トルコのカリン大統領報道官は「フィンランドやスウェーデンのNATO加盟にトルコは門戸を閉ざすつもりはないが、特にストックホルムにおけるテロ活動の取り締まりを我々は望んでいる」と明かした。
参考:Turkey ‘not closing door’ to Sweden, Finland NATO entry, Erdogan advisor says
NATO加盟問題を政治的に利用するトルコに文句をつける国があるとすれば犬猿の仲のフランスぐらいだろう
まもなくフィンランドやスウェーデンはNATO加盟手続きを開始する予定だが、トルコのエルドアン大統領は「フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に関する動きに我々は是正的な見解を持っていない。過去にNATOがギリシャを加盟国に受け入れたのは間違いだった。我々としては過去の過ちを繰り返したくない」と語り、北欧諸国はテロ組織のゲストハウスだと付け加えた。

出典:Ministerio de Relaciones Exteriores / CC BY-SA 2.0
両国が正式なNATO加盟国になるためには「トルコを含む加盟国30ヶ国の全会一致による承認」が必要なため大きな注目を集めたが、トルコのカリン大統領報道官はエルドアン大統領の発言について「フィンランドやスウェーデンのNATO加盟にトルコは門戸を閉ざすつもりはないが、北欧諸国との交渉、特にストックホルムにおけるテロ活動の取り締まりを我々は望んでいる」と明かし、トルコからの分立・独立を主張する非合法組織「クルディスタン労働者党(PKK)」の取り締まりを要求した格好だ。
カリン大統領報道官は「トルコ、米国、EUからテロ組織に指定されているPKKが依然として資金調達や人員の勧誘を欧州地域で続けており、特にスウェーデンではPKKの存在を公然と容認している」と指摘しており、NATO加盟手続きでトルコの支持を取り付けたいなら「取引に応じよ」という意味だろう。

出典:Ministerio de Relaciones Exteriores / CC BY-SA 2.0
もしフィンランドやスウェーデンがスムーズなNATO加盟申請の処理を望むならトルコが突きつけた要求(これが受け入れがたいものなのかは不勉強でよく分からない)を飲むしかない。
因みにトルコはNATO加盟国内で米軍に次ぐ地上戦力(現役42.5万人+予備役20万人)で貢献しており、地中海と黒海を結ぶダーダネルス海峡とボスポラス海峡も管理、北アフリカやシリアの難民がEUへ向かうのを防ぐ防波堤としての機能も果たしているため欧州諸国の中にはトルコの肩を持つ国も多く、エルドアン大統領の機嫌を損ねると「直ぐに国境の警備が手薄になって難民がEUに向かう」という荒っぽい手札もしっかりと握っている。
関連記事:フィンランドとスウェーデンのNATO加盟、トルコは両国の加盟を否定
関連記事:弱みを握られたEU、リビア停戦合意の裏でトルコは戦略的要衝を確保
※アイキャッチ画像の出典:Kurdishstruggle / CC BY 2.0
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しかし、そんな国だからいつまで経ってもEUに入れてもらえない諸刃の剣
でも、当のエルドアン大統領はEU加盟を諦めているので、もう恐い者は無い(迫真)。
ギリシャとトルコは同期の桜なんだから、一緒に散っとけよ。
散らないでもろて。じゃないとロシアが、これ以上はやめとこう…
やっぱトルコは二国のNATO加盟に賛成じゃん。ウクライナで親露派武装組織がやったこととグルド人支援は同じことだからトルコの言っていることは正しい。
上の方で一寸書いちゃいましたが、こっちが本題と言う事で。
昨日このブログに、エルドアン大統領がフィンランドとスウェーデンのNATO加盟に反対との発言が掲載された時「フィンランドとスウェーデンがPKKに居場所を提供しないと明言すれば妥協の余地が有るかも知れませんね」と書きましたが、その通りになった感じでしょうか。
個人的には、クルド人問題の内実は別にしてもトルコ側の発言は概ね筋が通っていると思いますので、恐らくフィンランドとスウェーデンはトルコ側の取引に応じるしか無いと思います。
特に、今回トルコ側が問題視しているPKKは米国とEUからテロ組織に指定されているのにも関わらず、EU加盟国であるはずのスウェーデンがPKKの存在を容認していると言うのもおかしな話ですから、特にスウェーデンにとっては痛い所を突かれたと言って良いでしょう。
将来、トルコの反対でNATOに入れなかったフィンランドがロシアの侵略を受けて「トルコの反対でこうなった」とスウェーデンと一緒に批判しそうですね。北欧リベラルが国益のためとはいえ難民を犠牲にするのはできない相談な気がしますので。
PKKがテロ組織指定されているのは銃を持ってるので当然ですが、それは建前の話でトルコによる人権侵害を逃れて流浪するクルド人が持てる最後の実力組織であり、同じテロ組織でもイスラム国などとは事情が少々異なることは北欧は当然英米も知ってます。なので匿ってるわけです。取引に応じるといってもそれはPKKを武装解除してトルコに引き渡すことを意味するとは限りません。NATOとトルコの力関係上、新しい建前をでっち上げてトルコに飲ませる可能性は十分あります
北欧2国はトルコからのクルド人難民を受け入れているから、よく日本でも難民認定で揉めている、トルコからPKK関係者である(本当かどうかは不明)とされた難民も受け入れているのでしょう。そうして受け入れられた難民がトルコ国内のPKKの資金源になっているからクレームをつけているのでしょう。
落とし所はPKKのテロ組織認定と資金送金厳格化っといったところでは。少なくとも絶対阻止というわけでは無いと思いますが。
その書き込みで思い出したのですが、スウェーデンはベトナム戦争中脱走した米兵の亡命を認めていた上に生活費まで支給していたそうで、1968年には日本国内で脱走した米兵を日本の反戦団体が匿った後、ウラジオストク経由でスウェーデンへ亡命させた事件まで起きています。
ですので、政治的に微妙な立場の移住希望者(難民・亡命者も含む)でも受け入れる傾向が強いみたいですね。
脱走兵の亡命まで認めているんですか。まさに中立国の鑑なんでしょうけど、NATO加盟とはその看板を下ろすことですから、何らかの妥協は必要でしょう。
とはいえ既に受け入れた難民を追い出すことは絶対できないでしょうから、送金停止くらいが落としどころだと思うんですね。あとは他のNATO諸国の説得次第でしょうか。
管理人さんってこんな時間に記事出してたんだ。いつもありがとうございます!軍事系記事の中で最高です!
ちなみに現在の時刻は1時22分。
フィンランドの外相がトルコンの外相と話をしたそうで、フィンランド外相は「解決策が見つかると確認している」と言ってます。ホワイトハウスの報道官はこれについてトルコと協力していくと言ってます。トルコに代替条件を出したりするのかもしれません。
フィンランドの大統領はそんなゴタゴタとは関係なくプーチンに電話して、NATO入りを申請すると話したそうです。
プーチン、素で驚いてそう
プ「ワシらに逆らったらどうなるか分からせちゃるけぇのぉ!」
フィ・ス「え、怖…。思ってたよりも頭おかしいヤクザだったんで守ってくれる人たちの陣営に行きますね」
プ「?!?!」
もうトルコはEUには入れそうもないですね。以前、待ちくたびれてしまったとボヤいていましたから、既に諦めているのかもしれませんが…
ところで、エルドアン政権の国民からの人気は、今は如何なんでしょう?リラ安インフレでかなり経済は低迷していたのにウクライナ戦争で、もはや政権の存続すら危ういという気もしますが、何かしらの奇策の一手で乗り切るんでしょうか?
クルド問題は、各国みな深くは触れたくないのが本音。
トルコの人権政策に問題があるのは知られているが、ではクルドをどうするんですかという解決案がない。クルド人国家という美しい理想を実現するのを阻んでるのが当事者のクルド諸派という、他人が関わっても仕方のない話ですから。
団結できないならばバラバラで良いが、バラバラは弱いのが当たり前、相手にされない
それを乗り越えるのはクルド民族本人の責任です
エルドアンという人は海外の政治家とよく話をするね。
その主張がどうのこうのは言わないが彼が歩もうとする方向は分かる。
ロシアのスホーイを撃墜したりギリシャに対して軍事進攻をほのめかしたり、トルコ国産の空母建造をも
企画している。
トルコの軍事兵器はこれからヨーロッパで中東でアフリカで注目を浴びるだろうが、問題はトルコリラの対米レートだろう。
中国の習近平に直接会って中央アジアのトルコ系民族の取り扱いにくぎを刺した。
これを今できるのはエルドアンだけかもしれない。
プーチンは中国に配慮をして動かなかった、
もしロシア軍が中央アジアに軍事進攻していればロシアの評価は一気に上がっただろう。
それからウクライナ東部だよ。
侵攻する方向が逆だよ。
そもそもトルコがF-35を蹴ってロシア製兵器購入に回った経緯だってクルド人の処遇を巡ってアメリカと対立したからです。
トルコにとってはこれだけは「絶対に譲れない」問題です。
トルコ軍がイラク北部にPKK退治理由に侵攻したとき、アメリカはそれを諌めたが「我々が対テロ戦争をして何が悪い!!」とぷっつんキレたのです。
その後、シリアでもアメリカが有志として支援しているYPG(クルド人民防衛軍)ならびにSDF(シリア民主軍)、その政治母体である西クルディスタン移行期民政局を「PKKのシリア支部に過ぎない!」といって現在も攻撃対象にしてますよね。それでアメリカを「テロ支援国家だ」と非難している。
怒ったトルコ人がアメリカ大使館前でデモったり過激派が火炎瓶投げたりしている。
トルコの国民感情や政治家にとっては非常にセンシティブな問題でして、クルド人への対応ひとつだけで敵にも味方にも回り得るのです。
中々難しい問題ですよね…
にしてもアサド政権が反アサド勢力まとめて「テロリスト」呼ばわりするのを批判していた日本人のトルコ研究者が、トルコ軍がシリアのクルド勢力攻撃したときは「連中はテロリスト」とトルコ政府の主張そのままな事を言っているのを見た時は驚いたなぁ…
まあ確かに日本に置き換えてみると、日本赤軍を匿っている国がいたらアメリカだろうが北欧だろうが許せないというか1線超えてる感はあるよね。
レバノン「呼んだ?」
カルロス・ゴーン「レバノンにはお世話になっています」
ただの犯罪者とテロリストを比べらても意味ないですね。
トルコとしてはフィンランドとスウェーデンが取り締まらなければ両国で資金調達や、最悪指導部が両国からトルコ国内の活動部隊に指示を出して下っ端しか捕まえられないなんて事になりますからね。
ああ…レバノンはテルアビブ空港乱射事件の実行犯の一人・岡本公三の政治亡命を認めていて、今も岡本はレバノンに住んでいると言うのを知らない人、多いんですね(敢えて裏のネタにしていた)。
【参照・Wikipedia】
リンク
なぜそれを態々裏のネタにしたんです?
最初からそれを書けばよかったのになぜ
カルロスゴーンを絡めたのか訳がわかりません。
まさに上に書いたようなことを言ってニヤニヤしたかったからでしょう。反応しない方がいいですよ。
PKK中心のお話しが多いようですが、実業家カラバ氏の国家転覆罪終身刑判決に対する件も絡んでいると思います。
リンク
今は亡きTRT日本語(トルコ国営放送)でも、「フェト(ギュレン派)・PKK」は分離主義テロ勢力として名指しでまとめて非難されてましたねえ。で、フェトフッラー・ギュレン自身はアメリカに亡命している。
トルコには譲れない問題だし、北欧諸国がNATOに加盟してもトルコの安全保障環境がそう向上するわけでもないので、何か欧米側の譲歩が無いと突っぱねてもおかしくないですね。