米国関連

F-35のスペアパーツが行方不明になる問題、ロッキード・マーティンと国防総省が和解

ロッキード・マーティンはF-35のスペアパーツ問題で国防総省と和解が成立したと報じられており、この問題に対する補償として同社は7,060万ドル(約76億円)相当のサービスを無償で提供することになった。

参考:Pentagon, Lockheed Reach Final Agreement on F-35 Part Refunds

電子ログに書き込まれた情報が不正確だっため行方不明になるF-35のスペアパーツが続出した問題で和解

この問題はF-35のスペアパーツ自体に安全性や品質上の欠陥があるという類の問題ではなく、2015年~2020年までに納品されたスペアパーツの電子ログが不適切で米軍の整備担当者が問題の修正のため本来必要のない作業を強いられていた問題のことだ。

本来F-35のスペアパーツは1つづつ固有の電子ログに紐付けられていて、いつ製造されさたのか、どの機体に使用されたのか、どのような修理を受けたのか、このパーツの耐用年数の残りは何年なのか、どこの倉庫に保管しているのかを直ぐに確認できるようになっているのだが、ロッキード・マーティンが軍に納入したスペアパーツの電子ログに書き込まれた情報は不正確だったり情報自体が破損していて使い物にならないといった不備が多発。

補足:F-35を最も多く運用しているアリゾナ州ルーク空軍基地の司令官によれば、2019年6月から11月までにロッキード・マーティンから納品されたスペアパーツの約60%で電子ログの情報に不備があったと証言している。

そのため米軍の整備担当者は倉庫にどのようなスペアパーツが保管されているのか分からなくなり行方不明になるスペアパーツが続出、これを探し出して電子ログの情報を修正する作業に整備担当者は忙殺され国防総省は追加の人員を投入したため過去5年間で約3億ドル程度の余分な人件費が発生、この問題を解決しない限り国防総省は毎年5,500万ドル(約58億円)の追加費用を負担し続けることになるらしい。

出典:U.S. Air Force Photo/Senior Airman Andrea Posey F-35Aの補給品をチェックする整備担当者

この問題を調査した米下院監視・政府改革委員会の議員達は「軍はF-35を運用状態に保つため投入されている多くの人員の中には本来必要のない作業に従事しているものが含まれ、この問題が如何に無駄なコストを発生させているのかを学んだ」と語り、ロッキード・マーティンに「スペアパーツ問題に関する失敗について説明責任を果たせ」と怒りをぶち撒けている。

結局、ロッキード・マーティンは電子ログ問題のミスを認めて国防総省と補償に関する協議が進められていると昨年7月に報じられていたが、ロッキード・マーティンが7,060万ドル(約76億円)相当のサービスを無償で提供(F-35のパフォーマンス改善のために3,630万ドル、関連分野に2,430万万ドル、維持管理業務の改善に1,000万ドルに投資することで相殺)することで国防総省との和解が成立したらしい。

管理人は最低でもロッキード・マーティンが国防総省側にF-35A3機分程度の補償を支払うのではないかと思っていたが、たった7,060万ドル相当の補償で和解が成立したため非常に驚いている。ただ補償をキャッシで受け取らなかったのは追加費用がF-35プログラムに転嫁されているためでF-35関連分野に直接投資させることでパートナー国への間接的な還元として処理したのだろう。

因みに電子ログの問題が現在解消されているのかについては触れられていないので不明だ。

関連記事:ロッキードマーティン、F-35スペアパーツ問題を認め補償支払いで合意

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo/Chrissy Cuttita

イスラエルと韓国が徘徊型UAVシステムを共同開発、韓国軍に有人無人チーミングを提供前のページ

中国よりも先に第6世代戦闘機を手にれたい米空軍、議会に資金供給を訴える次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    強風が原因? エアフォースワンへの階段でバイデン大統領が3回も躓く

    強風に負けて計3回も躓いてしまうバイデ大統領に多くの冷やかしやジョーク…

  2. 米国関連

    米軍を最も安価に攻撃する方法を明かす米海兵隊大将、答えはコストコで売っている

    米中央軍の司令官を務めるケネス・マッケンジー米海兵隊大将は「米軍を最も…

  3. 米国関連

    27時間燃え続ける米海軍のワスプ級強襲揚陸艦、懸命な消火活動が続く

    米海軍のワスプ級強襲揚陸艦6番艦「ボノム・リシャール(LHD-6)」は…

  4. 米国関連

    米空軍、間抜けなミスで極超音速巡航ミサイルのプロトタイプ試射に失敗

    米空軍は先週、極超音速巡航ミサイルのプロトタイプを使用した初めての試射…

  5. 米国関連

    米海軍、次期戦闘機「F/A-XX」開発プログラムを正式に始動

    米海軍は「F/A-XX」と呼ばれる次期戦闘機の開発を主導するプログラム…

  6. 米国関連

    中国よりも先に第6世代戦闘機を手にれたい米空軍、議会に資金供給を訴える

    米空軍航空戦闘軍団の司令官を務めるマーク・ケリー大将はメディアとのセッ…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 3月 05日

    合理化を進めるために反って人間の労力を増やしてしまうというお話?
    経済性を優先する合理化にありがちな過程、これ戦時ならどうなるのだろ

    3
      • 匿名
      • 2021年 3月 05日

      今のみずほ銀行がまさにそれだよな

      15
      • 匿名
      • 2021年 3月 05日

      合理化とリバースエンジニアリング対策。

      1
    • 匿名
    • 2021年 3月 05日

    ドジっ子アリスちゃんの問題もこれでおしまいって事でいいのかね?
    補償が安いのはシステム的な問題は多少あったものの
    主原因は入力ミスしてた軍側が悪いだけだったりして…

      • 匿名
      • 2021年 3月 05日

      そもそも入力なんてしなくても良いって環境じゃないの?個人的にはバーコードかQRコードの情報がめちゃくちゃ、リーダーで読み取ると製造日や製造場所とかの情報がないとかと思っているが。部品にQRコードをダイレクトマーキングとかしてんじゃないかと思ってるんだが情報ないのよね。

      1
    • A
    • 2021年 3月 05日

    直近の分は何とかなるとしても2015年ごろに行方不明になったものなんてどこ行ったかわかんなくなっちゃてるんじゃないの?
    そのうち大量の余剰部品がゴロゴロと出て来るんだろうね。

      • 匿名
      • 2021年 3月 05日

      軍隊でも棚卸しは必要なんだな。
      紙とボールペンで。

    • 匿名
    • 2021年 3月 05日

    納品したスペアパーツの約60%で電子ログに不備があるって、そもそものパーツ製造・検品体制とかは大丈夫なのかね?
    在庫見つかったけど、不良品だったとかありそう

    3
    • 匿名
    • 2021年 3月 06日

    中国「部品が行方不明?知ってた」

    3
    • 匿名
    • 2021年 3月 10日

    よくある在庫管理システムとそんなに変わらないように見えるけど何がそんなに大変なんだろう

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供
  2. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
  3. 軍事的雑学

    空飛ぶスナイパー? ロシアの戦闘機「Su-57」は米軍の航空支配を効果的に破壊す…
  4. 軍事的報道

    国産防衛装備品の海外輸出が実現!フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-…
  5. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
PAGE TOP