか付け出しそう。(T-72の残骸を眺めながら。)
スカッドの最終型なんかには目標照合レーダーで最終誘導する機能があるらしいですが、HIMARSには関係の無い話ですしねえ
ロシア軍の技術認識が「最終誘導無しでこんな精度出せる筈がない! GPS誘導は西側のニセ情報!!」なんてレベルなのか、あるいは…
>全ての対抗措置を講じてアントノフスキー橋や鉄道橋を守る
「使用可能な手段は総て尽くして奮闘しています」という、現地軍のクレムリン向けアピールかもしれませんね。
《HIMARSの射程圏内なので「レーダーリフレクターを設置しても無駄ではないか?」》
第二次大戦でM4シャーマンが土嚢や予備転輪を増加装甲にしていたじゃろ? つまり・・・効果の有無は不明ということだ
パーンツィリS1が対抗装備のはずですが、どこへ行ったのやら?
数両鹵獲されて元気にロシア軍と戦ってるよ。
GPS誘導ってロシアとか中国と戦うときは衛星落とされて使い物にならないんだろうなあって思ってたけど、実際にはめっちゃ使えましたね。意外と核兵器が飛んでこないのと似ている。
米露中の全面戦争になったら、分からんよ。
その前に核戦争かもしれないが。
むしろGPSはジャミングやスプーフィング等でで戦時には使い物にならないと思われてたかと
平時だけど中東や欧州で妨害らしき報告があったのと
イランでは無人機のRQ-170がGPS信号の偽装で着陸地点と誤認させられて鹵獲された実績もありますし
ウクライナがHIMARS部隊を投入して以降、ロシアは「我軍がHIMARSを破壊した」と根拠のない主張を繰り返しています。そう言うからには壊れたぶんきっちりウクライナに追加供与しないといけないですよね。
あー、ロシアがそういうから追加しましたという論法ですね、
それはロシアの責任だから増やしても仕方がない