ボーイングは、2020年の早い時期に、少なくとも2機のF-15EXを米空軍に届ける事ができると言っている。
参考:Boeing to Deliver First Two F-15EX Fighters As Soon as 2020
ボーイングのF-15EXのアピールは度を越えている
ボーイングは、2020年の早い時期に、米空軍向けに設計・開発された2機のF-15EXを納入できると発表した。
米空軍向けのF-15EXは、現在、ミズーリ州セントルイスの工場で生産されているカタール空軍向けのF-15QAと、多くの共通性を持っているため、その一部をF-15EXに転用し、米空軍へ届けることが可能だという話だ。
ここ最近、ボーイングによる、この手のF-15EXアピールは、もはや度を超えたものがある。
現在、米空軍は2020年度の予算要求案に、8機のF-15EX導入費用(初期導入に関連する費用も含む)として、9億8600万ドル(約1,066億円)を盛り込んでいるが、この予算案を審議している米国議会は、空軍はF-15EXの導入予算を要求するだけで、単座型を購入するのか、複座型を購入するのかすら明らかにせず、取得に必要な詳細データや計画を議会に報告しない限り、予算承認を行わないと言っている。

出典:Pixabay
それにも関わらずボーイングは、ミズーリ州セントルイスにあるF-15生産工場の、F-15生産ラインを拡張するための準備を始めた。現在、カタール空軍向けのF-15QAを36機生産するため、セントルイス工場の生産ラインは月産1機の体制を維持しているが、これを月産3機までに拡張するという。
ボーイングの関係者によれば、受注が確定してから動くのではなく、受注に先駆けて動き、受注が確定した時には、直ぐに生産に入れるよう準備を行うつもりだと話している。
このようなボーイングの動きに対し、疑惑を主張されたこともあった。
元国防副長官で、現在の国防長官代行であるパトリック・シャナハン氏は、トランプ大統領に指名され就任する以前、30年間もボーイングで勤務し上級副社長にまで上り詰めた人物で、シャナハン氏が空軍に対し、ボーイングのF-15EX導入を働きかけたのではないかと疑いを掛けられ告発された。
その結果、国防総省の調査に乗り出し、不当にボーイングを宣伝したり、競合他社を貶めるような行為をしておらず、シャナハン氏は倫理違反を犯していないと判断されたが、告発をされたという意味を考えれば、空軍による今回の唐突なF-15EX導入要求と、それに呼応するような動きを見せるボーイングを疑わずにはいられないという事だろう。
一刻でも早くF-15EX導入のための予算承認を獲得しようと、必死にアピールしているボーイングに、ロッキード・マーティンが強烈な一撃を加えた。
F-15EXに短納期性を求めているのか非常に疑問
5月、ロッキード・マーティンは、今後のF-35A製造ロット12~14において、現在の8,920万ドル(約98億円)から、単価を10%下げると発表した。そのためF-35Aの単価は8,028万ドル(約88億円)になることが予想されている。
さらに、2025年までにF-35の1時間あたりの運用コストを、現在の3万5000ドル(約380万円)から、2万5,000ドル(約270万円)まで引き下げるために努力をしていると話した。
F-35の1時間あたりの運用コストの内、ロッキードが関わる部分は50%に過ぎず、15%はエンジンを製造しているプラット・アンド・ホイットニー、残りの35%は各種部品サプライヤーの領域だ。恐らくロッキードの努力だけで、2025年までに運用コストを2万5,000ドルまで下げるのは難しいかもしれないが、間違いなく3万ドルは下回ってくるだろう。

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こうなるとF-35に比べて、優位だったF-15EXの価格と運用コストが怪しくなってくる。
F-15EXの機体単価は、おおよそ8000万ドル(約89億円)で、1時間あたりの運用コストは2万7000ドルだ。
一方のF-35Aは、数年以内に単価が8,028万ドル(約88億円)まで下がり、1時間あたりの運用コストも3万ドルを切ってくるとなれば、F-15EXに残された利点は、既存のF-15パイロット・メカニックが、特別な訓練なしでF-15EXを運用できるという点と、兵器搭載量に優れるという点だけになる。
米空軍は、F-35Aを1763機導入することになっているため、最終的には、米空軍内のパイロットやメカニックの大半が、F-35Aへの機種転換を強いられることになる。そこに、最大でも144機しか導入しないF-15EXのため、F-15用のパイロットやメカニック、整備のためのインフラを維持し続けるのは、長い目で見れば、逆に無駄が多いというデメリットになる。

出典:ボーイング
となると、F-15EXが最後にアピール出来るのは兵器搭載量しかない。
最大29,500ポンド(約13.3t)もの兵器を搭載することが可能で、空対空兵器を搭載できる12のハードポイントと、空対地兵器を搭載できる15のハードポイントを持つF-15EXは、確かに魅力的に映るが、これだけで、第4世代機のF-15EXを、新規で導入するかと言われれば、中々難しいものがある。
価格、運用コスト、既存のインフラ活用という利点をロッキード・マーティンに潰され、白だと断定されたシャナハン氏は、もう派手に動く事は不可能。
このような状況下だからこそ、ボーイングがはF-15EXの「短納期性」という利点を新しくアピールし始めたのだろう。
果たして米空軍は、F-15EXに短納期性を求めているのか、非常に疑問だが、第6世代機開発まで競争試作体制を維持することが目的の空軍内ボーイング擁護派と、ボーイング自身が、今後、どのように巻き返して来るのか非常に興味深い。
来月には、F-15EXを10機購入すれば、1機分はタダにすると言い出しそうだ(皮肉)
※アイキャッチ画像の出典:ボーイング
1機購入すれば1機無料でついてきます!みたいな
ピザかな?w
日本もF-35大量購入するんじゃなくて、半数くらいはこれにすべき。
F-35はマルチロール機だけど万能と思ってはいけない。それに高額すぎる。
かつての空の王者が最新技術で甦るというのはロマンだけど、同じロマンを追うなら国産開発マルチロールステルス戦闘機にお金も時間も使って欲しいな
そんな無駄金使うより老人介護の補助に使ってもらえませんかねえ
人殺しの為に税金使うなんて最悪に馬鹿げてるわ
場末の軍事サイトに来てまでこんな主張する人間ってどんな人間なのか興味あるわ~
30代ぐらいまでの人間に老人介護と軍事費どっちに金使ったほうがいいか聞いてみたら
なかなか楽しい結果になると思うんだがどうだろう?
老人ホームに入る必要があるような約立たずの年寄りに金を使うより、国防に金を回す方がよっぽど有益なのは誰の目から見ても明らかだろう
防衛予算は福祉予算に比べたら鼻くそレベルに少ないから減らしても意味ないってそれ一
すでに既存のF15をこれと同レベルに改造する予定ですが
Pre-MIPS機にF-2の機材を移植しよう。
何をもってF15EXレベルとするのかわからないけども、EXはE型ベースで自衛隊のF15はC型なんで、そっくりそのままは無理ですな
いや ほぼそのままだよ
レーダーはEXと同じ最新型に換装 ミサイルはハードポイントに4連ランチャーを取り付けミサイルキャリア―に 違いは単座か複座かのみ ググれば記事でてくるから
アップデートを重ねているとはいえ、F15ってロングセラーだな。
まぁでもこれは競争原理が上手く働いていると見えるので、良いことと思います。寡占のズブズブだとこうはいかないでしょう。
無人化してF35に随行するミサイルドローンにするのがいいかも。
2019年2月のAirFoceマガジン(アメリカ空軍協会刊)によると
国防省F-35計画室Mat Winter中将の発表で
F35の飛行コストは2019年で$44000のはず、35000ドルって2024年達成目標の数字。
この記事の
現在の35000ドルに2025年で25000ってさば読みが激しすぎる。なんだこの滅茶苦茶な数字。