ロシア国防省は5日、ベラルーシが軍を国境沿いに移動させ大規模な軍事演習を行うことに対応してロシア陸軍の部隊をベラルーシとの国境沿い近くに移動させたと発表した。
参考:Russia deploys tanks to Belarus’ border amid unprecedented escalation of tensions
前例のない緊張感に包まれたロシアとベラルーシの国境沿い
東欧に位置してロシアと国境を接するベラルーシは、8日に実施される大統領選挙の投票結果次第でロシアが侵攻してくる可能性があると考えており、このような不測の事態に対応するためベラルーシ軍の部隊をロシアとの国境沿いに移動させた。
さらにベラルーシは空軍の航空戦力を総動員(Su-30、MiG-29、Su-25、Yak-130、L-39、各種回転翼機)した軍事演習をロシアとの国境近くで開始、これに対応するためロシア国防省は主力戦車を含む800輌の装甲車両と3,000人を越える兵力をベラルーシとの国境に近い演習場へ移動させたため、ロシアとベラルーシの国境沿いは前例のない緊張感に包まれていると海外メディアが報じている。

出典:Mil.ru / CC BY 4.0 ロシア陸軍が採用したT-90M
なぜ、ベラルーシは大統領選挙の投票結果次第でロシアが侵攻してくると考えているのかは前記事「クリミアの二の舞を恐れるベラルーシ、露侵攻に備えて軍を国境沿いへ移動」である程度説明したので、そちらを参考にして欲しいが、とにかくにロシアにとってベラルーシはNATOとモスクワとを隔てる緩衝地帯であるのと同時に、天然ガスを欧州に運ぶための重要なエネルギー輸送ルートなので重要度が非常に高いのだ。
ロシアは欧州へ天然ガスを運ぶためのパイプラインを幾つか持っているが、クリミア半島をウクライナから強引に強奪して関係が悪化したためウクライナルートのパイプラインがいつ使用不可能(※1)になってもおかしくないため、バルト海の海底パイプラインを通じて直接ドイツに繋がる「ノルドストリーム」や黒海の海底パイプラインを通じていトルコに繋がる「トルコストリーム」を建設しているが問題も多い。
補足:2019年に使用継続に関する協定に署名しているため2025年までは使用可能だが、ウクライナルートを通って欧州へ運ばれる天然ガスの取扱量は以前の半分以下に減らされている。
まずロシアとドイツを直接結ぶノルドストリームは現在稼働中だが、需要の増加を受けて新しく建設中のノルドストリーム2はロシアへのエネルギー依存度が高まるという理由で米国が強行に反対、ノルドストリーム2建設に関わる西側企業に対して制裁を課す法案を提出するなどの動きがあるため、本当にノルドストリーム2が実現するかは不透明な状況だ。

出典:Samuel Bailey / CC BY 3.0 ロシアの天然ガス輸送パイプライン
さらにロシアとトルコを結ぶ海底パイプライン「トルコストリーム」は最近完成したのだが、トルコから欧州へ繋がるパイプライン建設がギリシャの反対にあって進んでいないため、こちらも欧州に天然ガスを届けられるようになるには相当な時間を必要とする。
結局、ウクライナルートが怪しくなったロシアにとって安定的に欧州に天然ガスを輸送できるパイプラインは「ベラルーシルート」か「ノルドストリーム1」しかないため、ロシアにとってベラルーシを通るパイプラインの価値は非常に高く、ベラルーシを軍事的にも政治的にもモスクワの制御下に置いておきたいというのが本音だだろう。
しかし6選を目指すベラルーシのルカシェンコ大統領は、ベラルーシを吸収合併を示唆した発言を繰り返すプーチン大統領を警戒しており、最近ベラルーシでロシア人傭兵32人が拘束されたことについてルカシェンコ大統領は「ロシアの汚い意図が見え隠れしている(=大統領選挙に不当介入という意味)」と非難したことで一気にロシア不審が高まった。

出典:kremlin.ru / CC BY 4.0 ルカシェンコ大統領とプーチン大統領
要するにカシェンコ大統領は、ロシアは「ベラルーシのロシアへの吸収合併」に反対している自身の再選を望んでいない=再選したらウクライナと同じ運命が待ち受けているかもしれないと考えるようになり、不測の事態に備えて軍を国境沿いに移動させたのだが、それを口実にロシアも軍を国境沿いに移動させたため事態が悪化してしまったのだ。
そのため複雑に思惑が絡まりあったロシアとベラルーシの国境沿いに注目せざるを得ない。
※アイキャッチ画像の出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 ロシア陸軍のT-80U
世界中で内戦ではなく国家間の武力衝突を匂わせるニュース多いな
第三次大戦も近いか
昔は仲良かったんでしょ。
何やってんだか。
独裁者vs独裁者だからな~
お互い仲良くやろうなんて気はないべw
中が良かったというか、エリツィン時代は「ベラルーシが」ロシアを吸収合併しようとしていた位ですし
プーチンになってロシアが復権して、関係が逆転した
ホント、エリツィン時代に北方領土取り返したら良かったのに。捨て値で売ってくれたかもしれんのに
北方領土問題を解決出来なかったのはあの当時に解決目指さなかった一部の利権化した政治家、官僚のせい。
その筆頭が 鈴木宗男。生活困難地の北方領土で 診療所、島を行き来する船2隻、ディーゼル発電所やその燃料を支援しつづけた=生活に困らなくなった、で開発価値が上がりロシア側の利益価値も上がり手放す考え自体消滅した(ロシアの経済、政治の安定も)。現在は如何に手放さず、日本から経済技術援助を引き出すか、理由づけが為の法律整備を続けているのでもう戦争以外では帰ってこない。政治と経済が混沌期でなきゃ領土を渡すという選択肢は有り得ないわけであの時期に成せなかった=不可能になった に気づけないbkな2世お坊ちゃま議員は考えを改めて欲しい。
日露接近を嫌がるアメリカの横槍っつうか「囁き」もあったけどな。
そりゃいくら仲が良かったとしても
併合を示唆する発言を繰り返したら嫌にもなるさ
中国をガチ殴りしたいアメリカにとっては、そこで一揉めあったほうが中国に集中できて良いんだろうね
アメリカの背中を押す意味でもロシアはちょっと戦闘になるくらいの調整はしてくるかも?
そもそも欧州はガスのロシア依存を何とかしないと
東欧含めていつもガスで揉めてるし
前にも書いたが、数年前のマーク・グリーニーの小説で、ロシア軍がベラルーシ国内からリトアニアに侵攻する話があったけど、あれはもう有り得なくなったのか。
小説はあくまで「小説」だからね
仕方がないね
まあそれは小説だけど、実際数年前の記事見ると、ベラルーシ・ロシアの合同軍事演習とか、ベラルーシとカリーニングラード間のスヴァウキ・ギャップがNATOのウィークポイント、とかいうのは出てくるよ。
ドイツのエネルギーのロシア依存を阻止するために制裁とかめちゃくちゃでは?
いざとなればエネルギー自給自足できる国は良いよなぁ
確かに滅茶苦茶だけどアメリカは昔からそういう国じゃん
自分らは植民地いっぱい持ってるのに日本が持とうとしたらそれは許さんとか言って制裁したり
大量破壊兵器を世界一持ってるのに他の国が持つのは許さんって侵略したり
平和で上手くいってる国の政権が自分らの言うこと聞かないからってクーデター起こさせてグチャグチャにしたり
安全保障は大義や道徳と対極を成す。アメリカの国益の為に国外で何千何万しのうが関係ない。孤立主義を掲げるアメリカは自国以外が代理戦場になれば自国の平和が達成されると考えているので、実はロシア以上に力の信奉者であり暴力を辞さない。
ロシアはプーチンの力が落ちてきて今の体制を維持できるか怪しくなってきたからか
外国と揉めて外に敵を作って反プーチン派の意識をそっちに向けようとしてるのかもしれんけど
そのせいで制裁食らって余計国民の暮らしがきつくなって支持率が下がってるという
世界大戦の定義を考えると当てはまらないような
こりゃウクライナの再現になるかもな。独裁政権だから選挙なんて幾らでも操作できそうだが、独裁組織は外圧に弱いと言う特徴を考えればロシア侵攻も十分ありうる。勿論すべてはプーチンの外交力次第だが。
違いますって、これはロシアからのルカシェンコへのエールですから。
選挙に合わせて恫喝することで、逆にロシアに屈しないルカシェンコへの支持を高める秘策です、それがスラブ人のメンタリティ
かつてフィンランド大統領選挙でも、親ソ連な現職支持のためにわざと核実験で恫喝した過去がありますから
あ、そうか。
スラブ人のことはよく知らないが、ロシアの脅しがあるんなら、それに立ち向かう大統領のほうが人気が出そうな感じしますわ。
ただ、国民に愛国心があれば、かな。
以心伝心の歌舞伎か。プーチンならありそう。
それを考えると、台湾の総統選は習近平がマヌケすぎ。w
オーストリア併合の次は、ズデーテン地方の割譲だったように
クリミア半島は併合できたんだ、次はベラルーシを要求するのかな
それこそ、ポーランド侵攻まで現代のチェンバレンEU首脳陣は動かんのでは?
さながら、東方生存権の獲得ならぬ、西方緩衝地帯の獲得だな。
なぜか支持率5%の現職ルカシェンコの圧勝となりまして、もちろん怒れる市民の大規模デモ起きました(笑)
万が一、市民革命が起こるとロシア軍がなだれ込んで国土を鎮圧、プーチンが改めてルカシェンコを大統領として支えてくれますから
その人をみるには、どんな本を読んでいるか、何を食べているか、そしてどんな友人がいるかで判定できますね