ロシア国防省は25日、軍事演習を行うためシリアのフメイミム空軍基地に極超音速ミサイル「Kh-47M2 キンジャール」を搭載したMiG-31Kを配備したと発表して注目を集めている。
参考:Russian MiG-31K Aircraft Deployed to Syrian Base with Kinzhal Hypersonic Missiles
参考:В Средиземноморье проходит совместное учение сил ВМФ и ВКС России
果たしてロシアは発表通り演習終了後に配備したMiG-31Kを本国に戻すだろうか?
ロシアが実用化に成功した空中発射型の極超音速ミサイル「キンジャール」は迎撃戦闘機MiG-31BMを改良した専用機「MiG-31K」に搭載され、高度2万5,000m付近まで上昇してマッハ3.0まで加速したのちに発射されるのだが、この運用方法で発射されたキンジャールの最高速度はマッハ10に到達、最大2,000km先の地上目標や海上を航行する大型艦艇を攻撃することが出来るといわれている。
ただキンジャールは短距離弾道ミサイル「イスカンデルM」を転用して開発した空中発射型弾道ミサイル(ALBM)なので、既存の迎撃システムでは対応困難と言われるスクラムジェットを使用した極超音速巡航ミサイル(HCM)や極超音速滑空体(HGV)とは根本的に異なる兵器だが、イスカンデルM譲りの迎撃回避機動や迎撃を困難にする囮の放出機能が残されていれば対応側にとって厄介な存在になると予想されており欧米はキンジャールを搭載するMiG-31KやTu-22M3の配備先に非常に敏感だ。

出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 短距離弾道ミサイル「イスカンデルM」
そのMiG-31Kが地中海に面したシリアのフメイミム空軍基地に「演習目的」で配備されたため注目を注目を集めている。
フメイミム空軍基地を起点にMiG-31Kの運用が行なわれるとイタリアの一部を含む南欧州と東欧州、紅海やペルシャ湾に加え地中海の約半分がキンジャールの射程圏内に収まるため、一時的な配備だとロシア国防省が主張してもNATOの警戒レベルは相当上がっているだろう。
因みにMiG-31Kはカムチャツカ州のエリゾヴォ空港にも配備されアラスカの米軍に睨みをきかせているのだが、これは同時に日本の一部もキンジャールの射程距離に収まっているという意味でMiG-31Kが数百km南に南下するだけでキンジャールの射程は東京をカバーすることが出来るため日本も決して他人事ではない。
果たしてロシアは発表通り演習終了後に配備したMiG-31Kを本国に戻すだろうか?それとも演習目的で一時的に移動させるだけだと言って防空システム「S-300V4」を択後島に配備、演習終了後にそのまま同島に正式配備してしまったようにMiG-31Kもフメイミム空軍基地に正式配備してしまうのだろうか?
関連記事:日本も射程圏内、ロシアがカムチャツカ半島に極超音速ミサイル搭載のMiG-31Kを配備
関連記事:ロシア軍が演習を装い択後島にS-300V4配備、同地域の防空任務を引き継ぐ
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※アイキャッチ画像の出典:kremlin.ru / CC BY 4.0 KH-47M2を搭載したMiG-31K
このサイズのミサイルを(大型の迎撃戦闘機とはいえ)戦闘機で胴体下で運用する
さすがロシア
こうして条約で規制されない、核エスカレーションにも組み込まれない戦略兵器で一方的に狙われる時代に逆戻りするんだな。
自衛隊は鎮西はともかく北鎮は冷戦期シフトのままで、道内で地上侵攻を遅延することと有事に宗谷海峡を地対艦ミサイルで封鎖するくらいしか志向してないが、直接侵攻の可能性が無くなった今こそ露国境地帯を防空システムや地対艦ミサイルで固めておくべきだろう(北海道はASM連隊こそ全5連隊中3個連隊が所在しているが、北千歳も美唄も上富良野も内陸部に位置しており装備は射程の短い88式なので、常時宗谷海峡に大して効力をもつ訳ではない)。
どのみちロシア・中国の核戦力の一部は以前から日本用だろうし
手段が多少増えるだけじゃない?
んで防空システムやSSM連帯の前進配備って侵攻作戦するのでもないかぎり脆弱性が増すだけじゃない?
専守防衛すなわちほぼ確実に先手は譲らざるを得ないという制約上リスクを増やすだけにしかならないと思う
演習だから
にしてもデカいなキンジャール、今開発中の後継機はウェポンベイに収めるのかな
Mig-31に搭載されたキンジャールのビジュアルは迫力満点、威圧感がはんぱない(極東配備は止めてください)
かっこいいよね。
雷撃機みたい。
ロシアは自己完結すら不可能でない恵まれた大国なのに、なぜこうして領土外にまで武威を発揮したがるのか?
逆にとれば、武を失うと国が保てない弱さがあるということ。
すなわち民と国との信が足りない
歴史的に周辺国に領土を侵攻されてきたので、領土を失う恐怖を覆すために
領土を拡張し続けるしかない国です だからクリミアの侵攻は国民に支持された
英海軍によるクリミアでの挑発の直後であればなおさら、ロシアが警戒し安全保障上の対抗措置を取るのは当然では。ここのブログ管理人は、米第6艦隊主導で6月28日から7月10日まで黒海で行われる対ロシア目的の大規模軍事演習「シーブリーズ2021」(アルバニア、オーストラリア、ブラジル、ブルガリア、カナダ、デンマーク、エジプト、エストニア、フランス、グルジア、ギリシャ、イスラエル、イタリア、日本、ラトビア、モルドバ、リトアニア、モロッコ、ノルウェー、パキスタン、ポーランド、ルーマニア、セネガル、スペイン、韓国、スウェーデン、チュニジア、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカの計32カ国参加)を当然知ってるにもかかわらず、敢えてそれを伏せることで、一方的にロシア脅威論を誇張する印象操作をやってる。いつもそんな感じ。今回も仕掛けてるのは英米の方で、対抗上ロシアは守りを固めざるをえない、という当たり前の話。それに気付かず釣られる人がやたら多い。
何いっての?英海軍によるクリミアでの挑発?
西側諸国はクリミアのロシア併合を認めていないのでクリミアの領海を犯したというロシアの主張自体に無理がある。
それともあなたは武力によるクリミアのロシア併合が合法だと思ってるの?
横からですが、過去の経緯からするとウクライナのクリミア半島の領有権は微妙
フルシチョフが悪いんだっていまさらだけど
1954年にウクライナ・ロシア(共に当時はソヴィエトを構成する共和国)の両者合意のもとにクリミアが移管なされたわけでこれで確定では?
その後2014年のロシアおよび親ロシア派によるクリミアの占拠からの一連の行動は力による現状変更以外の何物でもなく本邦は認められんだろ。
その論理で北方領土問題も認めるのかな?
いろいろ考えさせられる、武力による現状の変更は認めないってのは国際社会の大原則と知りつつもだ、
ならば自衛隊が竹島を奪還すると仮定しても、この件で世界の諸国はほぼ中立に過ぎないからやっぱり第2のクリミア半島にしかならない。
それじゃどうしようもないねって
>>高度2万5,000m付近まで上昇してマッハ3.0まで加速したのちに発射される・・・
ミサイル万能の時代だからこそ
ミサイル発射母機の最大上昇能力と最高速度がより重要になってくるのかもしれないなあと
「うっかり」イドリブかアフリンあたりのトルコ軍基地にぶち込まれそう(適当)