ウクライナで対レーダーミサイル「AGM-88HARM」の残骸が見つかり、レズニコフ国防相が米国から受け取ると言及していた「特別な対レーダーミサイル」がAGM-88だった可能性が浮上している。
参考:Україна отримає від партнерів протирадарні ракети, яких раніше не було в ЗСУ – Резніков
参考:Does Ukraine Now Have AGM-88 High-Speed Anti-Radiation Missiles?
地上から発射されたAGM-88がロシア軍占領下のヘルソン地域まで本当に届くのかは謎だ
バイデン政権は16番目のウクライナ支援パッケージ(2.7億ドル)を7月23日に発表、これに関連してレズニコフ国防相は「我々は新たに4輌のHIMARSと『特別な対レーダーミサイル』を手に入れるだろう。これにより敵のレーダーシステムを効果的に破壊でき反撃のための優位を得ることができる」と述べていたが、ウクライナで対レーダーミサイル「AGM-88HARM」の残骸が見つかったため「特別な対レーダーミサイル」がAGM-88だった可能性が浮上している。
Russian channels have posted images of what appear to be the remains of an AGM-88 HARM antiradiation missile. A fragment of the HARM’s BSU-60A/B stabilization fin can be seen in the wreckage.
The missile was reportedly fired at a Russian position. pic.twitter.com/GCNA55CJdj
— OSINTtechnical (@Osinttechnical) August 7, 2022
問題はAGM-88対応の空中プラットフォームをウクライナ軍が保有していない点=どうやってウクライナ軍はAGM-88を運用したのか?だが、米ディフェンスメディアは「10年以上前にHIMARSを防空ミサイルのランチャーとして使用する研究が行われAIM-120を試射しているため、HIMARSはAGM-88を制御するためのインターフェースが備えている」と指摘しており、ウクライナ軍はロシア軍占領下のヘルソン地域でS-300を計5基破壊しているためHIMARSから運用したAGM-88が使用されたのかもしれない。
ただ空中発射向けに設計されたAGM-88を地上から発射すると高度と速度の利点が得られないので米ディフェンスメディアは「交戦範囲が大幅に減少する」とも指摘しており、ウクライナ軍支配地域からロシア軍占領下のヘルソン地域までAGM-88が本当に届くのかは謎だ。
因みに米国は「16番目のウクライナ支援パッケージに対レーダーミサイルが含まれている」とは公式に発表していないため、レズニコフ国防相の言及が真実なのか裏付ける証拠(見つかったAGM-88の残骸も真実かどうは不明)はない。
※アイキャッチ画像の出典:OSINTtechnical
普通にこれですかねえ?(訓練しているという報道はあったと思います)
リンク
現状ウクライナは東側・西側両国の兵器実験場状態ですね
ウクライナとしては実験場扱いだとしても兵器が送られてくる方が重要でしょうけど。
実験場というには運用兵器のほとんどは冷戦時の産物ですし
どっちかっていうと冷戦の宿題の方向性が正しかったのかの答え合わせじゃない?
実際にウクライナで使用されたかどうかはともかくHIMARSからAGM-88使用出来るとか驚きだわ
M270にも適用されてるんかね?
Twitter上を見てると主に5つの説が飛び交ってますね。
1.地上発射型プラットフォームからの発射(HIMARSなど)
→AARGM-ERにはコンテナ発射案あるも、残骸はレイセオンっぽい
2.アビオニクスが更新されら西側提供のMig-29からの発射
→ポーランド、ルーマニアなど出所は錯綜
3.秘密裏に供与された西側戦闘機(F-16など)からの発射
→隠し通すのは不可能では?
4.第三国の極秘参戦、西側戦闘機からの発射
→根拠なし
5.西側提供の極秘UAVからの発射
→根拠なし
一番ありそうなのは1や2だと思いますが、追加情報なしでは判断できないですね
2.なんですが、東欧諸国のNATO規格に改修されたMiG-29への西側兵装の統合は見送られてたはずなので可能性は低いかと。まあ秘密裏に何かしらの追加改修が行われたとかなら分かりませんが…
1.以外は可能性が非常に低い。2.は確証が無くnemoさんの見解が一般的のようです。
ただし、AGM-88HARMは大型の安定翼及び尾部スタビライザーを有し、サイズ的にHIMARSで運用するには専用のコンテナランチャーが必要になるとのこと。HIMARSで試験されたという情報もありません。
レズニコフ国防相の「我々は新たに4輌のHIMARSと『特別な対レーダーミサイル』を手に入れるだろう」発言は7月25日のことで、それから2週間足らずで実戦投入されたてのもやや疑問の残るところです。
もう一つの可能性として、ロシアによる挑発的フェイクではという説があります。
画像の尾部スタビライザーはAGM-88HARMのものである可能性が非常に高いが、セルビア、レバノン、或いはイラクにおいてロシアが回収した残骸ではないかというものです。
HIMARSのロケット弾を対空ミサイルで迎撃しようとすると
実は対レーダーミサイルも同時に発射されていて、レーダーサイトが破壊される。
ロケット弾も対レーダーミサイルも自らは電波出さないので、パッシブな識別は困難
対空レーダーがなくとも対砲レーダーが破壊されて、次の発射検知が困難になる。
日本もこの戦法できるようにすべきと思う、対艦攻撃にも有効かも。
かなり大型のブースターでもつけてない限りM31とかの射程の半分も行かないと思うよ。地上発射は射程延伸に寄与する要素が一つもない。
それに対レーダーミサイルは水平方向に向けて撃つのが普通だからロケットと同じ軌道をしてレーダー探知に問題ないかもあるだろう。
話が飛躍しすぎじゃないだろうか。
SAMの天敵の対レーダーミサイルか。
現代では飛行機乗るのも命がけだしSAMのレーダー作動させるのも命がけ。
HIMARSにそんな統合歴があったとは知りませんでした…。たしかに、アタッチメントやデータリンク関係の規格を既に備えているのであれば供与になるのも自然な流れですね。
地上発射型HARMがM30と同程度の射程が出せるのであれば、集積所や鉄道橋梁などの固定目標以外に電波目標を叩けることになります。これはロシア軍のSAMやECM装置を狙い撃ちできる事を意味しますし、ロシアの防空部隊や電子線部隊の活動を制約できればドローンや空軍による近接航空支援の難易度も段階的に下がっていきます。またHARMは飛翔速度が早く、仮に射程100km確保できていたとしても発射から着弾まで2分程度で回避が難しいと言われています。これは大きいかもしれないですよ…
A2AD被覆下で航空部隊が進出不能な環境を想定した研究の成果の一つでしょうか。
不勉強で恐縮なんですが、アンチARM兵器って無いんですか?
SAMの対ARM対処として最も古典的なのは
『火気管制レーダーの電源を切る』こと。
いっそ『必要最低限の時間だけ照射する』こと。
ただ最近のARMはINS/GPSで位置を記録したり、
どっかの変態ミサイルはパラシュート展開して空中待機することでタイミングをずらしたりするので古典的故、効果は限定的。
他にはデコイがあったりする。
SAM_Simulatorってのが有るから、実際にHARMと交戦して考えてみるのも手。
たしか中SAMには高機動車ベースで囮用の欺瞞電波発信装置があるって話を聞いたことがあるな
>>kpvtさん、>>Mobさん
なるほど、比較的パッシブな手段が多そうですね。ARM用のVADSやらSAMやらがあるのかと思ってました^^;
地対地での対レーダーミサイルの使用はイスラエルがやってましたね。
シュライクとスタンダードを車両に搭載して1982年のレバノン紛争でシリア軍SAM制圧に使用しました。