エスカレートするザポリージャ原子力発電所へのロシア軍による攻撃は「放射能汚染を引き起こすリスク」を西側諸国に突きつけ、ウクライナへの支援を止めろと脅しているのかもしれない。
西側諸国の価値観や基準では到底ありえない選択肢だが、ロシアなら実行に移すかもしれないので「ただのブラフだ」とは言い切れない
ドニエプル川のカホフカ貯水池のほとりに建設されたザポリージャ原子力発電所は原子炉6基(総発電量6,000MW)を擁する欧州最大の原子力発電所で、ロシア軍が占拠後もウクライナのエネルゴアトム社が操業を続けてウクライナ南部への送電を続けてきたが、6月末にHIMARSが到着してウクライナ軍がロシア軍の兵站拠点を攻撃し始めると発電所敷地内に武器や弾薬を運び込み軍事拠点として活用し始める。

出典:UATV 武器を発電所敷地内に運び込むロシア軍
米WSJ紙は先月5日に「ロシア軍がBM-30を含む砲兵装備を発電所敷地内に配備した」と報じ、エネルゴアトム社も6日に「ロシア軍が発電所敷地内からニーコポリを攻撃している」と、21日には「ロシア軍が原子炉1号機の動力装置が収められた建物内に装備や弾薬を運び込んだ」と報告していたが、8月5日の午後2時半頃に高圧送電設備を同じ日の夜に原子炉近くの窒素・酸素プラントを攻撃して破壊、6日には使用済み核燃料を保管している施設の付近にロケット弾を撃ち込んだ。
補足:ロシア側はザポリージャ原子力発電所への攻撃はウクライナ軍によるものだと主張している。
なぜロシア軍は占領下にあるザポリージャ原子力発電所に放射能汚染を招くリスクの高い攻撃を行うのかは謎だが、一説によるとロシアはザポリージャ原子力発電所を意図的に破壊することで「放射能汚染を引き起こすリスクを西側諸国に突きつけ、ウクライナへの支援を止めろと脅している」と言われており、ドネツィク州の捕虜収容所を「ウクライナ軍が意図的にHIMARSで攻撃した」というロシア軍のプロパガンダと同じ性質なのかもしれない。
📽️Russians released a video from the burned down building of penal colony in Olehnivka, #Donetsk Oblast. Meanwhile, the number of casualties has increased to 53. #UkraineRussiaWar https://t.co/LAbgWiQc8U pic.twitter.com/XjZanEce9X
— MilitaryLand.net (@Militarylandnet) July 29, 2022
ロシア国防省は7月29日「マリウポリで降伏したアゾフ連隊の兵士を収容するイエレノフスカヤ収容所(ドネツィク州)がHIMARSによる攻撃を受け53人が死亡した」と発表、この攻撃はゼレンスキー大統領の命令によるもので「ほとんどのウクライナ兵士は武器を置いてロシアに降伏したがっているのに、ゼレンスキー大統領は捕虜収容所をHIMARSで攻撃して降伏しないよう自軍を脅している」と主張したが、この攻撃はロシア軍による自作自演(死亡したアゾフ連隊の兵士は本物)の可能性が高く、ロシア側の狙いは「ウクライナに供給されるHIMARSやGMLRS弾を思い止まらせること」だと見られている。
つまりショイグ国防相は「西側諸国が供給する長距離兵器(HIMARS、M777、ハープーンなど)を最優先で破壊しろ」と軍に命じたが、一向に成果が上がらず被る被害を無視出来なくなったため「ゼレンスキーはHIMARSで自国の兵士を意図的に殺害した」と米国に揺さぶりをかけたものの自作自演がバレてしまい、ザポリージャ原子力発電所を意図的に破壊して「長距離兵器のウクライナ供給を止めないと欧州で放射能汚染が発生するぞ」と脅しているという意味だ。

出典:Ralf1969 / CC BY-SA 2.5 ザポリージャ原子力発電所
もしくは人質にとっていた穀物輸出の再開に合意したため、代わりの人質=ウクライナの穀倉地帯を放射能で汚染すると脅している可能性もあるが、どちらにしてもロシアの要求が叶えられない限り「原子力発電所への攻撃」はエスカレートする可能性が高く、どこまでロシアがやるのか=本当に放射能汚染を引き起こすレベルの破壊を実行するのかがポイントだろう。
西側諸国の価値観や基準では到底ありえない選択肢だが、ロシアなら実行に移すかもしれないので「ただのブラフだ」とは言い切れない。
注意:上記の内容は管理人の考察なので確かな根拠があるわけではありません。
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※アイキャッチ画像の出典:DENAMAX/CC BY-SA 4.0
原発防衛、核攻撃阻止という大義名分を与えるだけだと思うけどねぇ
核戦争を避けるためということでアメリカは直接介入してないけど、あまり火遊び続けると限定攻撃を招きそうだよね
(良くも悪くも)民意を読まなければならない米国を始めとする西側諸国では限定攻撃を起こすのは難しいかと…
バビロン作戦の頃のイスラエルみたく全国民がガンギマリ状態な国ならば、あるいは…🤔
ロシアはウクライナの攻撃だしているが、ロシア軍の発表している支配地域だと何百キロもロシア軍支配領域続いて350キロ先まで攻撃出来るロシア軍の多連ロケット砲しか攻撃出来ない矛盾ある発表している。
ロシア軍この辺りはかなりのロシア軍優勢地域だからな。
アメリカにも直接的な核被害がでる可能性があるので(偏西風に乗って北半球が汚染される
ヒステリックな反応が起きて、アメリカ政府が引けなくなる可能性はありますね
核汚染を避けるための米軍介入または限定攻撃はウクライナの市民からしたら嬉しいでしょうが、対中国に振り切ってほしい日本からしたらやきもきしてしまうかもしれないですね。
アメリカの安全保障の専門家の中には「今やアメリカは複数の戦争に同時に介入する力はないのだからウクライナへ肩入れしすぎるな」と言っている人もいるので頭の痛い問題になりそうですね。
ロスコスモスがISS離脱を繰り返し主張しているのは代替不可能な米国製の宇宙用半導体の禁輸措置解除を米国に働きかけるためのブラフだという説もあるみたいですし、いよいよ話法が北朝鮮に近づいて来ましたね。
ウクライナでAGM-88の破片が発見されており米国が供与している(HARMは空中発射専用なのでウクライナ軍は運用基盤がなく、なにかの間違いかも)のではなんて話が今流れていますが、西側のウクライナ支援パッケージはまだ拡大していく訳ですから、ロシアとしては中長期の展望について考えるのはさぞ怖いでしょうね。
風向き的に最も被害を受けるのはウクライナとロシアでは?
ドニエプル川が汚染されたら、クリミア半島に送る水が汚染されるぞ。
その意味がロシアに伝わるかどうかは定かではないが。
その意味ではブラフとしての限定的攻撃力かも知れないし、
しかし侵略側が苦しみ紛れの危険な戦術を選ぶのは理解に苦しむ。仮に目標通りにウクライナの占領に成功しても後処理をどうするのか、責任をウクライナ側に押しつけたとて汚染が消えるわけでもない
このような異常な戦争なのに、まだロシアを支持する声のあることが恐ろしいよ、被爆国であることを忘れたのか
チェルノブイリも乗り切ったから、イケる!と思ってるかも。
乗り切ってないけど。
これニュースを適当に観てる人は勘違いしちゃうかもしれないけど
ロシア軍が支配してるんですよねここ
完全に頭がおかしい
それでもロシアを擁護する人達がいるってのがもうね
ウ・ロどちらの仕業にせよ、核廃棄物は駆け引きに使うにはあまりに危険な猛毒なのに恐ろしいですね
ロシアに限らず西側の欧米諸国も放射線の怖さを良く解ってないなと思うことは度々あります
ロシアやウクライナは旧ソ時代のチェルノブイリ事故でその辺りを知っててもおかしくないのですが、当時は厳しい情報統制が行われたようですし30年以上経った今では危険性を意識出来る人間はさらに減っているのかも知れません
原子力施設に関しては、開戦直後にIAEAの管理下において、中立化してしまう以外、戦争時に身を守る方法はないかもしれません。
まあ、国連は攻撃されても何もできないですから、何の役にも立たない可能性はありますが、それでも当事国だけで管理するよりはマシだと思っています。
日本も戦争が起きれば同様のリスクはあります。
いつ果たされるか不明な核軍縮よりも、目の前にある原発のリスクについて今のうちに国際的な取り決めを作っておいた方がいいのでは、と思います。
まあそもそも原発施設は中立原則をロシアも認めてたような記憶あるけど、
占領して軍事基地化してるから、中立が軍事力以外では達成できない見本ですね
穀倉地帯への脅しという観点では、農地の汚染のリスクを煽ることで被害を危惧する辺境の市民と直接の利害がない都市部の市民の間に戦争継続に対する意見の分断を作り出し、占領地の支配を容易にしようとしているのではないか
ウクライナ国民にはチェルノブイリ事故への恐怖の記憶が根強く刻まれていると踏んでいるのだろう
だがこうした小細工も現状のウクライナの戦意を見れば結局は見立て違いに終わるだろうと思える
ロシアは放射能汚染を西側諸国の責任だと宣伝し親西側以外の国を騙すために攻撃してるのかもしれないですね。
核兵器を用いる→ウクライナはブタペスト覚書で核兵器を廃棄しているし欧米が核兵器を供与することはありえないのでどう考えてもロシアのせい!
原発攻撃をする→ザポリージャ原発はロシアの支配下にあるからロシアが自分で攻撃するわけ無い!欧米が供与した兵器でウクライナが攻撃したんだ!
反西側な国やロシアの情報戦が成功している国ではこれが受け入れられてしまうかもしれません。
そうなるとウクライナの穀物を食べている国々や、汚染が及ぶかもしれない北半球に位置している国々は西側に支援をやめろと訴えてくるかもしれません。
もちろん中国もこのキャンペーンに盛大に乗っかってくるでしょうから西側諸国vsその他という構図が出来上がり西側が譲歩しウクライナへの支援を控える動きにつながるかもしれないですね。
以上素人の想像ですが、これが現実にならないことを祈ります。
ショッカーに失礼だけど、ショッカーでもやらないような事がロシアさんは好きだな。
だけどそれなら西欧各国がそれを阻止しようと言って増強する方が多い確率の方が高くなると思うけどな。
地理に疎いので、知っている人がいたら教えて欲しいんだけど、ザポリージャ原子力発電所で被害があったら、風向きはどっちの方向に行くのかな?
ロシアが攻撃してるんだから、当然西側だと思うんだが、まさか偏西風で東側(ロシア方面)とかは無いよね?
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現時点で何が真相であるかは誰も言えないでしょうが、露による穀物輸出の妨害も経済制裁の解除と西側諸国の揺さぶりが目的であるように見えますので、管理人さんの考察は蓋然性があり、かつ時系列で事実も追っていただいてわかりやすいですね。
事態を混乱、不安定化させ、相手の結束を乱してそこに付け込むという露の手法は一貫しているのではないでしょうか。
ロシア軍による自作自演(死亡したアゾフ連隊の兵士は本物)
気の毒だけどなんかのアネグトードみたいな不思議な響きがあるな。