ベルギーは署名した安全保障協定の中で「ウクライナへのF-16提供」を約束したものの「提供時期」を保証しておらず、Air & Space Forces Magazineは28日「これはF-35A取得と関連しているためだ」と指摘し、TR3構成機の納品遅れがF-16の提供時期に影響を及ぼすという意味だ。
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ベルギーは戦闘任務に適さないTR3構成機を受け取ってもF-16を退役させることが出来ない
ウクライナの要請に応えてオランダは42機、デンマークは19機、ノルウェーは22機のF-16を提供する予定で、ベルギーも昨年秋「F-35Aの引き渡しが始まり次第、一定数のF-16をウクライナに提供する」と発表し、ラビブ外相も28日「2028年まで30機のF-16を提供する」「最初の1機を年末までに引き渡す予定だ」「この約束はゼレンスキー大統領のブリュッセル訪問時に署名される協定で正式なものになる」と明かしたが、28日に合意された内容は外相の言及とニュアンスが異なっている。
I visited the Melsbroek military base, where our servicemen are being trained.
Ukraine is looking forward to receiving F-16 fighter jets from its Western partners to strengthen the defense of our skies. We are also waiting for our warriors, who are training to maintain F-16s, at… pic.twitter.com/dePMht4gWJ
— Volodymyr Zelenskyy / Володимир Зеленський (@ZelenskyyUa) May 28, 2024
ウクライナとベルギーが署名した安全保障協定には「同盟国や戦闘機連合と協議の上、自国の安全保障と航空戦力の運用能力を損なうことなく、F-35の取得状況とF-16の退役スケジュールも加味し、可能であれば2024年末までに最初の1機を引き渡せるよう可能な限りの努力を行う」と明記されており、Air & Space Forces Magazineは28日「ベルギーは合意の中で『年末までの目標を達成できるよう努力する』と述べているだけで、最初の1機が2024年末までにウクライナに到着するかどうかを保証していない。これはウクライナへのF-16提供がF-35Aの取得と関連しているためだ」と指摘した。
これはTech Refresh3に関連したF-35の引き渡しが遅れている問題に関連しており、米政府説明責任局(GAO)は16日に発表したレポートの中で「ロッキード・マーティンは納品できないTR3構成機の保管場所が著しく不足している」と指摘、下院軍事委員会のロブ・ウィットマン議員も「引き渡し拒否に直面したTR3構成機は数ヶ月内に100機を超える」と言及、Defense Oneも「TR3のソフトウェアはレーダーや電子戦システムとの連携が不安定で、一部のテストパイロットはレーダーの再起動を余儀なくされた。1年以上が経過してもソフトウェアは不安定なままだ」と報じている。

出典:Edwards AFB/USAF TR3のテストを行う検証機
米空軍のシュミット中将は4月「Block4で予定されている多くの能力は2030年代まで実現しない」「そのためBlock4自体を再構築することになった」「TR3構成機のソフトウェアは戦闘に不可欠な機能が含まれていない暫定バージョンになる」と述べて「暫定バージョンによるTR3構成機の受け入れ」を示唆したが、ベルギーは戦闘任務に適さないTR3構成機を受け取ってもF-16を退役させることが出来ないため「ウクライナへのF-16提供」を保証していないのだ。
因みに日本向けのF-35Bは2025年初頭の引き渡しが予定されており、この機体もTR3構成機なので上記問題の影響を受けるかもしれない。

出典:Lockheed Martin
追記:韓国の防衛事業庁は4月「F-35Aの重整備について米国側と国内実施で合意した」「清州空軍基地内に設置される施設で2027年末から重整備が開始される」と明かしていたが、Defense Newsも24日「2027年までに韓国の清州空軍基でMRO&Uが立ち上がる予定だ」「これにより韓国はF-35の維持管理をオーストラリアに頼る必要がなくなる」と報じているため、韓国国内での重整備開始は事実だろう。
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※アイキャッチ画像の出典:ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ
これで韓国と無用の軋轢が生じる懸念が減ったな
お互いの国に変なのはいるが、若い世代の交流をみるに今後お互いの政権がどうなろうが長い目で見れば日韓関係は明るそうに見える。中国の脅威は習近平がプーチンのように衰えれば衰えるほど、そして中国が衰退すればするほど大きくなるので、今後に備えお互いの装備の整備ができるのは良いことだ。海軍関連は日本と韓国ではあまりにも思想が違うので微妙とはいえ、陸上兵器は色々と共通化していければいいのだけど。戦車関連は運用地形の問題があるのでさておき、自走砲関連は韓国から導入して緊張緩和と装備の共有ができないだろうか?アメリカが嫌がるかもしれないけれど。
っても陸上兵器も
島嶼防衛と展開力を求めてく日本と
北とがっちり陸戦をする韓国じゃあ求められるものが違うからやっぱ微妙なのでは
>アメリカが嫌がるかもしれないけれど。
安定した供給と信頼性を求めるワイも嫌がるで
>>お互いの国に変なのはいるが、若い世代の交流をみるに今後お互いの政権がどうなろうが長い目で見れば日韓関係は明るそうに見える。
という貴方の願望丸出しの無根拠な妄想ですよね?
>>今後に備えお互いの装備の整備ができるのは良いことだ。
>>陸上兵器は色々と共通化していければいいのだけど。
>>自走砲関連は韓国から導入して緊張緩和と装備の共有ができないだろうか?アメリカが嫌がるかもしれないけれど。
日本の軍事産業ぶち壊したいのか?そも緊張緩和とか貴方自分で緊張関係にあると認めてるのに、そんな国から軍装備を導入とかリスク的に論外で有り得ないね。
日本の軍事産業所か日本の国防体制自体をぶち壊したいのかな?
日本の軍事産業?既にぶち壊れる寸前だろ。
日本の防衛体制?開戦一週間でアメリカが来なきゃ破綻する体制がなんだって?
最初からぶち壊れてるのに見ない振りして何が言いたいのさ。
今の韓国国内の情勢が格段に変わらない限り、3年後の次期大統領は反日派が誕生する可能性が非常に高そうですね。
議会も野党が多数を占めている以上は、再び前例の無い反日政策を取ることでしょう。
日本もそれを想定しているとは思いますが、水面下で対応策を考えているのですかね?
観賞用F-35をベルギーに置いておいて、どこの国か攻めてくるんだ。
ロシア?
歴史的トラウマ的にドイツでしょう仮想敵
道路を渡って何が悪い!
軍事分野は安定稼働が第一で、民生品ならば叩けば直ると言われそうですね。
F35は安全保障に使う物ですから、ソフトウェアのバグ継続は、そもそも採用すらしてはいけない『欠陥品』のレッテルを貼られる可能性すらありそうですね…。
ウクライナに影響が及ぶのであれば、他国の喜捨に期待して戦争を続けるのは、苦しいという事に結局行きつきますね。
>「TR3のソフトウェアはレーダーや電子戦システムとの連携が不安定で、一部のテストパイロットはレーダーの再起動を余儀なくされた。1年以上が経過してもソフトウェアは不安定なままだ」
ウクライナへのF-16提供云々の部分よりも、F-35の産廃っぷりで唖然としますた
一体全体どういう事だよ戦闘任務に適していない戦闘機って…
>>戦闘任務に適していない戦闘機
飛行機ですな。チャーシュー麵チャーシュー抜きとかイクラ丼イクラ抜きみたいな
そして恐ろしいのが「それ(ただの丼飯)でもいいからよこせ!!!!」と米空軍がブチ切れてること
今の米空軍てどんな状況なんだか
・・・コレどー考えても使い物になる未来が見えない
イスラエルのF-35Iは普通に実戦投入して戦果あげているみたいやし、巡航ミサイルを撃墜という対空ミッションもこなしたというが
イスラエルが不具合を完全に叩きのめしたか単純にアメリカの要求が厳しすぎるだけなのかどっちなんだ???
イスラエルとかアメリカとか日本関係なくTR2の機体は普通に使えるだけなんじゃないですか?
調べたらTR3ってコンピュータを取り替える結構大掛かりなアップデートなのか
TR2にはさほど問題がないもののTR3では物理的にアカン部分があるってことか?
TR2の機体は普通に使えるとはいっても、ブロック4へのアップデートにTR3搭載は不可欠
つまりイスラエルもアメリカも日本も今運用できているTR2機をブロック4にしたいなら、この不具合まみれのTR3搭載は避けて通れない
XPは動いていて、Vistaは難産やった、みたいなもんじゃね?
自衛隊のF-35Bは飛行訓練に使えたらいい。
当面、艦隊航空隊として運用訓練が必要だから。
結局F35も、米軍お得意の事前テストしないで量産して大失敗病から逃れなれなかったと。
後からTR3化出来ると仮定するなら、安定版(OSみたいな響きだ)出来るまでTR2版量産するべきだったのでは。