米国関連

ボーイング、ロシアの航空会社にスペアパーツ供給を停止

ボーイングは1日、ロシアの航空会社に対するスペアパーツ供給、メンテナンスサービス、技術サポートを停止していると発表した。

参考:Boeing suspends parts, maintenance and support for Russian airlines

一時的にロシア国内の長距離移動は「鉄道」に逆戻りする可能性を秘めている

ロシアの航空会社は数十社もあるのでボーイング製の航空機を何機運用しているのか不明だが、アエロフロートとロシア航空だけでも同社製の旅客機を90機(737/49機、747/9機、777/32機)も運用しているため、これが飛べなくなると大きな痛手を被るかもしれない。

しかしウクライナ侵攻の代償として課される制裁はこんなもので終わるほど甘くなく、ロシアの航空会社を立ち行かないところまで追い詰める可能性がある。

出典:徳永勝彦・ SuperJet International / CC BY-SA 2.0

まずロシアの航空会社が保有する約980機の旅客機の内、西側のリース企業が調達している機体は515機(推定市場価値100億ドル)は制裁の影響で契約が打ち切られ回収される運命にある。

つまりボーイングがスペアパーツの供給やサポートを停止しようがしまいが、全ての機体の返却が完了すればロシアの航空交通は完全に機体不足に陥り、頼みの国産旅客機「スホーイ・スーパージェット100」も構成部品(エンジンはスネクマとサトゥールンの合弁企業が製造)を全て国産化している訳ではないので制裁の影響を受ける可能性が高く、製造の継続やエンジン関係のスペアパーツ供給に問題が生じるはずだ。

出典:Kirill Naumenko / CC BY-SA 3.0 Il-96

2022年に運行開始が予定されているMS-21も西側製アビオニクスが採用(将来的ロシア製に置き換える予定)されており、昨年初飛行に成功したIl-96-300も制裁下で製造できるのか怪しく、中国と共同で開発を進めている旅客機開発も先行きが不透明、中国のCOMAC C919もエンジンが米仏合弁企業製なので同機をロシアが調達するのは困難だろう。

ウクライナ侵攻の代償として課される制裁はロシアの航空会社から航空機を合法的に取り上げるため、もしかしたら一時的にロシア国内の長距離移動は「鉄道」に逆戻りするかもしれない。

追記:モスクワ近郊の小学校で教師が「ロシアはウクライナを民族主義者から解放するために戦っていて民間人を攻撃した映像は偽物だ」と伝統的な手法で生徒の洗脳を試みたが、ネットを使いこなす子どもには通用せず「ウクライナの土地を奪う行為をなぜ解放と呼ぶのか?」「なぜロシア軍はウクライナに侵攻したのか?」と突っ込まれる音声がTelegramにアップされ注目を集めている。

※アイキャッチ画像の出典:Anna Zvereva / CC BY-SA 2.0

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コメント

    • 123
    • 2022年 3月 02日

    エアバスも続くだろうなぁ。
    あとはアエロもロシア航空もスカイチームから追放されて名実ともに孤立する未来が見える。

    ・・・意地で国産旅客機運行してたソ連時代のほうがマシでしたね。

    19
    • 無無
    • 2022年 3月 02日

    こういう制裁が可能なのが強大な米国ゆえ、エアバスも追随してくれよ。
    ロシアや中国には資源輸出の停止という切り札があるが、それはしばしば自国産業の首を絞める諸刃の剣、対してアメリカにとってのロシアは小さな顧客に過ぎない

    18
    • すえすえ
    • 2022年 3月 02日

    長距離輸送が鉄道になったらわろす
    青春18切符並の苦行になるな

    12
      • A
      • 2022年 3月 02日

      ロシアの鉄ちゃん大喜び。
      (皮肉ね。)

      3
    • クローム
    • 2022年 3月 02日

    イラン航空•マーハーン航空「こっちおいで」

    6
    • K(大文字)
    • 2022年 3月 02日

    >西側のリース企業が調達している機体は515機(推定市場価値100億ドル)は制裁の影響で契約が打ち切られ回収される運命にある

    …これリースアップ待たずに回収されるの?いやまぁどちらにせよリース料の支払いもままならんだろうしなぁ。
    ロシア航空会社も大変だが、貸し手のリース会社も地獄だね…戦争は誰もが損をするって一例か。
    だから戦争を引き起こすクルクルパーはしっかりと引き摺り下さんといかんわな。

    12
      • 匿名
      • 2022年 3月 02日

      >ロシア航空会社も大変だが、貸し手のリース会社も地獄だね…戦争は誰もが損をするって一例か。

      そう、誰もが損するのに武器商人が云々の陰謀論が無くならないのは何故なんだろうね
      金はどこから湧いてくるのかと

      27
      • qwerty
      • 2022年 3月 02日

      ロイターの記事だと、EUについては3月28日までに契約終了するようにと通達してる模様。
      おっしゃるとおり、リース会社も苦しいですね。。。

      ■ロシア航空機リース、数百機の契約打ち切りへ 西側の制裁で
      リンク

      6
    • かえる
    • 2022年 3月 02日

    西側製の全てのパーツが絶たれるなら代替できる可能性があるのは中国製くらいしかなくなる(実際に可能かはわからんけど
    少し前はロシアが技術やエンジンの供給を絞って中国を苦しめてたが、あっという間に立場逆転しちゃうな

    15
    • 野戦先輩
    • 2022年 3月 02日

    シベリア超特急の続編制作が捗りそうな話題だなぁ

    2
    • 幽霊
    • 2022年 3月 02日

    こうなるとロシアは自国が持つエンジン技術を中国に提供して民間航空機を手に入れる必要性が出てくるかも知れませんね。
    そうなると中国の一人勝ちになるかも?

    7
    • 匿名
    • 2022年 3月 02日

    ロシアの小学校教師の件ですが、教師も上からの命令には逆らえない立場なんジャマイカ?

    2
      • ロシア人教員
      • 2022年 3月 02日

      ???:「察しのいいガキは嫌いだよ!」

      3
      • けい
      • 2022年 3月 02日

      やってる事が100年前のままだ。

      他の工作全般でプーチンが現役の工作員だった頃でも古臭かったようなやり方をやってる。

      7
      • 匿名
      • 2022年 3月 02日

      ロシアの小学校生と言えば、小学校低学年相当とみられる3人の児童が、反戦活動したため逮捕され、護送車に押し込められたとか。
      「戦争はノー」といった趣旨の反戦プラカードを持ち、花を手向けるためにウクライナ大使館に向かってた所を逮捕されたとの事。

      今回のやり込めた小学生も無事だと良いのだけど。

      6
    • 名無しパン
    • 2022年 3月 02日

    軍用輸送機が作れるんだから普通の旅客機も作れるだろ。そこまで悲観することかね。コスパは悪いだろうが。

      • 匿名
      • 2022年 3月 02日

      これから作るとなると、時間が。

      1
    • 匿名さん
    • 2022年 3月 02日

    あーあ、こりゃ完全に経済断絶しちゃうわ。
    こうなったら、ロシアに自制させることも出来なくなる。
    第三次世界大戦が早まったな。

    • 匿名希望
    • 2022年 3月 02日

    中華コピーB-747が主力になったりして

    • 2022年 3月 02日

    追記草
    ネットを止めるしかなさそうだけど、それしたら大暴動祭り待ったなし。

      • 無無
      • 2022年 3月 03日

      この情報化社会、しかも統制のとれていたソ連時代に比べて圧倒的な人数のロシア人が海外と行き来してて、生の情報をリアルタイムで知っている
      プーチンの限界はここだよ、国家の情報統制など幻想

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