Aviation Weekは3月「2025年からF-15Eの旧型119機の退役を開始し、2028年までにF-15Eの保有数を99機まで削減することを米空軍が検討している」と報じていたが、公聴会に出席したブラウン参謀総長も「予算状況が厳しいための措置だ」と明かした。
参考:Air Force Wants to Cut F-15E Fleet in Half to Focus on Modernizing, Brown Says
限られた予算をF-35A取得や次期戦闘機開発に投資する方が将来の戦闘機戦力でより有利だった
米空軍の試算によると航空機のメンテナンスコストは導入1年目~14年目まで横ばいだが、15年目以降は要求されるメンテナンスが増加し、スペアパーツの入手性が悪化し始めるため毎年3%~7%づつメンテナンスコストが上昇していくと主張しており、ここに大規模なアップグレードが加わると航空機の運用・維持コストは莫大なものになる。

出典:U.S. Air Force photo by Brian G. Rhodes
例えば2036年に米軍のF-35は運用のピーク(推定1,885機が運用状態)を迎えると言われており、ロッキード・マーティンが計画通り運用コストを削減できても1年間で97億ドル(削減に失敗すれば約160億ドル)の運用・維持コストが発生、数年後には2010年代後半~2020年代前半に取得した機体がメンテナンスコストの上昇曲線に突入するため、97億ドルという数字はどんどん増加していくという意味だ。
つまりF-15、F-16、F-22、A-10といったレガシープラットホームは提供できる能力と運用・維持コストのバランスが悪く、まだ運用機体が多く生産ラインもサプライヤーも維持されているF-16さえGAOは「サプライチェーンへの資金供給が遅れたせいでスペアパーツ不足に陥った」と指摘しており、米空軍は2025年か2026年までにF-15C/Dを、2028年までにA-10を、2030年前半(NGADの配備に左右される)までにF-22を退役させるつもりだが、Aviation Weekは3月「F-15Eの退役も検討している」と報じて注目を集めたことがある。

出典:U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Daniel Asselta
Aviation Weekは当時「米空軍はF-15Eの中でF100-PW-220Eを搭載する119機の退役を2025年に開始、2028年までにF100-PW-229を搭載する機体のみにすることを検討している」と報じていたが、公聴会に出席したブラウン参謀総長は11日「予算状況が厳しいためF-15Eのアップグレードは他のプログラムとのトレードオフが必要で、空軍はF100-PW-229を搭載する機体のみを維持し、F100-PW-220Eを搭載する機体への投資を新しい戦闘機の調達に切り替える方が、戦闘機戦力にとって最良の組み合わせだと判断した」と明かした。
米空軍が保有するF-15Eの平均機齢は30年以上で、現代戦の環境に能力をアップグレードするため旧式化した戦術電子戦システムの換装作業(AN/ALQ-135D→EPAWSS)を進めている最中だが、このアップグレードにかかるコストは1機辺り1,570万ドルもするため、218機のF-15Eを全てEPAWSSに換装するには34億ドルもの資金が必要になる。
つまり予算不足に悩む空軍は全てのプログラムに資金供給を行うのが困難ため、F100-PW-229搭載機のみEPAWSSへの換装を行い、機齢の高いF100-PW-220E搭載機は2025年から処分を開始、この措置で節約した資金(アップグレードに供給されるはずだった18.6億ドル+2025年以降に発生するはずだった運用・維持コストの合計)をF-35A取得や次期戦闘機開発に投資する方が「将来の戦闘機戦力」でより有利だったという意味だ。
因みにF-15Eの削減には議会の承認が必要で、この議論が本格化するのは2025会計年度予算の審議する2024年になるだろう。
関連記事:米シンクタンク、大規模な投資がなければ老朽化した戦闘機戦力は破綻する
関連記事:米空軍、F-15Eの旧型119機を2028年までに削減することを検討中
※アイキャッチ画像の出典:Photo by Staff Sgt. Corey Hook
退役機を欲しがる国が多そうですが、費用的に大変そう。
イスラエル航空宇宙軍「F-15を何機貰えるかな~F-15Eも貰えると良いな♪(尚、金を払う気は一切無し)」
くれよ
俺にも。
俺も
ボーイング「F-15Eを退役させる? 我々の真の実力を見せてやろう(議会工作で軍備を妨害)」
これもう中国のスパイだろ
この判断がアジアでの米軍の軍事的プレゼンスには影響がないのか気になる。個人的には、長期的に見れば合理的な判断だと思うけど、短・中期的に見ると、中国軍との戦力差を一層縮小することになりかねないと思う。2020年代の台湾有事を警戒しているならこのタイミングでの削減は悪手なのでは。
只、このケースでは逆の考え方も出来るんですよ
つまり、米軍の軍事プレセンス減少を印象付ける事で、意図的に中国を暴発させて台湾侵攻する様に仕向けると言う策略じゃないかと中国共産党が考えてもおかしくないんですよ
こう言う情勢下では中国共産党の様な疑心暗鬼の強い組織ほど「自分の都合に良い状況が起き得る事は、却っておかしい」と考えるものなので
約20億円でアップグレードした上で日本さんお買い上げしたら?
もうさ国外保管の予備機でいいから機体に数無いとやばくね?
機体を買っても肝心のパイロットが居ないので無意味ですね
それならF-35A追加が一択じゃね?
F-15Eアプデする余裕あるならその枠で空自のF-15Jのアプデの方が急務だし、部品の共有が出来ないEの中古買ってもねぇ。
ってかインドネシアに売るF-15Eはどうするんだろ。部品の供給ありませーんは今後の商いに支障出るでしょ、
正直C/DならさておきEはいらんよね。
F-15EXの調達は別枠でするから
問題はないのでは?
将来のアメリカ空軍の戦力は、F-35とNGADと無人機だけになっちゃうのかな?
F-15Cの初期型維持にひいこら言ってる日本っていったい…
防衛費倍増は不可避だったか
F35のエンジン問題は知らん顔かしら。
そのうちに、F35が一気に不良品化する可能性もあるのでは。
議会にお願いして、予算を増やしてもらった方が良いのでは。
F-15Eをほぼ半減するのは危険だよな。
制空よりも打撃能力が相当落ちるる方が問題になると思うけどな。
韓国軍にはどうですかねポメラがF-5.4更新する繋ぎにリース。
ていうか韓国台湾戦争でどうするのかあまり情報が入ってきませんね。
追記、ポラメだすみません、
F-35KF-21FA50の調達を急いで数年後に更新完了ですね。
F35も純減に転じるの早そうだし、NGADだけでモンロー主義回帰普通にあるんじゃないですかね?
最近のアメリカ軍、大丈夫ですかね?
F-35一本足打法みたいだと地上攻撃能力がガタ落ちになりませんか?
航空支援が減少する分だけ危険度が上がる陸上部隊に追従できるような対空車両も短射程揃いです。
ウクライナがまさに現在進行形で苦しんでいる状況になってしまいそうです。
航空戦力は調達&維持コストが兵器の中でも高額な分類ですから、国力がそれを許容できなくなりつつあるアメリカは軍事ドクトリンを大幅に見直す必要があるのでは?