ロシア関連

ロシア空軍、タキシング中だったSu-30SMからパイロット2人が機外に放り出される

F-15QAでの事故に続き今度はロシア空軍のSu-30SMで射出座席が誤作動、パイロット2人が機外に放り出される事故が発生した。

参考:Два летчика катапультировались из военного самолета в Крыму

連続する射出座席に関連した事故、ロシア空軍は3月にもTu-22M3で射出座席が誤作動して死亡者を出している

先週の水曜日に米国ではカタール空軍向けに製造されたF-15QAをテストするため搭乗していたパイロット2人が滑走路上で機外に放り出される事故が発生、今のところ射出座席が意図せず作動したのか緊急事態に遭遇して射出座席を意図的に作動させたのかは分かっておらず、セントルイス空港の誘導路と滑走路の間ので停止した機体はキャノピーを失い射出座席が作動した影響でコックピット内の機器がダメージを受けていると報じられている。

この興味な事故から3日後の22日、今度はロシア空軍のサキ空軍基地(クリミア)で滑走路上をタキシング中だったSu-30SMの射出座席が突然作動して搭乗していたパイロット2人が機外に放り出される事故が発生したと現地メディアが報じていたが、ロシア軍の南部軍管区も事故を公式に認めて事故原因は「射出座席の異常作動で機外に放り出されたパイロットは無事だ」と発表した。

出典:Alex Beltyukov / CC BY-SA 3.0 ロシア空軍のSU-30SM

ただロシア空軍は3月にもエプロン上で飛行準備中を行っていたTu-22M3の射出座席が作動して突然作動して搭乗していたパイロット2人、航法士官、兵装システム士官の計4人が空中に放り出され3人が死亡するという事故を起こしており、同じ射出座席の事故なので現地メディアは関連を疑っているがSu-30SMとTu-22M3に搭載されている射出座席は同じものではない。

因みに現代の射出座席はゼロ・ゼロ射出(高度や速度が0の状態でも脱出可能)に対応したものが主流なのだが、Tu-22M3に搭載されていた射出座席「KT-1M」は高度60m以下で安全に作動させるためには最低でも時速130km以上の速度が必要だったので「射出後に展開されたパラシュートによる減速が間に合わず地上に激突したのが死亡者をだした原因」と言われている。

出典:Alex Beltyukov – RuSpotters Team / CC BY-SA 3.0

しかしTu-22M3の事故から唯一生還を果たした人物は射出座席に体をハーネスで固定されていたため命拾いしたと事故報告書に記載されていたらしいので、恐らく死亡した3人の搭乗者は体を射出座席に固定していない状況で空中に放り出され何の減速もなく地上に激突したのかもしれない。

関連記事:奇妙な事故、カタール空軍に引渡し前のF-15QAから米空軍のパイロットが機外に放り出される

告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して記事化できないものはTwitterの方で情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。

 

※アイキャッチ画像の出典:Mil.ru / CC BY 4.0 Su-30SM

次世代の統合型電子妨害システム「EPAWSS」を搭載するF-15EXが見せた新たな可能性前のページ

レイセオン、AIM-120C-7よりも射程距離が50%向上したAMRAAM-ERのF-35A統合を検討次のページ

関連記事

  1. ロシア関連

    ロシアによる傭兵募集は苦戦、楽な戦いではないためシリア側が難色か

    ウクライナ国防省情報総局は23日、多くのシリア人兵士は傭兵としてウクラ…

  2. ロシア関連

    トレツクに関する嘘報告とウクライナ軍の反撃、市内は巨大なグレーゾーン

    ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARはトレツク方面について19日「…

  3. ロシア関連

    更新|ワグネルはソレダルの大部分を占領、岩塩坑はウクライナ軍が保持か

    ロシア軍元大佐のイゴール・ガーキン氏は「ソレダルの大部分を占領したワグ…

  4. ロシア関連

    ウクライナ戦への批判が続出、クレムリンと国民との関係は気まずくなるばかり

    ロシア軍がイジュームやリマンを立て続けに失ったことでクレムリンや特別軍…

  5. ロシア関連

    またシヴェルシク方面で偽報告、ロシア軍の前進や成功は事実ではない

    シヴェルシク方面では「幻の攻勢」を報告するロシア軍司令官が解任され、登…

  6. ロシア関連

    ウクライナはNATOに支援を要請、ロシアは支援に応じれば追加措置を取ると恫喝

    ロシアはウクライナ東部ドンバス地方を巡る状況についてNATOに「軍隊を…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    有人機のUAV化が各国で加速している

    23
    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    こういう事故ってなぜか続くよね
    そしてある時ぱったり止む
    職場でもたまーに事故が何故か集中して起こることがあるわ

    21
      • A
      • 2021年 5月 24日

      なぜか続くんですよね。
      確か去年は船の火事でしたっけ?。

      1
    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    ロシアの射出座席は世界でも最高峰のはずだが…

      • 匿名
      • 2021年 5月 24日

      機器は世界最高かもしれんが、整備士が酒飲んでた可能性を否定しきれんのがな…

      16
    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    奇妙な世界同時性?

    3
    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    本気出すのにパイロットが邪魔で射出した戦闘妖精雪風かな?

    16
    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    JAMとの戦いで、人間は不要だと。戦闘知性体はそう判断しているというのか

    22
      • 匿名
      • 2021年 5月 24日

      無人化すべきである

      2
    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    この手の誤作動事故の何が怖いって身体の覚悟完了できてないから不意打ちで衝撃食らう事だよね
    諸兄ご存じの通り、射出座席による脱出はリスクがあり首や腰を痛めてパイロット生命を絶たれる人もいる
    中ロ韓による圧迫で消耗戦を掛けられている本邦もくれぐれも整備には気をつけてもらいたいもんだ

    14
    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    最近流行っているのかな?
    実は韓国空軍が流行の最先端だったりして…

    3
      • 匿名
      • 2021年 5月 24日

      fー15の撃墜は追従する国が無くて誇らしいね。

      4
    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    シートベルトはちゃんとつけよう。

    3
    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    >>タキシング中だったSu-30SM
    機体は離陸出来ずに(減速出来ず)大破?
    Pが無事なら良かったが。

    • 匿名
    • 2021年 5月 24日

    戦闘妖精雪風「この手に限る!」

    4
    • 匿名
    • 2021年 5月 25日

    ムッシュかまやつのRTB流さないと!(使命感)

    • 匿名
    • 2021年 5月 27日

    とにかくパイロットの無事を祈るばかりです.

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
PAGE TOP