F-35ジョイント・プログラム・オフィス(JPO)の責任者を務めるエリック・フィック中将は「空軍が運用する283機のF-35Aのうち15%が搭載するエンジンがないため飛行できない状態に置かれている」と証言して驚きが広がっている。
参考:Fifteen Percent Of U.S. Air Force F-35s Don’t Have Working Engines
今だにF-35の運用を十分サポートするだけの体制が整っていないのは確実で、JPOが講じた是正措置が機能せず問題が悪化している
JPOは今年2月、米空軍が使用しているF-35Aは深刻なエンジン不足に直面する恐れがあり、これを是正する措置が上手くいかない場合「米空軍が運用中している20%のF-35Aは搭載エンジンを失う」と国防総省に説明していた。
この問題の原因は2つあり、1つ目は整備拠点に持ち込まれる「F135」のオーバーホールがスケジュール通り処理(年間60基)出来ない点だ。
整備拠点に持ち込まれたF135を分解してみると予想以上に損耗していたり、F135を修繕するための機器が不足して処理待ちが発生、さらに整備拠点で働く作業員の熟練度が浅くオーバーホール自体に予想以上の時間がかかるなど複数の要因が相互作用してオーバーホールが必要なF135のバックログ(積み残し)は膨れ上がっていくばかりだとJPOは指摘している。
2つ目は通常使用でも設計の限界値に近い高温状態が続くためタービンブレードのコーティングが想定よりも早く劣化(剥離)してしまう問題に悩まされており、これに加え中東地域に配備された際に吸い込んだ砂に含まれるカルシウムマグネシウムアルミノけい酸塩(CMAS)がタービンブレードに付着して加熱されるとガラスの結晶化が発生してコーティングを破壊する問題と相まって、想定よりも早く機体からエンジンを取り外し整備拠点に持ち込んでいるのだ。
補足:コーティングの劣化・剥離自体はF-35Aの安全性に影響を与えることはないが、剥離状態を放置しているとF135の耐用年数が減少してF135不足問題が深刻化するとJPOは指摘している。
この問題に対処するためJPOはオーバーホール施設の拡張や作業員に対するトレーニングプログラムを実施することをプラット&ホイットニーに要求しており、新しく製造されているF135には改良されたタービンブレードが組み込まれているため、このような是正措置が上手く機能すればF135のバックログ問題は収束に向かうだろうと期待されていたのだが、今月13日に議会の公聴会に出席したJPOの責任者であるエリック・フィック中将は「空軍が運用する283機のF-35Aのうち15%が搭載するエンジンがないため飛行できない状態に置かれている」と証言して驚きが広がっている。
JPOは今年2月の時点で「2022年までF-35Aの5%~6%(是正措置が機能しない場合は2025年までにエンジンを失うF-35Aの数は20%近くになる)に相当する機体には搭載するエンジンが不足する」と予測していたのだが、フィック中将によると空軍のF-35A×41機、海兵隊のF-35(BかCか不明)×1機、海軍のF-35C×1機、海外顧客に納品されたF-35(AかBか不明)×3機はエンジンがないまま地上で待機(5月8日時点の集計結果)していると明かしたしたため「JPOが講じた是正措置が機能せず問題が悪化している」と米国では受け取られている。
果たしてJPOが講じた是正措置は本当に機能していないのか、まだ効果を発揮できていないだけなのかは謎だが、今だにF-35の運用を十分サポートするだけの体制が整っていないのは確実だ。
もしJPOが指摘した通り20%近いF-35Aがエンジン不足で飛行できない事態に陥れば、米空軍はサポート体制が充実するまでF-35Aの調達を取りやめるかもしれない。
関連記事:米空軍はF-35Aに搭載するエンジン不足に直面、問題解消には数年かかる見込み
関連記事:日本も導入を進めるF-35が抱えた5つの問題、性能は申し分ないが取り巻く環境がネック
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Mary Begy
よく沸いてくる、F35は各国に売れまくってるから問題ありません、という論法を語る人は論理的に破綻してるんだが
ちゃんと管理人の記事を読んでから始めてね
多くの顧客がいるってことはもう後には引けないってこと。事態の解決は約束されたようなものだよ。
「問題が深刻だから解決される事は約束されている」
過去の「絶対に負けられない戦い」には必ず勝てましたか?
必ずではないけど多くの場合勝てます
F-35の生産自体がそれを物語っているのでは
多くの場合、では根拠になりません。
顧客の数に対して生産能力が無いと言うお話では?
これも結局ワークシェアの問題っぽいしなぁ
増えすぎた開発参加国にワークシェアをしたところ、技術も金もない国が部品製作をしたせいで、仕様通りの性能を下回る部品を納品したり、納期遅延を繰り返したりしてるって話だし。
だからといっても開発参加国相手となると、そのワークシェアを取り上げることもできないから、もともと製造能力がない国の製造精度を急に上げて、納期を守らせることもままならない。
代替部品の製造を代わりに割り振ろうとも、エンジン部品を作りたいと頑な相手国の思惑もあったり、よしんば代替部品の製造に合意したとしても、そもそも増えすぎた開発国、つまりは製造能力の低い国が増えすぎたということなので、そういう製造が簡単な部品の製造枠なんてもう残ってないという負のスパイラルに突入してるという
お金の問題だけで開発参加国を増やし過ぎたF-35の問題点
共同開発国を増やすときは、ちゃんと技術を持つ国を増やさないとね
今回のはメンテ能力不足でメンテ待ちのエンジンが増えている=そのエンジンを積んでいたF35も当然飛べない状態でも待ち時間が増えている
という話
エンジンの高性能化に伴う複雑化やパーツの精密度によるメンテ難易度の上昇率を見誤っていた感じ
約束って何?
呪文ですか
いや、ただ売れるだけではエンジンの課題は解決しないんだが?
エビデンスって知ってるか
後に引けないから解決してないのに解決済みって言い張ってゴリ押しするなんてどの組織でもよくあることだぞ
エンジンなし飛燕みたいな感じで解決しますかねえ
F-35が陳腐化した時ぐらいに
その論法が正しいかどうかは知らんが、今は名機扱いされてる戦闘機にこの手の問題がなかったと思ってるんです?
というとこは是非伺いたいところ
F-15とか初期はボッコボコよ
もちろん改善してもらわないと困るが、それは何も約束なんかされてない願望に過ぎない
F15を持ち出すならばそれ以外の米軍機の歴史を語れよ、どれだけ期待されてても失敗して消えた機種がいくつあるか
正当化のために都合の良いところだけで話を切り取るから何回でもしくじるんだよ
F-15の時に顕在化した問題なら、F-35でも予見しとけ、って感じよねぇ。
他国にライン作っでパーツ作っちゃいかんのけ?
570機売れても、3500機売れても、開発費は一緒なんだから、売れてれば平気だろ。アップデートにかける費用が段違いに多い。
アメリカの戦闘機の寿命は同じ価格で、ロシアの2倍、ヨーロッパ勢の4倍(なので訓練数が1/2,1/4)ってとこがどうなるか気になる程度。
結局、最初の書き込みが煽ったヒトがつられてます.
問題はあるけど結局、西側諸国が買える第5世代機はF-35だけ
問題解決するにはお金が必要なんだけど予算は出さないぞby議会
F136があればなぁ
F136があればなんとかなったかもしれないのにね
数少ないタービンブレードの研磨製作ができる英国が、F135にコミットできないのは痛手でしかない
うわぁ…これって議会にも責任ありますね。
WikipediaよりF136
議会より代替エンジンの予算(4億5,000ドル)が無駄との指摘を受け、2011年2月11日の投票により開発計画は中止され、国防省からの資金供給も停止された。この時点でエンジンの開発作業は8割ほどが完了していたため、ロールス・ルイス、ゼネラル・エレクトリック各社は国防省からの資金提供停止後も自社資金による開発を目指していたが、同年12月2日に利益が望めないことを理由に開発を中止したことを発表した
F136でもいろいろ問題が出た可能性もありますから、一概に良い悪いは判断できかねますね。
国防産業のバックヤードの致命的欠陥は、連邦議会が予算を付けて解決するしかない事案
(投下資本は割賦で返納させるのが常道)
タービンブレードは改善されているということなので時間の問題ですかね。
整備拠点の練度の問題も時間の問題だから、まあ、過渡的な現象でしょうかね。
日本のMRO&U拠点も、エンジンのオーバーホールやるらしいので関係ありそうですね。
練度や作業効率の問題は日本の整備拠点は得意なんじゃないかな。
「カイゼン」で。
自動車会社じゃないけど。
トヨタのような日本のトップ企業が運用すればそうかもしれんが、MRO&U拠点を運用する三菱にカイゼン能力は…
一応組み立てラインの効率化は、米lmよりもされているぽいですけどね。
民間旅客機のタービンブレードでも問題になってたよ。
日本が開発した素材で日本側は設定温度を下げて使えば寿命を伸ばせると提言しても海外エンジンメーカーはギリギリで設計すると愚痴をインタビューで語ってた。
民間機のパーツは認証があるから規定から逸脱した使い方とか設計とかはできないのよ
日本の部品屋が素材でマージン稼いでも、
エンジンメーカーがその分設計温度を
上げちゃう、って話だろ。
認証ではむしろ引っ掛かりやすくなる方向の話。
なにも問題無いって言い張る人らに質問
ではなんで米軍は次のセンチュリーシリーズを急いで進めてるのさ(笑)
この現実が現状を語ってる
問題が無いは詭弁ですね。現実にこうして問題になってるわけで、現時点でそれが完全に解決されるかは誰も知らないのですから。ただ全く解決の見込みがないかといえばそれも間違いで、問題点はすでに判明しているので後は利害関係の調整でしょう。
あとデジタルセンチュリーの話は全く別で、中国やロシアも第5世代機を開発配備し始めているし、同盟各国も独自に開発を始めているので、それに対するアメリカのアドバンテージを増すために必要だというだけです。
なんかもう、米空軍はF-35プロジェクトに興味無くして、デジタルセンチュリーに
全振りしたくて、F-35のネガティブ情報ばかり流してる気もする
「拝啓 議会様。この有様ならF-35にはもう未来は無いので見切りを付けて新しいのに
切替ましょうよ。今度のは最新のデジタル技術を応用して、今までよりずっと早く
安く出来るんですよ」
これまで「これだけは作らせてくれ」って守って来たF-35だから、袖にするにも理由が
いるだろうと。
デジタルセンチュリーシリーズは別にF-35の後継でも代替でもないよ
確かF-22とF-15C/Dの後継だっけ?
この現実が現状を語ってるってほざいてる御方に質問。
F35について「致命的な問題ではない云々」「数年足らずで解決するデンデン」のようなことを言ってるコメントは見かけたことあるが、「F35は全く一切合切微塵もナンの問題もない」とか言ってるコメント見かけたことないんだが、一体どこの現実の現状の話なんですか。
このサイト以外の話ならそのサイトしたらどうですか。このサイトの話ならどの記事で誰が言ってるんですか。
関係ないがF15の初飛行が72年頃でF16は74年頃、F22の原型機は90年頃でF35は00年頃、今現在は21年ぐらいらしいですよ。
これも関係ないが戦闘機の初期寿命は30年程度らしいですよ。
そうですね、伝聞を書くのだったら、出典を明記してほしいですね。
議論ができないし。
本筋と関係なくて申し訳ない。
「云々」は「うんぬん」と読みます。
横からだけど、上の方にある「売れてれば平気だろ」発言辺りも
十分「なにも問題無いって言い張る」の範疇に入る発言で、他にも普通に見掛ける言説だと思うよ。
勝手に「全く一切合切微塵もナンの問題もない」と
文言を変えて、それを根拠に反論するのは
藁人形になり易いのでお勧めしない。
部品の問題って3Dプリンターとかで解決できないのかね?
ていうか3Dプリンターって便利そうだけどあんまり普及してないね
鍛造でもないから強度が無い
特にエンジン内部の高熱部に使用するのは無理
3Dプリンターで解決したら航空機も自動車も中共が独占できましたねえ
3Dプリンターも使いこなすには独自のノウハウが必要みたいだし
タービンブレードの補修とかでは既に使われてる。
積層造形法がそもそも量産向きじゃないから一般人(=各種メディアの記者)の目に触れにくいのは当然の話だが、導入数で言えば日本も含めてすごい勢いで普及してる。
日本の整備拠点は大丈夫かしら?
日本は整備拠点に対する整備機体数(自衛隊+在日米軍+在韓米軍)がアメリカより少なく、また本文中で問題視されている中東など過酷な環境下での運用は行っていないから米軍よりは多少マシなはず
とはいえ余裕があるとは思えないから、韓国軍のF-35は国民感情に従ってオーストラリアに持っていってほしい
(韓国はF-35の整備を国民感情面ではオーストラリアを、軍上層部は実用面から近い日本を望んでいるらしい(まだ未確定))
けっきょくエンジン変えるってさ
また余計な出費にならないといいんだが
余計な出費というよりも、議会がF136エンジンを切ったツケが利子付きで回ってきたって感じだな
英国ロールス・ロイスもまとまった規模のラインでオーバーホールに参加していれば、だいぶ楽になったろうにと
米軍ですらこれって自衛隊じゃどう考えても身の丈に合わない装備だろ
米軍ですらこれっていうのは何を示してそう思ってるのかね
むしろ最初期からF-35を導入していて数も圧倒的に多い米軍でこそ最も深刻な問題なのでは?
調達時期が後の国、調達数が少ない国、整備拠点の充実の有無、現行の保有数(もっというと新造されるF135エンジンの割合)等々加味して考えんとあかんと思うよ
単純に米軍無理ならそれ以下の日本は身の丈が云々って言い出したらじゃあ世界でどの国は身の丈に合ってるの?って話にもなるし、もっというと身の丈に合ってるかどうかを言っていられるほど日本には安全保障上の選択肢はないと思うので
日本がというよりも、今第5世代戦闘機が欲しいならば、自分で開発生産する以外に手に入れられる手段は事実上F-35しかないからね
まあ日本は中露の第5世代戦闘機と対峙する関係上、一番第5世代戦闘機が欲しい国の筆頭だけれどもさ
米国はそもそも保有してるF-35が多く配備開始も早い上に多分各地のMRO&U拠点から送り返されてくるF135もあるんで単純な整備要求基数でも日本の10倍以上、
各地から送り返されてくるのは当然ながら「現地では手に負えなかった難物エンジン」な訳で、対応工数では数十倍以上の差があるだろう。
日米のエンジン整備能力に数十倍もの差はないし、
MRO&U整備時点では想定されていた
どこぞの半島のF-35の面倒を見なくて良くなったからね。
総じて整備能力のキャパで米よりは日本の方が余裕があると思うよ。
>2つ目は通常使用でも設計の限界値に近い高温状態が続くためタービンブレードのコーティングが想定よりも早く劣化(剥離)してしまう問題に悩まされており、
>これに加え中東地域に配備された際に吸い込んだ砂に含まれるカルシウムマグネシウムアルミノけい酸塩(CMAS)がタービンブレードに付着して加熱されるとガラスの結晶化が発生してコーティングを破壊する問題と相まって、想定よりも早く機体からエンジンを取り外し整備拠点に持ち込んでいるのだ。
むしろ米軍だからこそより深刻化している問題
飛べない豚は・・・・
なんだっけ?
飛べない豚はただの豚だ