カナダのカーニー首相は27日「夏までに欧州再軍備計画に参加して米国依存を削減する第一歩を踏み出したい」と今後の見通しを明かしたが、トランプ大統領も直ぐに反応し「独立したままならGolden Domeへの参加費用は610億ドルだ」「もし51番目の州になるなら費用は0だ」と呼びかけた。
参考:Carney says Canada is looking to join major European military buildup by July 1
国防支出1ドルにつき75セントも米国に支払うのは懸命ではない
カナダはトランプ政権の不確実性、カナダ合併発言、関税問題に直面し、Breaking Defenseは3月「トランプの暴言は『米国が信頼できないパートナーである』と証明するかもしれない」と警告していたが、選挙で勝利したカーニー首相も「着実に進められてきた統合を土台とする米国との古い関係は終わった」「米国を中心とする開かれた貿易システム、第二次大戦以降にカナダが頼ってきたシステム、完璧ではないもののカナダの繁栄を支えてきたシステムは終わった」「これは悲劇だが我々の新たな現実だ」「米国の裏切りの衝撃は乗り越えたが今回の教訓を決して忘れてはならない」と述べた。

出典:Mark Carney
それでもトランプ大統領は「カナダ併合は諦めない」「次回の会談では併合について必ず話す」と述べ、カーニー首相も会談に向けて「願望と現実を区別することが重要だ」「カナダ国民は決して米国には加わらないという意思を明確にした」と牽制、注目された今月6日の首脳会談は非常に和やかなムードで進行したものの、外交上の社交辞令を終えたトランプ大統領はカメラの前でカナダ、トルドー前首相、フリーランド前外相への不満を語り始め、カーニー首相は約30分間も自国の擁護とトランプ大統領に恫喝されていないよう見せるのに苦心。
そしてカーニー首相は「不動産には決して売りに出されない場所がある」と切り出し、トランプ大統領が「それは事実だ」と回答すると「カナダの主権者と会って『カナダは売り物ではない』『今後も売りに出されることはない』と判明した」と述べたが、トランプ大統領は不動産話の意図に気がつくと「絶対にないとは言えない」と言い直して「カナダ併合を諦めない姿勢」を強調したものの、カーニー首相は「失礼ながら、この件についてカナダ人の見解は変わらない」と断言し、トランプ大統領はカナダ合併を全く諦める気がない。

出典:The White House
トランプ大統領は今月20日「カナダがGolden Domeへの参加を要請している」と言及、カーニー首相も「カナダはそう遠くない将来、宇宙から発射されるかもしれない兵器を含むミサイルの脅威に直面している」「カナダ併合発言や関税問題など対米関係が緊張しているにも関わらず、Golden Domeへの参加を検討してきたのはそのためだ」と説明。
“Golden Domeに関するカナダと米国の協議は軍関係者や安全保障当局者の間で何年も続けられてきた。トランプ大統領ともGolden Dome構想について直接議論したし、北朝鮮、ロシア、そして中国からの脅威に備えるのは良い考えだ。問題はカナダが単独でミサイル防衛システムを構築するのか、それとも米国と協力して構築するのかだ。カナダは半世紀に渡って米国との関係、安全保障と二ヶ国間経済の統合を着実に深化させてきたが、もはや統合をさらに深化させるプロセスは終わりを告げ、今後は必要に応じて協力を行い、もう無条件で協力する気はないという立場だ”

出典:U.S. Air Force photo by Trevor Cokley
“我々は欧州再軍備計画=ReArm Europe Planの完全なパートナーとなることを目指したEUとの協議、F-35A契約の継続的な見直しを進めており、これが「米国以外の選択肢」を模索している実例だ。今後はパートナーシップ、安全保障、経済の面で過去とは非常に異なる状況が見られるだろう。はっきさせておきたいのは米国と協力、米国の関係、特に弾道ミサイルに対する防衛のようなケースについてカナダの利益、これが最善の利益になる場合、最善の選択肢になる可能性があれば協力するかもしれない”
さらにカーニー首相は「これまでの対米関係に対する発言とGolden Domeにおける協力の可能性は矛盾しない」「変化したのは将来の協力を妨げる溝ではなく統合に対する深化だ」と述べ、27日には「7月1日までに欧州再軍備計画への正式参加に署名し、武器や弾薬の米国依存を削減する第一歩を踏み出したい」「国防支出1ドルにつき75セントも米国に支払うのは懸命ではない」と明かし、Golden Dome参加の可能性と米国依存からの脱却は別問題だと強く示唆したが、トランプ大統領も直ぐに反応してきた。

出典:Truth Social
カーニー首相が欧州との防衛協力強化を訴えた直後、トランプ大統領はTruth Socialで「私はGolden Domeに参加することを強く望んでいるカナダに『彼らが独立したまま、不平等な国家のままであれば610億ドルの参加費用がかかるが、我々の51番目の州になれば費用は0になる』と伝えた」「彼らはこの提案を検討している」と投稿し、再び「米国の一部になることがカナダにとって最善だ」を訴えてきたが、まだカーニー首相は反応していない。
カナダがGolden Dome参加を強く望んでいると言うのも、システムコスト1,750億ドルの中610億ドル=8.8兆円も負担しろというのも、51番目の州になれば費用は0になるというのも交渉テクニックかもしれないが、個人的には非常に傲慢と映るので気に入らないし、本当に嫌いなタイプの人間だ。
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※アイキャッチ画像の出典:The White House
トランプ大統領割と本気でカナダを乗っ取ろうとしてたんですねー本人的には元々アメリカの一部位にしか思ってなかったのかもしれませんが。
アメリカとカナダの関係は、サウスパークでの扱いくらいが健全だったのかも。
トランプは、不動産屋だから地理、歴史の知識はない。大きな地図は見たことないけど、街の土地の区画だけはわかる程度。関税の計算間違いはするし。2+3の計算はできると自慢していたぞ。
トランプ氏のIQは140超で歴代大統領の中でも上位ランクという記事を見たことがあります。
価値観はかなり偏っていますが、侮ると痛い目を見るかもですよ。
トランプ大統領は陰謀論を信じているので、悪い意味で侮れないですね。
頭が良くても自分の正しさを疑いませんし(間違っていたらとぼけて無かったことにする)。
IQという指標を重視する意味のなさがよく分かる好例ですね。
>個人的には非常に傲慢と映るので気に入らないし、本当に嫌いなタイプの人間だ。
素直でよろしい
610億ドルでカナダ全土が買えるとでも思っているなら、不動産業にも戻れませんわ。
ウォルマートすら買えないぞ。
カナダのGDPが2兆ドルくらいでPER20としても40兆ドル
国家の寿命が企業なんかより遥かに長い事を考えると桁が違いますね
トランプがアメリカ国内にもたらしてる混乱と害悪みたら
その一部になるなんて10兆ドル貰ってもNOだろ
カナダの仮想敵国はロシアとアメリカになっているのが現状でしょうかロシアがカナダ占拠は周囲がアメリカなので事実上不可能でしょうけどアメリカはやろうと思えば軍事的にはカナダを支配可能ではあるでしょうから事実上カナダの第一の仮想敵国はアメリカという少し前までは現実とは思えないことになりましたね。カナダとしてはアメリカ製兵器と距離をおき、欧州との連携を深めてトランプが去るのを忍ぶというのが現実な選択肢になりそうですかね、トランプ後の大統領までカナダ併合を言い出さないことが前提ではありますけども。
カナダはホーネットも早期退役させて昔の機体とか引っ張り出してきたらおもしろいのですけどね。
つ「アロー」
真っ当な国なら自国を侵略出来る国は全て仮想敵国って検討ぐらいすべきだろうにね。米国のはるか昔のクリムゾン計画はカナダ限定の侵攻プランだったはず。
かと言って陸続きの米国に対してどんな現実的な対策が取れるのかって問題はあるが。
本当にカナダを併合する気があるなら政治家を丸め込んで世論工作してとCIAが長期間の地下工作する必要があるのだが、その予算も人員も削減しとるでしょ
トランプさんは、そのような下準備というものを一切知らないんですよ
ちょっと喋ってディール!
で全部まかり通ると勘違いしてるので
たしかにOldアメリカ人像で、The傲慢という感じですね(笑)
アルバータ州独立問題が、2026年に住民投票があるようですから、カナダにの稼ぎ頭ですからが気になっています。
州の稼ぐ金額に対して、経済的搾取・政治的配分が少ないという不満あるとのことですから、カナダ政府の懐柔に注目しています(州独立後にここがアメリカ併合を望む声もあるようです)。
アメリカの負担減のため、自主防衛するようにカナダのケツを引っぱたくという戦略なら間違いではないんだろうけどな。ヨーロッパも含めて軍備をサボってたのは確かだし。
やり方はまあ、そうねぇ・・・でもプライドを刺激して反発させるってのも交渉テクニックだしなあ。結局、数年後にどうなってるか待たないと結論が出ないかな。
交渉テクニックであるという話は理解できるんですけど、トランプ氏がカナダの話をどういう落とし所を見込んでるのかがわからない
本気で51番目の州にするまでなんでもやるのか、あくまで経済関係をアメリカ優位に改善したいだけなのか、フェンタニル対策さえ万全になればそれでいいと思っているのか
ほんとわからない
中国との関税対決でアメリカが譲歩した辺りから、トランプ大統領の交渉テクニックは通用しなくなっているような。「トランプ大統領は口だけ」と思われていますし。
そもそもGolden Domeが完成する可能性は現状低いので、カナダが譲歩する理由が現状ありません。
北米大陸のプーチン大統領も相も変わらず理不尽にょな
NORAD解体が見られるかも知れない。
そもそも今、NORADの費用負担って、どういう割合なんだろう。
カナダは宇宙アセットは所有していないでしょうし、トランプ的には、カナダを入れてやってるのはタダ乗りだくらい思っていそう。
それにしてもシャイアン基地がもはや稼働していないのは、なんか残念。
トランプが嫌いなのであれば、彼に従わず同時に明白に敵対もせず、のらりくらりと3年程(うまく行けば一年半で済む)やっていれば良いモノを、ナンデこうまであからさまにしかも急速に敵対したがるんだろうなぁ。
巨大な隣国、そしてある意味運命共同体みたいな関係なのに、やらなくても良い事をわざわざ好き好んでやって傷口を広げ続けて自滅するという「ウクライナ」が感染して膏肓に至ってしまったのやら。
少しは「台湾のやり方」を学べば良いモノを。
アイデンティティもあるのでしょうね。
アメリカ左翼政党=民主党大統領候補者を後押しする中に、海外政権=海外メディアが入っていたのを見ても分かりやすい構図でした。
日本メディアも強烈でしたから、大統領選挙前に肩入れ~政権発足後も続く対立構図として、遠目に眺めています。
兵庫県知事選挙でもありましたが、『我々は民意を代表して報道している!』みたいな形でしたが、選挙に負けて本当の民意が露呈したのと同じかなあと。
仰る点ごもっともで、待てばいいというのは本質と思います。
どちらかと言えば、アメリカとの政治的対立を焦点にして、与党大敗の情勢をひっくり返して選挙に勝ったという意味では短期的には成功だったのかなと。
アメリカ=カナダともにですが、元鞘に戻るのか・対立のまま高くつくのか、歴史に委ねるしかないのかもしれませんね。
それを望んでいるのがカナダ国民だからです
現政権はアメリカに強く反感を抱いたカナダ人たちの民意によって形になったものです
私も、この世で1番嫌いなタイプの人物。唯一、アメリカの暴虐と傲慢さ・理不尽さを可視化してくれた点のみ評価しています。
仰る点、完全に同意します。
例えばボルトンさんが、トランプ大統領を批判しており日本メディアが持ち上げているわけですが、ボルトンさんに綺麗な要素ある?って業績を見ると感じてしまいます…
アメリカ今までの政治家も、アフガニスタン戦争・イラク戦争~アフリカ・中東などをグチャグチャにして、もう知らん顔なわけで本性が可視化されただけの気がしますね。
誰がカナダを本気で攻撃するのか?と個人的には疑問なのですがそれは置いといて、
トランプはGolden Domeの構築でむしろカナダに頭を下げる立場だと思う。基地もお金も必要でしょう
日欧加韓の前線基地を捨てたらアラスカグアムハワイは勿論アメリカ本土が最前線になって合衆国市民が犠牲になるぞ、そんな愚かな事せずに極東と欧州で戦え、カナダに盾を置け
と言ってのけるアメリカ政府関係者と日欧加首脳は居ないもんかね
ピュアボーイ達のトランプから受けた経済的な損失はいくら?なんか流され過ぎて気持ち悪いんだけど
ルズベルトとトルーマンに比べたら大したことないわ
チャールズ国王がカナダを訪問、議会で自決権を強調した演説をして歓迎を受けたようですが、カナダにとってやはり軍事力は別として政治的な後ろ盾としてはイギリスの方が優位なのでしょうか?
これからアメリカと英連邦が対立とまでは行かなくても、それに近い状態になるかも知れませんね…。
どこかの歴史学者が言ってたけど、歴史的経緯を無視すればいつかしっぺ返しを喰らう。
アメリカから脱出したロイヤリストの国がアメリカに併合されるなど有り得ないこと。
カナダ何かより日本を51番目の週にしてくれ
何でも日本を併合すると人口比の関係が狂って大統領選などでの影響力が増えすぎるから州としての編入はダメだそうだ
カナダは3隻の錆びたタグボート、パドルボード連合、
そして包括性に関する厳しい警告によって勇敢に守られている…
っていうアメリカ人のジョークを見た時は流石に笑っちゃった。
多様性が大事でも別に良いけど国防をおろそかにする国の信念なんか
誰も真面目に受け取らないわな。
これからは頑張って欲しい。
トランプの成功はリアリティーショー「アプレンティス」に出演して得た人気と報酬でで不動産業をブーストしたことですね。
だからこそ、リアリティショーみたいな雑な発言をするし、それが支持者にウケれば良い、と考えているだけなのでしょう。
俺はトランプについてはあまり傲慢な人間だと思っていません。
ですが、「傲慢な人間に見えるように行動している」と思います。
カナダの併合、グリーンランドの併合、パナマ運河の運用権の確保……。
これの戦略的な意味は何でしょうか?
トランプが傲慢だからというのを横に置いて、純粋にこの三点の戦略的な意味はなんなのか。
俺はそちらの方が余程気になりますね。
一つ言えるのは、もしも米国とEUや英国が戦いになってしまったら、その戦場は何処になるでしょうか。
全部海になるでしょうか? それともどこかで陸上戦闘が実施されるでしょうか?
あくまでもしもの話ですけどね。
>カナダの併合、グリーンランドの併合、パナマ運河の運用権の確保……。
これの戦略的な意味は何でしょうか?
トランプ大統領の邸宅はフロリダにあります。
歴代大統領の中ではほぼ初めてなんだとか。
さらに、トランプ大統領のロールモデルは19世紀末のマッキンリー大統領とも。
メキシコ湾岸のフロリダを中心にして世界をみてみると、南北アメリカ大陸は自分の勢力圏、ヨーロッパは大西洋の向こう側で遠くに見える。
だからヨーロッパには自分達のことは自分達でやって欲しい。
グリーンランドは目の前にあるからまぁ取っておくか。中国とロシアに対抗しなきゃいけないし。
各国に関税をかけまくっているのも19世紀末の世界観から。貿易で入ってくるものは基本的にぜいたく品、必要なものは国内でまかなえるだろ!と言ったところでしょう。
現実に即して無いって?
まぁ近い内に気づくでしょう。アメリカ国民がね…。
「戦場が全て海になる」を違う意味に捉えちゃった。
ないとは言い切れないのが困ったもんです…
トランプ「素晴らしい提案をしよう、お前もアメリカにならないか?」
「お前もUSAにしてやろうか…!」
メキシコには言わないんだよな。
今のところはカナダの国家元首はチャールズ3世で、あくまでイギリス連邦の一員の国家なわけでカナダだけでは話は進まないのだけどな