米空軍のF-35デモンストレーションチームが、飛行中のF-35のコッピット映像を公開した。
見ているだけで爽快な気分にさせてくれるスペシャルな映像
この映像は米空軍公式のF-35A Lightning II デモンストレーションチームによるもので、マイアミビーチ上空を飛行するF-35Aのコックピット内部を撮影したものだ。
5月9日に、ショートバージョンが公開されていたが、この度、フルバージョン(7分31秒)が公開された。
ショートバージョンの時にも触れたが、パイロットがフライ・バイ・ワイヤ制御のF-35をサイドステックで操っている様子がよく分かる映像だ。
20年以上前に設計されたステルス戦闘機F-22と、最新鋭のステルス戦闘機F-35のコックピットを見比べると、コックピットの広さは圧倒的にF-35の方が広く、上半身の大部分が機体より上、キャノピー部分に収まっているためか、視点に位置が高く、視界の良さが桁違いだ。
F-35のコックピットが従来の機種よりも、広く作られているのは訳がある。米軍や英軍では、兵士の肥満問題に頭を悩ませていて、英国議会では、肥満した兵士のために、潜水艦のハッチの大きさを大きく、戦闘機の座席を大きくするよう提案が出るほど深刻化している。
恐らく、伝統的なコックピットの広さ以上の空間を確保しているF-35は、肥満気味なパイロットが乗っても窮屈な思いをしないで済むだろう。
今回のフルバージョンの映像では、F-35Aの主翼付け根や主翼端にヴェイパーが発生しているのが確認できた。
ヴェイパーとは、戦闘機が高速で移動する際、機体や主翼などに生じる飛行機雲の一種で、急激な気圧の低下により断熱膨張が起き、温度が低下して水分が凝結し、飛行機雲が発生する現象のことだ。
湿度が高いほどヴェイパーは発生しやすくなり、条件さえ揃えば低速な旅客機でもヴェイパーが発生することがある。
今更、珍しい現象でもないが、通常、航空ショーなどで披露されるデモフライトの際に発生するヴェイパーは、地上から見る場合が多く、コックピット内からヴェイパーが発生している様子を眺められるのは珍しい。
あと、F-35Aのパイロットが被っているヘッドマウントディスプレイシステムを搭載したヘルメット「Gen 3」が非常にカッコいい。
今まではコックピット前面に搭載されていたヘッドアップディスプレイに投影されていた情報を、F-35では、専用のヘルメットのバイザー部分に直接投影する事ができ、F-35の機体に6ヶ所搭載されている赤外線カメラの映像を投影することもでき、パイロットは360度の視界を得ることが出来る。
人類の歴史上、もっとも先進的な戦闘機用ヘルメット「Gen 3」の価格は、約40万ドル(約4,340万円)だと噂されており、人類の歴史上、もっとも高価なヘルメットという説もある。
何れにせよ、F-35を操縦するパイロットにとって、F-35の機体は勿論、支給されたF-35専用の装備を不注意で壊してしまった場合、酷い目に会うのは間違いない。
※アイキャッチ画像の出典:US Air Force / Senior Airman Alexander Cook
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