トルコにF-16Vを売らないでほしいとギリシャのミツォタキス首相は訴えているが、下院外交委員会はフィンランドやスウェーデンのNATO加盟をブロックしないなら売却を承認する構えだ。
参考:Greece seeks to join F-35 program as it lobbies against Turkey F-16 sale
ロシア軍のウクライナ侵攻でゲームのルールが書き換わろうとしているためギリシャは焦っている
ウクライナで勃発した戦争のせいで影が薄くなった東地中海を巡るギリシャとトルコの対立は健在で、訪米中のミツォタキス首相はバイデン大統領と会談後「2028年以降にF-35Aを導入する」と発表、米議会では「我々の領空を頻繁に侵犯するトルコにF-16Vを売らないでほしい、ウクライナ侵攻に対応している中で新たな不安定要因が発生することは許されない」と訴えたが、どちらかというとF-16V売却は承認される可能性が高い。
トランプ政権は明確な法的根拠がないまま「S-400を導入した」という理由でトルコをF-35プログラム追放、追放理由の是非は置くておくとしても米国はトルコが支払った約14億ドル(プログラムへの出資金+発注済みだったF-35A×6機分の代金)を返還しないまま問題を放置しており、バイデン政権は関係を修復するためF-16V売却(新規にF-16Vを40機+既存機のV仕様アップグレード80機分)を打診、これを受けてトルコはFMS経由でF-16V売却を要請したものの議会が難色を示したため補償計画は暗礁に乗り上げている。
一方のギリシャは保有するF-16のアップグレードを進めており、フランスからもラファールを緊急導入、噂されていたF-35A取得も「2028年以降に導入する」と発表したためエーゲ海上空の航空優勢は著しくギリシャ有利に傾きつつあるのだが、ロシア軍のウクライナ侵攻でゲームのルールが書き換わろうとしているためギリシャは焦っているのだ。
これまでは「NATO加盟国なのにS-400を導入した」とトルコを攻撃しておけばよかったのだが、ウクライナを侵攻したロシアは制裁の影響で武器の製造に支障を来しており、バイデン政権は海外市場からロシア製兵器を追い出す好機だと捕らえ、ブリンケン国務長官はトルコへのF-16V売却を認めるよう議会に要請している。
さらに武器輸出の承認に絶大な力をもつ下院外交委員会が「もしトルコがフィンランドやスウェーデンのNATO加盟をブロックすればF-16V売却を認めない」と発言しており、裏を返せば「両国の加盟を支持するならF-16V売却を認めても良い」という意味だ。
トルコは全てのNATO加盟国が「テロ組織」に指定しているクルディスタン労働者党(PKK)の取り締まり、シリア内戦に関連したトルコへの武器禁輸措置(両国のトルコに対する武器輸出量は非常に少量で禁輸措置は名目上のもの)を解除するよう要求しているだけなので、フィンランドとスウェーデンのNATO加入を本気で阻止する気などなく多少の政治的利益を確保したいだけだろう。
フィンランドとスウェーデンも円滑なNATO加盟ためトルコの要求を受け入れるはずだ。
つまりトルコへのF-16V売却は成立する可能性が高いのでギリシャは「トルコにF-16Vを売らないでほしい」と議会に訴えているのだが、米国もF-35プログラム追放で拗れたトルコとの関係を修復する必要があり、いつまでも「S-400導入に関連した制裁(F-35プログラム追放とは別もの)」でトルコへの武器販売を止めているとインドへの武器販売で自分の首を締めることになるため、手打ちを行う頃合いなのだろう。
関連記事:フィンランドとスウェーデンのNATO加盟、トルコはPKK取り締まりを要求
※アイキャッチ画像の出典:Public domain
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早くウクライナにMiG29をば
ウクライナ「もう要らない、ちぃもF-16V欲しい。」
F-35Bと対レーダーミサイルをプレゼントして下さい。byウクライナ
実際AHミサイルを使える戦闘機を要望してるな
F-15、F-16等がほしいって
東欧諸国以外で売却してくれそうな国がなさげ。
ロシアと武器取引でもめてるバングラディッシュ位かも?
あっ、揉めてるんだ。
ミャンマー関連かな?
F-16Vを売ったくらいでトルコがゴネるのを止めてくれるのか疑問。
仮にゴネるのを止めてくれても、その後でギリシャにも何か売ってギリシャの不満を解消する必要がありそう。
トルコは北欧2国がNATO入りしたから何か損するわけではないのですよね。クルド人がと言いますが、それでNATO入りがつぶれれば元のままです。むしろより反トルコになるかもしれない。
だったらここでゴネて何か利を得たほうが得策で、最初からこの手の譲歩を引き出すためではと思えます。
そう考えると、F16Vの売却カードは手打ちの内容としてはちょうど良くてギリシャ以外ハッピーという便利な案ですね。
逆にギリシャは相当苦しいでしょう。何が苦しいってトルコとの手打ち以上にアメリカにメリットの有る案がなさそうなところ。
これでギリシャが北欧2国にトルコの提案の拒絶を要求し始めたら面白いですがね。
ギリシャには少し時間をおいてF-35をってことで納得させるんじゃないかな
理性的に考えればそうなんですが、そういった理性的判断をしてくれるのかと、最近は特に思ってしまいます。
開発中のTFXに協力するのもありかと
米国にとっても、NATOにとっても、EUにとづてもギリシャって重要性は低いのでは?
トルコと色々もめても、周りの反応は冷たいよね。
経済も軍事も自力で何とかしようとしない国なんか放ったらかしで良いのでは?
ギリシャは中国が一対一路の拠点として狙われてるんですよ
事実ギリシャの港湾をひとつ中国が買収してます。
だから欧州がギリシャをハブると、ギリシャが完全に中国の拠点にされてしまうリスクがあります。
露のウクライナ侵攻で、トルコやインドのS400問題をウヤムヤにできそうで米にとっては好都合でしたね。
TFXやデシャスMk.2への米エンジンの取得復活あるのかな.
それより、S400は納品されるのか?
同盟/勢力圏の境界にいる国とより内側に居る国では前者のほうが優遇されやすい、まさに地政学ですねぇ。かつては日本も反共戦線最前線で境界の国だったんですけどねぇ、冷戦崩壊で内側の国になっちゃいましたね。
そして日本は再び境界の国になったと。大陸のすぐ横にある島国である以上、ランドパワーとシーパワーの境にならざるえない、というのはまさに”地”政学らしいっちゃらしいと思います。
というよりソ連崩壊によって、ロシアと中国がいずれ西側の価値観を受け入れると無邪気に信じていた、1990年代からの20年間が異常だったとも思いますが。
軍事的な境目の国の地位もいいですが、経済ブロックの境界の地位が戻ってきてくれると良いんですけどねぇ…。市場は一つになっちゃいましたからね…
ああなるほど、経済の境界線は中韓台の勢いが強くて、日本に戻ることはしばらくなさそうですね。
まあこれらの国も高齢化が進んでいるので、主導権を取り返すことは無理ではないとは思いますが。
トルコのF-16Vはギリシャの軍用機を攻撃できない様に設定し、ギリシャにはF-35とパトリオットミサイルの優遇で手打ちが一番いいか?
そんな馬鹿な制限を受けれ入れてまでトルコがF16Vを導入するとは思えませんけど?
その制限を受け入れて導入したら万が一ギリシャが先制攻撃してきた場合F16Vは何も出来ないまま全滅する危険性も有りますし。
合意上の縛りだけで機体側には何ら細工されていないが、パキスタンのF-16という前例(対インドの戦闘に使うなという制約があるが、インドへの攻撃に使用した疑惑がある)があるから、対ギリシャの戦闘にF-16を使うな程度の契約を設定する事は十分にあり得るだろ
個人的な考えですが、ギリシャはこうなる前にS-300SAMをウクライナへ提供していれば、多少は米国も配慮してくれたと思いますよ…もう遅いけどね(苦笑)。
あの辺の国は外交が上手いですな
アメリカ、北欧二国、トルコの三者がお互いに得するように落とし所を探っている
フィンランドとスウェーデンが本気でクルドを助ける気なら、別の形で支援するか、止めてNATOに加盟した後でまた援助すれば良いだけだし。
たぶんそうなりますね、いったん加盟してしまえばトルコがどうこう文句をつけてもスウェーデンフィンランドには屁の河童、人権を重んじる大多数のNATO加盟国もトルコを相手にしないでしょう
ウクライナ「トルコくん!S-400なんか破棄してまたチームF-35に戻らないか?じゃけん邪魔なS-400は回収していきますねー」
「出典:ロッキード・マーティン」のイラストでセンターパイロンに見慣れない吊るし物があるんですが何ですか?
後学のために教えていただけると幸いです。
返信先を間違えました。
Legion Podと呼ばれるIRSTです。
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