米空軍は9日、本土防衛のためメリーランド州兵空軍が装備するF-16C/Dのレーダーを「AN/APG-83 SABR」に換装する作業が完了したと発表した。
参考:Air National Guard F-16s First To Fly Fifth-Gen Radar
米空軍、第5世代レーダー「SABR」に換装したF-16を初めて手にれる
米空軍は2017年にノースロップ・グラマンと、戦闘機F-16C/D Block40(~52)72機の搭載レーダーを「AN/APG-83 SABR」に換装するため約2億4,380万ドルの契約を結んでいたが、昨年、契約内容を更新し新たに300機分のレーダー換装作業を発注、以前の契約と合わせて372機のレーダー換装作業を約10億ドルで行う契約をノースロップ・グラマンに与えた。
今回発表されたのは2017年に発注していた「AN/APG-83 SABR」への換装作業で、米空軍は初めてF-16Vに搭載されている「AN/APG-83 SABR」を装備したF-16を手に入れたことになる。
ノースロップ・グラマンがF-16のアップグレード用に開発したアクティブ・フェーズド・アレイレーダー「AN/APG-83 SABR」は、機体に大きな変更(レーダーへの供給電力や冷却要件に変更がない)を加えること無く搭載することが可能で、このレーダーはF-35に搭載されている「AN/APG-81」の技術を流用して開発されたため、ソフトウェアは90%以上、ハードウェアは70%以上の共通性を確保しており、能力的にはF-35のレーダーに近いと言われている。
このレーダーはF-16Vに搭載されており、さらに旧型のF-16のアップグレード用としても需要が高く、今後20年で一番売れるレーダーになるだろう。
米空軍は保有しているF-16C/D Block40(~52)約790機を2010年代中にF-35Aで更新する予定だったのだが、ご存知の通りF-35の開発が遅延し、機体価格も高騰したため、米空軍はF-16の運用を2048年まで延長することを決定、現在F-16の機体構造を強化するためのキットを調達中で、元々8,000飛行時間に設定されていた耐用年数を13,856飛行時間まで延長する予定だ。
機体の耐用年数延長に加え、搭載レーダーを「AN/APG-83 SABR」へ換装したことで、米空軍のF-16C/Dは最新のF-16Vに近い能力を持つことになるだろう。
因みに「AN/APG-83 SABR」を搭載したF-16の取得は、米空軍としては今回が初めての機体で、旧型のF-16のレーダーを「AN/APG-83 SABR」に換装するための費用は1機あたり約320万ドル(約3.5億円)で費用対効果に優れていると言える。
一概に比較出来ないが、旧型のF-16から「AN/APG-83 SABR」を搭載したV仕様へのアップグレード費用は1機あたり約20億円程度掛かると言われており、V仕様へアップグレードする中で最も高価なのが「AN/APG-83 SABR」だ。
それが換装作業込みで、たった約3.5億円しか掛からないというのは、少しズルい気もするが、これも海外向けと米軍向けの違いだろう。
米空軍は2027年までに「AN/APG-83 SABR」を搭載したF-16を計372機手に入れる予定で、あと20年以上、第一線で活躍し続けるに違いない。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Joshua R. M. Dewberry
なんか軍事・宇宙関連の記事を読んでると金銭感覚がおかしくなりますね(笑)
文字通り燃料代だけで凄い額が飛んでいきますからね
日本もF2搭載レーダーをJ/APG-2から﹙XF2でテストした﹚先進統合センサシステムに換装したら良いのに。
先進統合センサシステムのレーダー部分、F35に搭載されたAN/APG-81より検出距離1.5倍位ある様だから、
性能的な寿命﹙陳腐化するまでの時間的な余裕﹚もAN/APG-83 SABRより上だろうし。
使用期間が短くならない様に、予算を確保して短期間で換装する必要はあるだろうけど。
機体の寿命が無いのでは。
LM製ですね。
F-35、F-16のアップグレード市場をLMが抑えた状態ですね。
レイセオンはどうするんだろう? ロッキードの戦闘機と同じくじり貪に見えますね。
RACR(Raytheon’s Advanced Combat Radar) レイセオンのAESAレーダーのの採用例は少ないのよね
F-15Eのアップグレード用:AN/APG-82(V)1 母体はAN/APG-79
、APG-63(V)3
AN/APG-79はF-18E/Fのアップグレード用
いずれもアメリカ空軍、海軍の認定で、モデル名もついてる
レイセオンのF-16用はあの韓国のKF-16用(一応は議会の輸出承認は出てた、当然ながら2年を要したけど)・・・・ダメでしたね。
レイセオンはイージス艦のレーダを押さえているから心配ないんじゃないですか? もっともここもロッキードがSPY-7なんて出して、日本のイージスアショア、既存のイージス艦にもアップグレード用に提案しているからうかうかしておられないでしょうけど。
ロッキード・マーティンは航空機用火器管制レーダーは製造してなくて、イージスシステム用のAN/SPY-1を製造しています。
こちらはアーレイバーク級フライトIIIからレイセオン製のAN/SPY-6に置き換わる予定です。
航空機用火器管制AESAレーダーはノースロップ・グラマンとレイセオンの2強ですが、F-22用のAN/APG-77が両社共同開発以外はF-16E/F/VとF-35用はノースロップ・グラマン、それ以外の第4.5世代機アップグレード用はレイセオンと分かれてますね。
取引があるディーラーの取り分まで考えて定価決めるのがメーカーだからね。どんな分野でも