F-35ジョイント・プログラム・オフィス(JPO)によれば米空軍が使用しているF-35Aは深刻なエンジン不足に直面するかもしれないと指摘しており、これを是正する措置が上手くいかない場合「米空軍が運用中している20%のF-35Aは搭載エンジンを失う」と国防総省に説明しているらしい。
参考:Air Force Reduces Exhibition Flights on New F-35 Engine Woes
参考:An engine shortage is the newest problem to hit the F-35 enterprise
米空軍が運用している250機以上のF-35Aの内、50機が搭載エンジンを失うかもしれない?
この問題の原因は2つあり、1つ目は整備拠点に持ち込まれる「F135」のオーバーホールがスケジュール通り処理(年間60基)出来ない点だ。整備拠点に持ち込まれたF135を分解してみると予想以上に損耗していたり、F135を修繕するための機器が不足して処理待ちが発生、さらに整備拠点で働く作業員の熟練度が浅くオーバーホール自体に予想以上の時間がかかるなど複数の要因が相互作用してオーバーホールが必要なF135のバックログ(積み残し)は膨れ上がっていくばかりだとJPOは指摘している。
2つ目はF-35Aが搭載している「F135-PW-100」は通常使用でも設計の限界値に近い高温状態が続くためタービンブレードのコーティングが想定よりも早く劣化もしくは剥離してしまう問題に直面しており、想定よりも早く機体からエンジンを取り外して整備拠点に持ち込む必要がある=つまり整備拠点の処理能力を飽和させることに一役買っているという意味だ。

出典:public domain F-35A
因みにコーティングの劣化・剥離はF-35Aの安全性に影響を与えることはないとJPOは説明しているが、剥離状態を放置しているとF135の耐用年数が減少してF135不足問題が深刻化すると言っている。
この問題に対処するためJPOはオーバーホール施設の拡張や作業員に対するトレーニングプログラムを実施することをプラット&ホイットニーに要求しており、新しく製造されているF135には改良されたタービンブレードが組み込まれているため、このような是正措置が上手く機能すればF135のバックログ問題は収束に向かうかもしれない。
しかし2022年までF-35Aの5%~6%に相当する機体には搭載するエンジンが不足すると予測(もし是正措置が機能しない場合は2025年までにエンジンを失うF-35Aの数は20%近くになるらしい)されているため米空軍は不必要なF-35Aの飛行を取りやめることを決定、世界各地で開催される航空ショーに派遣していたF-35Aデモチームの活動縮小を発表している。

出典:U.S. Air Force Photo/Christopher D. Rogers
恐らくF135の問題は米空軍だけの話ではないのでF-35Aを導入している国でも同じ問題に直面している可能性が高く、米国に次いで最も多くのF-35Aを導入する日本(105機)も何らかの影響を受けるかもしれない。
因みにF-35はコックピット内部へのレーダー波進入を防ぐためキャノピーには特殊なコーティングが施されているのが、このコーティングが想定以上に脆くキャノピーから剥がれ落ちる問題に悩まされており、交換用のキャノピーが不足するという事態に陥っている。
このキャノピー供給は英企業GKN傘下のエアロスペースが担当しているのだが交換用キャノピーの需要が多すぎて「キャノピー交換を待つF-35の列は長くなるばかりだ」と言われていたが、JPOによれば新たにキャノピーを製造する企業(PPG Aerospace)の準備が整ったため今年5月以降から問題が緩和されるかもしれない。
どちらにしてもF-35A(F135-PW-100)の問題は量産数の関係から先に表面化しただけで、F-35B(F135-PW-600)もF-35C(F135-PW-400)も量産・配備が進めば同じ問題に直面しても不思議ではないので注意だが必要だ。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Codie Trimble
積み上げられたタスクをバックログと表現することが多くなったけど、軍事の世界もJIRAを使うのが主流になったのかな?
サーブは導入してるぽいけど。
バックログという言い方はもっと昔からあるよ。別にJIRA用語じゃない。
日本でも2000年頃には聞いた記憶がある。
アメリカのいろいろな問題は公表されるからよくわかるけど、中国やロシアってどうなんだろ?
公開しないだけ
数年後にポロリと漏れてくるから楽しみにな
こういう問題はむしろ東側の方が対策できてたりする
というのも東側のエンジンは設計寿命が短い代わりに大量の予備エンジンを予め生産しておいてすぐに交換するってスタンスなので
それも現実的な対処法だな、高価なエンジンを整備しながら大事に使うか、そこそこの価格に押さえてどんどん交換していくか、
西側もパーツは一定期間でどんどん交換するシステムだが、エンジン交換そのものには踏み切ってないもんな
一方ソ連は鉛筆を使ったっていうジョークが本質をよく表しているね
エンジンも外国で重整備出来れば良いけど核心技術だしなぁ
その前に交換部品が無い。
そもそも1基で2基分のパワー出そうってのが無茶な話だよな
リリース当時は低バイパス比なのにあまりの高出力エンジンで驚いたけど、やっぱり設計上ちょっと無理してたみたいだね
超性能エンジンと高度なステルス性の代償ですね。
地道に海戦するしかなさそう。
首なし飛燕ならぬ尻なしライトニングか
F-136(GE+RR)の開発が順調だったのに、予算不足で無理やり切ったのが仇になっらな
一番国防費を削られていた時期だったよね
F-22やE-8もエンジン不足なんですよね
いきがって冗長性を持たせないから。諦めて余剰在庫を積み増すしかない。トルコに変わって日本にも生産させろと言えば良い。
完成するか不透明だった時期にリスク覚悟で出資していないのに、今更生産に参加させろと言えば強欲扱いされるだけなので言わないほうが良い。
トルコに変わって日本にも生産させろなんて韓国メディアと同じ発想だね。
嘘か真か、F-35プログラムからのトルコ追放は韓国に幸運をもたらすか?
まだ政治的に戦闘機の国際共同開発には参加できない時期だったもん、いまさら蒸し返さないで
それは日本の都合でアメリカの都合じゃないし
アメリカ視点からすると開発炎上してた時は何もしなかったくせにモノになりそうになってからあとから便乗したようにしか見えないし
その辺の事情はアメリカも理解してたでしょ、もともとの平和憲法のいきさつからしてアメリカの責任もあるんだし
その辺の事情はアメリカも理解してるだろうけど、戦後何十年も平和憲法を自主的に守ってきたのは日本人でF-35への出資を断ったもの日本政府だから。
それをアメリカにも責任があるなんて言ってるから日本の安全保障政策には自主性が欠けてるんでないの?
ずっとその状態を良しをしてきたアメリカの事情が変わっただけなんですが?それこそアメリカの勝手な都合
じゃアメリカの事情が変わらないと日本は変われないのか?
何でもかんでもアメリカに責任を擦りつけるなよ
まぁ言うたかて、96条はハードル高過ぎるわ。
9条の前にあのハードルの高さをどないかせんとあかんわ。
ちなみに、護憲派(笑)の皆さん。
憲法自身は改憲OKですって書いてますよ。
>>開発炎上してた時は何もしなかったくせに
その炎上中に追加購入を決めたことは忘れちゃいけない。
もちろん、出資してない日本の参加はありえないが
追加導入を決めたのってトランプ政権の時でしょ?あの時期は開発炎上中とは言わないよ
国内で使う分の予備パーツぐらいは製造したいがな
タービンブレードはIHIが製造納品しているから比較的楽かも試練が
以前フランス軍が部品の在庫不足でルクレールの稼働率が上がらないと言う記事があったな。
カンバン方式なんて軍に合うとは思えないんだがコスト削減の圧力と誘惑に勝てないのか。
元々余裕のない設計(限界ギリギリまでパワー絞り出してる)のがいよいよ問題に
なってきたかという感じだけど、これは別に悪い事だけでもないんだよね。
こういう事への対処を積み重ねることで、実用的に使えるパワーというものが
飛躍していく。技術志向だけでは追い付くのが難しい、ノウハウってやつ。
まぁもしこれが戦時中だったら「信頼性の無いクソエンジン」という評価になってただろうけどw
今ならしっかり対処すればいい。
B-29のエンジンR-3350がトラブルだらけでエンジン生産数と運用・保守体制でカバーした戦時中の実績がありますから、時代が時代ならF135も問題にならなかったかもしれないですね。
まあ何を言ってもこいつの代わりになる機種って今現在存在しないから地道に改良していくのが結局一番良い訳で
4.5世代機みたいに競合機種が出るのはかなり先の話だろうし
タービンブレードは日本の得意分野だし日本も何らかの形でこの問題解決に協力できたら良いのにな。実際問題無理だとは思うけど。
XF-9エンジンも同様の問題が発生する可能性もあるわけだし、日本にはこれを他山の石としてほしいかな。
本当だよね🎵
M1戦車のレストア施設を見るに短間隔の修理でも全然不可能じゃないと思うんだよね
ドキュメンタリーでレストア工場見たことあるけど、ジェットエンジンのような繊細さは感じませんでしたな。
ん? 防衛省向けのF-135エンジンはIHIの瑞穂工場で生産してるのでは?
リンク
構成部品を輸入して組み立ててるだけ
もう一回調べてたら、ここの古い記事が出てきました。
ちゃんとIHIでF-135のオーバーホールもやってますね。
リンク
となるとこの整備が追っつかない機体を強引に在日米軍に一時的に配備して日本で整備、って手が使えるのかな?
飛燕のハ40やハ140みたいに運用当初からトラブル続きなら兎も角、F-35は実戦運用始めてから時間が経っているのに首無し機が増えているのって、より深刻だと思うがな
この分だと、マジでバイデン大統領が調達中止を言い出しそうで笑う…デジタル・センチュリーシリーズの試作状況次第ではこれがF-35の後継機となり、F-35は予想外の速さで退役に追い込まれても俺は驚かない
自衛隊向けのエンジン整備は国内ですると聞いたような
だとしたら日本はこの問題にNOたっちなのか?
アメリカの初期生産分の4年か5年の点検で判明でしょ?
日本で重点検が始まる頃は、コーティングの改良が終わってそう。
人手不足はわからないけど。
まぁこうやっていろんな問題を解決して技術向上していくわけで
これをコストが・・・といって止めてしまえば、マネしてコストを抑えて同じものを数は多くそろえる中国が有利になるわけだ
戦闘速度出さない時は燃焼温度下げれば良いように思うが・・・そんな簡単なこと誰でも思いつくからそういう話じゃないんだろうな。
2000℃を達成してるアメリカの技術スゲ~な~とか思ってたけど実際はその高温に耐えられてないのか。
XF9の1800℃は常用できる数値なのか、はたまたF135同様に無理して出してる代物なのか・・・。
2000℃は2000Kの間違いじゃないかという話も聞きましたが、実際どうなんでしょうね?
F135はメンテ含め色々縛りがあるとはいえ割と普通に輸出してる戦闘機のエンジンだし、
少なくともオーバーホールできる程度にF135を知ってるIHIがタービン入口1800℃のXF9-1を
50年先まで使う戦闘機用エンジンのプロトとして提供してるんだから、
2000℃はあんまり現実味がない様に思うけどなぁ。
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下にあるリンクの内容はなかなかスゴイですね、個人のブログとしては非常に高度な理論的追求を行っているように見えます(正否は全然わかりませんが)。
自分としても2000度Kだと思っていました、2000℃はUFOの技術でもなければ不可能でしょう。
これまでの機体に比べ抵抗の大きいF-35に使用するためにF-135エンジンはバイパス比を上げることで19トンの出力を得ており、より旅客機用に近い低速向けでで燃費の良いエンジンでマッハ2以上の速度は出せない設計だと考えています
それはそれで実用性に割り切った立派なん設計だと思います。
XF9-1はF-22用と同様にスパクル時の燃費を狙った低バイパスで、F-3はF-22と同様な性格の航空支配戦闘機に航続力と大容量ウエポン搭載能力を持たせた機体になると思っています。
>2000℃はUFOの技術でもなければ不可能でしょう。
ですねぇ。
20年後にアメリカの最新鋭機用の極秘エンジンが達成する、とかなら
まだありえなくもないと思いますが、現時点で
よく言ってベストセラー、悪く言えば吊るし売りの量産機エンジンが達成してて、
10年経っても競合各社が200℃以上離されたまんま、ってのはちょっと考え難いですし。
みんなすごいF135に辛辣だな…戦闘機の歴史的観点で見たらもんのっっすごい優秀なエンジンなんだがなF135…
みんなF-15やF-16のクラスAエンジン事故回数見たら卒倒するんじゃないだろうか
F-35/F135クラスAエンジン事故1回 リンク
F-22/F119クラスAエンジン事故6回 リンク
F-15クラスAエンジン事故35回 リンク
F-16クラスAエンジン事故127回 リンク
単純な事故回数で並べるんじゃなくて事故発生までの平均間隔で比較しないと意味がないのでは?
f35よりf15のほうが時間当たりの事故率が低く見えるんだが、F15の事故数見たらみんな[誰?]が卒倒するってどういうことなんや。
あまり重篤な問題に聞こえない。複雑な機械設備を作れば思わぬトラブルが発生して当たり前。
以前はもっとクリティカルな問題が発表されていたが、そちらは解決しつつあるのかな?
であれば、だんだんマイナーな事象の解決に取り組み始めていて、良き事かな。
本サイトの
F-35はいよいよ成熟段階に突入か? 米国、カテゴリー1Aの欠陥を全て修正完了
によると、1Bすら3個しかないね。気難しいアリスが問題でオーディン試験中が最大の問題か?
設計寿命に届かないならカテゴリー2以下なのかな。
パイロットの生命を危険に晒す欠陥がカテゴリー1Aに分類されてミッション達成に重大な影響を与えるカテゴリー1Bに分類されると書かれてるね。
今回のエンジンブレードの欠陥は耐用年数やオーバーホールの手間が掛かるだけなのでカテゴリー1に分類されないんじゃないのかな
F136の開発中止せずに、F15EやF-16のF100とF110みたいに顧客が二つのエンジンを選択できるようにしておいた方が良かったかも。
両方のエンジン作る予算が無くて二者択一した結果がこれだからなあ…因みに、旅客機では昔から二種類以上のエンジンを選択出来るのが常識だったんだが、近年では開発費用の高騰と生産数の見込み等の関係で、機種によっては旅客機もエンジンを一社指定にする動きが出ているんだよ(例・ボーイングB777の-200LR・-300ER以降のモデルはGE社製の一択で、エアバスのA350XWBはロールスロイス製の一択)
単発機のF-16が「F-15と同じPW F100エンジンでF-15もコストダウン」という売り込みから安定運用のためにデュアルソース化でGE F110を追加採用した背景もあるので「最初からデュアルソース」はなかなか難しいですよね。
F110にしてもF-14Bで採用済みだったからF-16向けの開発に大きくコストかけずに済んだというのもあるので、F136のようにF-35のための完全新規エンジンを起こすとなるとまた違ってくるでしょう。
実は、F-35と第6世代戦闘機用エンジンを開発中です、それが2025年以降に出て来る様です。
名乗りを上げているのは3種類
>XA100(GE:ゼネラル・エレクトリック社)
>XA101(P&W:プラット・アンド・ホイットニー社)
>F135のアップグレード性能向上型
>次世代エンジン計画(AETP)とは?
>推力4万5,000ポンドクラスの次世代タービンエンジン技術に向けての取り組みであるAETP(アダプティブエンジン移行計画:Adaptive Engine Transition Program)は2016年に米空軍ライフサイクル管理センター(Air Force Life Cycle Management Center)によって立ち上げられた。
参考にどうぞ
リンク
でもF-16もF100搭載機のエンジンをF110にすぐに交換できるモノじゃなかった気が・・・
配線や配管、エンジンへの命令コマンドなどが異なるはずなので、別系統のエンジンをポン付けとか
出来ないと思いますよ。
実際、搭載エンジンがF100とF110の二種類になったF-16C/D以降のモデルの場合、ブロックナンバーの末尾で搭載エンジンを区別している(F100なら「2」、F110なら「0」)し、F-16C/Dブロック30後期生産型以降のF110エンジン搭載機はエアインテイクが拡大されているので、別系統のエンジンをポン付けで交換出来る訳では無いですよ
F-16はブロック30/32からF100とF110の両方が使用できるようエンジンベイ共通化してますから少なくとも配線やインタフェースは共通でしょうね。
エンジンベイの仕様としてはF100とF110を選択できるF-15Eと同等の仕様になっていると言われています。
ブロック30/32後期モデルからエンジン出力の関係でエアインテーク形状が「F110搭載のx0系」と「F100搭載のx2系」で異なったりしていますし、出力特性の違いによる調整は必要でしょうね。
F-16ブロック30/32の共通エンジンベイの資料が見つかったのですが、エンジン以外にベイに取り付けるためのインストールキットが個別に用意されている、コクピットの各種パネルを入れ替える必要があるなどポン付けレベルでは無いですね。
実際にF100とF110を入れ替えた場合の作業時間・担当者数とかも書かれていて興味深いですが、本当に143分・5名で入れ替えできるのか自分が読み違えていないか心配になりますが
リンク
A型B型合わせて100機位に調達減らした方がいい気が…
あとはF15は騙し騙し使ってF3を250機とかで調達出来たらバランス良いのかな~と素人は思ってます。
F-35の追加分が既にF-15SJ更新用なので、
それを減らすと2035年までF-15SJを引っ張る事になる。
流石にそれは厳しいんじゃなかろうか。
2035年になってF-15SJから置き換え始めるんじゃF-2の退役にもおっつかないし。