米空軍はMV-22オスプレイのクラッチスリップを問題視して先月16日に飛行停止を命じていたが、米海兵隊と同様のリスク軽減措置を導入することで飛行再開を承認した。
参考:US Air Force clears Ospreys to fly amid unresolved clutch problem
恐らく今回の措置を受けて陸自もV-22Bの運用を再開するだろう
米空軍特殊作戦司令部は16日「過去6週間以内にMV-22オスプレイのエンジンとローターを繋ぐクラッチがスリップする現象が2件発生、根本的な原因と解決策を探るためオスプレイに飛行停止を命じた」と発表、同機の安全性を問題視する日本メディアも「米空軍のオスプレイが飛行停止」と大きく報道して注目を集めた。
オスプレイは墜落を防ぐ構造上、エンジン2基のどちらかの動力伝達が止まると「一方のエンジンに動力負荷を集中させ必要なパワーを確保する仕組み」を採用しており、エンジンとローターを繋ぐクラッチにスリップが発生すると同システムが作動、スリップから回復したオスプレイは再接続されたエンジンのトルクが伝達されて機体が大きく傾く現象が発生するらしい。
この問題が過去6週間以内に2回発生した米空軍は先月16日「クラッチスリップの原因を突き止めるまでMV-22に飛行停止を命じた」と発表したが、クラッチスリップを10回も経験してる米海兵隊は「2010年に問題を把握したもののパイロットが対応策を身につけることで管理可能なリスクだ。我々の部隊やスタッフ間においてスリップ発生は常識だと受け止めている。これまで負傷者は1人も発生していない」と主張してMV-22Bの運用を続けている。
米海兵隊のパイロットは計器類をチェックして「クラッチがスリップを発生していないか」を確認後、スリップが最も発生しやすいホバリング操作に入るよう訓練されているため「リスクを管理可能=飛行停止を命じるほどの問題ではない」という意味だが、米空軍も米海兵隊と同じ類のリスク軽減措置(離陸後に最低でも2秒間はエンジンパワー全開にしない)を導入することで飛行再開を承認した。
陸自のV-22Bパイロットは米空軍ではなく米海兵隊から操縦方法を学んだため、クラッチスリップのリスク管理を実践していた可能性が高く米空軍が飛行停止を発表しても運用を続けていたが、先月20日に運用の見合わせを発表しており、今回の発表を受けて陸自もV-22Bの運用を再開するだろう。
関連記事:オスプレイ運用を継続する米海兵隊と陸自、飛行停止した米空軍との違いは操縦方法
※アイキャッチ画像の出典:public domain 米空軍所属のCV-22
運用始めて何年だろう、まだ害虫の洗い出しが済まないとなると、技術的に未成熟だから失敗作の烙印押されてしまう
事故に対する意識が昔よりずっと厳しいことを心して、さらに改善改良に取り組んでほしい
特殊な機体なんだなぁと改めて思う。
ただ素人意見だけど、将来的にフライ・バイ・ワイヤのアップデートである程度吸収できそうなリスクな気はする。
ボーイング737MAXみたいに操縦支援システムが悪さして落ちた・・・という事例もあるので、過信は禁物ですけどね。
オスプレイが試験段階で落ちた原因は技術的な問題よりも予算とスケジュールで圧力がかかったからだと、ブルーリボン委員会であるV–22計画検討委員会が結論づけています。ですので今後は各部隊に配備されたオスプレイに細かな異常や、その対策があれば早急に共有してほしい所ですね。自衛隊のもふくめて。
V-22シリーズは
・アメリカ海兵隊仕様のMV-22B
・アメリカ空軍仕様のCV-22B
・アメリカ海軍仕様のCMV-22B(艦上輸送機グラマンC-2後継)
と3タイプあってややこしいですね。
CV-22とMV-22の差異って任務用途が違うので搭載センサーなどに違いがある、ってことで良いのでしょうか。
飛行特性に違いはないでしょうから、空軍と海兵隊でノウハウが共有されていない部分が改善されたので再開した、と考えた方が良さそうですね
リンク
まあこうなるよね。知の共有ってことで。
そうですねー、こうしてノウハウが蓄積されていけば、民間機とかになったときにも有益ですし。
じゃあ4発機にすればいいじゃない!(無茶振り)
まぁ航空機の運用って死ぬまでアクシデントや事故との戦いやしね
航空事故は偶然の出来事ではありません(メーデー並感)
ヴォートXC-142
「アメリカ空軍博物館で僕と握手!」(お触りは禁止)
クアッドティルトローター機・・・こないだ終わりのセラフで見たなぁ
トラブル発生のメカニズムと対処法を報道したのは、日本では当ブログだけの認識だが、自衛隊は報道機関に説明したのだろうか?
説明されても報道しないのならメディア側の問題だが、説明すらしていないのなら自衛隊の秘密主義が問題。
今後、防衛予算を増額したいのなら、機密事項に触れない限りは防衛方針·防衛装備品に関する透明性を増した丁寧な説明·PRが必要だと思います。