米国関連

世界中へ即展開、コンテナ1つでステルス無人戦闘機「XQ-58」の打ち上げ&回収可能

低価格なステルス無人戦闘機「XQ-58ヴァルキリー」を開発している米国のクラトス社は、ISO規格に基づいた標準的なコンテナに「XQ-58ヴァルキリー」本体と打ち上げシステムを収めたランチャーを披露した。

参考:This Containerized Launcher For The XQ-58A Valkyrie Combat Drone Could Be A Game Changer

コンテナ1つでステルス無人戦闘機「XQ-58」を打ち上げ回収が可能

ステルス無人戦闘機「XQ-58ヴァルキリー」とは、米空軍研究所のLCAAT (低コスト航空用航空機技術) 計画に適合した技術実証機で、この機体を開発した米国のクラトス社によれば、1機あたりの価格は300万ドル(約3.3億円)程度、100機以上の発注で1機あたり200万ドル程度(約2.2億円)になると主張している。

この機体はF-35との共同使用が想定されているため、F-35と編隊飛行(共同任務)を行っても問題のないレベルのステルス性能を持っていると推測され、機体下部のウェポンベイには最大250kgまでの誘導爆弾を搭載可能、航続距離は3,000km以上、最大1050km/hの速度で飛ぶことができると言う。

因みに米空軍が採用している無人偵察機の「MQ-9リーパー」は、1機約1300万ドル(約14億円)と言われており、XQ-58は性能面でも価格面でも圧倒的だ。

クラトス社は10月14日、米軍の年次総会でコンテナ1個で展開可能な「XQ-58ヴァルキリー打ち上げランチャー」を披露した。

このランチャーシステムは、ISO規格に基づいた標準的なコンテナに半分解状態(主翼が取り外された状態)のXQ-58ヴァルキリーが収められ、コンテナ床に敷かれたレール上を移動し、打ち上げランチャーが展開するというものだ。

さらにコンテナ内には必要な機材や物資を収納するスペースも確保されており、滑走路に依存しないXQ-58の運用は文字通り「コンテナ1つ」で世界中の何処へでも展開し使用することが出来る。

補足:XQ-58は降着装置による通常の離発着方法以外にも、ランチャーによる打ち上げ、パラシュートによる機体回収に対応している。

出典:https://oshkoshdefense.com/photo-gallery/?category=Vehicles / CC BY-SA 4.0 米陸軍のパレット積載システム

これは既存の軍用トラックはもちろん、輸送機による迅速な海外展開、水上艦の甲板からXQ-58の打ち上げなど運用範囲が格段に広くなることはもちろん、攻撃を受け滑走路が破壊されても、ランチャー打ち上げによるXQ-58で反撃可能といった使い方が可能になることを意味している。

米軍は今の所、このコンテナ打ち上げランチャーに関して公式的なアクションを起こしていないが、恐らく魅力的に映っていることだけは間違いない。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain XQ-58ヴァルキリー

F-15並の精密攻撃が可能? 韓国、国産軽攻撃機「FA-50」に照準ポッド「スナイパー」統合前のページ

空母「遼寧」の二番煎じ?韓国、空母「サン・パウロ」購入を訴える国民請願が登場次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米空軍長官、次期戦闘機の開発ではF-35で直面した悪習慣を排除する

    米空軍は発表したF-22Aの後継機開発に対する提案を2024年中に1本…

  2. 米国関連

    F-35製造からトルコ企業が排除されるとエンジン価格が30万ドル上昇

    下院軍事委員会の公聴会に出席したプラット&ホイットニーのマシュー・ブロ…

  3. 米国関連

    米空軍は大型爆撃機が足りない?ステルス爆撃機「B-21」追加調達、B-1、B-2退役延期を求める

    MITERは米国政府から提供される資金によって、政府機関のサポートを行…

  4. 米国関連

    米国、国外脱出者を輸送したC-17の降着装置からアフガニスタン人の遺体を発見

    カーブル国際空港から国外脱出者の輸送に使用されているC-17のランディ…

  5. 米国関連

    ノースロップ・グラマン、エア・チーミングが可能な無人戦闘機「Model437」を発表

    スケールド・コンポジッツは親会社のノースロップ・グラマンと共に有人機と…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 10月 18日

    これと全く同じようなものをエースコンバット7で見たよ。まさかこんなに早く実物が見られるとはな。

    3
      • 匿名
      • 2019年 10月 18日

      エスコンのアレはゲームならではと思ったがまさかここまで来ていたとは……スタッフ驚いてるだろうなぁ
      後はこいつに空戦できる脳みそと機動性与えればできるもんなぁ

      1
    • 匿名
    • 2019年 10月 18日

    エースコンバット7の世界まんまになってきましたね。

    1
    • 匿名
    • 2019年 10月 18日

    エスコンの無人機が現実になるのか……

    1
    • 2019年 10月 18日

    ACE COMBATの世界みたいな武器が現れましたね、そのうち無人の戦争になるんだろうか

    1
    • 匿名
    • 2019年 10月 18日

    アメリカってエルジア王国だったんだな
    あのゲームの架空技術は実現出来そうな所が良かったけど、まさか本当に来るとは思わなかった。

    1
    • 匿名
    • 2019年 10月 18日

    ・・・・・・これ実際にやると、ロシアは容赦無くカリブル巡航ミサイルをコンテナから偽装して撃って来るだろうな

    • 匿名
    • 2019年 10月 18日

    グラディウスのオプション?

    • 匿名
    • 2019年 10月 18日

    街中走ってる偽装トラックからミサイルやロボットや戦闘機が出てくるのはロボアニメの定番だけど
    いよいよ現実味を帯びてきたのか
    F-22登場あたりから兵器の発展スピードがものすごい緩慢になってたけど、ここに来て再加速してる感じがするな

    • 匿名
    • 2019年 10月 18日

    エスコン7かよ!って誰かコメントしてるだろうって思ったけどみんなしてたw
    そのうち世界各国が衛星を同時に撃ち落として通信網麻痺するのかねぇ?

    2
    • 匿名
    • 2019年 10月 18日

    片渕監督は気合入った軍オタだけあっていい仕事しますねw

    1
    • 匿名
    • 2019年 10月 19日

    サンダーバード2号的なコンセプトかな

    • 匿名
    • 2019年 10月 19日

    翼の展開まで自動で出来ればまんまエスコン7のコンテナ無人機
    AIで操縦できれば完璧

    1
    • archange
    • 2019年 10月 19日

    まんまエスコンのMQ-99じゃないか。ならここまで来ると、アーセナルバードの登場も近いんでしょうね。既存の兵器を塗り替える動きがこのところ日進月歩な感じはする……。
    そうそう、エスコンといえばリアルにストーンヘンジ的な射程1000kmオーバーの超長射程砲の研究にアメリカが本腰入れているとか。

    いま翼竜とか中国製のドローンが拡散してそこらへんの小国の空軍でも先進国並みの航空作戦ができるようになってきているし、実戦での投入事例も世界中であいついでいる。これは革命的なことだと思う。
    地上の方でもRCV(ロボット戦闘車)が出始めてますし。
    UAEとかイランあたりが外国の紛争に積極的に介入するようになっできてるのもドローンのお陰。ハードルがどんどん下がってる。

    今後は本格的な大型のドローンと、小型のドローンの2つに進化系が分かれるんでしょうけど、小型のほうでは顔認証技術で個人を追跡して撮影するドローンなんてのもある。コレ考えようによっちゃ、恐ろしい暗殺兵器になるよね。

    • 匿名
    • 2019年 10月 21日

    エスコンに出てくるような航空空母クラスは無理だろうけど、普通の輸送機等から
    無人機を発射して航空優勢を確保するみたいな運用は近いうちに実現しそうだよね

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  2. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
PAGE TOP