米国関連

急増する第5世代戦闘機F-35への需要、年間生産量を180機まで引き上げ

ロッキード・マーティンはF-35の年間生産量を2024年までに180機まで引き上げることを検討中で、同機の生産ピークは2024年頃だと予測している。

参考:Lockheed Martin sees F-35 production rising to 180 units per year, despite high flying costs

ロッキード・マーティンはF-35の生産が2024年頃ピークに達すると予測

ロッキード・マーティンは昨年134機のF-35を生産して米軍や海外の顧客に引渡したが、2020年は140機、2021年は160機を生産する予定で、2022年には165機、2023年には170機、2024年には175機から180機まで生産量を引き上げることを検討中だ。同社はF-35の生産が2024年頃ピークに達すると考えている。

昨年までに累計491機のF-35を生産したが、F-35の需要(確定分と調達予定分の合計)は3,000機を越えているため、180機といわれるピーク時の年間生産量では需要を満たすのに13年以上掛かる計算だ。さらにF-35導入国は今後も増加する見込みで、1月31日にはポーランドがF-35Aを32機購入する契約にサインを行った。

補足:ポーランドは1月31日にF-35A購入に関する46億ドルの契約に署名を行った。ポーランド向けのF-35Aはブロック4仕様で2024年から2030年までに製造され、純粋な機体単価(エンジンを含む)は8,730万ドル(約94億円)になったポーランドメディアが報じている。

出典:public domain F-35A

財政危機から脱しつつあるギリシャはF-35A導入を検討中で、フィンランドやスイス、カナダでも次期戦闘機の候補に入っている。東欧のチェコはリース契約が終了するグリペンの代わりにF-35Aを導入する可能性があり、中東やインドへのF-35輸出が解禁されればF-35の受注は爆発的に伸びる可能性を秘めており、最終的な需要は5,000機に届くかもしれない。

もしそうなれば、180機といわれるピーク時の年間生産量で5,000機の需要を満たすには25年以上もかかってしまう。

ロッキード・マーティンは2025年までに、1時間あたりの運用コストを現在の3万5,000ドルから2万5,000ドルまで引き下げると言っているが、これを実現するには問題だらけの物流情報システム「ALIS」を開発中の「ODIN(運用データ統合ネットワーク:Operational data integration network)」に置き換える作業が成功するかどうかにかかっている。

国防総省が発表した年次報告書によれば、依然としてF-35は設計通りに機能せず多くの問題や欠陥があると指摘され未だ「成熟した機種」とは言い難いが、目標だった機体価格8,000万ドルを1年前倒しで達成、ミッション達成率は平均65%まで改善し、年間維持費も4年連続で削減するなどF-35プログラムは間違いなく前進しており、2000年代を代表する代表的な戦闘機へ成長するはずだ。

補足:国防総省が発表した年次報告書によれば、F-35Aに搭載された「GAU-22/A 25mm ガトリング砲」は取り付けマウントのミスアライメント芯ずれ)ため、地上目標に対する攻撃精度が「容認できないレベル=銃弾の命中率が悪い」という問題や、ソフトウェアにも873件の欠陥があると指摘している。

 

※アイキャッチ画像の出典:pixabay

B-2にそっくり? 米空軍、ステルス爆撃機「B-21レイダー」の新CG画像を公開前のページ

英国、第6世代戦闘機「テンペスト」プログラムにフランスを加えるのは不可能次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    XQ-58A ヴァルキリーを開発したクラトス社、エアーウルフの飛行テストに成功したと発表

    低コストの無人戦闘機「XQ-58A ヴァルキリー」を開発した米国のクラ…

  2. 米国関連

    ウクライナ向けエイブラムスはM1A2構成、戦場への到着は来年以降になる可能性

    米国のPOLITICOは26日「ウクライナに提供するエイブラムスは旧型…

  3. 米国関連

    米ミサイル防衛局、SPY-7とベースラインJ7.Bが弾道ミサイル防衛に対応できることを実証

    米ミサイル防衛局は日本向けに開発を進めているAN/SPY-7対応のイー…

  4. 米国関連

    ホワイトハウス、大統領も政権も首をはねられた子供の写真を見ていない

    バイデン大統領は11日「テロリストが子供の首をはねている写真を見ること…

  5. 米国関連

    米空軍、F-22Aをアップグレードするため約1.2兆円の契約をロッキードに授与

    ロッキード・マーティンはF-22Aをアップグレードのため空軍から総額1…

  6. 米国関連

    ロッキード・マーティン、米陸軍の極超音速兵器「LRHW」を初公開

    ロッキード・マーティンは開発を進めている米陸軍の極超音速兵器「LRHW…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 2月 02日

    年180機が限界なのですかね?
    もし総需要5000機で最終機の納入まで25年以上かかるとなると、2045年以降。流石に時代遅れの機体となっていそうですが

      • 全てF-35B
      • 2020年 2月 03日

      そこは、永遠に改良され続ける機体だから。

      • 匿名
      • 2020年 2月 03日

      F16とかも初期型とは今のは別物だし…

    • 匿名
    • 2020年 2月 02日

    それでも、月間23機か。
    量産効果がでるのかな?

    • 匿名
    • 2020年 2月 03日

    機体丸々とは言わんけど日本にも生産させたら早く出来上がるじゃん
    大赤字にならないからライン引き上げ撤回して当初の予定通り国内生産ラインで自国F-35作るんでしょ?

      • 匿名
      • 2020年 2月 03日

      日本国内で生産するのは良いのですがその分、F3で難癖つけて来そう。

      • WSO
      • 2020年 2月 05日

      いやもちろんアメリカとしては自国の工場と日伊のFACOでのフル回転での増産体制は決定事項なんでしょ。空自納入機が輸入から名古屋・小牧FACOでの製造機に再変更された件も、日本でも最終組み立て・検査を継続して欲しい米国から価格譲歩などのバーター提示があったが故の話、むしろそう考えるべきでは。要は日本はこの一連の話では米国に一つ貸しを作った、ってな話かと。

    • 匿名
    • 2020年 2月 04日

    開発に参加してなかったんだから仕方がない
    アメリカ主導の共同開発なら、捨て金になるに覚悟で入れときゃよかったのに
    奇貨おくべし

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP