インド太平洋関連

ベトナム初の国際武器見本市が8日に開幕、日本からも11社が参加

ロイターは7日「ベトナムがロシア依存から脱却して国産装備品の輸出を実現させるため安全保障政策の転換を図ろうとしている」と報じており、8日にハノイで開幕する武器見本市には日本からも11社が出展している。

参考:Analysis: Vietnam shifts gears on arms trade as it loosens ties with Russia

今月8日に開催されるベトナム初の国際武器見本市に日本からも11社が出展

ベトナムの安全保障はロシアが供給する武器に依存しており、1995年~2021年までに輸入した80%以上(60億ドル以上)がロシア製で、武器調達を特定国に集中させるリスクを問題視して武器調達の多角化(2021年にL-39NGを発注)に乗り出していたが、ウクライナ侵攻でロシア製の調達が難しくなったためベトナムは武器調達の多角化を加速させようとしている。

出典:Office of the President

ただベトナムはロシア製を他の国の武器に置き換えるのではなく海外企業の支援を受けて自国の防衛産業を育成し、最終的には国内で生産された武器の海外輸出を目指しており、今月8日に開催される「Viet Nam Defence Expo Hanoi=ベトナムにとって初めての国際武器見本市」には世界中から250社以上の企業が終結する予定で、ベトナム国防省は「自国軍向けや輸出向け装備を生産するため調達ルートや技術ソースの多様化に役立つ」と述べているのが興味深い。

つまり見本市を通じて海外の防衛産業企業と接点を開拓し、ベトナム軍向けの需要を欧米企業に解放することで防衛産業育成に必要な支援=技術移転を引き出したいという意味だ。

出典:海上自衛隊

因みにViet Nam Defence Expo Hanoiにはロッキード・マーティンやネクスターといった欧米企業やロシア企業に加え、イスラエル、オーストラリア、韓国、シンガポール、インド、マレーシア、インドネシア、タイ、カザフスタン、アラブ首長国連邦、南アフリカといった国の組織や企業も出展しており、海外の見本市で殆ど見かけることがない日本からも11社(防衛装備庁、日本海事協会、伊藤忠商事、日本舶用工業会、ジャパンマリンユナイテッド、三菱電機、ナカシマプロペラ、日本パーカライジング、SUBARU、東芝、ヤンマーパワーテクノロジー)が出展している。

船舶関係の会社や組織が多いのは恐らくマレーシアに拠点を置くT7グローバルと共同でベトナム海軍や沿岸警備隊向けの艦艇需要を狙っているだめだろう。

関連記事:米国にとって好都合、韓国と関係強化で合意したベトナムがKF-21を検討か
関連記事:三井E&S造船、マレーシア企業と提携してベトナム海軍の艦艇受注を狙う
関連記事:欧米との競争を制してイスラエルがベトナムの軍事衛星を受注、日本も入札に参加か

 

※アイキャッチ画像の出典:manhhai/CC BY 2.0

LM、米陸軍にMK.41を流用したタイフォン・ウェポン・システムを納品前のページ

米軍事委員会がA-10やE-3の退役を承認、F-22AとF-15C/Dの退役は禁止次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    インド、Su-30やMiG-29を含む5000億円規模の緊急調達案を承認

    インド政府は中国との軍事的緊張を理由に3,890億ルピー(約5,600…

  2. インド太平洋関連

    韓国メディア、日韓当局がレーダー照射問題の葛藤を緩和するため協議中

    韓国メディアは「日本と韓国の国防当局が2018年のレーダー照射問題の葛…

  3. インド太平洋関連

    インドネシア、韓国と昨年結んだばかりの209型潜水艦建造契約をキャンセルか

    インドネシアは韓国と結んだ潜水艦3隻の調達契約キャンセルを検討している…

  4. インド太平洋関連

    オーストラリア国防次官、アタック級潜水艦の失敗に備えてプランBが存在すると公式に言及

    オーストラリアのグレッグ・モリアーティ国防次官は2日、フランスのNav…

  5. インド太平洋関連

    台湾で6月末に退役したHAWKシステム、米国経由でウクライナに移転か

    台湾の中国時報は14日「6月末に国軍から退役したHAWKシステムを米国…

  6. インド太平洋関連

    海軍戦力の45%を無人戦力に置き換える韓国、武装タイプのXLUUVを披露

    韓国の釜山で開幕したMADEX 2023でハンファオーシャンが魚雷発射…

コメント

    • ズマ
    • 2022年 12月 07日

    T7グローバルとの合弁は既に解消していたような

    • むーりや
    • 2022年 12月 07日

    無理無理無理無理無理!

    5
      • 半分の防衛費の国から
      • 2022年 12月 08日

      ムリ、ムリ、ムリ、ムリ、リムド、ムリ、セミリムド、ムリ、リムレス、と来れば薬莢の底の規格デスね?鉄砲玉を送り込めという魔法の呪文?

      1
      • Comet
      • 2022年 12月 09日

      やる前から無理と決めつけるのは感心しないなぁ。
      やる前から諦めていたら何もできない。

      7
    • 祈る
    • 2022年 12月 07日

    日本の企業の商談が成立しますように

    31
    • lo
    • 2022年 12月 07日

    正直な話日本はこれから自衛隊向け装備の生産でてんてこ舞いになるから輸出どころじゃないと思うんだよね

    12
      • 無能
      • 2022年 12月 07日

      日本企業の資本が入った合弁会社から輸入するなんてルートもアリなんじゃ?
      日本企業の生産能力なんか自衛隊向けだけで急に増やすなんて事できないし、納入先も調達先も多様化した方がお互いに良いと思いますよ。

      32
    • 2022年 12月 07日

    何だこの無味乾燥なPVは

    1
      • 774rr
      • 2022年 12月 08日

      取り敢えず売り込みたい製品が何かは知れたので良かったと思おう。。。

      1
        • Natto
        • 2022年 12月 08日

        スバルがUH2の売り込みしてた。
        上手く行くとヒューイがまた戻ってくるのか。

        2
    • 匿名希望係
    • 2022年 12月 07日

    個人的にAAM-4出してみたいところで

    1
      • lo
      • 2022年 12月 07日

      J/ARG-1が必要なAAM-4を出品するくらいならまだ開発途中のJNAAMを出品したほうがマシ

      5
      • ネコ歩き
      • 2022年 12月 08日

      現行防衛装備移転三原則運用指針では、攻撃兵器輸出は海外にアピールできません。
      海外の武器見本市等にそれらを出展するのは、年末予定の同運用指針改定閣議決定後になります。
      来年以降の動きに期待しましょう。

      3
    • pon
    • 2022年 12月 07日

    技術供与込みの商談となると、大物に関してはポーランドで見せた韓国企業なんかが有利なんでしょうね。
    他国にない類の兵器しか技術供与の無い取引に持ってゆけないのでしょうね。

    3
      • ぬるぽ
      • 2022年 12月 07日

      ポーランド向けの売上はみんな陸戦兵器だから…
      海上船舶向けならばまだまだ日本にもチャンス有ると思うよ

      10
        • 幽霊
        • 2022年 12月 08日

        ただ韓国も造船国なので軍艦の輸出についても成功しているんですよね。

        8
        • 76式
        • 2022年 12月 08日

        日本のは太平洋や日本海を渡り歩くため船体の性能が他国にはオーバースペック気味なのが…

        2
          • 成層圏
          • 2022年 12月 08日

          そうはいっても、台風を避けてる間に領土を奪われたら元も子もないんだがね。

          6
      • 月虹
      • 2022年 12月 08日

      戦車に関しては800両以上あるT-55系列(59式戦車含み)の代替としてK2、自走砲については旧ソ連製の2S1や2S3の代替としてK9といった様に戦車・火砲については実績のある韓国が有利だと思います。特にT-55の置き換えでT-90を導入したものの保有するT-55の全てを置き換えるに至っておらず南沙諸島問題で対立する中国から購入するとは思えないので消去法でいくと技術移転が見込まれるK2戦車が割と有望なのかも知れません。

      9
    • 名無し2
    • 2022年 12月 07日

    船体は韓国製だけどプロペラだけ日本製とかレーダとアンテナだけ日本製、とかそういうのなら最高なんだけどな。第三国の兵器開発製造で日韓協業が実現すれば韓国製兵器を日本に移転したり、日本製の部品を韓国兵器に採用、といった新たな道筋が開けるかもしれない。アジア自由主義圏でトップ2がいがみ合っていては中露につけこまれるよ。

    8
      • 774rr
      • 2022年 12月 08日

      韓国は日本が作れる物なら大凡何でも作れるでしょ
      わざわざ日本のプロペラやレーダー使うメリット無さそう

      11
        • 名無し2
        • 2022年 12月 08日

        >韓国は日本が作れる物なら大凡何でも作れるでしょ
        そうなんですか?それなら世界中が韓国製兵器を使うようになるはずです。平和になりますね。

        17
        •  
        • 2022年 12月 08日

        韓国って軍用レーダー(戦闘機用や艦船用など)を開発製造していましたっけ?
        韓国軍の軍用レーダーを見ると戦闘機用にしろ軍用艦用にしろ基本輸入品(既存品の韓国向けモデル)のようなのですが

        7
          • 名無し2
          • 2022年 12月 08日

          KF-21のAESAレーダーはイスラエルとイタリアのメーカーの技術支援を受けた国産でF-2やF/A-18E相当の能力はあるはずですが、たとえ不具合があったとしても今後改善され続けるでしょうし、台湾と同じく中国と国境を接し歴史的経緯からもアメリカと距離を置かざるを得ないベトナムにとってこれ以上の選択肢はないと思います。

          2
        • Comet
        • 2022年 12月 09日

        それはない。コストとか関係なく純粋に技術で見れば日本のほうが上です。

        4
      • 名無し
      • 2022年 12月 08日

      まずは韓国が真っ当な国であることを、行動をもって示してからですね
      今の韓国と協力とか、冗談にも程があります

      9
      • Comet
      • 2022年 12月 09日

      いやそれは意味がないし不可能でしょう。
      日本がわざわざ韓国製を使うメリットはなく、それなら国産でやったほうが信頼性の面でも国内産業支援の面でもいいでしょう。
      対立国との協力で技術を取られるリスクも考えたほうがいいですし。

      4
    • ブルーピーコック
    • 2022年 12月 08日

    さーて。どんなのを出品、または展示してくれるのかな。

    • 折口
    • 2022年 12月 08日

    >ただベトナムはロシア製を他の国の武器に置き換えるのではなく海外企業の支援を受けて自国の防衛産業を育成し、最終的には国内で生産された武器の海外輸出を目指しており

    これ思いつく限り殆どの兵器輸入国が言ってる(トルコ、ポーランド、サウジアラビア、エジプト…)ような。多分それらの試みのいくつかは実を結ぶんでしょうが、もしそうなったら将来の兵器市場は今より加速度的に飽和していくことになるんでしょう。現状でもその傾向が強いですが、非先進国が枯れた技術の兵器を廉売攻勢している時代を考えるといまよりなお買い手市場の=需要を囲っているものの声が最も通る時代になるのかなあ。

    3
    • 58式素人
    • 2022年 12月 08日

    南沙諸島で中共とことを構えるつもりならば。
    苦手であろう(陸軍は強い)海兵的な部隊を整備しないとですね。
    AFVは他所にお願いするとして、94式水際地雷敷設装置の台車の方は、
    昔の大発動艇みたいで使いやすいのではないでしょうか。
    LSTがありませんでしたが、これも作ってあげたらどうでしょうか。
    運搬距離が少ないでしょうから、高速のものを。
    ベトナムにはUH1の長い運用歴がありますから、UH2も有望では。

    • 名無し2
    • 2022年 12月 09日

    フィリピンへの輸出実績のあるJ/FPS-3なら売れてもおかしくない。もがみ型はインドネシアへの現地建造と輸出の話が進んでいる。ベトナムも潜在顧客と言えるだろう。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
PAGE TOP