米国関連

性能がF-35に近い「AN/APG-83」へ換装! 米空軍、F-16C/D 372機のアップグレードを発表

米国防総省は19日、空軍の戦闘機F-16C/D Block40(~52)72機の搭載レーダーを「AN/APG-83 SABR」に換装する契約を更新し、2027年までに372機のレーダーを換装する契約をノースロップ・グラマンに与えた。

参考:Contracts For Dec. 19, 2019

F-35のレーダーと性能的に近い「AN/APG-83 SABR」へ換装したF-16を増やす

米空軍は2017年にノースロップ・グラマンと、戦闘機F-16C/D Block40(~52)72機の搭載レーダーを「AN/APG-83 SABR」に換装するため約2億4,380万ドルの契約を結んでいたが、今回、この契約内容を更新し、新たに300機分のレーダー換装作業を発注、以前の契約と合わせて372機のレーダー換装作業を約10億ドルで行う契約をノースロップ・グラマンに与えた。

このレーダー換装作業は2027年までに完了する予定だ。

出典:U.S. Air Force photo/Bobbi Zapka AN/APG-83 SABR

米空軍は現在でもF-16C/D Block40(~52)を約790機保有しており、本当なら2010年代中に、このF-16C/Dを第5世代戦闘機「F-35A」で更  新する予定だったが、ご存知の通りF-35の開発が遅延し、機体価格も高騰したため、米空軍はF-16の運用を2048年まで延長することを決定、現在F-16の機体構造を強化するためのキットを調達中で、元々の8,000飛行時間に設定されていた耐用年数を13,856飛行時間まで延長する予定だ。

そして今回、ノースロップ・グラマンがF-16のアップグレード用に開発したアクティブ・フェーズド・アレイレーダー「AN/APG-83 SABR」に換装することで、将来の戦闘で必要となる探知能力や高度な電子戦に対応できるようになる。

出典:public domain F-35A

この「AN/APG-83 SABR」は、F-35に搭載されているレーダー「AN/APG-81」の技術を流用して開発されたため、ソフトウェアは90%以上、ハードウェアは70%以上の共通性を確保しており、このレーダーは能力的にF-35のレーダーに近い能力を持っているらしい。

因みに、F-16の最新型「V」仕様も「AN/APG-83 SABR」を搭載しており、世界中で使用されているF-16のアップグレード用のレーダーとしての需要があり、今後20年で一番売れるレーダーになるかもしれない。

補足:AN/APG-83 SABRは、KF-16アップグレード用のレーダーとして韓国にも採用されている。

このように米空軍のF-16C/Dは、機体は古くとも中身は最新のV仕様に近く、今後、増えていくF-35Aと共通性を持っているため保守面も優れており、米空軍をあと20年以上支え続けることになる。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo/Tech. Sgt. Nicholas Rau

韓国、トランプと約束した米国製「早期警戒管制機」購入は嘘? サーブ社が技術移転を提案前のページ

第4.5世代戦闘機「グリペン Type E」の実力は? 米メディア「平均以下」と辛口評価次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    2021年12月に初飛行予定、順調過ぎる米空軍「B-21 レイダー」の開発

    米空軍のステルス爆撃機「B-21 レイダー」は、順調に開発が進んでおり…

  2. 米国関連

    2027年に新型エンジンをF-35Aに搭載予定、航続距離は30%拡張され加速性能は2桁向上

    国防権限法最終バージョンが下院を無事通過して上院採決や大統領署名も大き…

  3. 米国関連

    米空軍、無人戦闘機の初回開発にAndurilとGeneral Atomicを選定

    米空軍は有人戦闘機に随伴可能な無人戦闘機のことを「協調戦闘機(Coll…

  4. 米国関連

    米国防総省、ウクライナ軍の防空能力は米国が予想していたよりも質が高い

    米メディアのCNNは26日、国防総省の話を引用して「ロシアはウクライナ…

  5. 米国関連

    米国が17番目のウクライナ支援パッケージを発表、HIMARS弾薬供給を強化か

    米英独の3ヶ国が提供を約束した計22輌の多連装ロケットシステムがウクラ…

  6. 米国関連

    米国、ウクライナにNASAMS向け弾薬や熱画像照準器を備えた重機関銃を提供

    国防総省は大統領権限(PDA)による4億ドルのウクライナ支援パッケージ…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 12月 23日

    >AN/APG-83 SABRは、KF-16アップグレード用のレーダーとして韓国にも採用されている。
    えっ、そのなの? 違うのでは?
    あの、頓挫したBAE(のちにFMSでのLM、っていうか、アメリカはFMSでの改修しか認めてなかった)の改修のPhase-2での
    AESAレーダーはレイセオン社の”Raytheon’s Advanced Combat Radar”(RACR) 
    輸出承認に2年を消費したブツ

    +、現在、韓国でのKF-16のアップグレードなんて、計画すらない。
    つまりは予算化されていない

    • 匿名
    • 2019年 12月 23日

    契約し直した韓国のKF-16改修費には、安くなったと見せかけるために、AN/APG-83の調達費が抜かれてるというので、実際にレーダーが換装されるのか分かりませんね。

    • 匿名
    • 2019年 12月 23日

    使える物は、活用した方がいい。
    数は力だよ。

    • 匿名
    • 2019年 12月 24日

    台湾のF-16も、中身はF-35並になるということかな?

    • 匿名
    • 2019年 12月 25日

    見た目は量産、中身はエース級

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP