米国関連

米国防総省、F-35のエンジン問題に対処するため代替エンジンを検討すると表明

国防総省傘下のF-35ジョイント・プログラム・オフィス(JPO)で責任者を務めるエリック・フィック中将は「F135のオプションや代替エンジンの検討を行うことを約束する」と表明して注目を集めている。

参考:Pentagon seeks F-35 engine options

F-35のエンジンは整備問題だけではなく同機の将来性も含めた大問題に発展する可能性が出てきた

F-35が搭載する「F135」は累計稼働2,000時間を迎えてオーバーホールを必要とするエンジンの数は今後加速度的に増加することが予想されており、この問題はタービンブレードのコーティング劣化や整備拠点の能力不足問題を直撃するためJPOの責任者を務めるエリック・フィック中将は「F135の整備コストは増加して整備済みエンジンの安定供給も困難だ」との見解を議会の公聴会で示した。

出典:public domain F135

さらにフィック中将は「ソフトウェアのアップグレード「Block4」やアビオニクスの換装「Tech Refresh3」を施したF-35はF135の発電能力や熱管理能力を向上させる必要がある」と語り、このようなエンジンにまつわる問題に対処するため「F135のオプションや代替エンジンの検討を行うことを約束する」と述べて注目を集めている。

因みにフィック中将は今年5月、ゼネラル・エレクトリック(GE)の研究施設を訪れ次世代戦闘機用のアダプティブエンジン「XA100-GE-100」を視察した際「感銘をうけた」と感想を漏らしているため、F135の代替エンジンとはGEやP&Wで開発が進められている「可変サイクル」を採用したアダプティブエンジンを想定した発言なのかもしれない。

出典:GE Aviation XA100

米空軍は次世代の戦闘機用エンジンの技術開発のため速度や高度に応じてバイパス比を変更する「可変サイクル」を採用したアダプティブエンジン(GE製のXA100とP&W製のXA101)を開発中で、このエンジンにはF135(最大推力4万3,000ポンド:A/B使用時)と同サイズで4万5,000ポンド以上の推力(10%の推力向上)と低燃費(25%の燃費向上)を両立することが求められているのだが、テストが完了したXA100は空軍の要求を満たしていることを確認したとGEは発表している。

GEは現在2基目となるXA100の組立を進めており2021年後半に地上施設でのテストに入る予定で、これが完成すればP&Wが開発しているXA101との比較評価が行なわれAdaptive Engine Transition Program(AETP)の勝者が決定される=つまり米軍が採用する戦闘機エンジンの方向性が決定づけられるため非常に注目度が高い。

つまり開発中のアダプティブエンジンはF135と同じサイズで設計されているのでフィック中将が言及した「代替エンジン」の有力な候補に挙がるのだが、あと可能性があるとすれば開発を途中でキャンセルしたF136の開発再開ぐらいだろう。

まぁF135のオプション(改良?)という手もあるのだが、どちらにしてもF-35のエンジンは整備問題だけではなく同機の将来性も含めた大問題に発展する可能性が出てきたため、今後の動向に注目しなければならない。

関連記事:米国、可変サイクルを採用した次世代の戦闘機用エンジン「XA100」がテストを完了
関連記事:F-35のエンジン問題は悪化の一途、米空軍のF-35Aは283機中41機がエンジン不足で飛べない
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関連記事:日本も導入を進めるF-35が抱えた5つの問題、性能は申し分ないが取り巻く環境がネック

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Codie Trimble

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    虎の子のアダプティブ・エンジンを諸外国に出すとも思えないから、どのみちアメリカ専用ってことになりそう

    11
      • 匿名
      • 2021年 7月 16日

      主力機のF15F16とそのエンジンのF110も、開発から10年~20年経てばF15QF16Eのように米軍仕様より高性能なモデルを輸出してるし、
      アダプティブエンジンも米軍向けのF35の納入が一段落して6世代機の配備が始まるであろう30年代中頃か後半にはF35プログラム参加国に輸出してるだろう。
      英濠以あたりならもっと早く輸出されるんじゃないか。

      3
        • 匿名
        • 2021年 7月 16日

        2035年以降ならありえそうだけど第六世代と同じものを第五世代に搭載するのも無駄が多そうだから、
        競ってるGE製のXA100とP&W製のXA101のうち選考落ちしたほうを低コスト向けにカスタマイズして出す可能性を妄想してみる

        1
      • 匿名
      • 2021年 7月 17日

      とりあえずアメリカ軍が装備してるF-35のエンジンだけ重点的に置き換えても、世界に出回ってるF-35の半分くらいにはなるから効果あるぞ。可変サイクルエンジン用の整備拠点と設備と人員を作り直して部隊教育も追加項目になるから面倒くさいことこの上ないだろうけど。

      2
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    これは良く言えばアップデートなのか…?
    新型エンジンって聞くだけで嫌な予感しかしないが

    5
      • 匿名
      • 2021年 7月 16日

      既に試作品が完成してるし、アビの更新で電力が足りないのが確定ということなので、二年後のブロック4、サイドキックに合わせたアップデート扱いなんですかね。
      昔風にいけば、F-16AとF16-Cか。ただ今後二年間のものをブロック4にアップデートした機体の方が人気が出て、米軍専用になりそうな気もする。

      3
      • 匿名
      • 2021年 7月 17日

      >「可変サイクル」を採用したアダプティブエンジン

      ぶっちゃけこれってF22のエンジン選考時、YF119より高性能ながら複雑なせいで高価格でメンテ難易度が高く、それを理由に採用されなかったゼネラル・エレクトリックのYF120の二の舞になる気しかしない

      3
        • 匿名
        • 2021年 7月 17日

        とはいえ古典的構造の延長でタービン入口温度頼みで必要出力絞り出したら、そのせいで問題が出て稼働率が下がってる訳で、
        ならコスト上がっても革新的構造で、となるのは自然な流れなのでは。

        3
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    前から見ていて小改良で解決できるレベルの問題なのかとは思っていたけどやっぱり新しいエンジン用意しないと厳しいか

    1
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    代替品として、さらに複雑で高度なエンジンを持ってきたら余計に自体が悪化しそう。

    2
      • 匿名
      • 2021年 7月 16日

      共同開発という制度的な問題が大きいからねぇ

      2
      • 匿名
      • 2021年 7月 16日

      >>F135の代替エンジンとはGEやP&Wで開発が進められている「可変サイクル」を採用したアダプティブエンジンを想定した発言なのかもしれない。

      泥沼の先は底なし沼だった、とか。

      9
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    新エンジンを製作したとしても、ワークシェアに関与する国々に、その新エンジンを作れるだけの技術と設備投資をする金があるんだろうか?

    1
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    仮にNGAD用のエンジンを採用するならアメリカ専用になるだろうな
    っていうかもしそうなったらF-35運用国からしたらたまったもんじゃなくね?

    >>ソフトウェアのアップグレード「Block4」やアビオニクスの換装「Tech Refresh3」を施したF-35はF135の発電能力や熱管理能力を向上させる必要がある

    米空軍がもしもF135に見切りをつけた場合でも、きちんとF135の発電能力向上型を供給してくれるんだろうな?

    5
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    あぁ~^支出がかさむんじゃあ~^

    8
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    F136にしたって、同じ熱問題が出るだけのような・・・。

    6
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    元々可変サイクルエンジンは第五世代機への適応も考慮して研究が進んでいたので予定調和ですね。

    3
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    リンク
    日本がJSFプログラムに統合されたみたいなことが書いてあるけど本当かなぁ?
    昔ダメだった気がするけど。

    4
      • 航空万能論GF管理人
      • 2021年 7月 16日

      国防総省の契約情報を見ると米海軍からロッキード・マーティンへ授与された契約で「対外有償軍事援助でF-35を調達している日本の取り組みをF-35プログラムに統合する」という表現です。

      つまり米海兵隊を傘下に抱える米海軍からの契約なので「日本が導入するF-35Bに関連した取り組みを2025年までサポートするための費用として約2,300万ドルの契約を獲得した」という意味ではないでしょうか?

      契約情報の内容が簡単すぎるので飽くまで予想ですが・・・

      もしF-35プログラム出資国に関する話ならF-35JOPが絡むので米海軍ではなく国防総省からの契約になると管理人は思っています。

      しかしこんな情報をよく見つけましたね、正直びっくりしました。

      25
        • 匿名
        • 2021年 7月 16日

        まさか管理人さん本人から解説してもらえるとは
        いつも最高な記事をありがとう
        応援してます

        16
          • 匿名
          • 2021年 7月 16日

          管理人が直接答えるなんて珍しいね、今度オレも質問してみような

          8
            • 匿名
            • 2021年 7月 17日

            それだけ枝元の人が貴重な情報を展開したと言うことだよね。
            グッジョブです。

            4
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    B-21もF135を使う予定だけど大丈夫?

    2
      • 匿名
      • 2021年 7月 16日

      えっそうなんですか、知らなかった。
      順調に進んでいるみたいから大丈夫だと信じたいです。

    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    戦闘機用エンジンに関してアメリカは20年先を行ってるなぁ

    4
    • 匿名
    • 2021年 7月 16日

    調べた。
    43000ポンドは19.504472トン。
    XF-9は色あせるなぁ。

    1
      • 匿名
      • 2021年 7月 16日

      まあ、サイズが違うから。

      11
      • 匿名
      • 2021年 7月 16日

      アダプティブサイクルエンジンは今よりさらに高価で重く複雑になり熟成にも時間がかかるだろう。
      XF9用にはもっと簡単で似たような効果を生むものを検討してるらしいぞ、アメリカは自分の技術力に自信がありすぎるからなぁ。

      10
      • 匿名
      • 2021年 7月 16日

      43,000lbfはF135の元からの公称値だよ。
      それがXA100で45000lbfに増えるって話。
      43000から10%増で45000ってのが
      いまいち良く分からんが。

      XF9-1とF135は半径で1割、全長で約16%、
      体積だとほぼ4割差があるんで、
      断面積当たりだとF135に肉薄して、
      体積当たりだとXA100を上回っちゃう計算だね。
      全長と推力は正比例はしないとして、
      1.1×1.1×√1.16で計算すると約1.3倍で丁度19.5t。
      よく30年前のF119にやっと追いついただけ、
      20年前のF135に負けてる、みたいな事を言われたけど、
      サイズを考慮すればF135にも負けてないどころか、
      開発中の超最新エンジンと比べても全然見劣りしない、って
      数字が出てきたのに何をどう見てどう評価したら
      XF9-1が色あせるのか逆に知りたい。

      15
        • 匿名
        • 2021年 7月 16日

        色眼鏡かな?

        1
          • 匿名
          • 2021年 7月 17日

          色眼鏡だと色あせるどころか更に色がついちゃうけどな。

            • 匿名
            • 2021年 7月 17日

            セピア色のメガネに決まってるでしょ

              • 匿名
              • 2021年 7月 17日

              あるかにださんの願望ですな。

              1
        • 匿名
        • 2021年 7月 16日

        もともと防衛省は2030年代には20トン級エンジンが主流になるという予測の上で、それに対応できるエンジンのプロトタイプとしてXF9を作ったわけで、想定内というか予定通りに進んでいるって話なんだよね。
        防衛装備庁の技官のインタビューでも、もっと大推力にできるし、でかくするほうがほうが境界層制御のシビアさが減るぶん楽ということだから、この程度の出力ならF9系でも普通にいけるだろう。あと公称値自体マージンのとり方次第でどうにでもなるから現時点でも実際はもっと出てる可能性もあるし。

        13
          • 匿名
          • 2021年 7月 17日

          概ね同意だけど最後の一文だけは
          変に期待し過ぎない方がいいかと。
          よく聞く、試験当日の気温を心配してたけど、
          台風の影響で気温が20℃くらいまで下がって
          おかげで実測で15tが出せた、という話を聞く限り、
          せいぜい15℃換算で15.5〜16tくらいじゃないかなぁ。
          15℃換算で17t出る設計だったなら
          気温35℃でも実測15t以上出るので
          そもそも心配しないと思うんですよね。

            • 匿名
            • 2021年 7月 18日

            換算出力で目標達成と、実出力での達成は違うから、飽くまで実出力での達成を希望した。
            そうとらえてたのですけど。

              • 匿名
              • 2021年 7月 18日

              その通りですよ?

    • 匿名
    • 2021年 7月 19日

    F136をキャンセルしてまたGEで再検討とかグダってますが、中国の軍備増強に優位に立つために必要なことではありますね。
    F-16にP&W F100エンジンを採用した時もAFE計画でGEのF110エンジンを追加採用してF-15E系にも使えるようフィードバックしたりしてますから、この辺りは一社集中の対策が必要なところですね

    • 匿名
    • 2021年 7月 20日

    そも議会が2種類作る予定のエンジンを無駄と断定したからこうなったのにね。
    議会が素人判断で予算を打ち切って予定通り問題が発生して余計に予算を浪費するパターンが多すぎる
    NASAの打ち上げシステムもそれで迷走に迷走を重ねた

    あるいはよほど中国を甘く見ていた、本心は興味などなかったというのが透けて見える。

    2
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